
それでは後編です.
前編は6コーナーの進入まできてちょうど半分.この時点でプロからは0.1秒の遅れですから,計算的にはピッタリ合う感じですね.
話が少し逸れますが,路面温度40℃のこの状況で,CR-Sがこれだけ周回してもタイムがさほど落ちない(せいぜい0.1~0.2秒)というのは意外でした.TC1000だともっと明確に落ちてきた気がするのですが,サイドウォールの剛性が高い分,横方向に酷使される分にはヘコタレない特性なんですかね・・・?
8~9コーナー
前回述べた通り,私(青)は7コーナーのエイペックス狙いで立ち上がっているので,高いボトムそのままに加速を続けられます.そこから8コーナーに進入する訳なのですが,ここでも2→3速への引っ張りでプロ(緑)の方が車速が伸びてますね.
そこからプロ(緑)は,シフトアップ操作が終わった左手がステアリングに戻る前に,もう切込みを始めています(↓).
当然シフトアップが終了した直後はアクセル全開な訳ですから,プロ(緑)はステアリング→アクセルOFFの順で操作して8コーナーに進入しているという事になります.一方,私(青)の方はアクセルOFFとステアリングが同時くらいです(↓).
なるほど.この操作の違いが8コーナー進入時の見解の違いに繋がっている訳ですね.プロはステアリング→アクセルOFFの順で操作してもフロントが入って行かないので「アンダーと感じる」のに対し,私の方はアクセルOFF→ステアリングの順で操作するのでフロントが入って行くのを感じながらステアリングを切り込むので,「アンダーと感じない」という訳ですか・・・.
これは難しいな.8コーナー進入時のクルマの姿勢がプロと私とでは違うので,解決策としてアドバイス頂いたトーアウトが,私のドライビングスタイルとマッチするかどうかは分かりませんね.実際,プロは切り込んだ後がアンダーなので,アクセルOFFの時間が長いですが,私は逆にアクセルを全OFFする必要がなく,10~20%くらいアクセルを開ける余裕が残っているんですよね(↓).

(↑8コーナー進入でアクセルOFFした後,車速の落ち方が私の方が鈍いのは,微妙にアクセルを開けているから)
言い替えると,全OFFすれば私はもっと曲げられるので,私にとってはココは全然アンダーじゃないんですよ.じゃあ,私のドライビングの仕方が間違っているのか?というとそんな事はなく,9コーナーの立ち上がりは私(青)の方が車速が伸びてます(↓).
車速が伸びた結果,ここでプロからの遅れは0.05秒差まで縮まっているので,私の走らせ方も間違いではない気がします.う~ん・・・これはドライビングスタイルの違いかなぁ~? トーアウトを採用すべきかどうかは悩ましいですね.
ちなみに,8コーナー進入時の車速の落ち方が私の方が大きい(=プロの方が車速が伸びてる)理由は何なのかな?と思い,ライン取りを見てみたところ(↓),

(↑は色が変わって,赤:プロ,青:私です)
最初の切り始めは前述の通りプロ(赤)の方が早いのですが,切り込みの量自体は少なく,逆に私(青)の方が一気に切り込んでいるようです.つまり,操舵抵抗がプロ(赤)の方が小さく,それ故に車速が伸びていたという事のようです.言い換えれば,これは「私は8コーナー進入で速度を落とし過ぎ」という事で,実際,上のライン取りを見ると8コーナー出口は外側の縁石に寄せ切れていませんし,もっとボトムは上げられたようですね・・・(これがこのラップでS2:18秒を切れなかった理由かなぁ~?).
10~11コーナー
さて,ここまででプロとの差は0.05秒.かなりイイ感じなのですが,残る最後のS3でプロに突き放されます.まずは10コーナーのブレーキング(↓).
ここは今回,私は意図的に10コーナーのRに沿ってブレーキングをするのではなく,改修前の直角コーナーだった時代の10コーナーと同じようなアプローチをしてみました.何を言っているか?というと,
右(イン側)に寄せながら緩くブレーキング(青線)をするのではなく,真っ直ぐ行ってドーン!と1発短く・強くブレーキングをして,そこからスパッ!とステアリングを切り込む(赤線)ようにしました.こっちの方がタイヤを縦と横で分けて使えるので,ブレーキング時にタイヤがロックしにくく,車速の落ちも早いので3→2速へのシフトダウンでオーバーレブしにくいと思ったためです(前回は結構ココのダウンシフトでレブに当てていた・・・).
加えて,スパッ!とステアリングを切った後にタイヤに余力が残っているので,アクセルも開ける事ができ(↓),
これによって,6コーナー進入時と同様に,強大なヨーを発生させてリアの破綻を誘う事が出来ると思ったからです.実際,今回は11コーナーの手前でリアを振り回す事が出来るようになり,角度調整(クルマの向き合わせ)が随分と楽になりました.
これがこのクルマの正解でしょ!と内心では思っていたのですが,しかし,プロは全く違う走らせ方をしていたようです.まず
コメントにもあった通り,「10コーナーではハードブレーキをしない方が取り分があった」ようで(↓),
プロ(緑)はユルユルと10コーナーのRに沿ってブレーキングをしており,全体的に車速の落ちが鈍く,瞬間的に0.2秒差まで突き放されました.そこからブレーキングを終えた後,10~11コーナー区間は私(青)の方がアクセルを踏んでいるので,旋回速度が高い分,再び0.1秒差まで詰め寄れるのですが,トータルで見ればこのセクションだけでプロから0.05秒遅れてしまう結果となっています.それでも「これら全ては11コーナーを早く駆け抜けるため!」と思っていたのですが,ここでプロの技量を思い知らされます・・・.
11~12コーナー
先に両者のライン取りを示します(↓).

