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OX3832のブログ一覧

2023年04月24日 イイね!

POTENZAを履くS耐車両

POTENZAを履くS耐車両先月発生したHANKOOKタイヤの工場火災で21万本のタイヤが焼失し,その中にはレース用タイヤが含まれているという話でした.

そのレース用タイヤには日本向けのものもあり,富士24時間を控える(=タイヤをいっぱい使う)スーパー耐久(S耐)に影響が出るのではないか?と噂されていましたが,予想通りHANKOOK供給困難→サプライヤ変更→BRIDGESTONE(BS)供給という流れになりました.


既に2024年からはBSがS耐にタイヤを供給する事は発表されていましたが,「これはきっと布石だろうなぁ~」と思っていたら案の定な結果となりました.

とはいえ,準備期間はたったの1ヵ月.この少ない時間でGT3車両~コンパクトカーまで履ける多種多様なスリックタイヤをBSはよくも揃えられたな・・・と思ったら,なんとST-4(排気量1501~2400ccの2輪駆動車クラス)・ST-5(排気量1500cc以下のクラス)は「(スリックタイヤの供給目途がつくまで)POTENZAの市販ラジアル(RE-12D or RE-71RS?)を使う」のだそうです(それ以外のクラスはスリックタイヤを供給).



つまり,「スリック前提のS耐車両がラジアルタイヤを履いて走る」という事で,これはちょっと面白そうな話です.


何が面白いか?というと,スリック⇔ラジアルでどれくらいのタイム差があるのか?という点と,RE-12DやRE-71RSが果たして国際サーキットの耐久レースでもつのか?という点が窺い知れるからです.

1点目の「タイム差」に関しては,例えば富士スピードウェイにおけるST5クラスのコースレコードはこれくらいで(↓),



いかにレース専用車両とはいえ,排気量1500ccのクルマが2分5秒切りってとんでもないタイムな訳ですが,これがスリックタイヤによるものなのか? クルマのポテンシャルによるものなのか?がラジアルタイヤを履く事で窺い知れそうです.


2点目の「耐久レースでもつのか?」に関しては,「RE-71RSは摩耗が半分を超えるとガクッとタイムが落ちる」というガケのあるタイヤだそうなので,その辺りが本当なのか?を窺い知れそうです(RE-12Dはスプリントレース用のタイヤであり,ST4クラスの主力はGR86であるものの,現在のGR86/BRZ Cupの指定タイヤからRE-12Dが外れている事もあって使わないんじゃないかなぁ~?と個人的には思っています).




さて,そのST-4・ST-5ですが,どんなクルマが出ているのか?と調べてみると,

 【ST-4】
  ・GR86
  ・ロードスターRF

 【ST-5】
  ・フィット
  ・デミオ
  ・ロードスター
  ・ヤリス

といった車種のようです.個人的にはEF8に近いのでST5車両がやはり気になりますが,これらの車種が履いているタイヤ&ホイールのサイズは?と調べてみると,

 【ST-4】
  タイヤ   ・・・ 235/620-17
  ホイール ・・・ 9.0J-17

 【ST-5】
  タイヤ   ・・・ 190/570-15
  ホイール ・・・ 7.0J-15

との事でした.スリックタイヤのサイズ表記は「タイヤ幅/直径-ホイールサイズ」なので,これに該当しそうなRE-71RSを調べてみると,





この2サイズですかね? 値上げ直後なのでオーダーは落ち着いているとは思いますが,恐らくこの2サイズは今BSが全国からタイヤを搔き集めている気がするので,このサイズを使われている方は急いで確保に動いた方が良いかもしれませんね(笑).


最後に,タイヤサイズを調べるのにS耐の技術規則を探したのですが公式のサイトでは見当たらず,GAZOOのサイトから情報を得ました.ここでは丁寧に規則が纏められていたので,改めて読み返してみたのですが,へぇ~と思う部分があって新鮮でした.

