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2022年01月21日 イイね!

ZⅢの面白さを示せ!

ZⅢの面白さを示せ!(この記事は,一人「本当の姿」選手権(日光サーキット 19回目@FIT)について書いています)

先日,日光で39秒台に入れたGK5乗りのtakaさんの走行データの分析を行ったのですが,ZⅢで走行した際のデータが再び送られてきて「A052よりZⅢの方が面白いのはなぜか?を示して欲しい」と言われました."面白さ"を示せとはなかなか難しいお題ですが,やれるだけやってみたいと思います.

では,毎度お馴染み分析の素材集めから.ZⅢの走行サンプルはコレ(↓)です.



公式タイムは以下の通りで,各セクター満遍なくZⅢの方が0.2秒遅い感じです.

 A052 ・・・ 39.746 (S1:9.140 S2:17.644 S3:12.962)
 ZⅢ  ・・・ 40.550 (S1:9.383 S2:17.985 S3:13.182)

そして,両者の比較結果が以下の通り(緑:A052 青:ZⅢ).



今回は「速い」「遅い」ではなく,「面白さ」を解くという事なので,両者のデータの違いとその時の操作に着目して見ていきたいと思います.


さて,分析を始める前にまずは「面白さ」とは何か?を定義する必要がありますが,真面目にやると学術的な小難しい話になるので,一般論から引っ張り出してきた4つのケースに対して,今回の場合がそのどれに当てはまるか?だけ考えます.

 ①嫌な事を忘れて熱中出来た時に面白いと感じる
  ⇒ 何か嫌な事があって日光に向かった訳ではないでしょうから,これは違いますね.

 ②気分が高揚した時に面白いと感じる
  ⇒ 今回は空き時間にフラっと日光に来たのでしょうから,これも違いますね.

 ③達成感を得られた時に面白いと感じる
  ⇒ A052で39秒に入れた後ですから,ないとは言いませんがそれほどでもないはず.これも違う.

 ④知的好奇心が満たされた時に面白いと感じる
  ⇒ とすると,消去法でいけばこれですかね?

では,何の知的好奇心が満たされたのか?というと,「A052より言う事を聞かないZⅢというタイヤを,どうやったら上手く手懐けられるか?」を試して成功した時でしょうか.だとすると,「A052だったら簡単だけど,ZⅢだと難しい」ポイントがそれに該当しそうです.

このポイントを見つけ出すためには,A052とZⅢ,それぞれのタイヤの特徴を把握しておく必要がありますが,残念ながら私はZⅢを履いた事がないので感覚的な話しか出来ません.それだとあんまりだなーと思い,何か特徴がないか調べてみると,某SNSでこんなコメントを見つけました(↓).


(「パキ切りとはなんぞや?」という方はコチラをお読み下さい)

この方が仰っているダンロップというのは,ハイグリップラジアルではなく,Sタイヤレベルの事を指しているのだと思われますが,私のダンロップの印象がまさしく「急激な操作を許容しないタイヤ」だったので,「そう!そう!」と思わず頷いてしまいました.このダンロップに対し,ヨコハマ(というかA052)は「急激な操作を許容するタイヤ」と言えなくもないので,今回は,

「ZⅢの許容のしなさが面白さである(=許容範囲の狭い中でどうやってロスを最小限に出来るか?が面白い)」

と定義して分析してみたいと思います.


では,その許容範囲ですが最近takaさんと私の走らせ方を比較した際,1~2コーナーと10~11コーナーで明確な差が生まれる事が分かったので,今回はこの2つに絞って分析してみたいと思います.

1~2コーナー



まず1コーナーの進入速度を見てみると(上の赤丸),ZⅢ(青)の方がA052(緑)よりも3.1km/hも低いです.スタートラインを過ぎた地点だとA052(緑)よりZⅢ(青)の方が速度が高いですから,これはタイヤの縦のグリップの差ではなく,ブレーキング開始地点の差だと思われます.車載で位置を確認してみると,こんな感じです(↓).

