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OX3832のブログ一覧

2025年08月12日 イイね!

私のブレーキの好みは?

私のブレーキの好みは?2ヵ月振りに走った先日のTC1000ですが,アレコレ試してみるも空しく,ここのところお約束となっている想定タイムの0.3秒落ちで終わりました.

前回(5月)の走行データから「問題はブレーキングの仕方にある」と考え,今回はブレーキングを開始するタイミングを意識的に一呼吸遅らせて,やや突っ込み気味にアプローチする事を心掛けたのですが,0.3秒の差を埋める程ではありませんでした・・・.

一応,開始タイミングを遅らせれば遅らせるほどタイムは削れるのですが,フロントタイヤがスキール音を鳴かせてエイペックスにつけなかったり,速度が落ち切る前にステアリングを切らざるを得ず,ブレーキングと操舵抵抗が重なってボトムスピードが過剰に落ちたりと,負担が大き過ぎな印象でした.



速度を落とし過ぎず,かといって荷重を抜き過ぎず,ちょうど良いバランスでターンインさせようとすると,ブレーキペダルのストローク量が少な過ぎてやりづらい.「こりゃ,パッドの特性が私の好みに合ってないのでは?」と走りながら思ってました.



リアのブレーキロック対策で入れたIDIの「SC6.5」ですが,確かにこれまで使っていたものよりも制動力が高く,浅いブレーキングでも旋回出来るようにはなったのですが(=ボトムスピードは上がった),初期制動が低いせいか? ピッチングの治まりが遅く,姿勢が安定しないのでリアの動きが読みづらい・・・.



スピン覚悟のバンザイアタックで飛び込めば,何とかなると言えば何とかなるのですが,夏場でこんな状態では冬場の冷えたタイヤでは到底無理.



2本目の途中でリアタイヤの内圧を下げた結果,リアのスライド量が減って自信をもってコーナーに飛び込めるようになり,タイムを削り取れたというのも納得の結果です.


私のブレーキの好みは,どちらかと言うと「直線でブレーキングを終わらせて,アクセルペダルに足を乗せながらコーナーへアプローチしたい」タイプなのですが,


(Beyond the Apex The Gran Turismo Magazine:コーナリングの考え方より)

今のパッドは直線で終わらせるには効きが物足りないし,かといって残すブレーキをしようとすると効きが強過ぎる.どっちつかずで使いにくいなぁ~という感じです.「じゃあ,お前の好みはなんなんだ?」という話になる訳なのですが,これが正直良く分からない・・・.


「こんな時こそデータロガー!」という事でいつもの通り引っぱり出してみたいのですが,問題は一体何のデータと比較して分析をすれば良いか? 色々思案した結果,「コンディションが近くて,ブレーキに不満がなかった時のものと比較すれば良い」と判断し,コチラのデータを引っぱり出してきました(↓).



ちょうど3年前の2022年にお試しでGTウイングを外した時のデータです.気圧・気温の条件が今回とかなり近く,まだブレーキマスターをNA1仕様に変更する前なので条件に合致します.

この時は何をやっていたんだっけ?と当時のブログを読み返してみると,前日がドリフト走行で走れば走るほど路面コンディションが良くなった事もあり,午前中にGTウイングレスで走ったタイムを,午後にGTウイングつけて抜いていたようです.という事は,比較材料としては午後の方が良いなーという事で,コチラのデータ(↓)と比較してみます.




まず,コンディションは以下の通り.

  2022年(41.970) ・・・ 気圧:1002.3hPa  気温:31.5℃  路面温度:45.6℃
  2025年(42.316) ・・・ 気圧:1005.2hPa  気温:28.8℃  路面温度:29.0℃

風や湿度といった違いがあるとはいえ,今回(2025年)の方が全体的に良い条件なのに,やっぱり0.3秒遅いんですね・・・(泣).


続いてロガーデータ(赤:2022年 青:2025年).