例えば,車両重量は型式毎に定められていたり(↓),


(GAZOO:スーパー耐久ルール解説Vol.3 レース車両のパーツや車体の規定、タイヤ、燃料、車検などを解説より)


マニュアルミッションを搭載するために、同一車種のオートマチック車両の車体を使用することが許され、当該車体を最小限の範囲で改造してもよい
 → 同一車種なら輸出設定のみのマニュアルミッションを持ってきても可なのかな?

燃料ポンプは電動への変更が可能。エンジン稼働中のみに作動すること
 → キーONでポンプ回して与圧掛けちゃダメって事?

ピットレーン制限速度を自動的かつ電気的に制御するリミッター機能を備えていなければならない
 → 市販車ベースでこれってなかなかハードル高くない?(クルーズコントロール使うの?)

ホイールのオフセットは自由。スペーサーは禁止
 → FF車は前後でオフセット変えてるのかな?

・・・等々,レギュレーションをどう解釈し,どう改造しているのか?が結構気になりました.
あと中でも,これどうやって車検すんだ?と思ったのが,この規定(↓).

最低地上高として、車両の前後、または左右 1つの側面のタイヤの空気が抜けた際にも、車両のいかなる部分も地表に接してはならない

耐久レースで起こり易いパンクを想定した規定なんでしょうが,何mmじゃなく,「1本パンクしても路面と擦れない事」という考え方が面白いですね.


以上,S耐車両がPOTENZAを履くと聞いて,ふと思った事でした.

【2023.04.27追記】
ST-Q/ST-4クラスには,235/40R17のRE-12Dが供給されたようです.
Posted at 2023/04/25 19:32:01 | コメント(2) | トラックバック(0) | セッティング(タイヤ) | 日記
2023年04月21日 イイね!

シェブロンのお勉強

シェブロンのお勉強FL5がニュルブルクリンクのFF車最速タイムを記録」というニュースが流れてきましたが,最初見た時,「えっ!? あの反則級なメガーヌのタイムを超えたの??」とビックリしました.

よくよくニュースを読んでみると,メガーヌR.S.トロフィーRのタイムは2019年以降に制定された新計測方式の方で,おまけにFL5も軽量版の「TYPE R-S」仕様との事.「S」の詳細は明らかにされていませんが,FK8→FL5の伸び代を考えれば妥当な数値なんですかね?

ちなみに,ニュルブルクリンクの新旧の計測方式の違いは,最終コーナー部分を含むか? 含まないか?だそうで,コチラに詳しく纏められていました(新方式は含む).


さて,そんなFL5ですが,ホンダアクセスが昨年ドライカーボン製のリアテールゲートスポイラーを発表していました.当時は高額な事で話題になっていましたが,私は興味がなかったので「ふ~ん」で流していました.

最近になって,ふとしたきっかけでホンダアクセスが掲げる「実効空力(日常の速度域でも味わうことができる空力効果)」の話を目にして,少し興味が湧いたので調べてみたら,先述のスポイラーが出てきました.



この中で一番気になるのが,ウイング裏面に取り付けられたノコギリ歯形状の「シェブロン(↓)」.



曰く「直進から旋回に移った際,通常のスポイラーでは空力的に追従出来ない部分があり,左右輪のダウンフォースにズレが生じるのだが,(シェブロンを加える事で)旋回に対してスムーズにダウンフォースが発生するようになった」との事.この文字だけ読んでると何を言っているのかピンと来ないですが,意訳するとこういう事(↓)なんじゃないかと思います.

  ①直線を走っている時は,リアウイングには空気は真っ直ぐ当たるので形状通りのダウンフォースが出る
  ↓
  ②その状態からコーナリングを始めると,角度がつくのでリアウイングには空気が斜めに当たる
  ↓
  ③ウイングに対して斜めに空気が当たると,ウイング下面に空気がキレイに流れない
  ↓
  ④ウイング下面にキレイに空気が流れないとダウンフォースが減る
  ↓
  ⑤一番欲しいコーナリング開始時にダウンフォースが減るのは困る
  ↓
  ⑥ウイングに対して斜めの角度で空気が当たっても,キレイに空気を流したい
  ↓
  ⑦シェブロンを付けるとそれが出来る

ここで言っている「キレイに流す」というのは,「気流がウイングから剥離しない」という意味になりますので,「シェブロンを付けると気流が剥離しにくい」という効果を得られるのだと推測しています.


