2015年05月04日
無常な日常(たまには国際金融情勢)
いよいよ地中海の某国が財政的に行き詰まろうとしています。過去数字を操作して他国を欺き国家財政を良く見せかけて低金利でお金を海外から借りたものの、それを国民が贅沢をするために返すアテも無いまま使い果たしてしまいました。それで返済にアップアップとなり結局はIMF(国際通貨基金)やECB(欧州中央銀行)などに泣きついて返済条件その他を猶予してもらったり債権も一部カットして頂いたのですが厳しい緊縮財政の持続(これが条件)に音をあげて昨年の総選挙でポピュリズム政党(に見えるゾ)を選んでしまいました。それ以来、国とIMF/ECBとの仲は険悪化しつつ国家財政は緊迫化し国庫が空になる日が近づいています。借りたカネを返さないのが「デフォルト」ですが、この恥ずかしい行為を余儀なくされる時間的限界はあと少し。一時ユーロからの脱退をほのめかし当局を手玉に取ろうとしたツケが回ったとも思えますが今では逆に追い出されるリスクが増大したかに見えるので自業自得か。最近天敵のロシアにまで行脚したのがユーロ当局者の逆鱗に触れたとか聞いてます。(ロシアは原油安でカネを出す余裕などとっくに失われているのですが....逆効果でした) GW後に世界の株式市場にある程度混乱が訪れても仕方ないかも。もっともデフォルト予想はこれが初めてでは無く今まで何度も噂されてきたのである程度シミュレーションも進み実際にギブアップ宣言が出ても、それが他国を巻き込んで金融不安が世界的規模に拡大するリスクはかなり限られていると見るべきでしょう。前回も近隣地中海諸国の国債がかなり売り込まれましたが今回はほぼ一国に限定されています。オオカミ少年と揶揄される所以(ゆえん)です。もうこの国のデフォルトとユーロ脱退などを恐れる勢力は少数化している、ということです。
今月6日と12日に10億ユーロほどをIMFに返済するのですがこれを何とかやりくり出来たとしても、7~8月にはECBが現在保有している国債約70億ユーロの満期到来でどうやら万事休す(満期返済出来ず)となるシナリオが有力です。今週の返済が無ければECBが彼の国の銀行向けに貸し出している流動性資金の担保掛け目(ヘアカット率)を拡大してアウトとなりますから国中から資金をかき集めてでも何とか返済するでしょう。問題はその先にありますが、やがては強気の態度から軟化せざるを得ないでしょう。
もしIMFやECBがデフォルトと認定するとクロスデフォルト条項により欧州救済基金など優先返済順位がより下位の債権者もデフォルト宣言出来るようになるばかりか、アクセレレーション条項によって債権の残り全部を直ちに支払うよう要求可能になります。これに他の貸し手もフォローしてくることが予想出来ます。もっとも借り手に返すカネが無い訳なのであまり意味が無いのですが金融の世界では十分に辱めを受けることとなります。また今後は海外から資金を借りることもままなりません(借りたカネを返さない国に貸す金はどこにもありません)。 将棋で言えばもう詰んでいます。その先はイバラの道ですが、「始めに贅沢を楽しんだ」点を見逃した議論は許されませんから同情は集まらないでしょう。総選挙後あんなに手のひらを返して強硬な姿勢を貫き通した対価を支払う番が来るってことです。欧州の混乱を見るにつけ、例の蟻とキリギリスの話が思い浮かぶんですよね。欧州の南北問題は実に根の深い話です。
*その国の公的債務は3,100億ユーロ(約42兆円)、政府に準ずる機関や銀行の海外借り入れなどいろいろ含めると約5,000億ユーロ(約67兆円)となる模様。もっとも我が国の彼の国へのエクスポージャーはかなり少ないので皆様ご安心を。
*こんな事書くよりも車に火入れして近くを飛ばした方が気分が良いのは十分に分かってますけど、世界の現実を忘れてちゃその内に痛い目に遭うゾという自戒の独り言です。(^^ゞ
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Posted at
2015/05/04 22:02:20
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