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OX3832のブログ一覧

2022年12月10日 イイね!

テストどころの話じゃない

テストどころの話じゃない先月のタイヤテストは雨に阻まれて消化不良で終わったので,そのリベンジをしに再びTC1000へ行って来ました.

さほど多くないアタックラップでの感触からすると「195/55R15は外したかな・・・?」と内心思っていたのですが,その後の分析でそれほど悪くない事が見えてきたので,新品効果のなくなった今回で見極めだな,と思いながら筑波へ向かいました.


残念ながら今年から12月の8時枠がなくなったとの事で,フォーミュラもあるこの日はA1~A5枠までに人が集中してフルグリッドになる事が予想され,リアタイヤのウォームアップ性能も確認出来ていない現状で混み走参加は危険なので,台数の減る午後狙いで,ひたすら常連さん達とくっちゃべってました(笑).


予想通りA1~A5枠までは完売御礼のチケット売切れで,A7枠も10台近い台数が集まっていましたが,午前中最後のA8枠(11:20~)は4台程度との情報が・・・.「おっ!? チャンス?」と思い,足早にチケットを購入してコースへ.

気温:13℃,路面温度:18℃とタイヤのウォームアップは大丈夫な気がしましたが,ヘアピンで左リアの確認をしたらズルッ!と来たので,念のため2周ウォームアップを実施.その後,前後にスペースを作って「いっけー!」と気合を入れて1コーナーに飛び込むと,



2コーナーでエンジンが吹けない・・・.

ぐえぇ・・・マジか (_ _||||)

水温が上がれば直るかな?と粘ってみましたが症状は改善せず,1周もまともに走る事が出来ず,タイムは42.6秒と悲惨な状況でした.


泣きながらパドックに戻ってLINK ECUのデータを確認したところ,どうやらVTECが切り替わってハイカムになった途端に失火しているようです.先月走った時とコンディション・ECUのセッティングは大差ないのに,なんで日によってこうも調子が変わるのか・・・.ホント嫌になります.

タイヤテストどころの話じゃないので,走行データを見返しつつその場でリセッティングを実施.お昼も誘われましたが,そんな余裕はないのでお断りして,P2枠(13:20~)で出走.気温:15℃,路面温度:20℃と更に上がったので,これなら大丈夫かなー?と思いつつアタックを開始してみると,



先程の2コーナーの症状は改善され,「おっ,イイ感じ~」と思ったのも束の間,今度はヘアピンを立ち上がったら全く加速しない・・・.上の車載だと,まるで途中でアクセルを緩めたかのように見えますが,そんな事はないんです.これでも全開で踏んでるんです・・・(泣).

うわぁ~ん 。・゚・(ノД`)・゚・。

と思いつつ,諦めが悪いので何度かトライしてみると,1回だけまともに走れました(↓).



まぁ,"まとも"と言っても,アチコチで微妙にエンジンパワーは失っているのですが・・・.

ただ,こんなラップでもクルマの前後バランスの片鱗は窺えて,新品で走った時より遥かに良いフィーリングでした.思っていたよりも向きが良く変わるし,それでいてコーナリングの限界も高い.エンジンさえ完調であれば,かなり良いタイムが出せたんじゃないのかなぁ~?と思いました.

特に1コーナーのココ(↓)の動きは,走ってる時にゾクッとするくらいでした.



1~2コーナー間だけはエンジンの吹けがまともだったので,何度かトライする事が出来たのですが,「この動きはヤバイ! スピンするー!?」と一瞬身構えるくらい恐ろしい速さで向きが変わるのに,リアが全く破綻しない.「えっ!? これで回らないの??」って感じです.

身体は「経験則的にこの動きはNG」とシグナルを出しているのですが,頭でそれを無視してアクセルを踏んでみたところ,横Gがとてつもない事になりました.「これは間違いなく自分史上最高のヨーレートが出てる・・・」と思い,走行終了後にロガーデータを見返してみたところ,



嘘か真か「1.5G」なんて値が記録されていました・・・.

