
筑波サーキットのサーキットアドバイザーでお馴染み,今年の富士SUPERTEC 24時間レースのST-TCRクラスの覇者でもある蘇武喜和さんにEF8に乗って頂きました.
蘇武さんとは,2020年から始まった筑波サーキットのファミリー走行で行われるアドバイザー講義で定期的にお会いするようになり,CR-Xという目立つクルマ(?)のおかげで度々貴重なアドバイスをご教示頂いているのですが,やはり外から見ているだけでは判断がつかない部分もあるので,是非とも一度私のEF8に乗って頂き,感想を伺いたいと機会を探っていたのですが,今回ようやくその願いが叶いました!
まずは,蘇武さんが走行会でインストラクターを務めるという情報をくれたこもりん.さん,同乗走行の機会を設けてくれたエムズコーポレーション様に感謝致します.<(_ _)>
さて,それでは早速行ってみましょう.
今回蘇武さんに乗って頂くために新品のA052を用意したのですが,さすがに皮むきも終わっていないド新品状態で乗って頂くのは申し訳ないので,クルマの状態チェックも兼ねて1本目は自分で走り,2本目に蘇武さんに乗って頂こうと思っていたのですが,残念ながら2本目の同乗走行権をゲット出来ず,お昼休み明けの3本目(12:48~)に乗って頂く事になりました.
乗り込んで頂く際に私のCR-Xがグラストップである事に気づかれ,「僕の乗ってたCR-Xもグラストップだったんですよ~」という会話からやりとりがスタートします.
蘇武さんほどの方なら,3点のシートベルトでサッと乗って終わるんだろうなぁ~と思い(大半のプロはそう),4点の腰ベルトを邪魔にならないように予めシートから外していたのですが,シートに座って4点のベルトをしっかり締め始めたので,慌てて腰ベルトを後ろから引っ張り出しました(笑).
「純正メーターのCR-X久し振りに乗ります.ベ卿さんのCR-X(↓)以来なので~」と仰られ,
思わず,「(ベ卿さんのCR-Xに比べると)重たいと思いますよ.クルマのフィーリングが(笑)」と返してしまいました.
(ベ卿さんのCR-Xは746kgくらいなので,私のCR-Xとは200kg以上の差がある・・・)
その後,コースオープンまでの間にグラストップの重量の話,最近の私の最終コーナーの姿勢の話(アタックラインの時は良いけど,計測周は~)等々,やりとりしている間に走行開始となりました.
ここからトータル4回アタックラップを走って頂いたのですが,いやぁ~,私と操作が全く違いますね.蘇武さんはプライベートではロードスターに乗られているそうなので,クルマをじんわりロールさせるドライビングスタイルなのかなぁ~?と勝手に想像していたのですが,そんな事はなく,非常にアグレッシブなスタイルでした(笑).私の知っているプロの中ではフォーミュラ出身のドライバーに近い感じ(クルマを振り回して積極的に姿勢を作る感じ)ですね.後でお話を聞いたところ,「オーバーステア寄りのクルマの方が得意!」との事で,「アンダーなCR-Zはホント難しい・・・」と嘆いていたのが印象的でした.
それでは,蘇武さんのドライビングをご覧下さい.
もう全部のコーナーの操作が興味深くて仕方がないのですが,一番感銘を受けたのが,1コーナーの進入(↓).
「あのクルマで,どうやったらこんな挙動を作り出せるんだ・・・?」と一挙手一投足に目を向けていて驚きました.ブレーキとステアインの操作を同時に行っているんですね・・・.これは真似出来ない!!
これ以外にも見どころがたっぷりあるのですが,私の操作との比較は後日やるとして,先に走行後の感想を.
蘇武さん :これって,1コーナーから2コーナーに向かって踏んでいった時にVTEC落ちしますか?
私 :はい.落ちます.
蘇武さん :あの時間帯がちょっと勿体ないなぁ~と.
私 :ああ,
井尻さんにも以前同じ事を言われました・・・.
私 :「VTECの切替えポイントをもっと下げられないか?」と.
蘇武さん :そうですね.下げられると大分変る感じがしますね.
蘇武さん :あと,ちょっと気になったのが・・・.
蘇武さん :フロントのトーって今どのくらいですか?
