
昨年,日光サーキットの走行会で乗って頂いた
レーシングドライバーの加藤正将さんに,今度はTC1000でEF8に乗って頂きました.
今回は諸般の事情により,通常の約半分となる6分間のスプリント.
空力で抜群の安定感を誇るAP1に乗った後,間髪入れずに軽量級のコーナリングマシン(EF8)へと乗り換えたため,ご本人も「正反対の性格のクルマで合わせるのが大変だった・・・」と仰られていましたが,そこはプロ! 僅か6Lapできっちりとアジャストされていました.
それでは,当日の私の走りと加藤さんの走りを比較してみましょう(青色:私 緑色:加藤さん).
①ホームストレートエンド(1つ目の赤丸)
いきなりですが,3.7km/hも進入速度が加藤さんの方が速いです.
これは最終コーナーの立ち上がり方にヒントがあるため,後述します.
②1コーナー(2つ目の赤丸)
ここでドライビングスタイルの違いがはっきりと出ています.1コーナーに向けて強めにブレーキングをかけて,アクセルを踏みながら進入する私に対し,進入までブレーキを残して切り込んでいく加藤さん.ブレーキングを遅らせた分アベレージスピードが速く,早速0.2秒もタイムを稼がれてしまいました.
ところが,早めにブレーキングを終わらせる事によって既に加速体勢に入っている私は,アクセルONのタイミングも早く,2コーナーを全開でクリアしていきます.この結果,先程の0.2秒の遅れを取り戻し,2コーナーをクリアした時点では全くの同タイムになります.
この違いを動画で見てみましょう(前半:私,後半:加藤さん).
③1ヘア(3つ目の赤丸)
ここからプロの技量をまざまざと見せ付けられます.ブレーキングによる速度低下の角度に注目して下さい.加藤さんは斜めに進入しながら,クリップに向けて切り込みつつ,徐々に踏力を抜いて荷重を残しながら曲げていきます.
一方の私は立ち上がりの姿勢を重視して切り込むタイミングを遅らせて,外から進入した結果,ボトムスピードこそ高いものの距離的には長くなってしまい,結果0.15秒遅れてしまいます.
先程と同様に動画で見てみましょう(前半:私,後半:加藤さん).
④インフィールド(4つ目の赤丸)
今回のタイヤ(215/45)では,2速キープでインフィールドの入口まで届かないため,私は距離を重視してイン寄りにアプローチ~ブレーキングを開始します.
一方,加藤氏は一旦外に振ってからインに切り込み,ブレーキングもギリギリまで遅らせる事で,2速の限界車速である93km/hまできっちり加速させています.これにより更に0.1秒置いていかれます.
動画で見るとラインの違いが一目瞭然です(前半:私,後半:加藤さん).
⑤最終複合(5つ目の赤丸)
最後は動画を先にご覧頂きます(前半:私,後半:加藤さん).
私が縁石の手前で早く短くブレーキングを終了させ,縁石から降りた時のリアのテールスライドを活用して曲げていくのに対し,加藤氏はブレーキングをギリギリまで遅らせられるよう縁石を避けたラインをとっています.
そして,タイヤの限界を探りながらアクセルをコントロールして少しづつ向きを変えていく私に対し,先程と同様,ブレーキをゆっくり抜きながらフロントの荷重をキープし,一気に向きを変える加藤さん.コース幅を目一杯まで使うため,ボトムスピードも速いです.
また,最終コーナーのクリップ付近では,私がフロント荷重をもう一度得ようとアクセルを抜いてしまっているのに対し,加藤さんは既に加速体勢に入っており,この違いがゴールライン通過時点で0.05秒の差を生んでいます.
・・・という事で,ブレーキングする度に少しづつ引き離されるという,技量の違いを見せつけられ,1周1kmのコースで0.3秒も差をつけられてしまいました.
ブレーキングポイントやライン取りの違いは,何回か走れば近づけられそうですが,ブレーキング終了に向けて徐々に踏力を緩める,このテクニックは一朝一夕では身に付けれそうになく,何か練習方法を考えないといけません・・・.
さて,走行終了後の加藤氏のコメントですが,「FFはブレーキの最後の詰め方に尽きる.0.3秒はその差だと思う」と,ロガーのデータも見ずにズバリと言い当てていました.
今回,
フロントのバネレートを2kgf/mmアップし,
キャンバーも増やした件を伝えると,
・バネレートはもっと上げて良い.
・その上でフロントのトーをOUT0°20',リアのトーをIN0°10'くらいにすべき.
・キャンバーは現状のまま変えなくて良い.
・(リアのトーがゼロだと伝えると)リアのトーはINにすべき.
・車高の変化によってリアのトーが瞬間的にOUTになると挙動が読みづらいから.
・リアはもっと安定させた方が良い.
・・・との事でした.
当日のコンディションでは,とても出ないと思っていたタイムを軽々と叩き出し,プロの技量をまざまざと見せて頂きました.乗って頂いたのは僅か6Lapでしたが,自身のドライビングスタイルの確認やブレーキングの欠点等,色々と有益なデータを取らせて頂きました.
加藤さん,有難う御座いました!
それでは,最後に加藤さんのアタックラップです.
Posted at 2016/09/13 01:14:40 | |
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