【A052】


【ZⅢ】


左側のタイムボードを見るとよく分かりますが,距離にして大体10mくらいZⅢの方が手前からブレーキングを開始しているようです.ZⅢではこの先で曲がらない事が分かっているから,手前から抑えて進入しているって事ですね.「おいおい! 本当にそんなにZⅢって曲がらないか? ビビって抑えてるだけじゃないのー?」というヒネくれた人のために(笑),旋回Gのグラフも確認してみましょう.



ご覧の通り,1~2コーナー全域で0.1~0.2GくらいはZⅢ(青)の方が小さく,タイヤを横に使える量が少ないのがよく分かります.

・・・で,これの「どこが面白いのか?」ですが,それはライン取りを見てみると分かります(赤:A052 青:ZⅢ).



1コーナー進入時点(上の緑丸)ではZⅢ(青)の方が3km/h進入速度が低い事もあり,よりコンパクトなラインで進入しています.このA052(赤)との差は2コーナーまでそのまま続く訳なのですが,2コーナーのエイペックスを過ぎた後(下の緑丸)では両者のラインが合流し,その後の3コーナー・4コーナーで両者が別れるような事はありません.

つまり,ZⅢはA052に比べてタイヤの横の許容範囲が狭いので,その許容範囲を超えないように進入のブレーキングからコントロールし,3コーナーまでに上手く帳尻を合わせられるか?(許容範囲に収まる3コーナー以降では差を生じさせないように出来たか?)をトライし,それが出来たり・出来なかったりする事をtakaさんは「面白い」と感じているのではないでしょうか.

ちなみに,2コーナーのボトムスピード(下の赤丸)で見てみると,5km/hほど低くなっていますので,速度差が5km/hあっても同じラインに乗せられるようにコントロールするというのはなかなかに難易度が高く,成功すれば達成感の方の「面白さ」も得られそうです.


10~11コーナー



10コーナーの進入(上の赤丸)は,1~2コーナーと同様,ZⅢのグリップだとA052と同じような飛び込みは出来ないため,若干抑えているようです.ただ,そこからの減速過程は意外やほとんど差はなく,言いかえると上手くコントロールしてZⅢの許容範囲内に収めているのが分かります.ただ,11コーナーの立ち上がり(下の赤丸)に関しては,僅かに失敗しているようで,一度アクセルを開けた後,タイヤが横に逃げて前に進んでいないのが分かります(これで0.15秒ロスしています).

ライン取りを見てみると(赤:A052 青:ZⅢ),



ZⅢ(青)の方は,11コーナーの進入からノーズが入らずラインが外側に膨らみ,右フロントが縁石に乗る付近でタイヤが横に逃げて失速(点線になっている)しているのが分かります.車載で見てもA052の時に感じた,リアがポン!と吹っ飛ぶかのような素早い向きの変わりは見られず,リアがベタッと張り付いて動かないのを我慢して耐えているかのように見えます.

【A052】


【ZⅢ】

(僅かにZⅢの方が舵が深い・・・?)


ロガーデータを見る限り,アクセルを入れ始めているにも関わらず向きが変わらない状況のようですから,ZⅢでは,LSDとフロントタイヤのグリップを併用して強引に引っ張って旋回するような事が出来ないのでしょうね.先日の分析で「takaさんは私よりも斜めのグリップを使うのが上手い」と評しましたが,ZⅢではその斜めのグリップを封じられた形となり,同じ走らせ方ではダメなんだと思います.

この「同じ走らせ方ではダメ」というのを,「面白い」と感じるか,「面白くない」と感じるかは人それぞれだと思いますが,きっとtakaさんは「面白い」と感じられているんでしょうね.


以上,「ZⅢの面白さを示せ!」でした.

「面白さ」というのは個人の主観ですし,私の見解が合っているかどうか分かりませんが,ZⅢがA052より扱い難しいタイヤであるのは間違いなく,難しいからこそZⅢでは挑戦が求められ,そこからtakaさんは「挑戦出来るって,いいもんだ」と面白さを感じられているんじゃないか?と思いました.

Posted at 2022/01/22 14:13:08 | コメント(2) | トラックバック(0) | 他者・他車分析 | 日記

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