
近々で走る予定もないので,いつもの如くアレコレ調べ物をしていたら「バックリング(Backling)」という単語を目にしました.
なんだコレ?と思って調べてみたところ,どうやらコーナリング中にタイヤに負荷が掛かって変形した際に,トレッドの一部が浮き上がる現象の事を指すそうです.タイヤは上→下に向かって力が加わっているので浮き上がるなんて思いもしなかったのですが,力が働く方向を考えれば確かに起こり得るか・・・と納得しました.浮き上がるとなるとグリップに影響しそうですし,どんな現象なのか調べてみました.
「バックリング」があまり一般的でないのか? 逆に一般的過ぎて触れる必要もないのか? その辺りはよく分かりませんが,調べてみてもあまり情報は出来ず,唯一出てきたのはBRIDGESTONEだけでした(↓).
CarWatch:
ブリヂストン「POTENZA RE-11」徹底レビュー【前編】
こちらは2009年に「RE-11」が発表された際の記事のようなのですが,「RE-11」の先代に当たる「RE-01R」を筑波サーキットに持ち込み,「直線時」「ブレーキング時」「コーナリング時」のタイヤ変形に着目して解析を行った事から話がスタートしています.
その中で,「コーナリング時」はタイヤがポジティブキャンバーとなり,外側に倒れ込む様子が確認されたそうなのですが,ここから解析を行った結果,OUT側の本来接地しているべき部分で,逆に浮き上がって接地せず,グリップを失っている現象が確認されたそうです(一番下の画像の青い部分).
本来グリップして欲しいところでグリップしていないので,勿論この「バックリング」はなくしたい訳なのですが,その対策方法としては以下があるそうです.
・剛性が弱い部分を補強
・溝配分の変更
前者の「補強」は主にタイヤのベルト部分で行われるので,所謂ところの「構造を変更する」というヤツで外から見て分かるものではありませんが,後者の「溝配分」というのはトレッド部の溝のパターンを指しており,こちらは「回転方向指定」のタイヤが「IN-OUT指定」のタイヤになるような感じで目で見て分かる変化となっています(↓).
つまり,「IN-OUT指定」のタイヤは,「バックリング対策」をしたタイヤと見なせそうです.
σ(゜・゜*)・・ン??
「RE-01R」→「RE-11」でパターンを変更してバックリングしにくくなったのは分かったのですが,そうするとその次の「RE-11A」→「RE-71R」でのパターン変更は逆にバックリングに対して弱くなったのでは・・・?と思い,「RE-71R」の広報資料を見返してみたところ,
あっ! 「バックリング」に関して全く触れられていない(苦笑).
という事は,更にその次の「RE-71R」→「RE-71RS」へのパターン変更時は・・・と調べてみると(↓),
また出てきたじゃ~ん(笑).
なるほど,やはり「回転方向指定」のパターンは「バックリング」に弱いみたいですね.
そう思って改めて「RE-71R」を見返してみたのですが(↓),
ちょうど「バックリング」が起きそうな部分で,溝が繋がっている箇所があり,これも対策の一環なんだろうなぁ~と思いました.
以上,「バックリング」のお勉強でした.
A052等の「IN-OUT指定」のタイヤは恐らく「バックリング対策」が施されているので,走行後のタイヤから発生の有無は確認出来なそうですが,「バックリング」はタイヤ変形の話なので当然内圧も関係していて,極端に内圧を下げるとやはり発生するそうです.
走行後のタイヤを見た時に,OUT側の部分で均一でなく,凸凹した減り方をしている時は内圧の下げ過ぎと判断した方が良さそうですね.
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セッティング(タイヤ) | 日記
Posted at
2024/06/07 17:21:24