サーキットアドバイザーのお話を忘れないように先に纏めましたが,こちらが本題.
かれこれ1ヵ月以上経ってしまいましたが,
プロからの指摘に端を発し,
色々調べながらトー角の研究し,
雷雨の高速走行でフィーリングチェックしたフロントトーのサーキットテストです.
今回は,フロントのトーを OUT 10' → OUT 00',すなわちゼロにしてみました.
これまでは,私のクルマのフロントはキャンバーが4.5°ついているため,車体中心方向に向かって走ろうとする力が強く,トーを開く事によってその力をキャンセルさせて,ストレートでの直進安定性をニュートラルに,初期のステアリングレスポンスを良化方向にする事を狙いとしていました.
ところが,高速で簡易的なテストをしてみた結果,80km/h台の直進性は特に変わらないものの,100km/h台に乗せるとややピーキーな動きとなり(ステアリングの僅かな舵角変化に対して過敏に反応する),ストレートでは直進安定性が減って,初期のステアリングレスポンスが過剰に良くなるという,「アレ? 逆方向に進んでいるぞ・・・??」という状態でした.
結局のところは「やっぱりサーキットでテストしてみないと分からない」という事でTC1000へと向かいました.
さて,当日.
1ヵ月半振りの走行&テストなので,「のんびりやりたいなぁ~」と思っていたのですが,こもりん.さんから「1.5秒のハンデ戦です!」と申し入れされてしまい,
「いやいや,今の私の状態だと1.2秒じゃないと厳しいですよ・・・」とハンデ軽減をお願いしたのですが,「こちらは減ってるタイヤだから!」と却下されてしまいました(泣).
しょうがないので,先にA00枠を走った,おだてのまつさんのタイム(40.191)から私のターゲットタイムを試算してみると,大体42.2秒くらい.但し,まつさんのタイヤはかなり状態が悪そうなので0.2秒補正して42.0秒くらいかな? うんうん.まぁ,こんなもんでしょ.
ウンウン(゚▽゚*(。_。*
ここからハンデタイムを加算すると,こもりん.さんのターゲットタイムは43.5秒・・・.いやいや,こもりん.さんの腕(&今回の使用タイヤ)から考えれば,43.4秒は確実に出してくるでしょ.という事は,43.4秒からハンデタイムを引いて,私のターゲットは41.9秒・・・.この時期に? 41秒台に入れろと? マジで!?
(;゚д゚)マジデ…
「いやぁ~,きっついなー」と思いつつ,曇り空&小雨で路面温度も低いので(36.5℃),それに一縷の望みを託しつつ,C30枠でコースインしようとしたら,車載カメラの電源が入らない.
Σ(- -ノ)ノ
「ここのところ,ずっと調子悪かったからなぁ~.しゃーない」と諦めて,そのままコースイン.後続車に道を譲りつつ,タイヤのウォームアップをしつつ,スペースを作りつつで2周が経過したところで,いざアタック!
雷雨の高速テストの時にピーキーだった印象が残っているので,オーバーステアに備えつつ1コーナーへ.案の定やや強めのオーバーステアが発生し,「ちょっとロスったな」と思いつつ(実際,6km/h失速してました),その遅れを取り戻すべく全開で2コーナーを駆け抜けて,1ヘアへ進入.
「おおっ! 向きが変わる!!」
とターンイン時のトーゼロの効果を実感しつつ,ステアリングを切り込むもクリップ付近の感触はあまり変わらない.当然,立ち上がりも変化がなく,そのままインフィールドへ.
「向きの変わり方はそんなに違わないけど,アクセルは踏めるな~」と,2個目の縁石の手前からアクセルを開けていっても,それほどアウト側に流れない.「おっ,これはタイム出ちゃうんじゃないか?」と思いつつ,高速の左,洗濯板と通過して,最終複合へ.
この後,サーキットアドバイザーから講義を受ける「アウトクリップ」で,「ここでも向きが変わるようになったなぁ~」と思いつつ,最終コーナーを立ち上がり,ゴールラインを過ぎたところで,さぁ,タイムは!?
タイムボードが死んでる・・・.Σ(- -ノ)ノ
ガーン.今のいくつだんだよ・・・と思いつつ,しょうがないのでスマホのラップタイマーの表示を見たら,
こちらも死んでる・・・.Σ(- -ノ)ノΣ(- -ノ)ノ
カメラ,タイムボード,ラップタイマーと全員死亡で状況がさっぱり分からない.「これじゃテストにならん!」と翌周ピットに飛び込み,ラップタイマーを再起動.既に4周が経過し,15分枠で時間がない中,今度はフロントウィンドウに雨がポツポツ当たり始めます.「おいおい,勘弁してくれよー」とすぐさまピットアウトし,再度コースインする時にタイムボードをチラッと見ると,
復活しとるやん・・・._| ̄|○ ガクッ
と色々振り回されて冷静さを欠いたところに,後ろからこもりん.さんが.
この時は冷静さを欠いていたので「邪魔しないように避けなきゃー」と安直に思ってましたが,考えてみればハンデ戦の真っ最中なんだから,この時にライン潰しときゃ良かった(笑).後で聞いたら,こもりん.さんはこの周がベストだったみたいだし・・・.
そんな戯言はともかく,タイムボードも復活したので,気を取り直して再度アタック.結果は・・・,
41.908.何とかターゲットタイムはクリアしたものの,一方のこもりん.さんは,私の予想を更に上回る 43.236 でハンデ戦には敗戦・・・(1.356秒差).
「だから,1.2秒ハンデだって言ったのに~」
(*」>д<)」キィ───
と喚くも後の祭りですね.
さて,そのトーゼロの効果ですが,残念ながら車載映像がないため,ロガーデータだけで軽く分析をしてみると,ライン取りは,ほぼ変わりなし(誤差レベル).