効果が何となく分かったところで,そもそも「シェブロン」って何なの?と調べてみると,「騒音低減のため,いくつかのジェットエンジンの排気ノズルの後縁部に使用される鋸歯状のパターン」だそうです(Wikipediaより).



・・・してそのメカニズムは?と更に調べてみると,「低減の物理的なメカニズムについては未解明の部分もあるが,排気流れに縦渦構造を積極的に導入することによるせん断層の混合促進効果や,衝撃波セル構造が明確に形成されない事による発生音低減効果などが要因と考えられる」そうなのですが,正直,何言ってるんだか,私にはさっぱり分かりません(笑).

図解の説明はないのか~?と更に探してみると,ようやくこんな図(↓)にお目に掛かれました.


(Gauss Centre for Supercomputing:Reducing Jet Noise with Chevron Nozzlesより)

左が通常のノズル,右がシェブロンノズルです.この両者の比較を化したのがこんなイメージ(↓).


(Gauss Centre for Supercomputing:Reducing Jet Noise with Chevron Nozzlesより)

上が通常のノズル,下がシェブロンノズルです.通常ノズル(上)の方は「ザ・ジェットエンジン!」という感じで勢い良く気流が後方に向かって噴き出していますね.これに対してシェブロンノズル(下)の方は途中で勢いが弱まってヘニャヘニャと気流が混ざっているような感じです.この「混ざり」がジェットエンジンの騒音低減には効果的なんだそうです.

騒音観点ではそれで良いとして,性能的にはどうなの?とよく見てみると(↓),



ノコギリ歯の直後の気流(赤丸部分)が中心方向に引き込まれている様子が読み取れます.従って,この図で言うと「通常は横方向に流れるはずの気流が,縦方向に引っ張られてノズルの形状に沿って気流が流れるようになった(剥離しにくくなった)」という事のが「シェブロン」の効果なんだと思われます.


こういう気流の剥離を抑制する装置としては「ボルテックスジェネレーター」が有名ですが(↓),


(三菱自動車テクニカルレビュー:ボルテックスジェネレーターによる空気抵抗低減の研究より)

「ボルテックスジェネレーター」は気流が真っ直ぐ当たっている時にしか,効果を発揮しないのに対し,「シェブロン」の方は気流が斜めに当たっても同様の効果を得られるというのが違いのようです.


なるほど.なかなか良さそうなデバイスですが,今回のFL5が自動車向けとしては世界初なのか?と調べてみると,エンジンルームの熱抜き用途でアンダーパネルに採用している事例(↓)とか,


(wonder driving:究極の空力性能! SiFo ルノークリオRS CUP試乗レポート(1)より)

ボディ一体のテールスポイラーとして採用した事例(↓)とか,




(ITmedia ビジネスオンライン:シムドライブのEV「SIM-CEL」、「突き抜ける加速感」でクルマの魅力を追求より)

他にも事例はあるようです.


最後に,「シェブロン」のデメリットはないのか?と調べてみると,先程のジェットエンジンの説明の中で「巡航時の圧力損失が増加する」というのを見つけました.これは先程の気流の絵を見れば分かる通り,エネルギーが全て横方向に排出されるのではなく,縦方向にも使われるので,イコール抵抗増加となるんだと思われます.

なるほど.だから「実効空力(日常の速度域でも味わうことができる空力効果)」なんですね.


以上,「シェブロン」のお勉強でした.
Posted at 2023/04/22 19:52:41 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(空力) | 日記
2023年04月19日 イイね!

プロはどこから0.2秒を拾って来たか?

プロはどこから0.2秒を拾って来たか?私⇔プロ間の比較で0.2秒差がどこでついたのか?は分かったのですが,どうにもS3で生じた0.17秒差の原因が分からないので,見方を変えて,プロが41.1秒→40.9秒に上げるのにどこで・何を変えたのか?を探ってみたいと思います(これで日光ネタは最後です).

