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2023年10月26日 イイね!

内圧は上げる?下げる?

内圧は上げる?下げる?ここ数年のお約束となっていますが,またリアタイヤのウォームアップで苦しむ時期がやってきました.

先日のTC1000でもコレのせいでアタックに失敗して惨憺たる結果に終わりました.風の噂でA052だのA050だの一部サイズが入手困難となっているという話を聞き,アタックシーズンにタイヤ難民になるのは困るので,早々に今シーズン用のリアタイヤを手配しました(タイトル画像参照).

さて,そんな感じでタイヤのウォームアップのさせ方を思い出さないといけない訳なのですが,先日SNSを眺めていたらちょうどその話が出ていました.要約するとこんな感じです(↓).

  ・タイヤのウォームアップに関しては,内圧が高い方が有利
  ・これは「内圧が高い=接地圧が高まる」ため,タイヤに対する入力が増える
  ・入力が増える事でタイヤが刺激され,温まりが早くなる
  ・アウトラップが速いクルマは内圧を高めにしてる可能性あり!


ウォームアップの観点で,内圧を上げるべきか? 下げるべきか?は毎年悩んでいて,上の内容が当て嵌まった時もあれば,外れた時もあり,未だに一番良い答えが見つかりません.


例えば,経験則ベースで言うと「タイヤに熱が入りづらいウェットでは,内圧を上げた方がいい!」という話を聞き,ヘビーウェットのもてぎで試した事があるのですが(↓),タイヤにちゃんと熱が入ってグリップはするけど,挙動がピーキー過ぎてまるで踏めない!という事がありました.



「路面が濡れている事」と「路面が低温である事」は,排水性の話が絡むので厳密には異なるのですが,この時の経験のせいで,あんまり上げる方向にはしたくないんですよね・・・.


とは言っても,当時はRE-71Rの時代.温まりの良い現在のA052ならまた違った感触になるのでは?と思い,実は5月のスライドトレーニングの時にウェット路面における内圧の上げ・下げをこっそりテストしてみました.



結果は,内圧が高い方がスライド量が少なくグリップ感がありました.やっぱり「挙動のピーキーさ」さえ我慢出来れば,タイヤ的には内圧を上げた方が熱が入るんだなぁ~と思いました.


そうすると「これからの時期はリアの内圧は上げ気味か?」と思ったのですが,基本的には内圧を上げるとグリップの絶対値は下がるのが通説であり,それもなぁ~と悩んでいたら,motorsport.comに面白い記事が載ってました(↓).

タイヤの空気圧、高いとどうなる? 低いとどうなる? レースにおける“正解”はひとつにあらず

ポイントを掻い摘んで纏めると,こんな感じですね(↓).

  ・内圧を上げれば全体の剛性が上がり,変形しにくいタイヤとなる
  ・そのため走行中のたわみが少なくなり,タイヤが転がり抵抗が小さくなってストレートスピードが増す
  ・しかし,たわみが少なくなるという事は変形もしにくくもなるため,接地面積自体は小さくなる
  ・内圧を下げた場合はこの逆で,剛性が下がって変形しやすいタイヤとなるため接地面積は増える
  ・このため,一般的には「内圧を下げる事でグリップが向上する」と解釈される事が多い


との事.ここまでは既知の話なので特段驚くべき点はありませんね.以下(↓)の絵のような話だと思います.


(Hankook:タイヤの空気圧より)


面白いのはココから(↓).

  ・タイヤはコーナリングの際に横向きの力を受けると,コーナーに対してイン側が浮くような形となる
  ・このため,接地形状が「はがき型」→「おむすび型」へと変形する
  ・内圧の低いタイヤは,この接地形状の変化が顕著となってしまう
  ・そのため,コーナリング時はむしろ接地面積が減ってグリップが低下する


(゚∇゚ ;) エッ!?

タイヤの接地面積(フットプリント)に関しては以前勉強した事があるのですが,そういえば,その時は静止状態での面積しか考えていませんでした・・・.その「おむすび型への変形」ってどんな感じなんだ?と思い調べてみると,


(BRIDGESTONE:タイヤの接地面を”見る”技術「ULTIMAT EYE」より)

上の画像(↑)は左から順に,加速時・コーナリング時・減速時のタイヤの接地面積を示しているのですが,確かに左側の台形(はがき型)から真ん中の三角形(おむすび型)に形が変わっていますね.コーナリング中はタイヤの接地圧がOUT側に偏るのでそちらの面積は増える一方,IN側の接地圧は逆に抜けて面積が減るって事ですね.内圧が下がってよりタイヤが変形しやすくなれば,OUT側に偏る度合も大きくなってIN側の面積が更に減るので,トータルで見るとグリップが減るって事なんでしょう.


