
前回の走行でブレーキング時の
フロント荷重不足が判明したため,早速
バネレートを落として効果確認してきました.
フロントは11.6キロ→9.8キロと昨年の状態へ戻し,リアも同様に・・・と思ったのですが,同じ仕様に戻しても伸び代がないので,9.8キロ→8.0キロではなく,9.8キロ→8.9キロにダウン量を留め,前後差を2キロ→1キロに縮めてみました.ステアバランス的には少しオーバー側に振ってみて様子見という感じです.タイヤが温まっていればリア10キロでも難なくコントロール出来たので,8キロまで落とさなくても良いだろう・・・という判断でもあります.
とは言いつつ,CR-Xでオーバー傾向はやっぱり怖いので,リアのネガティブキャンバーは0.5°増やし(-3.5°),バランスをとるようにはしています.また,フロントのレートが下がった事で車高も前後5mmダウンする事が出来ました.
これらの変更によって,旋回性能を維持しつつ,ブレーキバランスを微調整(ロック対策)したつもりなのですが,さて結果は・・・?
当日は平日の追加走行日.フォーミュラの枠もないので「ガラガラだろう・・・」と思ったら,予想通り.
門前GPを2位で通過し,ピットもガラガラ.
こもりん.さんも来ない日なので,顔見知りは誰もいないかなぁ~?と思ったら,ひらりん2000GTさんがいらっしゃいました.・・・で,そのひらりんさんから「あのシビック,どこかのデモカーじゃない?」と仰るので覗いて見ると,珍しい赤のFK8が.
デモカーで赤を選びそうなところは・・・と考えて,思い当たったのは「Seekerくらいだな」と思ってドライバーを見たら,その通りでした.
テスト走行のようでしたので,タイム計測はされていませんでしたが,手元のストップウォッチで測ると40秒は出ていそう.洗濯板のブレーキングで苦労している様子でしたが,さすがの速さですね!
A枠をそんな感じで眺めつつ,私の方はB枠で出走.まだ2枠目だというのに,コース上はたったの2台です.これだけガラガラだと安心して(?)ブレーキロックを試せるので,いざチャレンジ!
・・・してみますが,やっぱりロック(泣).
更に今度は1ヘアだけでなく,洗濯板手前のブレーキングでもロック・・・.
1ヘアのフィーリング的には前回よりはロックしづらくなっており,相対的に見ればアンコントロール領域は減っているのですが,絶対値的に見ればドライビングで何とか出来る範囲であり,ほとんど大差ないですね.それよりも,洗濯板手前のブレーキングでロックする方が厄介で,ここのロックを意識すると思い切って飛び込めず,どうしてもブレーキが手前手前になってしまいます・・・.
結局,その薄いブレーキペダルのコントロール幅の中で,何とかフロント荷重をコントロールして1LAPを纏めると,
かろうじて43秒を切れる程度.前回より0.2秒ダウンしてしまいました.
フィーリング的には,1コーナーの進入は良くなっていて,バネレートを下げた分,フロントタイヤをしっかり潰す事が出来るようになりました.それに加えてバネの反発力が下がった効果によりブレーキリリース後も荷重が残り(ノーズのリフトがゆっくりになった),ハンドリングは非常にクイックで,アクセルを早めに入れてもフロントが逃げなくなりました.インフィールドはリアのキャンバーを増やした効果か,この前後バランスでもリアは安定している感触ですが,なんせブレーキのコントロール幅が少ないので,旋回ブレーキを使いづらく,実際は単純にリアを持ち上げ切れていないだけかもしれません.あと一番気になったのは,最終の複合で向きがなかなか変わらない点.アクセルを我慢する時間が長くなった印象でした.
このフィーリングの差をロガーデータで確認してみます(緑:前回 青:今回).
1コーナー
朝の9時台なのですが,さすがにこの時期は気温が高く,ストレートスピードが2.6km/hダウンしています(1つ目の赤丸).単純に考えると,最高速が落ちる=フロント荷重も減るという事になるのですが,バネレートを下げた事によって低い車速でもフロントに荷重を乗せる事が出来るようになり,ロックしづらくなったため,ブレーキの開始タイミングをほんの少しだけ遅らせる事が出来ています.これにより,低い車速でもフロントタイヤのグリップを引き出す事が出来ているため,立ち上がり(2つ目の赤丸)でアクセルONのタイミングが前回(緑)よりも早くなっている事が確認出来ます.タイムで見ると,前回(緑)よりストレートで0.05秒遅れているのですが,今回(青)の方は1コーナーのブレーキング&加速でそれを取り返しており,トータルで見ると差はありません.