1コーナー(1つ目の緑丸),ヘアピン(2つ目の緑丸),インフィールド(3つ目の緑丸),最終コーナー(最後の緑丸)の各ブレーキングポイントの波形を見比べてみると,2022年(赤)は「直線でブレーキングを終わらせて,アクセルペダルに足を乗せながらコーナーへアプローチ」しているのが読み取れます(=ブレーキは強く・短く止めて,早めにアクセルを開けている).これに対し,2025年(青)は「ブレーキを残しながらコーナリングを開始し,ブレーキングの最後で緩めてボトムを上げようと試みてはいるが,単にアクセルONが遅くなるだけで速度が伸びてない」というのが分かります.今のパッド特性に何とかドライビングで合わせ込もうとしている様子が窺えたのは一安心ですが,これだけ立ち上がりが遅ければタイムが出なくても仕方がないですね・・・.


では,この比較データから私のブレーキの好みを分析してみると,



  制動初期(一番上の緑丸) ・・・ 効き始めは弱くても良いが,その分だけペダルストロークを稼ぎたい
  制動中期(真ん中の緑丸) ・・・ ペダルの奥の効きが一定で,速度が落ちても制動力が変わらない
  制動後期(一番下の緑丸) ・・・ 速度の低下に合わせて効きも低下し,ペダルコントロールが容易

なるほど,なるほど,こういう特性が私は好みなんですね.初めて知りました(苦笑).


となると,私の好みに合うIDIのパッドはどれなんだ?



むぅ,ペダルの踏み方と温度の相関が分からないので読み取れん・・・.
これなら横軸が速度のENDLESSの方(↓)がイメージし易くて分かり易いか!?



パッドのチョイスを失敗したかなぁ~? まぁ,暫くはこの図と睨めっこして次どうすべきか考えてみます.


以上,私のブレーキの好みは?というお話でした.
2025年04月04日 イイね!

AIにブレーキパッドを相談してみる

AIにブレーキパッドを相談してみるChatGPTで話題となり,ここ数年で大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を用いたAIチャットボットが増えました.

何でも聞けばそれっぽく答えてくれるので,情報を手探りで探している時にはそこそこ役に立つのですが,「真実の中に嘘を混ぜる」という,まるで一流の詐欺師みたいなAIもあり,使い方が難しいなぁ~と思っていました.


例えば,「OX3832ってどんな人」とAIに聞くと,大抵は「そんな人知りません」と正しく答えてくれるのですが(笑),中には「トヨタ86乗りの人です」なんてトンデモ情報を答えるAIもありました(多分,学習データがこのブログだけなんだと思われる).そんな感じで「やっぱ使えないなぁ~」と思っていたのですが,先日,xAIの「Grok」を試してみたところ,「ほぅ・・・」と思える回答を返してくれました(↓).







自分の事なので,なんだか言っている事がこそばゆい感じもしますが(苦笑),内容自体に嘘はなく,この「Grok」は信憑性が高そうだなぁ~と思いました.


そこで,先日考察した「IDIのブレーキパッド特性」に関して,このGrok君に相談してみる事にしました.
最初の質問は以下の通り(↓).

  IDIが独自に定めている10点評価を,摩擦係数特性のデータと紐づけて読み解いて!

そのGrok君の回答がコチラ(↓).



ふむふむ,なるほど.じゃあ,一番気になっているのは「制動力」の部分なので,ここにフォーカスしてもう少し突っ込んだ質問をしてみよう!とこんな事を聞いてみました(↓).

  「総合制動力」は,対応温度全域における「平均摩擦係数」の更に平均値だったりしないかな?

そして出てきた回答がコチラ(↓).



ちょっと真実に近づいた感じがしますが,相変わらず謎の掛け算を示してきます.
「嘘臭いなぁ~」という疑念は抜けないので,今度はこんな提案をしてみました(↓).

  単純な掛け算ではなく,一定の範囲を設けて10段階評価をしていたりしないかな?

すると出てきた答えがコチラ(↓).



「それ,合ってるかもよ!」と回答してくれました.


じゃあ,次は「初期制動力」の方だな~という事で,こんな質問を(↓).

  「初期制動力」は,対応温度域の一番低い時(100℃)の「平均摩擦係数」だったりしないかな?

