
先日,
池袋に行ってラリー車を観てきた訳なのですが,その中で不思議に思ったのがボンネットの開口部でした.
エンジンルーム内のクーリングのために,ボンネットに開口部を設けるのはレーシングカーでもよくある事なのですが,大体のパターンはラジエターの後ろ辺りに開口部を設けて,ラジエターで熱せられた空気を抜く形にするのが一般的です.
実際,私のEF8もこの位置に開口部がある訳なのですが(↓),
今回見たラリー車は,3台が3台ともボンネットの中央部ではなく,両端に開口部を設けていました(↓).
【
GR YARIS Rally1】
【
SKODA FABIA R5】
【
SUBARU WRX S4】
最後の「WRS S4」は,ボンネット中央部にインタークーラー用の取り込み口があるので(↓),
ラジエターの後ろに穴を開ける事が難しいのは理解出来るとしても,他の2台にはそういった制約がないので,なぜこの位置になるのか不可解でした.何かそこに設けないといけない理由(例えばレギュレーションで指定されている等)があるのかな?と思い調べてみたところ,理由はコレ(↓)でした.
ラリー車特有の室内クーリング用に設けられているシュノーケルダクト(ルーフベンチレーター).
仮にボンネットの中央に開口部があった場合,ラジエターを通って熱せられた空気がそのままボディに沿って流れ,ルーフの先端にあるこのシュノーケルダクトの中に入る事になります(↓).
室内を冷やすために設けたダクトなのに,そこに熱せられた空気が入ってしまっては本末転倒で,こういった事象を避けるためにボンネットの開口部を中央ではなく,左右両端に設けているのだそうです(↓).
コレを聞いてSUPER GTのランボルギーニの話を思い出しました(↓).
autosport web:
新ウラカンGT3エボ2。リヤ2本交換の“こだわり”を捨てて掴んだ完勝劇
GT3車両である「ウラカン」が「EVO」→「EVO2」へアップデートした際に,吸気の取り込み口(エアインテーク)をサイド→ルーフ後部へ移動したそうなのですが(↓),
【ウラカンGT3 EVO】
【ウラカンGT3 EVO2】
その結果,ラジエターの熱を拾って吸気温が上がり,パワーダウンしてしまったそうです.この対策としてボンネットの開口部にフィンを追加して,排熱した空気をエアインテークの左右両脇に避けるように流したら,先述の吸気温が20℃も下がったのだとか・・・.ミッドシップ車両がこういったチョンマゲを付けているのは珍しくないと思うのですが,中央に開口部があるとこんな問題が起きたりするのですね.
遠目に見ても,「ウラカン」のエアインテークはボンネットから大分遠い位置にあるように見えるのですが,この位置でも20℃変わるなら,ルーフの真上というボンネットからかなり近い位置にあるラリー車のシュノーケルダクトなんて,更に熱い空気を取り込んでしまうのでしょうね・・・.
以上,ラリー車のボンネット開口部がなぜ左右両端にあるのか?というお話でした.
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セッティング(空力) | 日記
Posted at
2025/07/22 22:46:37