前回のコメント編に続き,今回はどこでプロが0.2秒を稼ぎ出してきたのかをロガーデータを中心に分析してみたいと思います.
比較対象はプロに乗って頂く30分前に出した自己ベストのデータ.コンディションの違いは,気圧で+0.4hPa,気温で-0.3℃,湿度で+5%とほぼ誤差レベル.厳密に言えば私の方が優位なので全く言い訳の出来ない状況ですね.純粋に腕の差でこの0.2秒が生まれています.
では,1つ1つ細かく見ていきましょう(緑:プロ 青:私).
1コーナー進入
いきなりプロ(緑)に大きく引き離されていますね.プロ(緑)の方が車速が3.6km/hも高いです.この差はスタートライン通過時から生じているので,最終コーナーの立ち上がりから差が生じているのか?と思い,グラフの右側に目を向けるとプロ(緑)は一直線に車速が伸びているのに対し,私(青)は段付きになっていますね(↓).
「ああ,これは・・・」と思い,車載を確認してみると(↓),
やっぱり.プロのシフトアップインジケータは「レッドランプ」になっています.一方の私は(↓),
「グリーンランプ」になっています.つまりプロは+400rpm程度,2速で引っ張っているという事ですね.この差が違いを生んでいるようです.ただ,3.6km/hの速度差が生じた理由はそれだけでなく,ブレーキングの開始ポイントもプロの方が奥のようです.
【プロ】
【私】
電光掲示板との位置関係を見れば一目瞭然ですね.距離にして約9m程度はあるでしょうか.ほぼ2車身分くらいですからかなりの差ですね.つまり私は「1コーナーの突っ込みが甘い!」という事なのですが,コレ,なかなか難しいんですよねぇ・・・.
というのも,1コーナーでこの辺りまで突っ込んでしまうとステアリングを左に切りながら~,ブレーキを踏みながら~,シフトダウンしながら~,ヒール&トゥを決める!という両手・両足の操作を全て同時に行う必要が出てきます.コレ,アマチュアにとっては滅茶苦茶リスキーで,1個でも操作を間違えるとこうなります(↓).
まぁ「間違えなければいい」と言われればそれまでなのですが,私はプロじゃないので自分の技量をそこまで信用出来ません.無理なもんは無理と割り切って,最近は突っ込まなくてもタイムを縮められる方法を探っていたのですが,やっぱり40秒台に入れるにはコレが必要なんですねぇ・・・.
う~ん,あんまり気が進まないのですが,避けては通れなさそうなので,上手くやるためのヒントが何かないかなぁ~?とプロの車載を見返してみると,
うわっ! ヒール&トゥ後のシフトアップインジケータが「グリーンランプ」だよ.これってプロでもシフトダウンで回転数が8000rpmを超えてしまっているって事じゃないですか(=減速時間が足りてない).やっぱりここまで突っ込むと操作に使える時間が短過ぎんだよ・・・と思いつつ,スロー再生をしていて1つ気づきました.
あっ! シフトダウンのために左手を放す直前,プロはステアリングを一度真っ直ぐに戻してる! これによって同時に行う操作を1個削っているんですね(=ヒール&トゥ中はステアリングを切らない).なるほど.これが短い時間で全ての操作を成立させるためのワザなのか.これは1つ勉強になりました.
・・・と,いきなりコーナー1個で情報量過多ですが,このコーナー1個で0.3秒の差がついてしまっているので,今回は詳しく見てみました.
2~4コーナー
1コーナーのアプローチが異なるので,2コーナーの走らせ方も変わります.私(青)の方は1コーナーで強く・短く止めた後,一度アクセルを踏んで2コーナーにアプローチしています.このため,エンブレが良く効くのでフロントタイヤの縦のグリップに余力があるようで,その余力を横のグリップに割り振り,2コーナー通過時点のボトムスピードは私(青)の方がプロ(緑)よりも高くなっています.これによってブレーキを残し続ける必要のあるプロ(緑)に対し,私(青)の方は高いボトムスピードのまま加速体勢に移行出来ているようです.この結果,3~4コーナーの通過速度は私(青)の方が高くなっています(↓).
これでプロからの遅れを0.16秒まで縮めています.これが私なりの「突っ込まなくてもタイムを縮められる方法」なんですが,トータルで見るとプロのやり方の方が速いようですね・・・.
5~7コーナー
車速で見ると,5コーナー~6コーナー進入にかけては両者に差がないように見えるのですが,実は両者のラインは全く異なります.

(色が変わって,赤:プロ 青:私です)
プロ(赤)の方は,5コーナーのエイペックスにつくために若干アクセルを戻しつつ,そのまま最短ルートで6コーナーへと進入していくのですが,私(青)の方は5コーナーのエイペックスは無視して,4コーナーの立ち上がりからアクセル全開! 外側に膨らんでいくのも構わずアクセルを踏み続けています.6コーナーへのアプローチの仕方が全く異なるのに,これで速度は同じというのが非常に面白いですね.
ちなみに,なぜ私(青)は5コーナーを無視しているのかというと,6コーナーに進入する前(ブレーキングを開始する前)にクルマの向きを変えたかったからです.FF車がブレーキを使わずにクルマの向きを変えるためには,強大なヨーを発生させてリアを破綻させるしかありません.そのため,意図的にステアリングを切った状態でアクセルを踏み続けました.

(↑1G以上の横Gを3秒間出続けています)
これによって,6コーナーに対して巻き込むような動きを作る事ができ,ブレーキによるクルマの角度(向き)の調整を「6コーナーでインに寄るため」ではなく,「7コーナーのエイペックスを狙うため」に使えます.結果,プロ(緑)よりも5km/h高い速度で6コーナーを旋回する事が出来ているようです.言わば「距離よりも速度を重視した」走らせ方ですね.
これのおかげで,1コーナーでついたプロとの差を0.1秒まで縮める事が出来ました.
ここまででようやく半分といったところなのですが,既にブログが長くなってしまっているので今回はここまで.
(
次回に続く)
Posted at 2023/04/17 00:36:17 | |
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