その答えがコチラ(↓).



おっ,こちらも合っていそうな感じですね.


これでIDIの「制動力」に関する10点評価の考え方が解き明かせたので,今度はSC1~SC6の違いを明らかにすべく,各パッドの「概要」に出てくる解説文を読み解いてもらいます(↓).

  「概要」に出てくる「中温」「高温」は何℃~何℃の範囲を示していると思う?

その答えがコチラ(↓).



さすがはAI.この手の分析は優秀ですね.


これで大体の情報は出揃ったので,ここで本命の質問(↓).

  「SC6.5」の概要文と10段階評価から,「SC6.5」の摩擦係数特性を推測して!





さすがに無茶振りなので,ここからGrok君は一所懸命考えてくれたのですが,最初は怪しい結果ばかりでした.「ここがおかしい」「あそこがおかしい」と指摘をし続け,何度も何度も考え直させた結果,最終的にこのグラフを導き出してくれました(↓).



実線はIDIが開示している摩擦係数特性のデータ,点線がGrok君が推測してくれた摩擦係数特性のデータです.おお,なんだかそれっぽい感じですね! 使えそうな感じに仕上がったので,念押しの意味を込めてGrok君自身に,自分で言った事を自分でチェックしてもらいました(↓).

  このグラフと過去の情報を照らし合わせて,矛盾している点がない?

そのセルフチェック結果が以下の通り.



さすがはAI.論理的に矛盾した事は言っていないようです.


という事で,最後にこの推測した「SC6.5」の摩擦係数特性を含めて,IDIが設定した10段階評価を紐解いてもらいました(↓).

  「総合制動力」「初期制動力」と平均摩擦係数の関係性を纏めて示して!

その結果がコチラ(↓).



これでIDIのSC(セミメタル)シリーズの摩擦係数特性と,IDIの制動力に関する10段階評価の考え方が分かりました.


・・・という事で,ブレーキパッド選びの拠り所が得られたので,そのIDIのブレーキパッド「ゼロクロス SC6.5」をオーダーしてみました(↓).



前回の考察から,現在使っているパッドが「SC5」の特性に近そうな気がするので,「SC6」にするか? 「SC6.5」にするか?で悩んでいたのですが,Grok君に推測してもらった摩擦係数特性を見て「ABSのないEF8にはSC6.5の方が良さそう」と判断し,こちらにしました.これで初期の効きが足りなければ「SC6」に変更すれば良いですし,踏み込んだ先の制動力が足りなければ更に上の「SC7」に変えれば良いと思っています.

ただ,「SC6」はローターに対する攻撃性がこんな感じなんだそうで(↓),


(IDI:ゼロクロスマテリアルより)

「SC5」と比べると大分キツく,レコード盤になりそうです・・・(↓).


(IDI:ゼロクロスマテリアルより)

制動力の絶対値を上げるのですから,ローターへの攻撃性が高まるのは仕方のない事ではありますが,はてさてどれくらいもつのか??


以上,AIにブレーキパッドの事を相談してみた結果でした.

果たして,私はブレーキパッドの違いを感じ取れるのか? この「SC6.5」の慣らし(アタリつけ)を早々に終わらせて,サーキットに持ち込んでテストしてみたいと思います.

2025年03月16日 イイね!

IDIのパッド特性を読み解く

IDIのパッド特性を読み解く前回,プロから頂いたフィードバック結果を元にフロントブレーキの問題点を整理しました.

この問題に対する対策として,ブレーキパッドの「μ/N特性」に着目し,読み解いてみた訳なのですが,ENDLESS以外にこういったパッドの摩擦係数特性を開示しているメーカーはないのかなぁ~?と調べていたら,IDIも開示していました.


早速見てみようと思ったのですが,その前にIDIがEK9用のパッドを出していないと調べても意味がないので,まずはマッチングリストをチェック.