私 :OUT 0'20です.
蘇武さん :あ,そうですか.ラックの問題なのかなぁ~?
私 :??
蘇武さん :結構,(操舵の)初期の接地感が薄い領域があるんですよ.
私 :えっ!?
蘇武さん :薄いところから~,
蘇武さん :接地が出て,切って行って~,
蘇武さん :・・・でまた抜ける,みたいな感じ.
私 :え!? ええっ??
私 :・・・(う~ん,なんだろう? 最後の抜ける部分は確かに実感あるけれど )
私 :それはトーを開き過ぎ,閉じ過ぎのどっちですか?
蘇武さん :開き過ぎでなっちゃってるのかな~?と.
蘇武さん :ナックルはEF用ですか? EGとかの流用ではなく??
私 :ナックルはEF用ですね・・・.
蘇武さん :ナックルはEG用とかだと,ジオメトリーが狂うと聞いた事がある.
蘇武さん :理屈的なところはよく分かんないんですけど.
私 :・・・(ん~,ジオメトリー? ナックル以外だとするとアレか??)
私 :・・・(アッパーアームに付いている
アジャスタブルボールジョイントか?)
私 :・・・(アレは多分ジオメトリー狂うよなぁ~.戻さないとダメか??)
私 :調べてみます.
蘇武さん :クルマのバランスとしては凄くイイ! 乗り易いですよ.
蘇武さん :ただ,もうちょっと尖らせた方がイイかも? ちょっとリアが粘る.
私 :(リアタイヤが)温まってくると,そうなんですよ.冬のバランスに合わせてあるので.
蘇武さん :例えばリアの内圧上げるとか.今どれくらいですか?
私 :ほぼ前後同じくらいですね.
蘇武さん :ああ,だったら,0.3~0.5キロくらいリアを上げるとか.
蘇武さん :1コーナーとか動きがシビアになるかもしれないけど,そこはドライバーが頑張って~,
蘇武さん :ヘアピン,インフィールド,最終コーナーで取り分がある.
蘇武さん :リアの滑りが途中で止まっちゃうんで,例えばインフィールドだとボトムのトコまで届かない.
蘇武さん :ボトムの手前で戻っちゃう.アレがもう少し滑ってくれればボトムのトコまで届く.
私 :それをスプリングの調整でやった方がいいのかな?と思っていたのですが・・・.
蘇武さん :ああ,いやいや.内圧の調整だけで十分ですよ.
私 :分かりました! 有難う御座います.
1本目のチェック走行時に自分でも走って思いましたが,やはり現状のバランスだとリアが勝ってしまってアンダーステア気味ですね.CR-S→A052に戻せばバランスが良くなるかなぁ~?と内心では思っていたのですが,そんな事はありませんでした.蘇武さんの見解と私の実感も一致するので少し前後バランスを変えてみようと思います.
それにしてもフロントのステアフィールに関しては全くの想定外でした.初期の「接地の薄さ」に関しては完全に自覚していないですし,最後の抜ける部分に関しては「そういうもの」という認識でいてしまいました・・・.ジオメトリーが原因だとするとかなり厄介ですが,それはさておき,やはり時々プロに乗ってもらうって大事ですね.こういう違和感は自分自身では気づけないので,非常に有難いです!
以上,プロの感想(蘇武さん編)でした.
自分で思っていた事と一致した意見を頂けたり,自分が思ってもいなかった事を指摘頂いたり,今後に繋がる貴重なアドバイスを色々頂けて本当に有難う御座いました.車載を見て「こんな操作があるのか!」と目から鱗な部分も多々あったので,これから自分の操作と比較して勉強します!
クルマ的には,ここからバランスを少しずつ変えていき,尖った状態に寄せていくので,仕上がった際には(次の冬?)是非ともまた乗って頂けると嬉しいです.また,ドライバー的にはその尖った状態のCR-Xを乗りこなせるように,もっとオーバーステアの練習をしないとダメな気がしてきたので,良さそうな広場トレーニングを探してみようかな~と思っています.
重ね重ね,蘇武さん,今回は本当に有難う御座いました.
またTC1000のファミリー走行でお会いする機会もあるかと思いますが,その際は宜しくお願い致します.<(_ _)>