比較するのはプロの5周目(41.199)と9周目(40.914).

 41.199 ・・・ S1:9.366 S2:18.288 S3:13.545
 40.914 ・・・ S1:9.256 S2:18.185 S3:13.473

概ね各セクターから0.1秒を見つけ出してきてますね.41.1秒を出した後,その後2周はタイムダウンしているので,この間で何かを掴んで次のLAPで纏めたんでしょうね.さすがです!


今回は動画を中心に見てみます.まずはS1から.



違いが出ているのは2コーナーのアプローチ.41.1秒(左)の方はインに巻き込み過ぎたのか? カウンターを当てています(↓).



このロスを削って0.1秒を拾って来たようですね.カウンターを当てているという事は「そっちの方が良く曲がっている」とも言える訳ですが,曲がり過ぎを抑えるのに,どういう風にドライビングを変えたのか?をロガーデータから探ってみると(青:41.1秒 赤:40.9秒),



1コーナーの進入で少しだけ突っ込みを抑えて(1つ目の緑丸),その分1~2コーナー間のブレーキは緩めて(2つ目の緑丸),帳尻を合わせつつ前傾姿勢も起きにくいようにコントロールして,カウンターを当てなくて済むようにしているみたいですね.これがプロならでは引き出し(技量)といった感じでしょうか.


続けてS2.



6コーナーでカウンターを当てる動作は両者変わらないのですが,当てるタイミングが違いますね.40.9秒(右)の方が早く当てて(↓),



戻し→再度切込みのタイミングも40.9秒(右)の方が早いです(↓).



つまり,「リアが流れるポイントがより手前に来るように修正する」事で,6コーナーへより早く切込めるようにし,ヨーを逃がさず,旋回する力に変えているという事なんだと思います.ただ,ロガーデータを見るとブレーキングを開始したポイントは全く変わらないので,これで一体どうやってリアの流れるポイントを手前に持ってきたんだ?と思い,フリクションサークルを見てみると(↓),



41.1秒(青)のボールはほぼ真っ直ぐ上に向かっているのに対し,40.9秒(赤)のボールは若干左斜めに向かっているのが分かります.つまり,横Gが弱い状態でブレーキングを開始するのではなく,更にステアリングを切った or アクセルを踏んだ,より大きな横Gが生じている状態でブレーキングを開始する事で,リアが流れるポイントを手前に持ってきたようです.

これがプロが言う「ステアリングを入れていくタイミングとか,ブレーキを入れていくタイミングとか」なんでしょうね.なるほど,なるほど・・・.


最後にS3.



ここは40.9秒(右)の方の10コーナーのカウンター量の少なさが目につきますね(↓).



このロスを生じさせないために,敢えて10コーナーのブレーキングで突っ込む量を抑えたようです.その結果,車体挙動の乱れが少なく→修正舵の量も少なく→ロスも少ない,という図式のようです.この辺りの「突っ込むべきところ」「引くべきところ」の見極めがプロならではといったところでしょうか.

たった7周(7回)のトライで,これら全てをタイムが速い方にアジャストし切るんですから,やっぱり

プロって凄ぇー! (゚ロ゚*) (゚ロ゚*)

・・・ってなりますね.


以上,プロはどこから0.2秒を拾って来たか?でした.

私はどちらかというと「抑え過ぎ」な性格なので,「突っ込むべきところ」は走ってて割と気づくのですが,「引くべきところ」は自分で気づかないんですよね.S3の遅れもその辺りにヒントがある気がするので,この辺りが判断出来るように鍛錬を積みたいと思います.
Posted at 2023/04/20 00:04:31 | コメント(0) | トラックバック(0) | プロの感想 | 日記
2023年04月18日 イイね!

プロとの0.2秒差を紐解く(後編)

プロとの0.2秒差を紐解く(後編)それでは後編です.前編は6コーナーの進入まできてちょうど半分.この時点でプロからは0.1秒の遅れですから,計算的にはピッタリ合う感じですね.

