
EF8より100cc少ないはずなのに,TC2000の最高速が互角(タイム的には1.5秒負け)という驚速のGK5を追い掛けるべく,アタックシーズンのど真ん中ですがアップデートを敢行しました.
今回の変更箇所は2箇所.
①
吸気温センサ移設 ・・・ 吸気温制御の精度向上
②
ダイレクトイグニッション化 ・・・ 低・中回転域のトルクアップ
①は,従来インテークマニホールドに付いている吸気温センサをエアクリーナー直後に移設.
気温が5℃下がると出力は1%増加する事が分かったので,気温の変化をより正確に計測して緻密なエンジン制御を行うべく,輻射熱の影響で「60℃」なんて値を示してしまうインテークマニホールドの位置から,遮熱版で遮られたエアクリーナー直後へ移設しました.
②は,点火系をB型エンジン世代のディストリビューター方式からF型・K型エンジン世代のダイレクトイグニッション方式に変更.
ディストリビューター方式では,点火コイル⇔点火プラグ間にプラグコードが存在し,距離が遠いためエネルギーロスが大きくなってしまうのですが,ダイレクトイグニッション方式では,点火コイル⇔点火プラグ間にプラグコードがないためロスが少なく,より強い火花を飛ばせる事が特徴です.

(clicccker:
自動車用語辞典 点火と電装部品「ダイレクト点火」より)
火花が強くなるという事は燃焼効率を上げられるという事なので,トルクの増加に繋がります.これにより
GK5が搭載するL15Bに対してB16Aが劣っている低・中回転域のトルク特性の改善を狙います.
いずれの内容も,現在のクルマでは当たり前の技術であり,30年以上前の技術で作られたB16Aの近代化改修とも言えます.今回はこの他にも前後に新品タイヤを投入したり,
リアのキャンバーや車高を変更したり,減衰設定や内圧等も見直したりと色々変更したので,これらの効果を確認すべくTC1000へと向かいました.
さて,当日.
気圧・気温もまずまずの状況で,平日なので空いている事を願いつつ筑波へ向かうと,門前5位くらい.この日はフォーミュラの枠がある日なので「4輪に限れば3台くらいか・・・?」と思いつつ,7時10分過ぎくらいに開門~ピットへ.
8時過ぎくらいまでは画像の台数くらいで,「混み走回避か!?」と期待していましたが,その後パドックに続々とクルマが集まり,A2枠(9:20~)のチケットを購入し,計測器の貸し出し番号を確認すると14番.嫌な予感がします・・・.

(一時保留となっていた走行枠の名称変更は,A1,A2,A3・・・とTC2000準拠の法則になったみたいです)
嫌な予感に従い,新品タイヤの投入は見送ろうかと一瞬思ったのですが,予備で使えるのは185幅しかなく,これをフロントに使うとブレーキロックするリスクがあるので,「新品が無駄になったら無駄になったで仕方ない・・・」と半ば諦めてコースインする事にしました.
いざコースに出てみれば,案の定,8~10台前後のクルマが存在し「混み走」が確定.おまけに計測トップは43秒中盤とかなりのスローペース.更にはまだ2枠目だというのにコースのアチコチにタイヤカスが散乱していて非常に汚い.「こりゃダメだ.今日はテストと割り切ろう・・・」となりました.
・・・で,そのテスト.まずはダイレクトイグニッションのチェック.
街乗りレベルでは,吸気音が大きくなり(やかましい!と思うレベル),心なしかエンジンの回転がスムースな印象で,振動も少ないのか? 今まで気にならなかったクロスミッションのギヤ鳴りが耳につくようになりました.また,マフラーから水蒸気が延々と出続け,駐車しているとマフラー下に小さな水たまり跡が出来るほど.このようにエンジンの燃焼状態は確実に変わっていそうです.
ただ,ショップでセッティングしてもらったECUの数値は,今までに見た事がないような攻め攻めの値で,20万km超えのエンジンにこんな値入れちゃって本当に大丈夫なの?とかなり心配でしたが,いざ踏んでみると,
「ほぉ・・・4500rpmからの伸びがいいなぁ~」
と感じました.そのまま踏み続けてみると,上の方(7000rpm近辺)ではそれほど変わらない気がするので,ちょうどVTECが切り替わる4500~6000rpmくらいの領域のトルクが増えているようです.2・3回同じように全開加速を試し,エンジンに異常がない事を確認しました.
続いて,前後のグリップチェック.
新品タイヤを傷めないようにアクセルを踏むポイントに気をつけつつ,フロントタイヤに負荷を掛けてみると,
「うわっ,コレ曲がるわ・・・」
とグリップの良さを確認.新品タイヤの恩恵だと思いますが,見直した減衰設定も良さげな感じです.
最後に,右リアのウォームアップチェック.
エンジンのチェック走行で左リアはほぼ温まっている状態だったので,右リアはどうかな?と確認してみると,
「うぉっと! まだ来てないか・・・」
とハーフスピン.いつものように右リアはズルズルですが,キャンバーを減らして接地面積を稼いだおかげか? 内圧を見直したおかげか? はたまた新品で鮮度が良いせいなのか? スパーン!と流れるような事はなく,微妙に粘りながら滑っているような感触.そんなに熱入れしてないのに,このレベルに達しているという事は,こちらも改善傾向にあるようです.
そんな感じで一通りのチェックが終わり,そろそろ1回アタックしてみるか?と周囲を見渡すも,クルマが均等に散らばっていてなかなかスペースが見つからない.「まぁ,アタック出来なかったら出来なかったで仕方ない」と気長に待ちつつスローペースで周回.機会を窺っていると「これは・・・行け・・・る・・か・な?」と半信半疑なタイミングで加速する事に.
あんまり集中しておらず,リアタイヤが冷えていないか気になって1コーナーは大分マージンをとってしまい失敗.「あ~,今の進入温かった!」と後悔しつつ,1ヘアを立ち上がったところで前走車が見えて「ああ,コレ追いついちゃうな・・・」と完全に意気消沈.そんな感じで中途半端なアタックとなってしまい,タイムも 41.599 と中途半端でした.「もう1回! 今度は集中して走ろう」とスペースを窺いますが,二度目の機会は訪れず,そのまま終了となりました.
ピットに戻り一度エンジンを切った後,「ま,しゃーない.気分入替えて2本目に行こう!」とエンジンを冷やさないように再び始動しようとしたのですが,キーを捻ってもウンともスンとも言わない・・・.
「うわっ! バッテリーが上がった!?」
Σ(°□°;)
と焦りつつ,今の今までコース上を走っていたので,これでバッテリーが上がるとなるとオルタ―ネーター死亡の可能性が・・・.「マジか~,コレ帰れないじゃん!」と思いつつボンネットを開けてみると,
なんと,またもマイナス端子下部のハーネスが脱落してました・・・.
前回はスピンして縁石にぶつけた衝撃で外れましたが,今回はスピンしてませんし,ぶつけてもいません.おまけに外れたハーネスが付いているのは新調したばかりの
キルスイッチ.ハーネス側の端子に締め込む部分がヘタっているんですかね? いずれにせよ,何の衝撃もないのにハーネスが脱落するようでは怖くて走れないので,今回はこれで終了としました.
以上,2022年最初のアップデートでした.
ダイレクトイグニッションにはポテンシャルを感じましたが,まだ確信を持てる程ではなく,結果も残せなかったので評価は次回に持ち越しです.吸気温センサ移設の件も含め,まだまだ性能を十分に引き出せていないと思いますので,ECUのセッティングを煮詰めて驚速のGK5を追い掛けたいと思います.