2016年03月20日
無常な日常(今後のAMGについての考察ーその2)
今回は世のAMG乗りに些細な諍(いさか)いを引き起こした罪深い(?)M133エンジン搭載車について不肖ワタクシも乗っている以上ささやかな解説と弁護を試みたいと思います。
大体AMG車というのは伝統的な考えでは市販のメルセデスに対し大排気量、高馬力にハイチューンしたエンジンを搭載し、それに見合った制動力と足回りにチューンして造り上げられて来ました。行き着いたあげくは市販車が3リッターならば倍の排気量、馬力も倍以上のエンジン(やや誇張あり?)となりさらにはターボやスーパーチャージャーも追加してしかも外観は近年ではあまり市販車と変わらない「羊の皮を被った狼」的なラインを狙って一部のエンスーをうならせてきた訳です。(ここで重要だったのは5リッターとか6リッターのエンジン、という部分です)
しかし一方で近年の「ダウンサイジング」は着実に時流として進化してきました。VWが音頭を取り欧州で主流となったこのダウンサイジングにAMGが本気で取り組んで出した答えが4気筒+ターボのM133エンジンでした。慣れ親しんだV8ではなくV6ですらない4発の2リッターエンジンでターボは何と低速からトルクが出るように設計されていて最大360馬力を絞り出す新世代エンジンはそれ迄と比べ実に斬新なものでした。AMGがフラットトルクカーブのターボエンジンを出してくるとは全く逆転の発想でした。ターボを最大出力のプッシュアップ用ではなく低回転時のトルクの底上げ用にチューンしてきたのです。360馬力の大出力はそれはそれでスゴイのですが(今でも同排気量で市販車中最高馬力を誇りますし昨秋からは381馬力までアップしました)、むしろAMGが小排気量小気筒という世のダウンサイジング・エンジンと同じ思想で超高性能エンジンを作り上げた処が非凡であったと個人的には思っています。
さてその結果ですが45シリーズ発表当初こそ旧来のAMG乗りからは「なんだ4気筒か」「こんなのAMGじゃない」と陰口をたたかれたものの、やがてM133エンジンがその年の「エンジン・オブ・ザ・イヤー」をそのクラスでぶっちぎりの一位で獲得するに至り世の認識を改めさせました。「これは実は新しい世代のAMGエンジンの嚆矢(こうし)であったか」と。報道が発表された時に中古車市場のA45 ED1(発売台数が多く当時はかなり市場にだぶついていた)があっという間に消えた事実がそれを如実に示しています。それ以来このクラスで二位をずっと引き離して一位を守っています。他の旧来AMG車同様に高出力でありながら、しかしそれまでは犠牲となっていた経済性にも優れたエンジンはまさにこれからのAMGの王道ラインナップと言えます。好燃費なのは2リッター+ターボなのですから当然ですが今ではフラッグシップのAMG-GTですら4リッター+ターボと立派にダウンサイジングを果たしているのでM133搭載車も十分世の中に認知されたものと思いますゾ。
高性能&好燃費が今後のAMGエンジンのキー・ワードとなりました。数年後にはM133の後継エンジンが出てくるでしょうが、ほぼ同馬力で排気量が2割近く減っていたとしても皆さん驚かないで下さい( ; ゚Д゚)。独アファルターバッハのAMG本社では日々改良を加え良いエンジンを世に問おうと懸命に研究しているのです....(最終回に続く)
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独り言 | クルマ
Posted at
2016/03/20 20:40:52
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