ちゃんと型がありました.「よし,これなら大丈夫だなぁ~」と思いつつ,もしIDIを選ぶと後々ENDLESSの4POTキャリパーは入れられなくなるなぁ~と思い,第2の選択肢であるSPOON製の4POTキャリパーを再度確認してみると(↓),



「EK9純正同形状」との事で,キャリパーを変更する場合はコチラを選べば問題なさそうです.


これで調べても無駄にならない事が確認出来たので,本腰を入れてみてみます.

まず,IDIのブレーキパッドにはいくつか種類があるようなのですが,サーキットユースだと「ゼロクロス」シリーズというのがあるそうです(↓).



略称が「0X」だそうでイイですね(笑).そのシリーズの中で更に3つのグループに別れているそうで(↓),

  CC    ・・・ Carbon Composite metal (ロースチール~ハイスチール)
  SC    ・・・ Semi Composite metal (ミドルスチール~ハイスチール)
  NF/NR ・・・ Non asbestos Front / Rear   (ノンスチール~ロースチール)

「NF/NR」はロースチール(スチールファイバー等を10~30%しか含んでいない摩材)という事もあって対応温度域が低いため,今回の選択肢からは外れるのですが,FFのリア用アンチロックパッドとして「NR1」という製品があるようなので,これだけは頭の片隅に置いておこうと思います.


(EF8用の型がある事も確認↑)


次に「CC」と「SC」の違いですが,その名の通り積極的にカーボン被膜を形成してローターへの攻撃性を緩和したのが「CC」.カーボン被膜は形成するが「CC」ほどではないのが「SC」という位置づけのようです.カーボン被膜は確かにローター保護の面では良いのですが,熱によって被膜にムラが出来るとジャダーの元になったりするので,個人的にはあまり好きではありません・・・.なので,今回は「SC」の方で見てみたいと思います.


(IDI:ZeroCrossブレーキパッドより)

今使っているパッドの作動温度域が「100~850℃」なので,これに近しいものだと「SC5」が相当しますね.
まずはこれから見てみましょうか.



  中高温域に特化し,初期制動を抑えたコントロール重視のブレーキパッド
  高温連続使用にも強く,耐摩耗性に優れるため耐久レース等にも使用可能な摩材


コレの摩擦係数特性はこんな感じ(↓).



作動温度域は「100~850℃」ですが,摩材の有効温度域である「300~900℃」の領域が開示されています.この間の摩擦係数は平均すると「0.48」といった感じでしょうか.温度に依存せず,かなり安定した特性で良いですね.


では次に1つランクを下げて「SC4」を見てみますか.

  初期制動を高く設定した,中高温域で高い制動力を発揮するブレーキパッド
  ブレーキ容量の足りない車両等に最適な摩材




こちらは「100~800℃」の領域が開示されています.100~300℃の領域は摩擦係数が0.49くらいでかなり効きが良さそうですが,それ以降は右肩下がりで高車速域では効きが弱そうですね.


これらの情報を頭に入れつつ,「SC4」と「SC5」のポイントを比較してみると,

  総合制動    ・・・ SC4:8.5  SC5:9.0 (+0.5)
  初期制動    ・・・ SC4:9.0  SC5:7.0 (-2.0)
  摩耗       ・・・ SC4:3.5  SC5:8.5 (+5.0)
  ローター保護 ・・・ SC4:5.0  SC5:5.0 (±0.0)
  フェード     ・・・ SC4:8.0  SC5:9.0 (+1.0)
  コントロール  ・・・ SC4:5.5  SC5:8.0 (+2.5)
  ペダルタッチ  ・・・ SC4:8.5  SC5:9.5 (+1.0)

なるほど,これでこのポイント表の読み取り方がなんとなく分かりました.

  総合制動    ・・・ 高温域まで摩擦係数が維持されるとポイントアップ
  初期制動    ・・・ 低温域で摩擦係数が高いとポイントアップ
  摩耗       ・・・ パッドの摩材が硬いとポイントアップ(?)
  ローター保護 ・・・ カーボン被膜量が多いとポイントアップ(?)
  フェード     ・・・ 高温域まで使えるとポイントアップ
  コントロール  ・・・ 摩擦係数の変化量が少ないとポイントアップ
  ペダルタッチ  ・・・ パッドの摩材が硬いとポイントアップ(?)