GPSロガーの「G(加速度)」なんて定性的にはともかく,定量的にはあんまり信用出来ないのですが,今回ばかりは信じたくなるくらい横Gが凄かったです.このブログを書いている時点で走行してから丸1日以上経過しているのですが,未だに両肩が痛いほど.
(シートベルトで締め上げているので,横Gがキツいとベルトが肩に食い込み,走行終了後も暫く痛いんです・・・)


まぁ,そんな横Gを出しても肝心のタイムに繋がらなければ何の意味もないので,走行終了後に更にデータを見返してリセッティング.これでどうだ!とこの日最後のP8枠(15:20~)に臨みました.

気温:15℃,路面温度:18℃と2本目よりは温度が低下.同枠は39秒台を軽々と出しそうな雰囲気のインプレッサが1台いましたが,全部で4~5台程度.「よ~し,今度こそ結果を出すぞ!」と意気込みつつアタックを開始してみると,1~2コーナー・・・OK! ヘアピン・・・OK! インフィールド・・・OK! 「よしっ! 今度こそ直った!!」と思いつつ最終の複合へ,




「そんなに簡単には出させないよ・・・」



とTC1000のご神体が言ったとか言わないとかで,ゴールライン手前で失速し,42.1秒止まりでした.
(やはり先にご神体に参拝しておくべきだったのか・・・)


という感じで結局,丸1日居て何の結果を残せなかったTC1000でした.
その後,ショップの店長に相談し,翌日ダメ元でプラグを交換してみる事にしました.



これが失火の原因ではない気もするのですが,何かアクションを起こさないと状況は何も変わらないので,一先ず,熱価を下げて試してみようと思います.


以上,引続き消化不良なTC1000でした.

今回の走行でエンジン以外は手応えがあったので,失火の問題さえ解消すればそこそこのタイムは刻めそうな気がしています.データを見返して再度リセッティングもしたので,次回こそは!と思いたいところです.


(フッ・・・さて,それはどうかな?)
2022年12月08日 イイね!

空気に魔法!

空気に魔法!12月に入ってから節操なく色んなネタを投下していますが,そろそろネタも尽きたので「さて,次の走行に備えてテストメニューを考えないと~」と思っていたら,また調べたくなるネタが目に入ってしまいました.

2018年頃に雑誌で取り上げられて,知っている人は知っているそうなのですが,私は昨日初めて知ったのが「Ceramics AIR GOO」.

タイヤの充填空気にセラミックを混ぜる商品だそうです.

レースの世界では,タイヤ内部の温度変化を抑制するために空気の代わりに窒素ガスを入れるというの有名な話ですが,セラミックを空気と一緒にタイヤに充填する事で,セラミックが内側から徐々にゴムに浸透し,タイヤに変化を生むのだそうです.

主な効果としては,

 ①路面からのショックを吸収し,乗り心地が向上 ⇒ 縁石の走破性が上がる
 ②転がり抵抗が大幅に低減し,燃費が向上    ⇒ ストレートスピードが伸びる
 ③直進での安定性・コーナーでの追従性が向上 ⇒ ハンドリングが良くなる
 ④濡れた路面で路面に吸い付く           ⇒ ウェットグリップが良くなる
 ⑤高速道路でのレーンチェンジがスムース    ⇒ タイヤの剛性が上がる

だそうです.右側の矢印は私の脳内翻訳の結果ですが(笑),「コレってサーキット走行でも効果があるんじゃね?」と思い調べてみると,筑波のローカルレースで使って「タイムが縮まった!」という人がいたり,ジムカーナで試して「グリップが上がった!」という人がいたりと,やはり同じ事を考える人がいたようです.

「これはTOPA(Tsukuba Occult Promotion Agency)勢が動き始める前に,先んじてこっそり調べておくか・・・」と思い,どういうメカニズムなのか?と調べてみると,「原理解明のために東レに成分分析を依頼した」という何だか凄そうなブログを見つけたので,早速中身を読んでみると・・・,

「分かりませんでした!」 ( ̄^ ̄)エッヘン!

・・・・・・・・・マジか.コレ,間違いなくTOPA案件じゃないか!?(苦笑)


普通,販売元自ら「理屈は分からない」とか言うか? オカルト理論でも良いから何かしらそれっぽい事言うもんじゃないのか??とか思いつつ,更に調べてみると,識者意見として「シリカの粒子を混ぜているのでは?」との情報を見つけました.

