
次回の走行に向けて,前回のTC1000のロガーデータを確認していたのですが,1コーナーで時折見かける,とある現象が今回は非常に多かった事に気づきました.
最初はロガーの固定が甘かったせいで出ているノイズ(実際に起きている現象とは異なる計測ミスのデータ)なのかなぁ~?と思ったのですが,ノイズが出ていないデータもありますし,そういえば固定方法を変えた場合も,プロに乗ってもらった場合も出ているケースがあったなぁ~と思ったので,今回はちょっと真面目に調べてみます.
そのとある現象というのは,1コーナー進入時のこのデータで(↓).
赤が通常時,青がその現象が出ている時なのですが,1コーナーに向けてブレーキングを開始して,少し減速した後に,ブレーキを踏んだままの状態であるにも関わらず,0.25秒ほど加速しているような時があるんです.
赤と青で,何か操作に違いがあったかなぁ~?と記憶を辿ってみると,そういえば,1コーナー進入時のオーバーステア対策としてブレーキの初期踏力を弱めた時が青である事を思い出しました.
もしかして,踏力を弱め過ぎてブレーキが抜けちゃったのかな?と思い,車載を見返してみると(↓),
ペダルを踏み替えてブレーキングを開始・・・,
車速が落ち始め・・・,
減速Gが立ち上がり・・・,
減速Gが立ち上がったままなのに加速してますね.
う~ん.特にブレーキが抜けているような感じはしない・・・.
そもそも加減速というのは,駆動力(前に進む力)と制動力(前に進もうとするのを抑制する力)のバランスなので,
駆動力 < 制動力 ⇒ 加速
駆動力 > 制動力 ⇒ 減速
制動力が掛かっているのに加速するという事は,それを上回る駆動力が出ていたためとも考えられますね.
駆動力を出すためには,エンジンの出力が出ていないとダメな訳で,そのためには,空気を吸って,燃料を吹いて,点火しないとダメです.映像を見る限り,アクセルペダルから完全に足を離していますから,空気の吸う量は確実に減ってはいるものの,吸い続けているのは間違いないですね.この場面では特に点火カットもしないでしょうから,残る要因として考えられるのは燃料です.
通常,アクセルペダルを離したら,燃料カット(フューエルカット)が作動する訳ですが,
これはECUがやっている仕事なので,LINK ECUの設定を見てみると,
減速時燃料カットの作動ディレイが「0.2秒」に設定されていました.
先程ロガーデータで確認した再加速時間は「0.25秒」ですので,辻褄が合いますね.
つまり,アクセルペダルを離して燃料カットが作動するまでの「0.2秒」間はエンジンが出力を発生しており,ブレーキの踏力が弱い状態だと,制動力を駆動力が上回り,加速してしまった・・・という事のようです.
スロットル全閉状態でもパワフルなエンジンを褒めるべきなのか? 弱い踏力で制動力を発揮しないブレーキシステムを非難すべきなのか? そもそも,そんなブレーキングの仕方を強いられる前後バランスが根本的に悪いのか? 何とも言えませんが,いずれにせよ,ブレーキを踏んでいるのに加速体勢(水平 or 後ろ下がり)というのはクルマの姿勢をコントロールする上で難易度が上がりますね.
まぁ,スロットル全閉時のエンジン出力を上回る制動力を出せば(ブレーキを強く踏めば)姿勢は変化しないですし,水平 or 後ろ下がりのブレーキングというのもリアブレーキを効果的に使えるメリットがあるので,悪い事ばかりではない気もします(反面,エンブレが弱いとも言えますが).
単純な解決策として「燃料カットの作動ディレイを短くする」という手もあるのですが,こちらは短くし過ぎるとショックが出て乗りづらくなるので(姿勢も乱れるので)考え所ですね.今のところ悪影響は感じませんし,ブレーキ操作の1つの指標にもなるので,今後データを分析する際に注意してみようと思います.
Posted at 2021/09/13 00:37:18 | |
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