先日,貴重な有給を投資して,
走りもしないのに日光へ行こうと思った のは,ZⅢというタイヤの比較データを入手するためでもありました.
現状では,今履いているA052がタイム的にも,ライフ的にも,自分の好み的にもベストマッチなのですが,次の夏に練習用として使うには少々勿体無い気もしていて,「夏の練習用ならZⅢが最適」というコメントを聞いた事もあり,このタイヤに少々興味が湧いていたところでした.
ただ,以前,
RS SPORT S-SPECを履いた時 に,特性の違いから自身のリズムが狂い,暫くの間スランプに陥った事もあるので,グリップを落す方向のタイヤ選定は慎重に行ないたいと思っています.
そのためには,やっぱりデータ! ZⅢのドコが良くて,ドコが悪いのか? 他人のデータなのでフィーリングレベルの違いは分かりませんが,当人へのインタビューでそれを補えれば何とかなるかなー?と言う試みです(オレさまFD2はビッグマウスなので,誤解を招くような発言が多いですが,「○○の時,△△にならない?」という感じで具体的に聞くと,きちんとフィードバックを返してくれるので,その点では信用出来ます).
さて,まずは,公式タイムでの比較.
RE-71R ・・・ 40.273 (S1:9.293 S2:17.819 S3:13.161)
ZⅢ ・・・ 40.988 (S1:9.730 S2:17.953 S3:13.305)
VIDEO
残念ながらRE-71Rの時の車載がないので,ZⅢの時の車載だけで気になる点を挙げてみると,舵を入れてからブレーキングするようなシーン(1コーナー・10コーナー)で,タイヤがあっさりとギブアップしているように感じます.その点をオレさまに聞くと「とにかくブレーキングで止まらない」と言っているので,斜めのグリップがないのかなー?と思いました.
確かにRE-71Rから始まったと思われるこのパターン形状は,縦と横をきっちり分けて使うタイプなので,それらをオーバーラップさせた斜めのグリップが低いという特徴があります(無理に斜めを使うと,センターグルーブがあっという間に斜め減りする).一方,8コーナーの進入なんかを見ると,初期の応答性は良さそうなのですが,その後,ロールしてタイヤに荷重が掛かり始めると,途端にギブアップするように見えます(オレさまも徐々にアンダーを感じて,途中で舵を入れ直している).
ここから察するに,高荷重に対する耐力はあまり高くなさそう(全体的にタイヤの剛性が低い?)なので,絶対的な負荷の低い軽量級,しかも縦(後輪)と横(前輪)を分けて使えるFRの方が向いていそうな印象ですね.というコトは,NDロードスターみたいなクルマに向いている・・・で思い出しましたが,そういえば
このタイヤ,NDロードスターで開発してなかったか!?
続けて,LAP+での比較結果です(緑:71R 青:ZⅢ).
1コーナー進入(1つ目の赤丸)
ホームストレートの加速力は互角なのですが,ZⅢ(青)の方がブレーキングで止まらない事が分かっている分,ドライバーが無理せず,あっさり引いている感じでしょうか.この進入速度の差は,その後2コーナーまで響き,これで0.1秒失ってます.
2~3コーナー(2つ目の赤丸)
「進入が緩い=フロント荷重の絶対値が低い」という事もあると思いますが,ZⅢのボトムの低さが顕著ですね.瞬間的には10km/h近い差がついており,これではさすがに勝負にならず,この短い区間で更に0.2秒も引き離されます.3~4コーナーは両者に差がないので,S1の遅さ(0.4秒の遅れ)は,このボトムの低さが支配的ですね.
6コーナー立ち上がり(3つ目の赤丸)
外気温ブーストでZⅢ(青)の方が車速の伸びが良い分,タイム的にはそれほど差がついていませんが,ZⅢ(青)の方がブレーキングが強め&ボトムが低いという傾向は一緒のようです(更に0.05秒の遅れ).
8コーナー出口(4つ目の赤丸)
8コーナーの進入速度はほぼ一緒ですが,その後,ロールしてタイヤに荷重が掛かる場面でZⅢ(青)はギブアップしていますね.車速の落ちが早く,これで更に0.05秒遅れています.ただ,ボトムは0.8km/h差と大きな違いはなく,絶対的な横のグリップは71Rに比べてそれほど劣らないのかな?と思いました.やっぱりZⅢが劣っているのは斜めのグリップなんでしょうね.
9コーナー出口(5つ目の赤丸)
赤丸を付けた部分を見ると,ほんの少し加速が鈍っている(車速が伸びず,横ばいになっている)のが分かります.このシーンの車載で見てみると(↓),
やっぱり舵角を入れつつ,アクセルを踏んで加速させようとしているシーンでした.71Rも縦と横を分けて使う事を推奨されているタイヤですが,ZⅢは71Rよりも限界は低いようですね(更に0.1秒ロス).総じてS2の遅さはZⅢの限界点の低さという事でしょうか.
ただ,低速コーナーに比べると高速コーナーでのロスがそれほど大きくない点は意外な結果ですが,これはやっぱり「低速コーナーはクルマのセッティングで,高速コーナーはドライバーの腕でカバーする」という事を体現しているのかもしれません.
10コーナー進入(6つ目の赤丸)
9コーナーの立ち上がりが遅かったにも関わらず,バックストレートの終端速度はZⅢ(青)の方が1.8km/h上回りましたが,これは単純に外気温ブーストの効果でしょうね.それよりも10コーナー進入のブレーキングで頑張れない方がダメージが大きく,11コーナーまでに更に0.2秒失っています.
11コーナー(最後の赤丸)
ZⅢ(青)の方が進入が緩い分,「早めに向きを変えて,早めにアクセルを踏む」が出来ていますが,ほとんど効果はなく,進入で稼いだ71R(緑)に追いつく事は出来ませんでした.
つまり,S3の遅れ(0.15秒)は,ほぼ10コーナーのブレーキングが原因という事ですね.改修前の直角に近かい形状の10コーナーであれば,縦と横をはっきりと分けて使うので,今回ほどの差は出なかったかもしれませんが,緩いブレーキングでフロント荷重をキープしながら曲げる現在の10コーナーでは,やっぱり斜めのグリップがない事は致命傷なのでしょうね.
以上,比較結果でした.総じて見ると,縦・横それぞれを分けて絶対値で見れば,ZⅢはそれほどRE-71Rに劣る事はないのかな?と思いました.反対に,両者の差がくっきりと出るのは,縦(ブレーキング)→横(ステアリング切りこみ)とか,横(舵角を戻しつつ)→縦(アクセルON)といった縦と横をオーバーラップさせて使うシーンで,ここは明確にZⅢは劣っているようです.
ある意味,ZⅢはRE-71R以上にスイートスポットが狭いので,玄人好みと言えるのかもしれませんが,少なくとも日光には全く合ってないタイヤでしょうね.ストップ&ゴーが明確な本庄とか,TC1000でもドライバーが欠点を補った走らせ方をすれば,RE-71Rの0.1~0.2秒落ちくらいまではいけるのではないでしょうか?
言い換えると,タイヤに合わせた走り方をしなければならないため,ドライビングの幅を広げる目的なら良いですが,純粋な練習目的ではちょっと使えないかなぁ~と思いました.また,耐久性もRE-71Rよりはありますが,反対にこの耐久性がアダとなって「アタックシーズンなのにタイヤがなくならない~」なんて困り事も起きそうな気がするので,履くとRS SPORT S-SPECの二の舞になる気がしてきました・・・.
Posted at 2019/12/21 09:15:50 | |
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オレさまFD2 | 日記