「シリカが遠心力によってタイヤ内面に均一に散布され,タイヤの組織に入り込んで構造を補完している」
「シリカは帯電しにくい物質であるため,セラミックスエアーによってタイヤ内面の静電気を抑制しているのでは?」
「その結果,タイヤが良いフィーリングとなって,ドライバーに感覚として伝わっているのではないか?」

との事.また静電気か・・・.


そもそも「セラミック」とは「焼結体(焼き固めたモノ)」の事で,我々に馴染み深いところで言うと「カーボンセラミック」辺りでしょうか(↓).


(ホンダ:NSX Type S カーボンセラミック製ディスクブレーキより)

「セラミック」と聞くと何となくこういった「固体」のイメージが強いのですが,これを空気(気体)に混ぜるというのがちょっとイメージしにくいですよね.恐らく人の目に見えない,顕微鏡で見るようなサイズの「固体(というか微粒子)」という事なんだと思うのですが・・・.


一方,「シリカ」というのは「ケイ素」の一種で,最近のタイヤでよく使われています(↓).



「タイヤの素材として使われているモノ」と聞くと,何だか馴染んで良い事が起こりそうな気がしちゃいますが,「なんで最近のタイヤは『シリカ』を配合しているの?」と調べてみると,「シリカ」はゴム同士を結び付ける添加剤として使われているそうで,今まで使われていた「カーボンブラック」と比べると,

 ・変形からの回復スピードが早い
 ・転がり抵抗が少ない
 ・発熱しにくい
 ・濡れた路面での摩擦力が高い

という特長があるのだそうです.


(Car Watch:横浜ゴム、「アドバン スポーツ V105には多く配合」などタイヤのシリカ配合について説明より)


なるほど,セラミックエアーの謳い文句に通じる部分がありますね.
ちなみに,「シリカ」には以下のような特徴もあるそうで,

 ・高温での弾性低下が少ない(=高温でも安定して反発力を生む)
 ・低温でも固くならない    (=低温でも安定して反発力を生む)

高温でタレにくく性能が安定していて,低温でも柔らかくウォームアップ性が良いというのは,A052の特長そのものですね(この特長はシリカの配合によるものだったんですね).


「では,そんなシリカに欠点はないの?」というと,最大の欠点は「導通性がない事」なんだそうです.
つまり,タイヤで発生した静電気を外(地面)に逃がせない.


(Car Watch:横浜ゴム、「アドバン スポーツ V105には多く配合」などタイヤのシリカ配合について説明より)


このため,シリカを多く使うタイヤには「導通スリット」というアースの役目を果たすモノが仕込まれているそうです(↓).




(Car Watch:横浜ゴム、「アドバン スポーツ V105には多く配合」などタイヤのシリカ配合について説明より)

あんまり意識して見た事がなかったので,今度A052にも「導通スリット」があるのか,じっくり見てみようと思います.


・・・という感じで,「セラミックエアー」≒「タイヤ内部へのシリカ浸透」の効果はA052の特性を補強するようなイメージで良さげに感じてきたのですが,ゴムに浸透させるだけあって,効果を得るのにそれなりに時間が掛かるようです.販売元の記載によると以下との事.

「3~4日間くらいでタイヤが固くなるためゴツゴツ感が出ますが,これがセラミックが浸透している証拠です」
「セラミックはタイヤゴム・ホイール等に時間をかけて浸透していきます.完全に浸透するまでに約1ヵ月掛かります」

途中,普通の空気を足すのは問題ないそうですが,熟成に1ヵ月掛かるとなるとサーキットユーザーにとっては長いですね・・・.


そんな1ヵ月待って得られるタイヤの静電気除去の効果って・・・?と調べてみると,こんな感じ(↓)なんだとか.


(PEA JAPAN:PEAの原理より)

このタイヤ形状の真円化によって「トーの値が変わる」とまで書かれているのですが,マジですか・・・.


以上,空気に魔法をかける(?)「セラミックエアー」のお話でした.