これを頭に入れつつ,今度は「SC6」を見てみます.

  初期制動を高く設定した高温高制動型のブレーキパッド
  高温時にも耐熱安定性が高く,過酷な状況下においても高い制動力を引き出す摩材




  総合制動    ・・・ SC6:9.5 (+0.5)
  初期制動    ・・・ SC6:9.0 (+2.0)
  摩耗       ・・・ SC6:5.5 (-3.0)
  ローター保護 ・・・ SC6:5.0 (±0.0)
  フェード     ・・・ SC6:9.0 (±0.0)
  コントロール  ・・・ SC6:7.5 (+0.5)
  ペダルタッチ  ・・・ SC6:9.5 (±0.0)    ※( )内は「SC5」比

低温域の摩擦係数が高いので,「SC5」よりも「初期制動」のポイントが高いですね.高温域では摩擦係数が多少下がってはいますが,それでも「SC5」よりは高い値を示しているので「総合制動」で+0.5ポイントなのでしょう.ただ,その分だけ耐久性は低く,3ポイントも落ちると恐らく見て分かるレベルじゃないですかね? 「摩耗」だけがネックですが,それ以外は望んでいるパッド像にかなり近そうです.


「ふむ,ではIDIで選ぶ場合はSC6かなぁ~」と思っていたら,2024年8月に新しく「SC6.5」「SC7」「SC8」というのが出来たそうです(↓).



こちらは摩擦係数の特性が開示されていませんが,先述のポイントを見ると以下の通り.

  総合制動    ・・・ SC6.5:9.5  SC7:10.0  SC8:10.0
  初期制動    ・・・ SC6.5:8.0  SC7:10.0  SC8: 9.5
  摩耗       ・・・ SC6.5:5.5  SC7: 5.5  SC8: 5.5
  ローター保護 ・・・ SC6.5:5.0  SC7: 5.0  SC8: 5.0
  フェード     ・・・ SC6.5:9.0  SC7:10.0  SC8:10.0
  コントロール  ・・・ SC6.5:8.0  SC7: 7.5  SC8: 8.0
  ペダルタッチ  ・・・ SC6.5:9.5  SC7: 9.5  SC8: 9.5

【SC6.5】
  SC6より更に高温高制動型のブレーキパッド
  初期制動はマイルドで,高温時の効きの落ち込みを極力減らし,高温安定性を向上させた摩材
  対応温度域:100~850℃


【SC7】
  初期制動の効きが高く,高温高制動型のブレーキパッド
  重量車向けで,高温高負荷時の高い制動力が特徴の摩材
  対応温度域:50~850℃


【SC8】
  SC7と比較して,初期制動を抑えた高温高制動型のブレーキパッド
  重量車向けで制動力は高いのですが,初期制動を抑えたコントロール性の高い摩材
  対応温度域:150~850℃



ポイントと概要のコメントから察するに,「SC6.5」は「SC6」の低温域の摩擦係数を少し下げ,逆に高温域の摩擦係数は上げたように読み取れるので,こんなイメージですかね?(↓)



「コントロール」のポイントも上がっているので,多分こんな感じの特性な気がするのですが,「SC6」より扱い易そうですね.対応温度域も広いし,そういう面で良さそうです.なお,「SC7」「SC8」に関してはENDLESSで言うところの「CC60」相当だと思うので,ここまでは要らない気がします.


以上,IDIのブレーキパッド特性を読み解いてみた結果でした.
2025年03月15日 イイね!

フロントブレーキの問題点整理

フロントブレーキの問題点整理先日のTC1000でプロに乗って頂き,ここ暫く苦しんでいたスピン挙動の原因がフロントブレーキの効き不足である事を教えて頂きました.

起きている事の理屈としては,マスターシリンダーをNA1用に交換した事で前後のブレーキ配分が変わり(MR用をFFに付けているので当たり前かもしれませんが),リアが効き過ぎの状態になったため,高速域からブレーキングするとリアがロックし,まるでサイドブレーキを引いたかのようなスピン挙動を起こしていたのだと思われます.