話が少し逸れますが,路面温度40℃のこの状況で,CR-Sがこれだけ周回してもタイムがさほど落ちない(せいぜい0.1~0.2秒)というのは意外でした.TC1000だともっと明確に落ちてきた気がするのですが,サイドウォールの剛性が高い分,横方向に酷使される分にはヘコタレない特性なんですかね・・・?

8~9コーナー



前回述べた通り,私(青)は7コーナーのエイペックス狙いで立ち上がっているので,高いボトムそのままに加速を続けられます.そこから8コーナーに進入する訳なのですが,ここでも2→3速への引っ張りでプロ(緑)の方が車速が伸びてますね.

そこからプロ(緑)は,シフトアップ操作が終わった左手がステアリングに戻る前に,もう切込みを始めています(↓).



当然シフトアップが終了した直後はアクセル全開な訳ですから,プロ(緑)はステアリング→アクセルOFFの順で操作して8コーナーに進入しているという事になります.一方,私(青)の方はアクセルOFFとステアリングが同時くらいです(↓).



なるほど.この操作の違いが8コーナー進入時の見解の違いに繋がっている訳ですね.プロはステアリング→アクセルOFFの順で操作してもフロントが入って行かないので「アンダーと感じる」のに対し,私の方はアクセルOFF→ステアリングの順で操作するのでフロントが入って行くのを感じながらステアリングを切り込むので,「アンダーと感じない」という訳ですか・・・.

これは難しいな.8コーナー進入時のクルマの姿勢がプロと私とでは違うので,解決策としてアドバイス頂いたトーアウトが,私のドライビングスタイルとマッチするかどうかは分かりませんね.実際,プロは切り込んだ後がアンダーなので,アクセルOFFの時間が長いですが,私は逆にアクセルを全OFFする必要がなく,10~20%くらいアクセルを開ける余裕が残っているんですよね(↓).


(↑8コーナー進入でアクセルOFFした後,車速の落ち方が私の方が鈍いのは,微妙にアクセルを開けているから)

言い替えると,全OFFすれば私はもっと曲げられるので,私にとってはココは全然アンダーじゃないんですよ.じゃあ,私のドライビングの仕方が間違っているのか?というとそんな事はなく,9コーナーの立ち上がりは私(青)の方が車速が伸びてます(↓).



車速が伸びた結果,ここでプロからの遅れは0.05秒差まで縮まっているので,私の走らせ方も間違いではない気がします.う~ん・・・これはドライビングスタイルの違いかなぁ~? トーアウトを採用すべきかどうかは悩ましいですね.

ちなみに,8コーナー進入時の車速の落ち方が私の方が大きい(=プロの方が車速が伸びてる)理由は何なのかな?と思い,ライン取りを見てみたところ(↓),


(↑は色が変わって,赤:プロ,青:私です)

最初の切り始めは前述の通りプロ(赤)の方が早いのですが,切り込みの量自体は少なく,逆に私(青)の方が一気に切り込んでいるようです.つまり,操舵抵抗がプロ(赤)の方が小さく,それ故に車速が伸びていたという事のようです.言い換えれば,これは「私は8コーナー進入で速度を落とし過ぎ」という事で,実際,上のライン取りを見ると8コーナー出口は外側の縁石に寄せ切れていませんし,もっとボトムは上げられたようですね・・・(これがこのラップでS2:18秒を切れなかった理由かなぁ~?).


10~11コーナー
さて,ここまででプロとの差は0.05秒.かなりイイ感じなのですが,残る最後のS3でプロに突き放されます.まずは10コーナーのブレーキング(↓).



ここは今回,私は意図的に10コーナーのRに沿ってブレーキングをするのではなく,改修前の直角コーナーだった時代の10コーナーと同じようなアプローチをしてみました.何を言っているか?というと,



右(イン側)に寄せながら緩くブレーキング(青線)をするのではなく,真っ直ぐ行ってドーン!と1発短く・強くブレーキングをして,そこからスパッ!とステアリングを切り込む(赤線)ようにしました.こっちの方がタイヤを縦と横で分けて使えるので,ブレーキング時にタイヤがロックしにくく,車速の落ちも早いので3→2速へのシフトダウンでオーバーレブしにくいと思ったためです(前回は結構ココのダウンシフトでレブに当てていた・・・).