ちなみに工賃は店によってバラバラで,1台分(タイヤ4本)で2000円というところもあれば,6600円なんてところもありました.さて,これで効果が得られるかどうかは「信じるも信じないのもあなた次第」といったところなんでしょうか?(笑)
Posted at 2022/12/09 02:31:56 | コメント(2) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記
2022年12月07日 イイね!

A052のビードシーティング圧

A052のビードシーティング圧ガッキー∴6度8分さんのブログで,taka@黒インテ(元)さんがA052のビード上げの時の内圧の話をしているのを見て,「ああ,そう言えばそんな表記があったなぁ~」と思い,手持ちのA052を確認してみました.

結果は,タイトル画像の通り「DANGER:NEVER INFLATE BEYOND 275kPa~(危険:275kPaを超えて膨らませるな!)」と書かれていて,takaさんの仰る通りだったのですが,改めてこれを見て「アレッ?」と思いました.

「ラジアルタイヤの最大内圧は300kPa」というような規定がどこかにあったような気がしたので,「275kPaって特殊だなぁ~」と思い,そんなコーションがYOKOHAMAから出てったけ?と思い,カタログを確認してみたところ,



カタログ全体でこういう表記(↑)となっており,やっぱり普通は「300kPa」という考え方です.


ならば,A052のページに読めない小さな文字で注意書きが書かれていたりするのかな?と思い,そちらも確認してみましたが(↓),



そんな注意書きは見当たりませんでした・・・.

「う~ん・・・最新のハイグリップラジアルってそういうものなのか?」と思い,手持ちのRE-71RSも見てみたところ,そちらには「DANGER」なんて表記がそもそもなく,「むむっ,やっぱりA052って特殊なのか?」と思い,念のために「ビードシーティング圧」の考え方を確認してみました.


先述のカタログに載っている表記をそのまま読むと,「ビードシーティングとは,タイヤ組み立て時に,タイヤの両側のビードがリムのビードシート部に周上均等にのった状態をいいます」だそうです.

「ビード」というのはココ(↓)で,


(横浜ゴム:タイヤの基礎知識より)

「ビードシート」というのはココ(↓)ですから,



タイヤの「ビード部(ホイールのリムと接する部分)」をホイールの「ビードシート部」に座らせる(Seatingする)ので,「ビードシーティング」って事のようですね.

じゃあ,それの「圧」って何?というと,ホイールにタイヤを差し込んだだけだとプラプラで「ビードシート」にタイヤが乗らないので,タイヤの内圧を上げる事で内側から力を加えて,その力を使ってビードをシートに乗っけるという事のようです.


(タイヤ館 竹尾:タイヤ交換作業より)

よくスタンス系の人達が引っ張りタイヤ(例:195幅のタイヤを無理やり9インチのホイールに履かせる)を作る時に,タイヤ内部にガスを入れて引火し,その爆発力でシートに無理やり乗せる動画を見ますが,あれの本来のやり方がコレですね(笑).


話を戻して,上記の話から「ビードシーティング圧」というのは「タイヤの組付け時には一時的にここまで上げても良いよ」という意味になるので,言いかえると「メーカーの最大内圧保証値」という事になるんでしょうね.じゃあ,この「保証値」を超えたらどうなるの?というのが気になったので更に調べてみると,

タイヤが爆発します!

との事でした.過去それで死亡事故なんかも起きたみたいで「ビードシーティング圧を掛ける時はケージの中に入れてやりなさい」というのがルールになっているみたいですね(上の画像でもケージに入ってます).


ふむ・・・.でも例えば,86/BRZレースなんかではウェット時に温間300kPaに上げたりもする訳で,プロクラスであればタイヤメーカーがサポートに付いているでしょうから,本当に壊れるなら止めるはず.だとすると,「ビードシーティング圧」と「通常使用時の最大内圧」はまた別なのでは?と思い,調べてみると「別です!」という見解を出すタイヤメーカーもあるようです(YOKOHAMAがそうなのか?までは分かりませんでした).

ん~,じゃあ一体いくつが最大圧なんだ!?と思い調べてみると,JATMA(日本自動車タイヤ協会)の規定では「350kPa」となっているようです(↓).


