
数週間前からこの日筑波へ行く予定は立てていたのですが,COVID-19の事態が急速に悪化し,外出自粛が叫ばれ始めた事で「筑波に行っている間にロックダウンが発令されたら,エライ事になるなぁ~」とサーキット自粛へ傾きかけていた頃,オレさまFD2の弟子であるTさんが「今週末,筑波に行く」というので,否応なくTC1000へ向かう事になりました(
先週の走行会で車載映像を保存したSDカードを預かっているので,私がそれを返しに行かないとこの日の車載が取れない).
道中小まめにニュースをチェックしつつ,最悪はSDカードを渡してトンボ返りしようと思っていると,なんとTさんは遅刻.Tさんと一緒に走る約束をして来ていたKさんを独りぼっちにして帰るのは可哀そうだったので,結局,残って走る事にしました.
その後,9時過ぎにTさんが到着.遅刻に一通りのクレームをつけた後,10時枠の走行で41.5秒出している様子を外から見て,「今日のコンディションならこの辺りが順当なところだよなぁ~」と思っていました.
その後,時間は流れ,午後の枠が始まり次第に空が暗くなって肌寒くなると,私が
ZC32Sと競り合っている最中はエンジンの吹け上がりも良くなってきました.そして,こもりん.さんの雨ごいが通じたのか,遂には雨が降り始め,「これで路面温度も下がるから,更にタイムが縮まるなぁ~」とコース上に目を向けると,なんと走行中のTさんが,
ATR-K SPORTで,まさかまさかの
41秒切り.
これは凄い!と祝福しに行こうとしたら,
FD2乗り :40秒台入ったよ.
私 :凄いじゃないですか.良かったですねぇ~.
FD2乗り :40.9秒だよ? そんなにのんびりしてて良いの?
私 :は?
FD2乗り :筑千職人GPにエントリーしてるよ.
私 :えっ!? エントリーしたの?
FD2乗り :してるよ~.OXさん,何秒だっけ?
私 :40.8秒ですけど.
FD2乗り :あと0.1秒だねぇ~.あとちょっと.
私 :なんだと・・・.
・・・と煽られました(笑).こうなると私もスイッチ入ります.
空を見上げると,雨は上がっている.
路面を見下ろすと,濡れてはいない.
次の枠は,誰も走らない.
今後の事を考えると,今日Tさんに差をつけられたまま終わるのは得策ではない.
ただ,ZC32Sとの競り合いで,タイヤもドライバーも消耗しており,タイムが出る可能性は低い.
どうする? それでもカバーに行くべきか否か・・・?
いや,行くしかないだろ!
ここで意地を見せておかないと,後々の勝負所で響く可能性がある.
タイムが出るかどうかじゃなく,ここは出しに行くしかない!と覚悟を決めてチケット売り場へ.
一方,それを見たFD2陣営は,私の心を折りにくる作戦を立てたようで,Tさんに代わって,過去の筑千職人GPで入賞経験のある,このドライバー(↓)をコース上に送り込んで来ました.

(86/BRZレース参戦中のボンバー赤8選手)
ここで心が折れたら完全に負け.「絶対に諦めない」と覚悟を決めつつ,それでは勝負開始!
アタック1回目 ・・・ 41.400
アタック2回目 ・・・ 41.333
これで一先ず,朝一(↓)と同等のレベルまでは来ました.
さぁ,ここから先はドライバーの腕の見せ所.
まずはZC32Sから学んだインフィールド攻略法をトライ(アタック3回目).
しかし,ヨーの立ち上げ方が急過ぎたようで,あえなくスピン!(青線の方です)
「くっ,やっぱり難しいか・・・」と,こもりん.さんもスピンした話を思い出します.
続けてアタック4回目.先程と同様にインフィールドでヨーを立ち上げつつ,少し繊細にコントロールした結果,0.03秒削りとって
41.303.「さて,向こうの様子はどうだ?」とタイム表示を見ると,
「41.15」の文字が!
借り物のクルマなのに,ここまでタイムを出してくるのか!?
「今日初めて乗った人間に負ける訳にはいかない!」とアタック5回目.
ストレートスピードを128.1→129.6km/hまで伸ばし,1ヘアのブレーキングをより繊細にコントロールして,0.035秒削りとって
41.268.
「まだ足りない.もうあと一歩!」とアタック6回目.
更にストレートスピードを129.6→129.8km/hと僅かに伸ばし,1ヘアのブレーキングを先程と同様にコントロールした上で,今度はアクセルONのタイミングをほんの少しだけ早くして,更に0.101秒削り取り
41.167.
「ぐあっ! あと0.01秒足りない.くっそぉー,諦めるかぁ!!」とアタック7回目.
ストレートスピードを更に伸ばして遂に130km/h台へ(130.7km/h).この高い車速を活かしてブレーキング時のフロント荷重を増やし,ボトムスピードを2.3km/h引き上げ.これで0.049秒削り取り
41.118.
「おっしゃー! これで一先ず,この枠は制した」「残るは41秒切り!」とアタック8回目.
更にストレートスピードを伸ばして,131.3km/hをマーク(同じヒート中に何と3km/hアップ!).1ヘアの進入で更に繊細にブレーキングを行ってフロント荷重を引き出しつつ,アクセルONを更にワンテンポ早めてボトムスピードを1.8km/hアップ! それによって得た加速力を活かしてインフィールドの進入速度を1km/h高め,またそれを活かしてブレーキングでフロント荷重を増やし,旋回速度を2.7km/hアップ! 連鎖反応的に,ここで得た加速力を活かしてバックストレッチのスピードを伸ばし,洗濯板の進入速度を1.1km/hアップ! 最後の複合は繊細にアクセルをコントロールしてボトムを1.5km/h引き上げつつ,半ば強引に向きを変える! こうして出たタイムは・・・,
41.020!
残念ながら40秒台には入りませんでしたが,Tさんに「最終コーナーでオーラを感じた」と言わせるくらいの走りは出来たようなので,こちらの意地は十分見せられたかな,と思います.
Tさんに対して負けは負けなので悔しい事は悔しいのですが,直前に
ZC32Sのデータを見て「ほんの僅か」な差が大きな違いを生み出す事を学び,20分という短い時間の中で頭をフル回転させて工夫し,最終的にドライバーの腕だけで0.3秒削り取れた事は,今後に向けて大きな自信となりました.
今回の結果から,
40秒台を出した時は今回よりもはるかに楽なドライビングだった点を踏まえると,まだまだ伸び代が残っているという事が分かりました.夏の間にこういった限界に挑むトレーニングを積極的に続けて,来シーズンの更なる自己ベスト更新に繋げていきたいと思います.