走行から既に1週間が経過したのに,他人の分析ばかりで自分の分析を何にもやってない事に今頃気付いたので(苦笑),遅ればせながら振返りです.
今回のアップデートは「
フェンダーフラップ」.
最初はカナードを追加しようと思っていたのですが,
色々調べた結果,なかなか難しいデバイスである事が分かり,まずはデータを取るために,整流型と似た効果が得られるフェンダーフラップをチョイスしてみました.
早速テスト結果を・・・と,その前に.
当日,筑波へ向かう途中,白いEF8に追われました.

(峠でバトルしてるかのような写真に見えますが,気のせいです・・・笑)
GTウイングはついてませんでしたが,競技車両っぽい雰囲気だったので,「今日のファミリー走行で走るのかなぁ~?」と思っていたところ,筑波サーキット手前のコンビニに入って行って,その後,会う事はありませんでした・・・.記憶の片隅で見覚えがあるような気がしないでもないですが,よく思い出せないのでそのままにしておきます(笑).
さて,気を取り直してテスト結果です(青:フラップなし 緑:フラップあり).
今回のフェンダーフラップ追加の目的は,車高10mmアップによって失ったフロントディフューザーのダウンフォースを挽回する事なので,先にボトムスピード(2,4,6,8つ目の赤丸)に着目してみます.
インフィールドは0.5km/hと上がり幅は少ないですが,それ以外は1km/h以上ボトムを上げられる事が確認出来ました.正直,体感ではほとんど違いが分からなかったのですが,これを見るとほんの僅かですが効果はありそうですね(早くアクセルON出来ている).なお,上がり幅の少なかったインフィールド(6つ目の赤丸)に関してもアクセルON後に横滑りしているような速度の停滞が見られますが,ライン取りを確認したところ,コース幅を使い切れていなかったので,単純にドライビングミスですね(精進が足らん!).
コーナー毎に比較すると,それぞれ0.05秒程度のゲインはありそうなのですが,インフィールドでのドライビングミスがそれを台無しにしてしまっていて,タイムの短縮は0.15秒に留まりました.
一方,トップスピード(1,3,5,7つ目の赤丸)の方は,1コーナーとインフィールド進入はそれほど変わらないものの,1ヘアと洗濯板手前は1.3km/h程度落ちています.1コーナーの進入は最終の立ち上がりの良さで帳消し,インフィールド進入は1ヘアの立ち上がりの良さで帳消しにしたと考えると,やはりフラップによって前面投影面積が増えた分,ドラッグ(空気抵抗)は増えているようですね.このドラッグの影響はTC1000クラスだと,コーナー立ち上がりの加速力で何とか挽回出来ていますが,TC2000クラスだと挽回は難しそうですね・・・.
L/D値的に考えると,やや悪化したようなので,コースを変えてもう少しデータ取りが必要そうですね.
う~ん・・・やっぱり空力って難しい.
いずれにせよ,劇的な効果が得られた訳ではないので,「やっぱりダウンフォース型のカナードの追加が必要かなぁ~?」と思っていたところ,
オレさまFD2の弟子のKさんが,カナードの有無を試すようだったので,データを取らせてもらいました.
では,比較結果です(青:カナードなし 緑:カナードあり).
各コーナー進入時のトップスピードを見ると,やはりカナードなし(青)の方が速度が伸びています.洗濯板手前だけカナードあり(緑)の方が車速が高いですが,これはインフィールドの立ち上がりの影響だと思うので,ちょっと横に置いておきます.他のコーナーはそうでもないですが,1コーナー進入時の速度差(1.3km/h)だけは0.1秒のタイム悪化に繋がっているので,やはりドラッグの増加は無視出来ませんね・・・.
一方,ボトムスピードですが,こちらは全体的に上がっています.唯一1ヘアだけ大幅に下がっていますが,これはカナードの効果がドライビングに影響を与えているためと思われます.何を言っているのか?というと,
青がカナードなし,赤がカナードありです.カナードあり(赤)の方が1ヘアのイン側に向かって寄って行っているのが分かると思います.細かく見てみるとカナードあり(赤)の方がほんの少しだけブレーキングの開始を遅らせており,ブレーキングしながらステアリングを切込んでいっている状況が生まれたのだと思われます.カナードあり(赤)だと,このブレーキングしながらステアリングを切り込んだ際の挙動変化が大きく,ドライバーが思っている以上にフロントが勝手に切り込んで行ってしまい,結果,立ち上がりのラインが苦しくなってボトムを落とさざるを得なかった・・・というオチなんだと思います.
ではなぜ,カナードがつくとブレーキング時の挙動が大きく変化するのか? それはブレーキング時のフロントの沈み込み(ピッチング)によって,カナードの角度が変化するためです.
ブレーキングによってフロントが沈み込むと(ピッチングが起こると),カナードの角度は立ち上がるため,水平時よりもダウンフォース量が増えます(エアブレーキみたいなもんですね).「ブレーキがよく効く! クルマがよく曲がる!って,良い事だらけじゃないかぁ~!!」と一見思うかもしれませんが,ピッチング量によって(クルマの姿勢によって),ダウンフォース量が敏感に変化する訳ですから,その変化を先読みしてドライバーが操作しないと,狙った通りのラインにのせられないという事です.
例えるなら,「1の操作で1.1,1.05の操作で1.15変わる」と思っているものが,「1の操作で1.1,1.05の操作で1.3変わる」ようなものです(倍以上変化する).ドライバーにとって,自身の操作に対してリニアに変化してくれないのは先の動きを予想しづらく,攻めにくいクルマになると思われます.慣れの問題と言えばそうかもしれませんが,今回のKさんのように数年振りにTC1000を走るようなシチュエーションだと,この動きの変化はハードルが高かったのかもしれませんね・・・.
以上を纏めると,今回のアップデートはTC1000においてはギリギリ成功と言えそうです.ただダウンフォースとドラッグのバランスを考えると得失の差は非常に僅かなので微妙なところです.やはりもっと上を目指すならカナードが必要という事なのでしょう.ただ,カナードのシビアさはKさんのデータから確認する事が出来たので,やはり取付角度等をよく考えないといけませんね.
・・・という事で,現在,EF8の先輩のカナード形状(↓)を分析中です.
最後におまけ.
筑波サーキットの帰りにEF8は20万kmに到達しました!
実はタイムアタック中にコース上で20万kmを迎えるんじゃないかとハラハラしていたのですが(笑),走行終了後,TC1000を出て9kmの地点で20万kmを迎える事が出来ました.現状大きなトラブルは抱えていませんが,さすがに生まれてから30年以上経ってますし,予防メンテナンスをしっかり行って,今後も一緒に走り続けていきたいと思います!
Posted at 2020/04/04 13:09:08 | |
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アップデート 20XX | 日記