加えて,スパッ!とステアリングを切った後にタイヤに余力が残っているので,アクセルも開ける事ができ(↓),



これによって,6コーナー進入時と同様に,強大なヨーを発生させてリアの破綻を誘う事が出来ると思ったからです.実際,今回は11コーナーの手前でリアを振り回す事が出来るようになり,角度調整(クルマの向き合わせ)が随分と楽になりました.

これがこのクルマの正解でしょ!と内心では思っていたのですが,しかし,プロは全く違う走らせ方をしていたようです.まずコメントにもあった通り,「10コーナーではハードブレーキをしない方が取り分があった」ようで(↓),



プロ(緑)はユルユルと10コーナーのRに沿ってブレーキングをしており,全体的に車速の落ちが鈍く,瞬間的に0.2秒差まで突き放されました.そこからブレーキングを終えた後,10~11コーナー区間は私(青)の方がアクセルを踏んでいるので,旋回速度が高い分,再び0.1秒差まで詰め寄れるのですが,トータルで見ればこのセクションだけでプロから0.05秒遅れてしまう結果となっています.それでも「これら全ては11コーナーを早く駆け抜けるため!」と思っていたのですが,ここでプロの技量を思い知らされます・・・.


11~12コーナー
先に両者のライン取りを示します(↓).


(↑は赤:プロ,青:私です)

これを見ると,私(青)の方がプロ(赤)よりも11コーナーに対して外側からアプローチし,クリッピングポイントをエイペックスの手前に持って来れているのが分かると思います.その結果,切り返しの12コーナーに対して浅い角度で進入する事も出来て,ここのS字をなるべく直線的に立ち上がる事ができ,ホームストレートで車速が伸びそうな気がするじゃないですか?

違うんですよ・・・

プロ(赤)の方がライン的に苦しそうに見えるのに,アクセルをなかなか踏めなそうに見えるのに,プロの方がボトムも高くて,早くアクセルが踏めているんです(↓).


(↑は色が変わって,緑:プロ,青:私です)

これのせいで再び0.2秒まで差を広げられ,この差が40秒台(プロ)と41秒台(私)という大きな違いを生んでいるんです.一体なぜ? プロはココで何をやった??という感じです.

(―‘`―;)ウーン…

ここで再びプロのコメントを読み返してみると,私が「11コーナーのアンダーが気になりませんか?」と聞いているのに対し,「いや,気にならないよ(=出てない)」と仰っています.そして「ステアリングを入れていくタイミングとか,ブレーキのタイミングとか(が間違ってるんじゃない?)」とも仰っています.

一体何が間違っているんだー!?とデータを見返してみると,気になったのがこのポイント(↓).



プロ(緑)はアクセルを開けて加速体勢に移っているのに,私(青)はアクセルを踏もうとしたらガクッと失速しています.このポイントはどこだ?とライン取りを確認してみると,ちょうど11コーナーイン側の縁石を降り始めた辺りから(↓),



完全に縁石を降り切った辺り(↓).



えっ!? ここで何で失速するの・・・?? 理由が分からないので車載を何度も見返してみましたが,車速が落ち切るのを待ってからアクセルを踏んでいるようにしか見えず,おかしな点が見当たりません.

( ˘•ω•˘ ) ウーン…

ここで考え方を変えて,私がミスをしているのではなく,プロが何かしらのワザを使ったと捉えてプロの車載を見返してみると,気になるポイントが2つありました.


1つ目は,11コーナー進入時のカウンター(↓).



コレ,左側のフリクションサークルを見ると,アクセルを開けながら(加速しながら)カウンターを当てているんですよね・・・.FRならばともかく,FFで一体どうやったらこんな事が出来るの??


もう1つは,11コーナーでアクセルを踏み始めるポイント(↓).



