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オクムラのブログ一覧

2019年02月24日 イイね!

医療シリーズ(第5回 乳癌の薬物療法)

久し振りの医療ブログです。

何度か講習会があってレポートは書いているのですが、ブログ用に書き換える余裕が無くてアップしていませんでした。

このままじゃイケナイと思うのですが、やっぱり時間的に無理。。。

ならば「そのままアップしてしまおう!」と開き直りましたw

昨日は乳腺外科の医師の講習会を受けたので、その内容をご紹介します。


乳癌の治療は、外科治療が中心となり、薬物療法や放射線療法が行われている。

薬物療法は病期によって目的が異なる。

「初期治療(初めて乳癌になった人の治療)」は転移や再発をさせない事であるが、「転移・再発に対する治療」は、転移・再発の乳癌の治癒が困難であり(10年生存率5%、20年生存率2.3%)治療を長く続けることが目標となる。

薬物治療の選択肢は、乳癌の細胞にホルモン受容体があるか・ないか(陽性・陰性)、HER2(というタンパク質の)受容体があるか・ないか(陽性・陰性)の4グループに分けられる。

①ホルモン受容体陰性(ER:エストロゲンレセプターとPgR:プロゲステロンレセプター)、HER2陰性のタイプは、トリプルネガティブ(TN)と呼ばれ、化学療法(抗癌剤)のみが有効である。 

(1)アンスラサイクリン系 + シクロフォスファミド(EC療法) 

(2)タキサン系 + シクロフォスファミド(TC療法) 

(3)アンスラサイクリン系 + タキサン系  

●副作用の催吐性(嘔吐を誘発する)リスクについて

(1)EC療法は高度

(2)TC療法は中程度

これは、シクロフォスファミドの副作用によるものである。

EC療法のシクロフォスファミドの量 > TC療法のシクロフォスファミドの量 

催吐性リスクの対策:「イメンド(内服)」+「 5HT3受容体拮抗薬(点滴)」+ 「ステロイド(点滴と内服)」

ステロイドには血糖値の上昇や不眠などの副作用があるので、乳癌治療においてはステロイドの内服は必須とされていない。

●TNの術前化学療法(NeoAdjuvant Chemotherapy:NAC)と術後化学療法の考え方

手術前に全身の癌に対する治療をした方が、生存率が上昇すると予想されたが、生存率は上昇しなかった。

腫瘍を小さくして乳房温存術をしやすくするという意見もあるが、そんなケースはあまり多くはない。

「化学療法の治療効果がすぐに分かるので良い」という意見には、効果がなかった場合に患者にメリットがあるのか?と疑問であった。

1年半ぐらい前の臨床試験で、TNでNACの効果がなかった患者群に抗癌剤「ゼローダ」を投与したら、再発率が30%もダウンする結果が出たが、日本では未だに適応未承認であり、保険適応外である。

中外製薬の保険適応の変更申請が遅れているのは、昨年末に発売された後発品(ジェネリック)による利益低下が予想され、積極的に販売する意志が低下しているのではないか?との憶測もある。

術前化学療法を積極的に勧めるエビデンスは、乏しいと言わざるを得ない。


②HER2陽性・ホルモン陰性タイプの薬物療法

「ハーセプチン + パージェタ」を、化学療法(3)「アンスラサイクリン系 + タキサン系」に追加する。

腫瘍が2cm未満であり、リンパ節転移が無いケースには、アンスラサイクリン系を削除しても治療効果の減少は認められなかった。

薬物治療のスモール化が流行ってきている。


③ホルモン陽性・HER2陰性タイプの薬物療法

術後化学療法の後にホルモン療法を行うが、リスク群によっては化学療法は必須ではない。

遺伝子検査である「oncotype DX」(乳癌の腫瘍サンプルから21個の遺伝子を評価し、高リスク群、中間リスク群、低リスク群に分類する)で中間リスク群において、「ホルモン療法のみのグループ」と「化学療法を追加したグループ」の再発率に差はなかったので、「化学療法は高リスク群のみに必要である」と結論付けられている。

ただし、この検査はアメリカの会社が特許を持っており、アメリカに細胞を輸送する必要がある。

自己負担で40万円かかる(保険適応外)。

患者に気軽に勧められる検査ではなく「高額な占い」と言っている医師もいる。

●ホルモン療法:
(4)閉経前は「タモキシフェン(ノルバデックス)」を10年投与する。

副作用に子宮への影響があるが(子宮体癌など)、閉経前はこのリスクが上昇しないという報告がある。

血栓症も稀な副作用である。

(5)閉経後は「アロマターゼ阻害薬」を5~10年投与する。

副作用に骨粗鬆症、関節痛があるので、副作用と相談しながら投与期間を決める。

(4)と(5)に共通の副作用は、ほてりや発汗などの更年期症状である。


④ホルモン陽性・HER2陽性タイプは

「化学療法」&「ハーセプチン + パージェタ」&「ホルモン療法」を行う。


※最新の遺伝子診断

BRCA遺伝子の変異が陽性な場合、生涯に乳癌を発症する確率が50%に達する。

アンジェリーナ・ジョリーがBRCA遺伝子変異陽性で、予防的に乳房を切除した。

日本ではBRCA遺伝子変異を調べる検査は、「乳癌が再発したHER2陰性患者」にしか保険適応されておらず、自費で行うには20万円かかる。

また、予防的に乳房を切除することも保険適応外であるので、今のところ日本で普及する見込みはない。


所々、わかりづらい表現があるかとは思いますが「乳癌の治療ってこんな感じなんだ」と感じて頂ければと思います。
Posted at 2019/02/25 19:52:47 | コメント(1) | トラックバック(0) | 医療系 | 日記

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