
引続き「Driving Standards Guidelines」の読み解きです.
前回はガイドライン制定の経緯を理解しましたが,今回はガイドラインの概要を把握します.ガイドラインはA~Kの全部で11項目あり,言われてみると確かにレース中はこういう場面があるよなぁ~と思える内容でした.
それでは内容に入ります.
・これらはガイドラインであり,レギュレーションではない
・スチュワードは常に規則に基づいて裁定を行う
・裁定は,このガイドラインとドライバースチュワード(元ドライバーの競技委員)の経験に基づいている
・A項(イン側からのオーバーテイク)およびB項(アウト側からのオーバーテイク)に基づき,
オーバーテイクを仕掛けるドライバー側に「優先権がある」と判断した場合,
そのドライバーとの接触やコース外への押し出しを避けるのは,ディフェンス側のドライバーの責任となる
まず「これはレギュレーションではない(あくまでガイドラインである)」となっています.レギュレーションは「必ず守らなければならないルール」ですが,ガイドラインは「判断に迷った時の指針」といった感じで,必ずしも従う必要がありません.これは前回のガイドライン制定の経緯にあった通り,下位カテゴリーにおいてより厳しい基準を採用出来るよう柔軟性を持たせる意味合いがあるのだと思われます.
また,オーバーテイク時の責任は基本的に「ディフェンス側(オーバーテイクされる側)にある」と定義されているのが,このガイドラインの特徴でしょうね.ただ,なんでもかんでも「ディフェンス側のせい」とはならないよう,裁定を下す際に考慮すべき点がいくつか挙げられています(↓).
・但し,多くのインシデントは主観的な判断が必要となるため,以下の注意点を留意すること
1.オーバーテイクを行うクルマ または オーバーテイクされるクルマを「見失う」ことは有り得ない
2.ロックアップやステアリングの修正操作が,ドライバーがコントロールを失った事を示すとは限らない
3.ロックアップしたり,一時的にコントロールを失ったように見えたりするのは,
接触回避を試みたためかもしれないし,物理的な影響によるものかもしれない
4.エイペックスは,選択したレーシングラインやコーナーの特性によって変わる
1~3は「相手を見失った」「限界を超えていた」といった事は理由にならない,という内容ですね.4つ目のエイペックス~に関しては,オーバーテイク時の「優先権」に関する部分なので,詳細は
次のブログの方を参照下さい.
最後はペナルティの話.
・原則としてペナルティポイントは,危険,無謀 または 接触する事が明らかなアクション,
他のドライバーから見て受け入れられないドライビング挙動 または スポーツマンシップに反する行為,
に科される
・ポジションを守るため,コース外に出てしまったディフェンス側のドライバーに関しては,
F項(アドバンテージの返還)の重要な注記を確認すること
この前の内容と比べると唐突感があり,定義するまでもない極々当たり前な内容に思えますが,一時期スチュワードがドライビングに直接関係ないマナー違反みたいなものにもペナルティポイントを科していた時期があったので,ドライバー側が範囲を明文化させて,それを抑制したんじゃないですかね?
以上,概要編でした(
次回に続く).
Posted at 2026/07/22 17:12:22 | |
F1の技術 | 日記