モビショーネタもこれでラスト.
「あんまり観るところがなかった」とか最初に感想を述べつつ,結局なんだかんだとブログに纏めるネタがあるんだから,実は過去一観るモノがあったんじゃないのか?と1週間経って思えてきました.単純に東京ビックサイトの中を東へ西へと移動したから,1万5千歩もの歩数になったのか?と思っていたのですが,案外「アレ観たい,コレ観たい」と思って積極的に歩いたのかもしれません・・・.
その最後のネタとなるのが,まさしく「コレ観たい」と思っていたOhlins Racingのダンパー.
部品エリアで探してもブースが見当たらず,諦めていたのですが,SUBARUブースで「
GL Family Huckster」を見終わって,帰る前にトイレに行こう~と思って,BYDのブースの裏側に向かったら,そこにOhlinsのブースがありました(↓).
「こんなトコにあったのか.危ねぇ,見逃すトコだった」と思いつつ,閉館時間まで残り20分を切っていたので大急ぎで見学.観たかったのはSUPER FORMULA用の共通ダンパー(↓).
前回の
JMS2023の時に,「SUPER FORMULAのダンパーが共通化されるので,Ohlins製のダンパーが観れるのはこれが最後かもしれない」と思って撮影してた訳なのですが(↓),
結局,共通ダンパーとして採用されたのがOhlins製というオチ.
共通化に当たって仕様を変えたのかなぁ~?とマジマジと観てみると,
フロント用はリザーバータンクが追加された様子(金色の丸い筒の部分).
リア用は色味が変わっただけで,同じように見えるなぁ~.
そして3本目・・・.えっ? 3本目!?と横のボードを確認すると,
「Third Element(サードエレメント)」と書いてある!
おお,珍しい.これがかの有名なサードダンパーかぁ~とマジマジと見返したのですが,単純な筒にしか見えんなぁ~と思って家に帰ってから調べたところ,どうやら「ダンパー」ではなく「スライダー」との事.
(よく見るとボードにも「SLIDER」と書いてある)
「スライダー」ってナンダ?と調べてみると,右に1本・左に1本のコーナーダンパーとは別の,3つ目の機構となる「サードエレメント」である事は変わらないそうですが,慣性を使った「イナーター」や減衰機能を備える「ダンパー」とは異なり,単純に左右に動くだけものが「スライダー」と呼ぶそうです.

(autosport web:
日本人女性初参戦で注目集めるJujuのスーパーフォーミュラ開幕戦予想より)
減衰機構のない,単純に左右に動くだけの代物に意味があるのか?と思いましたが,バンプラバーやパッカーは使えるので,ピッチング量のコントロールは出来るとの事.へぇ~と思いつつ,今一度「サードエレメント」の動き方を確認してみると,例えば,右にコーナリングして車体がロールした時,

(autosport web:
日本人女性初参戦で注目集めるJujuのスーパーフォーミュラ開幕戦予想より)
左側が下がり・右側が上がる動きをするので,左側のロッドが上方向に押され,黒いロッカーが下方向に押されます.この黒いロッカーは回転するのでダンパーが繋がっている部分は逆方向に動いてダンパーを縮めます.右側のロッドはこれと逆の動きをして下方向に引っ張られるので,同じく黒いロッカーは上方向に押されます.そうすると,黒いロッカーは回転して右側のダンパーを下方向に引っ張る形となります.左側のダンパーが縮まって,右側のダンパーが伸びる通常の動きですね.
この時,サードエレメントはどうなっているのか?というと,サードエレメント下部に付いている棒は回転して,力を逃がすので何も動きません.
一方,画像のサスペンションはリアなので,加速すると左右同時に縮まる方向となる訳なのですが,

(autosport web:
日本人女性初参戦で注目集めるJujuのスーパーフォーミュラ開幕戦予想より)
左側も右側も同時に上がる動きをするので,黒いロッカーは左右共に回転し,左右同時に下方向に力を発生させます.そうすると,サードエレメントが接続されている下部の棒は回転しないので,サードエレメントの下端が抑えられて力が加わり,サードエレメントが伸び縮みする機構となっています.
つまり,「サードエレメント」というのは,クルマがピッチングした時(前後に傾く動きをした時)にしか作動しない機構な訳です.コレの何が嬉しいのか?というと,ローリング(左右方向の傾き)とピッチング(前後方向の傾き)を別々に制御出来る点で,

(The Gran Turismo Magazine:
クルマに生じる3つの動きより)
「サードエレメント」がない場合,ロールを抑えようとスプリングを硬くすると,ピッチも同時に抑えられてしまい,リアだとホイルスピンするとか,フロントだとブレーキロックするとか,望んでいない問題が生じます.SUPER FORMULAのような空力マシンだと,
通常の前後加速で車体が傾くのに加えて,ダウンフォースが掛かって車高が下がり過ぎたりしますから,それを抑制するのに「サードエレメント」が効果を発揮したりするのでしょうね.
以上,サードエレメントのお勉強でした.
インリフト対策等で,ピッチとロールの妥協点を探らされている身としては,ピッチとロールを分けてコントロール出来る「サードエレメント」の存在は心底羨ましいと思う訳なのですが,
上の図でサスペンションの動きを説明した通り,ロッカー機構を備えたインボード形式のサスペンションでなければ「サードエレメント」は付けられないので,アウトボード形式の市販車では敵わぬ夢ですね.
Posted at 2025/11/15 00:43:05 | |
トラックバック(0) |
イベント見学 | 日記