1ヘア
進入の部分(3つ目の赤丸)をよく見ると,ほんの僅かですが今回(青)の方がブレーキングの開始タイミングを遅らせる事が出来ており,ロックしづらくなったのは間違いないようです.更に立ち上がり(4つ目の赤丸)を見ると,前回(緑)よりも早くアクセルを開けられており,今回(青)の方が薄いブレーキのコントロール幅の中でもフロント荷重を上手くキープ出来たようです.この辺りは前述のバネレートを下げた効果が良い方向に出ており,少ないコントロール幅を補ってくれているのだと思います.
インフィールド
気温上昇で加速が鈍い分,進入のブレーキングは若干詰められており,フロント荷重を引き出して早めのアクセルONを実現しているのですが,アクセルONを早めた分だけタイヤの横のグリップを早く使い切り,立ち上がりで横滑りしているのが確認出来ます(5つ目の赤丸).ここはA052に履き替えればカバー出来ると思うので,特に気にする必要はないでしょう.
洗濯板
明らかにブレーキングの開始ポイントが手前ですね・・・(6つ目の赤丸).これで0.1秒のロスです.
最終コーナー
洗濯板でブレーキを詰め切れていない=フロント荷重を引き出せていないのかと思いましたが,意外とそんなに違いはありませんでした.唯一違うのはアクセルを開けていくタイミングで(最後の赤丸),やはり我慢する時間が長かったのは間違いないようです.このアクセルONの遅れが更に0.1秒の遅れを生んでいるのですが,洗濯板のブレーキングが改善されれば,ここも改善される可能性があるので,直すかどうかは悩ましいところですね.
以上の比較結果より,0.2秒の遅れは洗濯板以降の最終セクションの部分だと分かりました.やはり今回顕在化した洗濯板手前のブレーキロックが致命傷だったという事ですね.バネレートの低減効果としては,全体的には良い方向に行っており,伸びるポテンシャルは感じます.「フロント荷重を長い時間キープする」という意味では成功ですね.車高やキャンバーの変更は特に実害はありませんが,リアタイヤの温度を見ると,やや外側を使い切れていないのでA052を履いた時に再度チェックする必要がありそうです.
とにかく問題はブレーキロック.足回りを多少変更した程度では付け焼刃である事が確認出来たので,根本的に見直さないとダメですね.フロントのローターもブレーキパッドも変えて1年も経っていないので勿体ないですが,今の状態だと安心して攻める事が出来ないので,仕様変更も止む無しですかね・・・.
あと,走りには直接関係ないですが,スプリングを変えた直後で馴染んでないせいかもしれませんが,フロントの足回りからガタピシ音が増えたので,負荷を増やした結果のダメージがテンションロッドに来ているのかも.リアもダンパーの仕様とバネが合ってないのか,街乗りだと変なゴトゴトが増えたのでちょっと違和感があります.更に一番ヤバイのが,フロント右の減衰調整ダイヤル.
1回空回りしたので,ダイヤルトップの部分の中側が摩耗しているのかも・・・.ダイヤルが死ぬと減衰が固定されてしまうので,これは早めに交換が必要ですね.2ヵ月の休眠明けに連荘したので負担が大きかったのかもしれませんが,色々なところのメンテナンスが必要そうなので,ブレーキ共々考えないといけませんね.
最後に,ロガーデータを分析していて1点気づいたので備忘録.
以前,TC1000で39秒を叩き出す
はやぶ@小豆さんのEF8と比較を行った際,私の方がバックストレッチ明けの高速左コーナーで車速の伸びが鈍い事に気づきました.当時はライン取り(車速の乗せ方)の問題なのかなぁ~?と思っていたのですが,今回のバネレート比較で,レートを下げるとこの左コーナーで車速の伸びが鈍る傾向がある事が分かりました.
考えてみれば当たり前の話で,バックストレッチ明けの高速左コーナーは,アクセル全開で後傾姿勢となり,フロントに荷重がかかりにくい状況となります.その状況下においてバネレートが低いとフロントのロール量が大きくなり,イン側がリフトしてトラクションがかからなくなります.トラクションがかからなければ加速しないので車速の伸びが鈍るのは当然の結果という訳です.
つまり,私のEF8はブレーキングでフロント荷重を自在に使える低速コーナーは得意だが,アクセルコントロールで駆け抜ける高速コーナーは苦手,という事です.そう考えると,黒い夢。さんのEF8とTC1000では何とか互角に戦えるのに,エビス西では3秒以上の差がつくのも納得が出来ました(まぁ,エビス西の方はドライバーがヘタレな部分も大きいのですけど・・・苦笑).
「速度域によってバネレートを変える」というのも当たり前の話ではあるのですが,今まで分からなかった遅れの原因が1つ氷解したので,そういう意味では貴重なテストだったと思っています.