リアのブレーキがロックし易くなっている事は私も感じていたので,ブレーキバランスの調整を行って,かなりリアの効きを下げたつもりだったのですが(↓),


(一番下だと純正の57%だそうです)

それでもブレーキの踏力を上げていくとリアの方が勝ってしまうようで,プロから頂いたフィードバックとしては「リアの効きが強過ぎというより,フロントの効きが足りない」との事でした.

しかも特定の踏み方(↓)をした時にスピン挙動が出るという情報を頂き,



ペダルの奥でブレーキが効かないというと,NA1用(というかABS用)のマスターシリンダー特有の「センターバルブ(↓)」が,



悪さしているんじゃないのかなぁ~?という気もするのですが,こちらは対策のしようがないので,やはりブレーキパッドで効き方を調整するしかなさそうです.


という事でブレーキパッドの話になる訳なのですが,プロからアドバイス頂いたパッドの特性をイメージにするとこんな感じ(↓).



ペダル踏力に対して,効き(=摩擦係数)を上げる方向にすれば良い訳なのですが,これが難しい・・・.


まず,今使っているパッドはFEEL'Sの最上位モデルである「レーシング」パッド(↓).



ここから得られる情報は,以下の2点のみ.

  ・適正温度 :100~850℃
  ・摩擦係数 :0.48

今回はペダル踏力に対する摩擦係数の特性を理解して,これよりも係数が高いモノを選ばないといけない訳なのですが,FEEL'Sブランドではこれより上のモデルがないので他のメーカーから探すしかない訳なのですが,どうやってそれを見つけ出すか?

「摩擦係数」の数値だけをアテにしてメーカーを跨ぐとアテにならないので,同じメーカーの中で「摩擦係数」の数値を参考にパッドをとっかえひっかえ試すのがベターな訳ですが,そうなるとイチからやり直しです・・・.orz


そこで,どうせイチからやり直すならENDLESSにしようかな~?と思いました.
というのも,ゆくゆくはブレーキキャリパーを4POT化したいと思っていて(↓),



ENDLESSの4POTキャリパーは,同じくENDLESSのブレーキパッドしか選べないので,それを見越して先にENDLESSのパッドを投入し,どのパッドが良いのか?選定を始めておくのもアリだなぁ~と思いました.


となると,なるべく情報は多い方が良いので,パッドの「μ/V波形」が開示されている「CIRCUIT COMPOUND」を選ぶべきか?



この中で「CC38」は過去に使った事があり,今の「レーシング」に近いフィーリングだったので,これを起点に考えると良さそう.



ただ,先程の「μ/V波形」ってナンだ? 欲しい情報は「踏力に対する摩擦係数(μ)の特性」なので,速度(V)で表現されても分からん・・・.

( ˘•ω•˘ ) ウーン


いやいや,ここは思考放棄せず,頑張って考えてみよう.

ブレーキというのは,摩擦エネルギーを熱エネルギーに変換する装置と言えるのだから,ここから何か物理式がないか?と調べてみたところ,以下がありました(↓).

  [熱量] = [摩擦係数] × [面圧] × [速度] / [摩擦熱量]

なるほど,パッドの温度を上げる要素として以下(↓)がある訳か.

  ①摩擦係数 ・・・ パッドの摩擦係数
  ②面圧    ・・・ 踏力
  ③速度    ・・・ ローターの回転数
  ④摩擦熱量 ・・・ パッドの素材

となると先述の「μ/V波形」は「パッドの素材」差は無視して,「踏力」一定で,「ローターの回転数」に対して「パッドの摩擦係数」がどうなるか?を示したデータという事になる訳か.

そうなると,「ローターの回転数」=「車速」と見なせるから,TC1000でロックしている車速域(100~130km/h)にフォーカスして,摩擦係数の特性を見れば適切なパッドが判断出来るのかな?