(JATMA:自動車用タイヤの選定、使用、整備基準より)

国産メーカーは当然の事ながらJATMAの規定に沿って設計しているので,特別な注意書きがない限り「350kPa」までは上げても大丈夫そう・・・なんですが,A052はその特別な注意書きがあるんですよね(苦笑).


ちなみに,そのJATMAの基準書には「空気圧過多の損傷例」として以下の図が示されていました(↓).



まぁ,当然だよね~というものばかりなのですが,これの右下「溝底のゴム割れ」というのが,A052のトレッド剥離を経験している人は気になりますよね・・・.


という事で話を纏めると,通常のラジアルタイヤより25kPaもビードシーティング圧が低いA052の場合は,内圧の上限値も25kPa低めに考えておいた方が無難なんじゃないかなぁ~?と思いました.無難なところで考えるならビードシーティング圧そのままで「275kPa」ですかね.

(‥ ) ン…?

A052で・・・275kPa・・・? この数字に近いものがなんかあったような・・・と記憶を辿ってみると,ああ, 今年の夏にリアの内圧テストやった時の値がそこら辺だ!



確かあの時は,温間270kPaは問題なくて,285kPaにしたら動きが急に変わり,その中間の275~280kPa辺りを狙ったらギリギリバランスが取れた記憶しています.もしかしたら285kPaで動きが変わった理由は,A052の設計限界を超えていたから負荷に耐え切れなかった・・・なんてのがあるのかもしれません.
(もっと早く「ビードシーティング圧」の事を調べておくべきだったな・・・orz)


以上,A052のビードシーティング圧のお話でした.

リアタイヤの内圧でバランスを取る作戦は失敗に終わったので,私の場合は再び275kPaを狙うような事はしませんが,フロントも夏場に油断してると260kPaになっていたりする時があるので,275kPaは絶対に超えさせないように注意しようと思います.

ちなみに,私はウェットでの内圧上げはやりません.こちらは5年前のもてぎで試して散々な目に遭い,当時オレさまFD2に「ウェットで内圧上げるなんてどうかしている」と,しこたまバカにされたので,もう二度とやりません(笑).
Posted at 2022/12/08 01:54:59 | コメント(2) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記
2022年12月06日 イイね!

リアサス ジオメトリー変化のお勉強

リアサス ジオメトリー変化のお勉強スーパー耐久(S耐)の最終戦・鈴鹿で最新のTYPE-RとなるFL5が投入されていましたが,その先代に当たるFK8のS耐における開発アプローチに関する記事がAUTOSPORT No.1578に出ていました.

FFのレーシングカーというと,摩耗が厳しいフロントタイヤを守るために,フロントタイヤが摩耗した状態(グリップが落ちた状態)で前後バランスがニュートラルとなるように,リアをセットするのがセオリーとなっています.

このため,フロントタイヤが新品だとドオーバーなセッティングになるのですが,「そこはドライバーが気合で頑張れ!」なんだそうです.同じFK8でもST-TCRクラスの方は多分そんなセッティングで走っていると思いますが(Fドリしてましたし),ST-2クラスで走るこちらのFK8の方は,レーシングドライバーが乗っている訳じゃないので,そんな事まではしていないそうです.

ここら辺はレースに参戦する目的(勝つ or クルマを開発するため)が違うので,「ふ~ん・・・」という感じなのですが,その話のついでに出てきたクルマのスタビリティに関する部分で気になる文章がありました.

「ホンダの歴代シビックの中でもEG型は,リアサスペンションがウィッシュボーン形式で,量産の車高領域ではバンプイン(ロールするとトーイン)だが,レースで使う車高領域ではバンプアウトの特性であった.中高速コーナーのスロットルオンでフロントが滑り出すとリアもそれに追従して流れるため,バランスが取れた」

∑(´゚ω゚`;)ハッ!!!!

これって,1年前に聞いた「EG6・EF9とFD2・EF8はリアの動きが違う(↓)」という話のヒントになんじゃないか?と思いました.



この話,聞いた時からずっと気になっていて,一度は「ホイールベースの差では?」という推論も立てたのですが,「このバンプステア特性が生み出しているのかもしれない・・・」と思ったので,調べてみる事にしました.


まずは,EG6の方から.
サスペンションのジオメトリーデータなんて見れるかな・・・?と思って調べてみたところ,



上手い具合にホンダのプレスリリースに載ってました!

