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2024年05月14日 イイね!

A052の製造に関するお勉強

A052の製造に関するお勉強先日,横浜ゴムからこんなリリース(横浜ゴム、三島工場のモータースポーツタイヤ生産能力を増強)が出ていました.

静岡県三島市にある「三島工場」の18インチ以上のサイズのモータースポーツタイヤ生産ラインを拡張し,生産能力を現状比135%まで引き上げるのだそうです.投資額が38億円と大きいため,株主への説明の意味合いでリリースが出たんだと思いますが,能増自体は特段珍しい事でもないものの,その目的が「ADVAN A052の販売拡大のため」という部分には驚かされました.



確かにここ数年,ADVANブランドのタイヤの欠品騒動が起きていて,競技者の方を筆頭にタイヤの確保に苦労する話を耳にしたのですが,恐らく市場規模としては縮小傾向であろうモータースポーツタイヤの分野に,まさかこのご時世で投資をするとは!とリリースを読んで驚きました.

能増されるのが「18インチ以上のサイズ」との事なので,私が使っている15インチサイズに対しては影響はない(相変わらず欠品は起こる)気もしますが,現在18インチ以上のサイズと混流で作っていたのであれば,ラインの拡張によって15インチ側の生産能力に余力が出来て,それによって間接的に欠品が減る事になれば嬉しいなぁ~なんて思いました(なお,増強の効果が出るのは2027年との事).


1本のリリースからそんな皮算用をしていると,「アレ? 18インチは三島工場で作られているのだとして,そうしたら15インチはどこで作っているんだろう??」と気になり,いつもの癖で早速横浜ゴムのサイトを覗いてみると,

  三重工場  ・・・ トラック・バス,小型トラック,乗用車用タイヤ
  三島工場  ・・・ 乗用車,小型トラック用タイヤ,レーシングタイヤ
  尾道工場  ・・・ 建設車両,産業車両用タイヤ
  新城工場  ・・・ 乗用車,小型トラック用タイヤ
  新城南工場 ・・・ 乗用車用タイヤ

「あ,"横浜"ゴムと言いつつ,横浜には工場はないんだ~」と思いつつ,どうやらモータースポーツタイヤは「三島工場」でしか作っていないようですね.「ふ~ん,そうなると三島工場ってどんな感じなんだろう?」と思い更に調べてみると,「貫かれるモノづくりの精神― 横浜ゴム三島工場の現場力」と銘打たれた特集を見つけました(↓).

  貫かれるモノづくりの精神― 横浜ゴム三島工場の現場力 / 前編
  貫かれるモノづくりの精神― 横浜ゴム三島工場の現場力 / 中編
  貫かれるモノづくりの精神― 横浜ゴム三島工場の現場力 / 後編


これによると,

  「三島工場は,乗用車用の13〜15インチサイズのタイヤ製造を主軸としている」
  「レーシングタイヤの製造は同じ建屋の専用設備で行っている」
  「レーシングタイヤの製造工程はその全てが特殊なもの」
  「オートメーションで賄える部分は乗用車用よりも遥かに少なく,人の手を要する部分が非常に多い」


のだそうです.



「ま,でもそれはSuper GTとか,国内最高峰で使われるタイヤの話でしょ~」と思い読み進めてみると,

  「A052もここで製造している」
  「混合は通常の乗用車用コンパウンドよりかなり長い時間が掛かる」
  「ゴムが密着してしまうことも多く,混合後のゴムも混合槽から人の手で掻き出す」
  「人の手で次のプロセスに運んだりと,本当に手間暇が掛かる」


との事.「えっ!? A052みたいな量産タイヤでもそんな手間暇掛けてるの??」と驚きましたが,それだけA052というタイヤが特殊なんでしょうね.


そうなると作り方が気になるもので,コチラもざっくりと調査.



製造工程は大きく分けて以下の5つとなるそうです.

  ①混合工程    ・・・ 原材料(ゴム等)と配合剤をミキサーで混合し,ロールとして練り上げる工程
  ②材料加工工程 ・・・ 混合したゴムをトレッド部やビード部等の形に加工する工程
  ③成形工程    ・・・ トレッド部等出来上がったパーツを1本のタイヤとして組み上げる工程
  ④加硫工程    ・・・ タイヤを金型に入れ,高温&高圧の蒸気で焼き固める工程
  ⑤検査工程    ・・・ 出来上がったタイヤを目視&官能で検査する工程



この中でA052の特異性を表す点としては,例えば最初の「混合工程」.原料ゴム・オイル・カーボンブラック・各種配合剤を140〜180℃という高温で,複数回に渡って混ぜ合わせるそうなのですが,通常のタイヤが2~5分程度の混合時間であるのに対し,A052の場合は25~30分と10倍以上の時間時間を掛けて混ぜ合わせるのだとか.ゴムは生モノなので毎回微妙な調整が必要だそうで,適切に混合するのはまさに職人芸だそうです.

そこから「材料加工工程」を経て行われる「成形工程」では,シート・カーカス・ビード・サイドトレッドを組み付ける「1st成形」,ベルト・ベルトカバー・キャップトレッドを組み付ける「2nd成形」に分かれているそうなのですが,



A052の「1st成形」には,通常のタイヤの数倍に相当する6分も掛かるそうです.これは部材同士が接する面のゴムの状態を手の感触で測りながら貼り付けていくためなんだとか.
(なお,SUPER GT用のタイヤとなると更に長く,10分も掛かるそうです・・・)

市場から見たら絶対的な数が少ないとはいえ,我々からしたら十分量産タイヤであるA052が,まさかこんな職人芸を駆使して作られているとは思いもしませんでした.もっとオートメーション化が進んでいて,巨大な工作機械がガッチャンコ!ガッチャンコ!と量産しているものだと思っていたのですが,これだけ手間暇が掛かる代物だったとは・・・.いやはや驚きました.


以上,A052製造に関するお勉強でした.

我々はサーキットで,それこそ僅か数分(下手をしたら数十秒)でA052をズタボロな状況にする訳なのですが,その1本1本がこれだけの時間と手間暇を掛けて作られている事を知ってしまうと,「タイヤが悪い!」なんて簡単に言ってはいけないなぁ・・・と思い知らされました.

結局のところ,サーキットでのタイムはタイヤの性能をどこまで引き出せるか?で決まってしまうので,タイヤに関してもっともっと勉強しないとダメだなぁ~と考えさせられる今回のお話でした.

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何シテル?   05/19 23:15
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