そして,欲しいのは車速が高い領域で,ドン!とペダルを踏み込んだ時に摩擦係数が高いパッドだから「水平~右肩上がりの波形」.そう考えて読み解いてみると,

  NA20 ・・・ CC38より摩擦係数が低いので×
  CC33 ・・・ CC38より摩擦係数が低いので×
  CC35 ・・・ CC38より摩擦係数が低いので×
  CC40 ・・・ CC38より摩擦係数は高いが,右肩下がりなので×
  CC43 ・・・ CC38より摩擦係数は高いが,右肩下がりなので×
  CCRg ・・・ CC38より摩擦係数は高く,ほぼ水平なので○
  CC60 ・・・ CC38より摩擦係数は高く,ほぼ水平なので○

といったところでしょうか.このうち「CC60」は,



作動温度域が300℃以上なので,ちょっとやり過ぎ.となると「CCRg」に落ち着くのかなぁ~?



ふむ.ENDLESSのパッドを選ぶ場合はコレにしますか・・・.


以上,フロントブレーキの問題点整理でした.
2024年05月01日 イイね!

ブレーキマスターのお勉強

ブレーキマスターのお勉強ここのところブレーキ関係が気になっている訳なのですが,フィーリング向上策をショップに相談したところ「キャリパー変更よりパッド変更」と言われてしまったので,キャリパーに関しては一時棚上げし,それ以外にフィーリングを上げる策がないか?と調べ物をしていました.

私のEF8のマスターシリンダー&マスターバックは,NSX(NA1)用を使っているので,NSXのブレーキ方面を調べてみたところ,興味深いネタを1つ見つけました.

NSXでマスターシリンダーを交換する時は,マスターバックとセットで後期型のNSX-R(NA2)用に変更するのだとか.
「ふ~ん,NSX-Rだし,何か性能が向上しているのかなぁ~?」と思い調べてみると,形状が微妙に違う.



具体的に何が違うのか?というと,マスターシリンダーのリザーバーの形状が違う(NA1用はこんな感じ↓).



これだけだと,ただのマイナーチェンジなのかな?と思いたくなるのですが,リザーバーの足元を見ると,2系統になっています(↓).

【NA1用】


【NA2R用】



「これはもしや,タンデムマスターシリンダーか?」と思い調べてみると(↓),

【シングルマスターシリンダー】

(自動車工業会:自動車用液圧ブレーキシステムより)

【タンデムマスターシリンダー】

(自動車工業会:自動車用液圧ブレーキシステムより)

う~む,絵的にはそれっぽい.

「タンデム化」によって何が変わるんだろう?と思い調べてみると,「"タンデム"はプライマリ側のスプリング力をセカンダリ側よりも強く出来るため,プライマリピストンが動くとセカンダリピストンも同時に動く.このため,ペダルを踏んだ時に反応しない無効ストロークを"シングル"に比べて半分にする事が出来る」との事.

おおっ,フィーリング向上に繋がりそうな話ですね.


ならば本当に「タンデムマスターシリンダー」なのか?とホンダ公式の資料を漁ってみたのですが,謳っている部分はなく,代わりにこんな文面を見つけました(↓).


(NSX-R:プレスインフォメーションより)

ほぅ,バルブ径が大きくなっているのか! この点に関して触れている資料が何かないかな?と更に調べてみたのですが,これくらい(↓)でした.




じゃあ,バルブ径が大きくなるとどうなるんだ?と調べてみると,「パスカルの原理」というヤツで(↓),


(今野製作所:油圧技術基礎知識 パスカルの原理より)

同じ力で押す場合にはストローク量が減ります.反対にストローク量が同じであれば,より大きな力が生じるので,ブレーキペダルで言えば反力が増える事になります.つまり,ペダルのストローク量が減って,タッチも固くなるって事ですね.

おおっ! イイ事ずくめじゃないですか.なるほど,だからNSX定番の純正チューンメニューなんですね.


以上,NSXのブレーキマスターに関するお勉強でした.

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「ReSpec 性能レポートの熟読 その② http://cvw.jp/b/1684331/48621262/
何シテル?   08/26 19:21
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