
週末にFormula Eの東京大会(Tokyo E Prix)開催されるという事で,都内各所でイベントが行われているのですが,どうせだったら「GEN3」の進化型「GEN3 Evo」を観たいなぁ~とSNSで展示画像をチェックしてました(この手のイベントは旧型の単なる色替えである事が多く,展示の情報だけで出向くと空振りの終わる・・・).
すると,渋谷に展示されている「NEOM McLaren Formula E」のクルマは最新型の「GEN3 Evo」のようだったので,近いし観に行って来ました.
場所は「渋谷PARCO」前との事で,「うぇぇ・・・ハチ公口を通らないとダメかぁ~」とゲンナリしつつ向かうと,例のスクランブル交差点は案の定の混雑っぷり.ただ,周囲をよく見ると外国人ばかりで,信号が赤で待っている間に「Hey Guys!」と掛け声掛けているから何をしているんだろう?と思ったら,スクランブル交差点が青になった瞬間に集団でダッシュして,中心で撮影会をしてました(苦笑).
ここは公道なので,そんなの気にせず横目に通り過ぎて会場へと向かった訳なのですが,そもそもなんで渋谷で展示なんかしているんだ?と調べてみたところ,この展示の主催は「TDK」との事.
「TDK」は,昨年10月からマクラーレンレーシング(皆さんご存知のあのマクラーレンです)と複数年に渡る戦略的技術提携を始めたとの事で,提携の一環で企画した「未来のエンジニア(大学生)向けの体験イベント」を日本とイギリスで今後行う予定なのだそうです.その未来のエンジニア(=若い世代)向けにアピールするために,わざわざ渋谷でイベントを企画したようです.最近では渋谷は「ビットバレー」と呼ばれ,IT関連のベンチャー企業が多く集まっているのでエンジニアを目指す若い世代が来るだろう~という目論見なのでしょうね.
ふ~ん・・・と思いつつも,「アレ? マクラーレンって今シーズン限りでFormula Eから撤退するんじゃなかったか??」とハテナマークが浮かびましたが,どうやら提携の範囲はFormula Eだけでなく,マクラーレンのe-Sportsチームも含んでいるようなので,来期以降はそちらで活動していくんでしょうね.
さて,前振りが長くなりましたが,肝心の「GEN3 Evo」の見学に行ってみましょう.
今回は事前に「GEN3」と「GEN3 Evo」の違いを頭に入れて来たので,そちらを中心に観てみます.
まずはフロントウイング(↓).
以前観た「
GEN3」と比べると,翼端板の形状が異なるのが分かります(↓).
これは空力のアップデートというよりは,フォーミュラらしからぬ格闘戦(=よくぶつかる)が行われるFormula E独特の事情によるものだそうで,「GEN2」時代にあまりにも接触が多かったため,「GEN3」でフロントウイングを敢えて壊れ易くしたそうなのですが(壊れ易いから接触を避けるようになるだろう~という意図),今度は「壊れ過ぎる」と苦情が入ってしまったようで,その対策として「Evo」では翼端板を強化したそうです.
アップで観ると,確かに翼端板がブ厚くなっているのが分かります(↓).
次にノーズ上の突起物(↓).
なんの突起なのか分かりませんが,若干高さが大きくなったそうです.
次いで,ミラー(↓).
取付け角度が変わったようなのですが,「GEN3(↓)」と見比べると少し寝たのかな?
そして,ロールフープ部のカウル(↓).
「GEN3(↓)」と比べると,
上部の開口範囲が広くなり,両側の板の部分が若干厚くなったようです.横から観ると(↓)ほとんど違いが分かりませんが,横転時に最初にロールフープが当たるようにしたかったのかなぁ~?
最後がリアタイヤ前のフェアリング(↓).
なんだか90年代終盤のF1っぽいウイングレット形状になっていますが,下側はくり抜かれているので正面からの空気が直接タイヤに当たるのは変わらなそうです.タイヤの上部にフェアリングを付ける事で気流を上に逃がして乱流を抑制する狙いなんですかね?
なお,外観上の違いはこんな感じですが,見えない部分でも「Evo」は色々変わっていて,最大の特徴はAWDになった(フロントも駆動するようになった)事ですかね.
これは充電のために使っていた回生ブレーキ用のモーターを,逆に駆動用として用いる事で実現したようです.モーターなんでこの辺りはハードウェアの変更が不要(=ソフトウェアの変更のみで実現出来る)でしょうから,SDV(Software Defined Vehicle)の時代らしい「Evo」と言えるんでしょうか.ちなみに,このAWDは常時行っている訳ではなく,特定の条件を満たした場合のみ+αとして解禁されるルールとなっているそうです.
ちなみに,よく見ると中にいつものディスクブレーキ&キャリパーが見えますが,チーム的にはこのディスクブレーキをあんまり使いたくないのだそうです.というのもディスクブレーキを使うという事は運動エネルギーを熱エネルギーに変換して車外に放出してしまう事になるので,1周当たりのネルギー効率が下がってしまいます.このため制動は出来るだけ回生ブレーキ側で行い,使ったエネルギーを取り戻したいそうなのですが,なんせ最高速が322km/hも出るクルマなので,回生ブレーキだけでは止め切れず,どうしてもディスクブレーキを使わざるを得ないのだそうです.故にディスクブレーキをどこで使って・どこで使わないか?のバランスが戦略の一部となっているのだとか・・・.
以上,GEN3 Evoの見学でした.
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Posted at
2025/05/18 12:16:53