
昨年の11月,1年振りに挑んだTC2000は,時間を掛けて研究して対策を練ったにも関わらず,
見事な惨敗に終わりました.
その後,
問題点を再度分析した結果,「最終コーナーが下手」の一言に尽きるのが分かりました.
TC2000の最終コーナーは,バックストレートを全開で駆け抜けた後,150km/hオーバーで進入し,ブレーキングし,120km/hオーバーで旋回させる,というミニサーキットでは,なかなか経験出来ないセクションです.私は過去に2度,ここでスピンをかましており,1度目は進入のブレーキングでイン巻きしてガードレールへ・・・.2度目は立ち上がりでリアタイヤが持ちこたえられず,アウト側へ吹っ飛びました・・・.
そんな経験があるせいか,今まで走ってきた中で,最も苦手としているコーナーなのは事実です.ただ,いつまでも「苦手~苦手~」言ってたら成長がないので,覚悟を決めて再度チャレンジしてきました.
1本目
さて,今回は最終コーナーの特訓なのでSec3に絞って比較を行います.ちなみにTC2000のSec3はご覧の通りです.
最終コーナー100m看板付近~コントロールラインの間ですので,進入のブレーキングや立ち上がりの加速等も一緒に評価出来ます.また,開始点が最高速の計測ポイントも兼ねているので,初速のズレ分はこちらで分かります.
まず1本目では,「前回,最終コーナーで4→3速へシフトダウンする事に意識が行き過ぎて,ブレーキングが強くなってしまったのではないか?」と考え,4速固定でブレーキングに集中する方法をとってみました.結果は・・・,
昨年 1本目
Sec3 ・・・ 12.745 13.239 (+0.494)
km/h ・・・ 149.626 150.021 (+0.395)
進入速度が0.4km/h高かったにも関わらず,0.5秒も遅くなっています.GPSロガーで車速の変化を見てみると,
ボトムスピードは1本目(赤)の方が5km/h近く上で,エンブレが効きにくいので減速量を減らす事には成功しました.しかし,旋回速度が高く,リアが不安定なのを敏感に身体が感じ取り,その恐怖心から,なかなかブレーキペダルから足が離れず,アクセルペダルに足をのせられませんでした・・・.
2本目
「"怖い"と感じたら,それ以上はやるな!」というのは,サーキットでクラッシュしないための鉄則ですので,クルマ側をアジャストして安心材料を増やします.前後共に減衰を2段階強めてロールスピードを落とすと共に,タイヤの空気圧を下げて粘る方向に持っていきます.結果は・・・,
昨年 2本目
Sec3 ・・・ 12.745 12.621 (-0.124)
km/h ・・・ 149.626 150.042 (+0.416)
やりました! 0.1秒短縮.
ボトムスピードも昨年(青)に比べて2本目(赤)の方が9km/h上で,立ち上がりもほぼ同等なところまで持って来れました.この結果をもたらしたのは,やっぱり心理面でした.
2本目の最初の方は,
頭側:「クルマは安定している.大丈夫だから,怖がらずにブレーキを離せ!」
心側:
「嫌だよぉ~.やっぱり怖いよぉ~.(T-T )」
という感じでブレーキペダルから足を離さない.何度(約3周)頭側が説得を試みても心側はこれを受け入れない.いい加減痺れを切らした頭側は,ここで代案を提示します.
頭側:分かった.だったらもういい.ペダルから足を離さなくていい.
心側:えっ!?
頭側:ペダルから足を離さなくていいから,
その代わり踏むな!乗せるだけにしろ!
心側:あ!それなら出来るかも・・・.
といった感じで成功しました(笑).ちなみにこの後,「ボトムが上がったんだから4速固定でも行けるんじゃ・・・?」と思って,こちらも試してみましたが,ボトムが上がり過ぎて「しまった!これは回るッ!(゚Д゚;)!! 」と肝を冷やしたので,以後は自重しました(ステアリングを外に切って逃げたので,無事です).
3本目
2本目の時点で自己ベストをかろうじて上回ったものの,これ以上は伸び代がない.ブレーキの踏力コントロールは頭側がどんなに説得しても,心側がこれ以上は受け付けないでしょう.
その一方で,心理的負荷を減らすためにイン側に寄り過ぎたラインとなってしまって,立ち上がりが苦しい(何度か外の縁石を越えました).残る手立ては・・・.
頭側:
突っ込むしかない!
ブレーキング~リリース~ステアインと全体の操作時間が長いから,頭側と心側の戦いも長引くのであって,奥まで突っ込んで(ブレーキングを遅らせて),即ステアインすれば戦う時間は短い.それに突っ込み気味になる事で自然とインから離れる事もでき,立ち上がりのラインも苦しくない.まさに一石二鳥!
問題はブレーキングを遅らせる事による心側からのクレームですが,これくらいと見定めたポイントで止まれるかどうか2周試してみたところ・・・,
心側:ああ,これくらいならOKだよ.全然平気!
との事.さぁ,これで準備が全て整い,バックストレートで前後のスペースをしっかりと確保して,最後のアタック!
結果は以下の通り.
2本目 3本目
Sec3 ・・・ 12.621 12.329 (-0.292)
km/h ・・・ 150.042 148.658 (-1.762)
進入速度が1.7km/hも落ちたにも関わらず,0.3秒近く短縮し,遂に筑波69秒の壁を打ち破りました!