家に無事帰れずに終わった走行会の翌日,診断結果を聞きにショップへ行くと,ちょうどヒューズチューンを試されている方がいました.
その方はEKに乗られている方だったのですが,「中古→新品に変えただけでも違いを感じ取れたので,今度は高いヤツを試してみようと思った」そうで,タイトル画像の製品に交換されていました.
ここ最近エンストで苦しんでいる事もあって,私も電装系に関わるヒューズのリフレッシュを考えていた事もあり,興味深く話を聞いてました.
交換作業が終了して早々,EKのオーナーは店長にはやし立てられ,半ば無理やり気味にフィーリングチェックへ出発.戻って来て述べた感想は「フィーリングが変わった!」との事でした.
ヒューズチューンの話は,以前気になって少し調べてみたのですが,その時の結論としては,

(NECE:
チューニングヒューズって効くの?より)
・新品のリフレッシュ効果が支配的
・新品⇔社外品に大きな差はない(微妙に社外品の方が良いのは事実)
・リフレッシュとなる要因は,接点の腐食除去による接触抵抗の低減によるもの
・・・でした.なのでヒューズを新品に替える事は意味があると思いましたが,そこから更に社外品に替えても体感は出来ないのでは?と内心思っていたのですが,目の前でそれをやった人に「違う!」と言われると,「アレッ? そうなの??」と思ってしまいました(苦笑).
という事で,今回は真面目にヒューズに関して調査してみたいと思います.
まずは製品の謳い文句から.

(
製品についてより)
このヒューズの効果として「接触抵抗低減」と「放電防止」が挙げられていますね.接触抵抗の方は想定していたのですが,放電防止って何でしょう? 気になりますが,ここでは一旦スルーします.
続いて,挙げられている実際の効果ですが,この中で一番分かり易いのが「ヘッドライトの光量UP」.これは接触抵抗が低減したからでしょうね.続いて「オーディオの音質向上」.こちらはノイズが低減されたような雰囲気に読み取れますね.
残る「アクセルレスポンスの向上」「アイドリング安定化」「ターボラグ改善」「低速からのトルクアップ」「燃費向上」といったところがエンジン回り.ざっくり纏めると,色々なものの反応が良くなるようなイメージですが,なんでヒューズ変えると反応が良くなるのか分かりません.反応向上の要因として「センシング精度の向上」を挙げている方がいたので,前述のオーディオの件を踏まえるとノイズ低減の副次効果なのかな?と思いました.

(カーライフサポートネット:
オルタネータとは?より)
という事で,このヒューズによる効果は「接触抵抗の低減」と「放電防止」が主であり,後者の方はノイズ低減に絡んでいそうです.
ノイズ低減の効果がある事は理解出来ましたが,それって本当に各センサに影響を与えるか?と疑問に思い,ショップから配線図をお借りして電源経路を確認.
ヒューズなので当たり前ですが,やっぱりECU電源に接続されているだけ.確かにアクセルセンサや吸気圧センサ等はECUから供給されるVccを主電源にしているでしょうから,間接的に繋がっているとはいえ,ECU内部の電源回路にフィルタは設けてあるでしょうし,関係あるかぁ~?という感じ.一方,アクチュエータ関係に関しては,ECU電源にEACV(Electric Air Control Valve)がブラ下がっている事を確認出来たので,これに対してはノイズ除去の効果はありそうだな・・・と思いました(インジェクタやイグニッションコイルなんかも同様の事が言えそうです).
さて,ノイズ除去の効果がある事が分かったとして,それの原理は何だ?という事で更に調べてみると,どうやら特許申請がされている模様(実用新案登録第3207026号).申請された中身は誰でも読めるので,早速見てみると,
ポイントは以下の2つのようですね.
①ヒューズの車体側端子との接触部に,超微粒子カーボン素材を塗布する
②ヒューズの車体側端子との非接触部を,絶縁材で被膜する
①は端子表面の平滑化により,接触抵抗を低減する効果を狙ったもの,②は金属端子の露出を少なくして,空気中への放電量を減らす効果を狙ったもののようです.つまり,①が「接触抵抗低減」,②が「放電防止」ですね.
理解し易い「接触抵抗」の方から確認してみます.
ここで言う「接触抵抗」というのは,「2つの物体が接触した際の電気の流れにくさ」の事で,端子の接点等で出てきます.「接触抵抗」が大きくなる要因は3つあり,
・接続部の接触面積が減る
・接続部の密着度が減る
・接続部が酸化する(酸化してサビると電気が流れにくくなる)
いずれも感覚的になんとなく分かるんじゃないかと思います.
では,微粒子カーボン素材を塗布すると,何で「接触抵抗」が減るのか?を考察してみると,

(東洋ドライループ:
ハイブリッドカーボンスプレーより)
新品のヒューズは平な金属に見えても,顕微鏡で見れば凸凹している訳で,接触面同士が凸凹していれば,当然の事ながら接触面積も小さくなります.この凸凹をカーボン粒子を使って埋めてやれば接触面積が増え,密着度が高まる,というメカニズムのようです.加えて,金属同士が接触していない空気に触れる部分もカーボンで被膜されるため,酸化しにくくなる・・・という事も狙っているのではないでしょうか.
次に「放電防止」の方ですが・・・と行きたいところですが,小難しい話が更に小難しくなるので(笑),一旦ここで終わりにしたいと思います(
次回に続く).
Posted at 2022/07/23 12:30:21 | |
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