In-Outで引かれた中心線が標準車高の状態でしょうから,ロールするとリア(バンプ方向に行くと)リアはイン方向に行くというのは事実のようですね.では,これがレース車高になるとどうなるか?というと,In-Outの中心線がそのまま上にスライドすると思えば良い訳ですから・・・.



なるほど.確かにロールすると(バンプ方向に行くと)アウト方向に行きそうですね.

でも,これだと「従来(=EF9)」の方がもっとアウト方向になるような・・・.当時アドバイザーからお話を伺った際は,EG6とEF9は同傾向との事だったので,同じく「ロールするとバンプアウト」というのは合っていると思うのですが,この分だとEG6よりEF9の方がよりその性格が強そうですね.


さて,ではEF8は~と調べたいところなのですが,大体CR-Xはシビックと一緒の扱いにされているので,上記のEF9と同じはず・・・.ま,でも一応調べてみようと思い,同様にホンダのプレスリリースを漁ってみると,



アレッ? フロントもリアも「ゼロ・バンプステア」を謳って,トーが変化しないとアピールしています.まぁ,掲載されている図には単位がないので,同じ尺度で考えるべきではないですが,「トーを変化させない!」という意志は感じますね・・・.


う~ん・・・.こうなると,EF9とEF8でアーム長に違いがあったりするのか??と思い,その際にヒントになりそうな情報が何かないかなぁ~?と眺めていると,



同じプレスリリースに「ゼロ・コンプライアンスステア」「ゼロ・サイドフォースステア」なんてのが出てました.

「ゼロ・コンプライアンスステア」の方は,恐らく加速方向(前に引っ張られる方向)に力が加わった時に,「コンプライアンスブッシュ」がたわんで,リアのトーがアウト側に広がろうとするのを,リンク機構を介してロアアームが後退する事によって強制的にトーをイン側に向けて打ち消す仕組みですかね?

ちなみに「コンプライアンスブッシュ」はココ(↓)ですが,



ココをピロ化してブッシュのたわみをなくすと,余計イン側に入るようになっちゃう気がしますね.
(これが「ピロ化するとリアの安定性が増す」の言われか・・・?)


もう1つ「ゼロ・サイドフォースステア」の方は,バンプ方向(サスペンションが縮む方向)に力が加わった時に,「コンペンセーターアーム」と「ロアアーム」のブッシュが同じように縮むので,上下動してもアーム全体としては並行移動となるため,トーが変化しないという仕組みですかね?

同様に,「コンペンセーターアーム」と「ロアアーム」はココ(↓)ですが,



ココもピロ化してブッシュのわたみをなくした場合は,2つセットで,同じ変位量にしないとトー変化がデタラメになっちゃうって事なんでしょうね.


ん~,なんだかココまで読むと,(当たり前ですが)足回りは全て狙って設計されているのでワンセットっぽいなぁ~.EF9とEF8で本当に違いなんかあるのか??と思い,ザッと部番を調べてみると,

【EF9】


【EF8】


一緒や~ん・・・(笑).


以上,リアサス ジオメトリー変化のお勉強でした.

今回でEG6とEF9の違いは何となく分かってきたのですが,EF9とEF8の違いが相変わらず分かりませんね.ここはやっぱりホイールベースの差なんでしょうか? リアサスの動きに対する理解は深まりましたが,まだまだ足りない今回のお勉強でした.
2022年12月04日 イイね!

止まれないのでは・・・と不安になる話

止まれないのでは・・・と不安になる話先月走ったTC2000で,1ヘアにアプローチする際のブレーキングで「止まらないなー」と思う事がありました.

ブレーキの踏み始めでイメージしている程の減速感がなく,スゥ~っと前に流れるような感じで,最初かなりビビりました・・・.走り出して初っ端の方だったので,身体の感覚がTC2000の速度域に追いついてないのかな?と思い,徐々に慣らしつつ,「大丈夫!大丈夫!」と自己暗示をかけていったところ,途中から気にならなくなりました.

