
サーキット走行を止める知人から
デジスパイスⅢを安く譲って頂いたので,これまで使用していた
747Proと比較してみました.
本来,こういったGPSロガーは遮蔽物のないルーフに取り付けるのが良いのですが,万が一にでも走行中に脱落した場合を恐れて,私はフロントウインドウの先端部に取り付けています.これにより,GPSロストによるデータ飛びや軌跡のズレも勿論生じますが,発生頻度は少ないため,十分許容出来るレベルです.
今回テストした「スポーツランドやまなし」は,周囲を山で囲まれた環境なので,あまり最適な場所ではないかもしれませんが,そこは走る事優先だったという事で・・・.
それでは,当日ベストが出た2本目(20LAP分)の結果で比較してみましょう(誤差は公式とのズレ分です).
LAP 公式 747Pro(誤差) デジスパイスⅢ(誤差)
01 43.904 43.879 (-0.025) 43.866 (-0.038)
02 48.020 48.037 (+0.017) 48.008 (-0.012)
03 42.992 42.974 (-0.018) 42.991 (-0.001)
04 43.815 43.790 (-0.025) 43.832 (+0.017)
05 47.340 47.375 (+0.035) 47.368 (+0.028)
06 42.996 42.955 (-0.041) 42.970 (-0.026)
07 43.103 42.996 (-0.107) 43.093 (-0.010)
08 50.044 50.165 (+0.121) 50.081 (+0.037)
09 48.704 48.598 (-0.106) 48.736 (+0.032)
10 42.858 42.924 (+0.066) 42.789 (-0.069)
11 48.476 48.451 (-0.025) 48.470 (-0.006)
12 43.481 43.472 (-0.009) 43.471 (-0.010)
13 43.622 43.654 (+0.032) 43.656 (+0.034)
14 49.883 49.945 (+0.062) 49.883 (+0.000)
15 49.157 49.111 (-0.046) 49.104 (-0.053)
16 42.970 42.958 (-0.012) 42.983 (+0.013)
17 43.714 43.708 (+0.006) 43.753 (+0.039)
18 47.540 47.602 (+0.062) 47.404 (-0.136)
19 56.968 56.947 (-0.021) 57.123 (+0.155)
20 43.571 43.639 (+0.068) 43.566 (-0.005)
747Proは7~9周目にかけて,デジスパイスは終盤の18~19周目にかけて,誤差が0.1秒を越えていますが,それ除けば全て誤差が0.1秒以下と,どちらも非常に優秀です.続けて,この誤差の平均値をとってみます.
747Pro ・・・ +0.0011 (MIN:-0.107 MAX:+0.121)
デジスパイス ・・・ -0.0005 (MIN:-0.136 MAX:+0.155)
デジスパイスの方が誤差の絶対量が1桁小さく,何よりマイナス側で出るのが嬉しいですね(笑).
ただ,誤差の最大量で見るとMAX/MIN共にデジスパイスの方が大きいのが気になりますので,各々のデータから0.1秒以上乖離したデータを取り除き,再度平均値を求めてみます.
747Pro ・・・ +0.0049 (MIN:-0.041 MAX:+0.068)
デジスパイス ・・・ -0.0059 (MIN:-0.069 MAX:+0.039)
おっと! 今度は747Proの方が誤差の絶対量が小さくなりました.ただ,誤差の触れ幅で見てみると,747Proは誤差の中心位置がプラス側,デジスパイスはマイナス側に寄っているようにも思えます.そこで,今度は標準偏差を求めてみます.
747Pro ・・・ +0.038
デジスパイス ・・・ +0.030
これでようやく,ほんの僅かな差ですがデジスパイスの方が誤差が小さい事が明らかになりました.ただ,1周43秒のコースで両者のズレは100分の1秒以下です.コストパフォーマンスで考えたら747Proは十分以上の性能と言えるでしょう.
次に走行軌跡の比較です.公式とデジスパイスの誤差が最も少なかった14周目で比較してみます(サンプリング周期は共に5Hz).
【747Pro】

【デジスパイスⅢ】
747Proの方が僅かに画面下側(南東側)に寄っています.これによってゴールラインまでの距離が僅かに長く,これが誤差をプラス側に生んでいる要因かもしれません.
また,全体的にデジスパイスの方がコーナリング中の曲率が一定で滑らかです.1コーナー等は全くラインが違いますし,第1・第2ヘアピンも747Proの方が少し歪なラインになっています.また,2コーナーや最終コーナー等はブレーキングが完了するポイントも僅かにズレていますし,ライン取りを分析する上ではデジスパイスの方が良さそうです.
最後に,この14周目のセクタータイムを比較してみます(LAP+基準).
747Pro ・・・ 8.178 / 11.211 / 9.256 / 8.338 / 4.142 / 8.844
デジスパイス ・・・ 7.947 / 11.453 / 9.152 / 8.340 / 4.194 / 8.828
走行軌跡で気になったポイントが,そのまま数値で表れています.SCT.1で747Proがズレた分はSCT.2で吸収されています.続けて,SCT.3でも0.1秒ズレが生じていますが,こちらはSCT.4では吸収されず,SCT.5でマイナス側にズレた分で軽減され,残った分が両者の誤差といった感じでしょうか.
以上,比較結果でした.
たった1回の比較結果なので,これで良し悪しを語るのもナンセンスではありますが,公式計時に対する誤差という意味では,ほんの少しだけデジスパイスⅢの方が良いようです.ただ,定価で考えたら747ProはデジスパイスⅢの約1/4ですし,アマチュアレベルで使う分には十分な精度だと思います.
私としては,
GPS Lapsとの連携や,新しく出てきたLAP+Cを踏まえて,引続き747Proを主軸にしていきたいと思っていますが,デジスパイスⅢには奥の手ともいえる10Hzモードもあるため,色々試しながら使ってみたいと思います.