じゃあ,内圧は上げる方が安牌なのか?というと,そうでもないらしいです(↓).

  ・内圧を上げると接地面積が小さくなるため,接地圧が上がる
  ・タイヤの接地圧は上げれば上げるほどグリップも上がる訳ではなく,途中に限界点がある
  ・その限界点を超えると,逆にグリップは減る


つまり,コーナリング中に掛けられる最大接地圧を見極めて,それがタイヤの限界を下回っているようなら,内圧を上げて接地圧を上げた方がグリップするし,逆に限界を上回っているようなら,内圧は下げて接地圧も下げた方がグリップする,って事のようです.

ま,理屈としてはその通りだと思いますが,「じゃあ,その接地圧をどうやったら見極められるんだよー?」って言いたくなるのですが,そこはプロでも難しいようです・・・.


さて,先述の記事が面白いのはここで話が終わらない点で,そんな難しいのに何でみんな「内圧を下げてグリップを得る」って言うの?という部分にまで踏み込んでいます.

  ・制動力に関しては,内圧を下げれば下げるほど良くなる
  ・タイヤの前後方向の変形は横方向の変形よりも少なく,接地面積は維持される
  ・故に,前後方向のグリップを稼ぐために内圧を下げる
  ・そもそも,前後方向に掛かる力の方が,横方向の力よりも大きい
  ・従って,コーナリング性能を多少犠牲にしても,前後方向のグリップを稼ぐという選択肢はある


( ゚д゚ ) ホゥ…

これは面白い.もう一度,接地面積の絵を見てみましょうか.


(BRIDGESTONE:タイヤの接地面を”見る”技術「ULTIMAT EYE」より)

ああ,確かにブレーキング時(右)の方がコーナリング時(真ん中)よりも変形せず,「はがき型」を維持していますね.ただ,接地面積も維持されているか?というとコーナリング時よりは小さくなっている気がするのですが,どうでしょう?? ま,形状が維持された状態で内圧を下げて変形し易くすれば,単純に面積は増える方向にいくとは思いますが・・・.


以上,内圧は上げる?下げる?でした.纏めると,

  ・タイヤのウォームアップを早めたいなら,内圧を上げる
  ・タイヤのウォームアップを遅くしたいなら,内圧を下げる

  ・OUT側のブロック剛性が低いタイヤは,内圧を上げる
  ・OUT側のブロック剛性が高いタイヤは,内圧を下げる

  ・ストレート区間の伸びでタイムを稼ぎたい場合は,内圧を上げる
  ・ブレーキング区間でタイムを稼ぎたい場合は,内圧を下げる

という感じでセッティングをすると良いという事なんでしょうか?

冬場のリアタイヤのウォームアップに苦しんでいるのであれば,リアの内圧は上げて温まりを促進し,逆にフロントは温度の上がりを遅くするために内圧を更に下げる手が考えられそうですね.今シーズンはこの作戦で行ってみますか.

ストレート区間 or ブレーキング区間のどっちを取るか?は,正直ロガーデータと睨めっこしない限り分からないと思いますが,その日のタイムと最高速を照らし合わせて,



最高速が気持ち高めならブレーキング区間寄りに調整,逆に低めならストレート区間寄りに振って調整って感じですかね.負けられない戦いの最中,「あと1手欲しい!」と困った際に最後の最後で捻り出す策として覚えておこうと思います.


最後,ブロック剛性の話に関しては使っているタイヤによるので正直分かりませんが,RE-71RSの広報資料を見るとこんな事が書かれていて(↓),



これをよーく見てみると,実はRE-71RよりもRE-71RSの方が形状は変形していて,より「おむすび型」になっているにも関わらず,接地面積は6%増えている事実に今更ながら気づきました.変形しているのに面積が増えるメカニズムは,恐らくトレッドパターンにあり,回転方向指定型(≒71R)の方は「おむすび型」にするとグリップは減るが,IN-OUT型(≒71RS)の方はOUT側の面積が大きいので「おむすび型」にした方がむしろグリップは増える,なんて事も言えるんじゃないかなー?と思いました.
Posted at 2023/10/27 01:38:09 | コメント(4) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記

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