走行後の分析結果でも,2本目のデータは1年前のものと大きな違いがなかったので,その後はスルーしていたのですが,AUTOSPORT No.1578の「ドライビング達人を目指すヒント」という記事を読んでいた時に,少し引っ掛かる一文がありました.



「ブレーキングを最短時間で完了するためには,タイヤのグリップを全て減速に使う必要があるので,直線で終えるのが基本.その上で,最大減速Gを出来るだけ早く立ち上げて,それを一定に保ちたい.クルマの重量配分や重心高等によって違いはあるものの瞬時に最大踏力に持って行くよりも,少し荷重移動を促してから最大踏力を保つ方が安定してブレーキング出来る」

フロントのスプリングレートを下げてから,ブレーキングを追い込んでいくとフロントタイヤがややロックするようになったのですが,これはまさに「荷重移動の促し」が足りてないせいかな?と気づかされました・・・って,気になったのはココではなく,次の一文(↓).

「G一定での減速をすると速度は距離に比例しては減速していかない.エネルギーは速度の二乗に比例するからだ.最初は減速せず,止まれないのでは・・・と不安になるが速度が落ちてくると一気に減速していく.だからこそ,この感覚を『尺』として刷り込む必要がある」

ああ,やっぱり感覚の問題だったのか! 先日のTC2000でも知らず知らずのうちに「G一定の減速」をやっていたんですかね・・・? やっぱりドライバーの感覚合わせが足りていなかったのかぁ~と思い知らされました.


ちなみに,この記事では最後以下のように纏められているのですが(↓),

「難易度が一気に上がるのは大きなダウンフォースが掛かっているF1を筆頭としたレーシングカーだ.200km/h超で車重を超えるようなダウンフォースが発生するレーシングカーの場合にはG一定では減速出来ない.大きなダウンフォースが掛かっている高速時には大きなGが発生するが,速度低下と共にダウンフォースも減少するからだ」

「操作としては最大踏力でブレーキを開始した後,減速に合わせてブレーキを抜いていく作業が必要となる.80km/h以下まで落ちるとほぼタイヤのグリップ力だけに頼ることになる.ツーリングカーとは比べ物にならない難易度がそこにある」

・・・との事.ちなみに私のEF8が発生しているダウンフォース量は,ちょうど1年前に試算した事があって,「120km/hで発生するダウンフォース量は車重の約1/4程度」でした.なのでレーシングカーのようなダウンフォースが全く出ておらず,ブレーキングの難易度が低い事も間違いないですね(当たり前!・・・笑).


さて,上の記事を読んで「じゃあ,あの時は減速G一定のブレーキングだったんだな~」と,当時のロガーデータを引っ張り出して確認してみたところ,



ア,アレッ!? Σ(゚д゚;)

青が1本目(止まらないなーと感じた時),赤が2本目(何も違和感がなかった時)なのですが,1ヘアの減速Gの形が違いますね・・・.2本目(赤)の方は1ヘアに迫るほど減速Gが大きくなっているので(赤いボールが上にどんどん進んでいくので),不安なくブレーキングが出来ている感じですが,1本目(青)の方は1.1Gの最大減速Gを出した後,次の瞬間には0.8Gまで一気に落っこちてます(青いボールが一番上に上がった後,カクン!と下に折れてる).しかもこの『落っこち』は130km/hくらいの速度域で起きている現象なので,ちょうどブレーキングを開始した後,「止まらないなー」と感じる部分ですね・・・(汗).

なんじゃこりゃ?? 折角記事を読んで納得しようと思ったのに,これじゃ,自分の感覚の方が正しかったという答えになっちゃうじゃないか!(苦笑)

えぇ~っ,本当に何だよコレ? 2本目は違和感なくスムースにブレーキング出来たデータになっているから,クルマの問題じゃないよなぁ~? だとするとブレーキの踏み方の問題か?? 1本目の車載はもう消しちゃったから,当時どんな操作してたのかもう確認出来ないし,いやはや参ったな・・・.


以上,ヒントを見つけたと思ったら,余計深みにハマったブレーキングの小話でした.
(あの止まらない感覚は怖いので,ちゃんと原因は究明したい・・・)
Posted at 2022/12/05 04:22:19 | コメント(1) | トラックバック(0) | ドライビング理論 | 日記

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