ドエルタイムの考え方に反した動きをするB16Aダイレクトイグニッション仕様.
「理屈に合わなくとも,それでエンストしなくなるなら良い」と妥協して適合を進めているのですが,何度も繰返し確認していく中で,ようやく問題の片鱗を掴む事が出来ました.まだ完全に解き明かせていませんが,備忘録も兼ねて情報を纏めておきます.
まずはそのデータから.
通常通り,キーをLOCK→ACC→ON→STARTと捻っていって,スターターに電源が供給されるのが2段目の「スターターON」の箇所です.そこからバッテリーからスターターへ電流が流れて「電圧降下」が発生し,バッテリー電源は10Vを切るくらいまで下がります.スターターに電流が流れたのでモーターが回転し始め,エンジン回転数が上がり,「クランキング開始」となります.
ここまでは極々当たり前の動きなのですが,問題はこの後.このデータを計測する際,ドエルタイムの下限値を「2.0ms」に設定して,バッテリー電圧が何Vになろうが,エンジン回転数が何rpmになろうが,「2.0ms」を絶対下回らないように設定しておいたにも関わらず,赤丸の箇所で「1.5ms」付近まで落ちています.
「やっぱり勝手にリミッター掛けてるじゃん!」
\(゚ロ゚ ) ヤッパリオマエカ!
・・・という事で,LINK ECUの制御が原因である事が分かったため,マニュアルをひっくり返して,もう一度リミッターを匂わす文言がないか探したところ,こんな一文を見つけました(↓).
この一文を読み,「これかー!」と一瞬思ったのですが,「回転スピードが急激に変化すると」の部分が引っ掛かります・・・.
例えば,回転数が上がると点火時期が早まる設定の場合,ECUは低い回転数の時の点火時期でイグニッションコイルに通電を開始したものの,その途中で急激に回転数が跳ね上がり,ECUが「まだチャージの途中なんだけど,次の指示が来ちゃったからここでチャージを止めちゃうね・・・」なんて判断するケースは確かに考えられます.でも今回は1000rpm以下のドエルタイムを2msに固定してテストしているので,回転数が急激に変化したからといって,「途中で止めるね!」なんて判断をするはずがありません.
(チャージの限界時間は前回試算したように,この倍以上のマージンがあります)
「これじゃない気がするなー」と思い,裏取りのために急激に回転数が変化したデータが他にないか漁ってみたところ,先程のケースよりも変化量が大きいデータを見つけました(↓).
先程のドエルタイムが勝手に変化した場合は回転数変化量は200rpm程度だったのですが,このデータでは同じ時間でその倍の400rpm変化しているにも関わらず,ドエルタイムは変化していません.
「やっぱり違ったかー」と思い,もう一度マニュアルを読み返してみると,
どうもこの「値が短くなる」のは,「ベーシックなトリガーパターンのエンジンの場合」に限定されるようにも読み取れます.句点で区切られた2つの文章が繋がっているのか? 別の事を指しているのか? 国語の成績が悪かった私には判断がつきませんが,ベーシックなトリガーパターンを使っていない私のエンジンの場合,これは当てはまらないんじゃないかなぁ~?と思いました.
残念ながら現時点では,「この制御が原因だ!」というところまでは辿り着けていませんが,少なくともLINK ECUが原因である事は特定出来ました.どういう条件でこのリミッターが作動するのか? なぜリミッター値が「1.5ms」付近なのか? 依然として分からない事だらけですが,少なくとも一歩前進出来たかなぁ~と思っています.
Posted at 2022/02/10 01:34:21 | |
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