(前回:赤 今回:青)
車速(上)とタイム差(下)を比べてみると,

(前回:緑 今回:青)
1コーナー・1ヘアは走行中に感じた通り,今回の方が速いようです.タイムを失っているのは,1ヘアの立ち上がり~インフィールド進入,インフィールド立ち上がり~洗濯板進入の加速区間.これでトータル0.15秒ですね.最終の複合も進入では今回の方が0.09秒速いんですが,最終コーナーの立ち上がりで0.1秒近く失っていますね.
走っている時は最終コーナーでアンダー出てる印象はなかったので,なんで最終コーナーだけでこんなに失っているんだ?と思い,幻の計測1周目(タイムボードが死んでた周)の最終セクターと比較してみると,
計測1周目(公式:未計測) ・・・ 11.293
計測2周目(公式:41.908) ・・・ 11.404 (+0.111)
やっぱり最終セクターだけ0.1秒遅い.これはトーの変更やドライビング以外に要因があるな・・・と思い,計測2周目のタイムスタンプを確認すると「08:37:06」だったので,これを頭に入れつつ,こもりん.さんのロガーデータを確認させて頂くと,

(こもりん.さん,写真拝借しました<(_ _)>)
こもりん.さんも同じ時間帯でセクタ4のタイムが落ちている.私の記憶では,41.908を出した後,クールダウンラップを挟んで再アタックした時には,既に最終コーナーは雨の影響で路面がズルズルでした(42.4秒までタイムダウンした).これを踏まえると,先述の0.1秒の遅れは恐らく雨の影響ですね(この時の車載があれば一目瞭然なのになぁ・・・).
以上を整理すると,フロントをトーゼロ化してテストしてみた結果,タイムは0.189秒落ちました.但し,
前回はフロントタイヤが新品であり,これまでの経験からニュータイヤは0.2秒ほどのゲインが試算出来ますので,既にニュー効果がなくなったタイヤだとすると,少なくとも0.01秒は速くなっていそうです.
これに,前半区間がニュータイヤよりも速かった点,最終コーナーで雨の影響を受けて0.1秒失っていた点,セッティング変更後の初回で計測1周目に決められなかった点等を考慮すると,41.8秒は出せた可能性が高く,ユーズドタイヤでこのタイムという事は,ニューであれば41.6秒は出た試算になる訳で,トーゼロ化により0.1秒程度は速くなったと判断出来そうです.
加えて,走行後にフロントタイヤの内圧を測ったら,左右共にターゲットより20kPaも低く,これだけ低いのにインフィールドでタイヤがバウンドしなかった点を考慮すると,更にもう1段階フロントタイヤを追い込めた可能性すら見えてきます(なお,リアタイヤの内圧は想定値まで上がっていたので,ウェットコンディションでフロントタイヤが冷やされた可能性は低いと見ています).ストレートでの失速や路面コンディションが不安定等,まだまだ見切れていない点もありますが,私のEF8では「トーアウトよりもトーゼロの方が良い」というのは間違いなさそうです.
・・・という事で,トーの方向性も定まった事ですし,次のステップへ進もうと思います.