手前でカウンターを当てないといけないくらい,向きが変わっているからこそだと思いますが,11コーナーの縁石にのる手前から,もうアクセルを開け始めているんですよね・・・.こんなトコから開け始めれば,そりゃ出口で12コーナーに寄って行くようなライン取りになるのも納得なのですが,どうしてココから踏んで曲がれるんだ!?

_| ̄|○lll ワカラン…

ヒントはプロの右足の動きにあるような気がするのですが,ちょうど手で隠れて見えないんですよね・・・(↓).



ココだけはどうしても解き明かせませんでした(泣).


以上,プロとの0.2秒差を紐解くでした.纏めると0.2秒(厳密には0.22秒)の内訳は以下のようです.

  S1の差(+0.16秒) ・・・ 私の1コーナーの突っ込みが甘い
  S2の差(-0.11秒) ・・・ ドライビングスタイルの違い(好みに対するセットアップの差)
  S3の差(+0.17秒) ・・・ ロガーデータじゃ分からないプロのワザ

S1の突っ込みはもっと腕を上げてからでないと危険がアブないので,ここの遅れは捨てます(S2終了時点で0.05秒遅れなら十分です).一方で,S3の0.17秒は取りにいきたいですね.どうすればそれを取りに行けるのか? 現時点では分かりませんが,引続き車載とデータを分析して,何とかヒントを見つけ出したいと思います.
Posted at 2023/04/18 00:09:55 | コメント(0) | トラックバック(0) | プロの感想 | 日記
2023年04月17日 イイね!

プロとの0.2秒差を紐解く(前編)

プロとの0.2秒差を紐解く(前編)前回のコメント編に続き,今回はどこでプロが0.2秒を稼ぎ出してきたのかをロガーデータを中心に分析してみたいと思います.

比較対象はプロに乗って頂く30分前に出した自己ベストのデータ.コンディションの違いは,気圧で+0.4hPa,気温で-0.3℃,湿度で+5%とほぼ誤差レベル.厳密に言えば私の方が優位なので全く言い訳の出来ない状況ですね.純粋に腕の差でこの0.2秒が生まれています.


では,1つ1つ細かく見ていきましょう(緑:プロ 青:私).

1コーナー進入



いきなりプロ(緑)に大きく引き離されていますね.プロ(緑)の方が車速が3.6km/hも高いです.この差はスタートライン通過時から生じているので,最終コーナーの立ち上がりから差が生じているのか?と思い,グラフの右側に目を向けるとプロ(緑)は一直線に車速が伸びているのに対し,私(青)は段付きになっていますね(↓).



「ああ,これは・・・」と思い,車載を確認してみると(↓),



やっぱり.プロのシフトアップインジケータは「レッドランプ」になっています.一方の私は(↓),



「グリーンランプ」になっています.つまりプロは+400rpm程度,2速で引っ張っているという事ですね.この差が違いを生んでいるようです.ただ,3.6km/hの速度差が生じた理由はそれだけでなく,ブレーキングの開始ポイントもプロの方が奥のようです.

【プロ】


【私】


電光掲示板との位置関係を見れば一目瞭然ですね.距離にして約9m程度はあるでしょうか.ほぼ2車身分くらいですからかなりの差ですね.つまり私は「1コーナーの突っ込みが甘い!」という事なのですが,コレ,なかなか難しいんですよねぇ・・・.

というのも,1コーナーでこの辺りまで突っ込んでしまうとステアリングを左に切りながら~,ブレーキを踏みながら~,シフトダウンしながら~,ヒール&トゥを決める!という両手・両足の操作を全て同時に行う必要が出てきます.コレ,アマチュアにとっては滅茶苦茶リスキーで,1個でも操作を間違えるとこうなります(↓).



まぁ「間違えなければいい」と言われればそれまでなのですが,私はプロじゃないので自分の技量をそこまで信用出来ません.無理なもんは無理と割り切って,最近は突っ込まなくてもタイムを縮められる方法を探っていたのですが,やっぱり40秒台に入れるにはコレが必要なんですねぇ・・・.