(↑は赤:プロ,青:私です)
これを見ると,私(青)の方がプロ(赤)よりも11コーナーに対して外側からアプローチし,クリッピングポイントをエイペックスの手前に持って来れているのが分かると思います.その結果,切り返しの12コーナーに対して浅い角度で進入する事も出来て,ここのS字をなるべく直線的に立ち上がる事ができ,ホームストレートで車速が伸びそうな気がするじゃないですか?
違うんですよ・・・
プロ(赤)の方がライン的に苦しそうに見えるのに,アクセルをなかなか踏めなそうに見えるのに,プロの方がボトムも高くて,早くアクセルが踏めているんです(↓).

(↑は色が変わって,緑:プロ,青:私です)
これのせいで再び0.2秒まで差を広げられ,この差が40秒台(プロ)と41秒台(私)という大きな違いを生んでいるんです.一体なぜ? プロはココで何をやった??という感じです.
(―‘`―;)ウーン…
ここで再び
プロのコメントを読み返してみると,私が「11コーナーのアンダーが気になりませんか?」と聞いているのに対し,「いや,気にならないよ(=出てない)」と仰っています.そして「ステアリングを入れていくタイミングとか,ブレーキのタイミングとか(が間違ってるんじゃない?)」とも仰っています.
一体何が間違っているんだー!?とデータを見返してみると,気になったのがこのポイント(↓).
プロ(緑)はアクセルを開けて加速体勢に移っているのに,私(青)はアクセルを踏もうとしたらガクッと失速しています.このポイントはどこだ?とライン取りを確認してみると,ちょうど11コーナーイン側の縁石を降り始めた辺りから(↓),
完全に縁石を降り切った辺り(↓).
えっ!? ここで何で失速するの・・・?? 理由が分からないので車載を何度も見返してみましたが,車速が落ち切るのを待ってからアクセルを踏んでいるようにしか見えず,おかしな点が見当たりません.
( ˘•ω•˘ ) ウーン…
ここで考え方を変えて,私がミスをしているのではなく,プロが何かしらのワザを使ったと捉えてプロの車載を見返してみると,気になるポイントが2つありました.
1つ目は,11コーナー進入時のカウンター(↓).
コレ,左側のフリクションサークルを見ると,アクセルを開けながら(加速しながら)カウンターを当てているんですよね・・・.FRならばともかく,FFで一体どうやったらこんな事が出来るの??
もう1つは,11コーナーでアクセルを踏み始めるポイント(↓).
手前でカウンターを当てないといけないくらい,向きが変わっているからこそだと思いますが,11コーナーの縁石にのる手前から,もうアクセルを開け始めているんですよね・・・.こんなトコから開け始めれば,そりゃ出口で12コーナーに寄って行くようなライン取りになるのも納得なのですが,どうしてココから踏んで曲がれるんだ!?
_| ̄|○lll ワカラン…
ヒントはプロの右足の動きにあるような気がするのですが,ちょうど手で隠れて見えないんですよね・・・(↓).
ココだけはどうしても解き明かせませんでした(泣).
以上,プロとの0.2秒差を紐解くでした.纏めると0.2秒(厳密には0.22秒)の内訳は以下のようです.
S1の差(+0.16秒) ・・・ 私の1コーナーの突っ込みが甘い
S2の差(-0.11秒) ・・・ ドライビングスタイルの違い(好みに対するセットアップの差)
S3の差(+0.17秒) ・・・ ロガーデータじゃ分からないプロのワザ
S1の突っ込みはもっと腕を上げてからでないと危険がアブないので,ここの遅れは捨てます(S2終了時点で0.05秒遅れなら十分です).一方で,S3の0.17秒は取りにいきたいですね.どうすればそれを取りに行けるのか? 現時点では分かりませんが,引続き車載とデータを分析して,何とかヒントを見つけ出したいと思います.