
先日のTC1000でフロントスプリングの仕様を元に戻し,
非常に良い感触だった訳なのですが,感触は良いのにタイムは出ない・・・という相変わらずの状況でした.
強いて問題点を挙げるとすれば,ヘアピンの進入⇔立ち上がりのバランスが良くない事くらいだったのですが,これでタイムが致命的に落ちるのか?というと「う~ん・・・」という感じ(ドライビングで何とか合わせ込めるレベル).とはいえ,人間の感覚なんてアテにならないので,いつもの通りロガーデータに頼ってみようと思います.
まずは,サンプルデータ.
【前回(41.656)】
【今回(41.747)】
やっぱり0.1秒遅いんですよねぇ.両者の大まかな仕様の違いを確認すると(前回→今回),
・フロントスプリング ・・・ 14キロ(低反発) → 12キロ(中反発)
・リアスプリング ・・・ 14キロ(5インチ)+ ヘルパー → 12キロ(7インチ)+ ヘルパーなし
・フロントの車高 ・・・ 3mm下げ
・フロントのトー角 ・・・ 5'開き側
・ブレーキパッド ・・・ FEEL'S RACING → IDI ゼロクロス SC6.5
フロントタイヤは新品のA052で同一条件,リアタイヤはユーズドのA052で一緒ですが,摩耗量が異なります(今回の方が溝がある).その他,細かいところでは
リアハブが違ったり,
アーシングしたり,
ラジエターの隙間埋めをしたりしてますが,まぁ,こちらは大差ないでしょう.
続いて,コンディション.
前回 ・・・ 気圧:1012.4hPa 気温:15.7℃ 湿度:83% 路面温度:22.7℃
今回 ・・・ 気圧:1002.3hPa 気温:18.1℃ 湿度:90% 路面温度:22.6℃
今回の方が気圧・気温共に不利な条件ではありますね.過去の統計データから両者のタイム差を調べてみると(↓),
気圧:10hPa差 ・・・ 0.2秒ダウン
気温:2.5℃差 ・・・ 0.1秒ダウン
これを見ると,順当にコンディションの差の分だけタイムが落ちているような・・・.いや,むしろコンディションが悪かった割には0.1秒落ちに留めて善戦しているのか??
そして,ロガーデータです(赤:前回 青:今回 黒:タイム差).
全体的に見ると,ヘアピンで大幅にロスしている(上に行くほど遅い)みたいですね・・・.
セクション別に見てみると,1コーナーは今回(青)の方が0.08秒後れていますが,前回(赤)よりも早くアクセルを開けられているので,2コーナーで取り返して逆に今回(青)の方が0.04秒速い.インフィールドは最後の一伸びが今回(青)の方になく,瞬間的には0.16秒後れていますが,こちらも立ち上がりで早くアクセルを開けられているため,遅れを取り戻して実質的な差は0.03秒後れくらい.バックストレッチ~左高速は,3速へのシフトアップ後の一伸びがなく,0.03秒後れますが,そこから先,洗濯板~最終コーナー間では,今回(青)の方が圧倒的に速く,0.2秒取り戻しています.
1コーナー⇔2コーナーは相殺してチャラ,インフィールドとバックストレッチの伸び不足はコンディション差のせい(気圧が低く・気温が高い),最終複合は(路面がスリッピーで向きを変え易かった可能性もあるが)前後スプリングを元に戻したおかげ・・・と考えると,やはり一番の問題はヘアピンか?
ヘアピンだけで0.2秒は失っているので,ココに注目してみると(↓),
2コーナー脱出時の車速の伸びが今回(青)の方が良かったので,ヘアピン到達時点では2km/h程度車速が高かったようですが,ブレーキングの開始タイミングで見ると,今回(青)の方が若干早かったようですね・・・.
次に,ブレーキングの過程を見ると,両者の差がどんどん開いている傾向.つまり,今回(青)の方が「減速量が大きかった」という事ですね.
最後に,ブレーキング完了の部分を見ると,前回(赤)がキレイなV字を描いているのに対し,今回(青)の方はボトム付近で停滞している様子が分かります.あと地味ィ~にブレーキングを完了してアクセルを開けた瞬間,失速している様子も窺えます(やっぱり出口側のグリップが足りてない).
これらを纏めると,
・ブレーキングの開始タイミングが早い
・開始が早いのに,ブレーキング中も強く止めている
・その結果,ブレーキングが早く終ってしまい,最後何も出来ない時間が残る
という事のようですね.つまり,簡単に言うと
ブレーキを詰め切れていない って事です(汗).
まぁ,確かに乗っていた時は,ヘアピンで3速→2速へシフトダウンした後,「早く止まるなぁ~」「エイペックス付近にいる時間が長いなぁ~」とは思いましたが,まさかここまでだったとは・・・.
ヘアピンでのブレーキングの仕方を変えたつもりはないので,こうなってしまった要因は,間違いなくフロントのブレーキパッドの銘柄変更が原因でしょうね.
前回使っていたFEEL'S の「RACING」が仮にIDIの「SC5」相当だったとして,以前
Grok君(AI)に平均摩擦係数の特性を推測してもらったものはこんな感じでした(↓).
この推測だと「SC6.5」は「SC5」に対し,全域制動力が高いように思えるのですが,実際にコース上で試した際の感触としては,
奥 → RACINGよりも効きが弱い
中 → RACINGと同じくらいの効き
手前 → RACINGよりも効きが弱い
といった印象を受けました.なので,ブレーキングの開始タイミングが早くなったのは「奥」の部分で効きを弱く感じたためかもしれませんし,3→2速へシフトダウンして以降,「早く止まっている」と分かりつつも,ブレーキペダルの踏力を弱められないのは「手前」の効きが弱いと感じているからかもしれません.
いずれにせよ,踏力に対してリニアに制動力が出ている印象を受けないので,これを何とかしたいなぁ~と思うのですが,これは本当にパッドのせいなのか? この弱い→強い→弱いといった凸凹な感触は,「
タンデムブースター(↓)」に変えた直後の時の感触に似ているのですが・・・.
原因がこっちだったりしないかな? まぁ,いずれにせよ,ブレーキを詰め切れていないのは事実なので,次回の走行では意図的にヘアピンで突っ込んでみますかね.
以上,タイムが伸びない原因はブレーキっぽいというお話でした.
【おまけ】
前回よりも今回の方がブレーキングの開始タイミングが早いという事だったので,2つの動画を並べてみたのですが(↓),
違いが分かりませんね(汗).