う~ん,あんまり気が進まないのですが,避けては通れなさそうなので,上手くやるためのヒントが何かないかなぁ~?とプロの車載を見返してみると,



うわっ! ヒール&トゥ後のシフトアップインジケータが「グリーンランプ」だよ.これってプロでもシフトダウンで回転数が8000rpmを超えてしまっているって事じゃないですか(=減速時間が足りてない).やっぱりここまで突っ込むと操作に使える時間が短過ぎんだよ・・・と思いつつ,スロー再生をしていて1つ気づきました.







あっ! シフトダウンのために左手を放す直前,プロはステアリングを一度真っ直ぐに戻してる! これによって同時に行う操作を1個削っているんですね(=ヒール&トゥ中はステアリングを切らない).なるほど.これが短い時間で全ての操作を成立させるためのワザなのか.これは1つ勉強になりました.

・・・と,いきなりコーナー1個で情報量過多ですが,このコーナー1個で0.3秒の差がついてしまっているので,今回は詳しく見てみました.


2~4コーナー



1コーナーのアプローチが異なるので,2コーナーの走らせ方も変わります.私(青)の方は1コーナーで強く・短く止めた後,一度アクセルを踏んで2コーナーにアプローチしています.このため,エンブレが良く効くのでフロントタイヤの縦のグリップに余力があるようで,その余力を横のグリップに割り振り,2コーナー通過時点のボトムスピードは私(青)の方がプロ(緑)よりも高くなっています.これによってブレーキを残し続ける必要のあるプロ(緑)に対し,私(青)の方は高いボトムスピードのまま加速体勢に移行出来ているようです.この結果,3~4コーナーの通過速度は私(青)の方が高くなっています(↓).



これでプロからの遅れを0.16秒まで縮めています.これが私なりの「突っ込まなくてもタイムを縮められる方法」なんですが,トータルで見るとプロのやり方の方が速いようですね・・・.


5~7コーナー



車速で見ると,5コーナー~6コーナー進入にかけては両者に差がないように見えるのですが,実は両者のラインは全く異なります.


(色が変わって,赤:プロ 青:私です)

プロ(赤)の方は,5コーナーのエイペックスにつくために若干アクセルを戻しつつ,そのまま最短ルートで6コーナーへと進入していくのですが,私(青)の方は5コーナーのエイペックスは無視して,4コーナーの立ち上がりからアクセル全開! 外側に膨らんでいくのも構わずアクセルを踏み続けています.6コーナーへのアプローチの仕方が全く異なるのに,これで速度は同じというのが非常に面白いですね.

ちなみに,なぜ私(青)は5コーナーを無視しているのかというと,6コーナーに進入する前(ブレーキングを開始する前)にクルマの向きを変えたかったからです.FF車がブレーキを使わずにクルマの向きを変えるためには,強大なヨーを発生させてリアを破綻させるしかありません.そのため,意図的にステアリングを切った状態でアクセルを踏み続けました.


(↑1G以上の横Gを3秒間出続けています)

これによって,6コーナーに対して巻き込むような動きを作る事ができ,ブレーキによるクルマの角度(向き)の調整を「6コーナーでインに寄るため」ではなく,「7コーナーのエイペックスを狙うため」に使えます.結果,プロ(緑)よりも5km/h高い速度で6コーナーを旋回する事が出来ているようです.言わば「距離よりも速度を重視した」走らせ方ですね.

これのおかげで,1コーナーでついたプロとの差を0.1秒まで縮める事が出来ました.


ここまででようやく半分といったところなのですが,既にブログが長くなってしまっているので今回はここまで.
次回に続く)
Posted at 2023/04/17 00:36:17 | コメント(0) | トラックバック(0) | プロの感想 | 日記

プロフィール

「サイドドラフトを使ったオーバーテイク http://cvw.jp/b/1684331/48478095/
何シテル?   06/09 22:35
GPSロガーを使ってクルマとドライビングを改善しながら,B18C搭載のCR-XにB16AのCR-Xで挑んでいます. TC2000 1'07.4/TC1000 ...
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[ホンダ シビックタイプR]SPOON ツインブロックキャリパー 
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2025/04/28 00:41:13
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愛車一覧

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