2024年07月27日
生存報告を兼ねて、7/27に受講した研修会のレポートを記載します。
アトピー性皮膚炎の基礎
● アトピー性皮膚炎の生理
①皮膚の生理機能異常(フィラグリン、抗菌ペプチド、セラミドの減少)
②抗原の侵入
③免疫学的要因(Type2炎症反応亢進によりTh2細胞、ILC2細胞の増加)
④サイトカイン(IL-4、IL-13、IL-31など)放出
⑤かゆみ
⑥炎症性メディエーターの増加 → ①へ戻る。
● フィラグリン
角質層のバリア機能を形成している。分解されて皮膚の保水、紫外線吸収、皮膚表面のpH(弱酸性)の維持、外界の微生物からの防御を行っている。アトピー性皮膚炎患者の30%に遺伝子変異がみられる。年齢とともに改善する傾向がある。
● 抗菌ペプチド
汗に含まれる成分。細菌やカビの増殖を防ぐ。気温上昇により細菌やカビの増殖力が高まるが、健常な皮膚では適度な汗をかいて抗菌ペプチドが働き、皮膚感染症を抑える。アトピー性皮膚炎患者は汗が出にくく、細菌やカビに感染しやすくなる。黄色ブドウ球菌は健常な皮膚には検出されないが、アトピー性皮膚炎の皮膚には常時検出され、皮膚炎を悪化させている。
● セラミド
皮膚の表面にある角層の細胞と細胞を接着し、皮膚バリアを強化している。アトピー性皮膚炎患者では先天的に酵素異常がみられ、セラミドが減少している。
● Th2(ヘルパーT細胞タイプ2)
ヘルパーT細胞は、抗原の種類によってTh1細胞になるか、Th2細胞になるかが変わる。
Th1細胞は、細菌・ウィルス担当でB細胞へ「どんな敵なのか」を知らせ、抗体を作るよう指示を出す。この時に分泌するのがIFN-γ(インターフェロン-ガンマ)。更にキラーT細胞やNK細胞、マクロファージを活性化し、細菌やウィルスを食べ殺したり(貪食)、消化酵素などで殺す。
Th2細胞は、花粉やダニ、ホコリなどのアレルゲン担当で、B細胞を活性化させて抗体を作るよう指示を出す。この時に分泌するのがIL-4(インターロイキン-4)。
普段は、どちらか一方の反応が過剰にならないように、IFN-γとIL-4がお互いの働きを抑制し合っているが、アトピー性皮膚炎患者はTh2細胞が過剰になりアレルギー反応が活性化する。
● ILC-2細胞
ILC(自然リンパ球)はTh細胞とは異なり、抗原の認識なしに活性化する自然免疫系の細胞。グループ1~3に分類され、 グループ2のILC-2細胞はアレルギー反応に深く関わっている。
● サイトカイン
炎症の重要な調節因子であり、細胞から分泌される低分子タンパク質の総称。侵入した病原体に応答して産生され、免疫細胞を刺激、動員、増殖させる。インターフェロン(IFN)、インターロイキン(IL)、腫瘍壊死因子(TNF)、ケモカインなどがある。アトピー性皮膚炎患者にはIL-4、 IL-13、IL-31などが関与している。
● かゆみ
アトピー性皮膚炎患者が自覚する最もつらい症状の1つ。皮膚をひっかくと、さらにかゆみが増強し、皮膚が傷ついてバリア障害が高まり、炎症やかゆみを悪化させる悪循環(Itch-scratchサイクル)に陥り、アトピー性皮膚炎の症状が長引いて、増悪する原因となる。IL-4やIL-31が関係。特にIL-31はかゆみを伝える末梢神経に作用してかゆみを発生させるだけでなく、末梢神経を表皮まで伸長させてかゆみに対する閾値を下げることで、かゆみ過敏状態にさせる。
● 炎症性メディエーター
損傷した細胞、炎症部位に浸潤した白血球や肥満細胞、マクロファージなどから放出される生理活性物質。
● 食物アレルギーは、アレルゲンが皮膚接触することに由来する。イギリスで乳幼児のピーナッツアレルギーが多かったが、この原因は乳児にピーナッツオイルを塗る習慣が原因。「茶のしずく石鹸」によるアレルギーは、石鹸に含まれる加水分解小麦が皮膚から吸収され、小麦アレルギーを引き起こした。
●アトピー性皮膚炎の治療
① スキンケア : 皮膚の清潔を保ち、うるおいのある状態を保つ
② 環境整備 : 環境中の悪化因子をみつけ、可能な限り取り除く
③ 薬物治療 : 皮膚の炎症を抑える治療(抗ヒスタミン薬の効果は限定的)
<外用薬>
● ステロイド外用薬が治療の基本。副作用の免疫抑制、成長障害、血糖上昇などは全身投与(内服や注射)で使用した場合であり、外用ではリスクは無視できる程度。色素沈着は副作用ではなく、皮膚の炎症が長く続いたことが原因。長期使用により皮膚が薄くなったり、ニキビなどの局所的な副作用が出現する。
● タクロリムス水和物軟膏(2歳以上)は、リンパ球の局所活性を抑える。プロトピック軟膏とそのGE薬が販売されている。
● JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬は、サイトカイン(IL-4やIL-13など)が細胞に情報を伝える経路「JAK/STAT(ジャック・スタット)シグナル伝達経路」を阻害する。JAKはチロシンキナーゼと呼ばれる蛋白質のグループで、JAK1~3とTyk2の4種類が存在する。デルゴシチニブ(コレクチム軟膏)のみが販売されている。
● PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害薬はcAMP濃度を増やす。cAMPの濃度は、免疫細胞からのサイトカイン分泌促・抑制に関わっており、cAMPの濃度が低下するとサイトカインの分泌が亢進する。cAMPを分解する酵素がPDE4であるが、アトピー性皮虞炎患者はPDE4の活性が高く、cAMPの分解が亢進しcAMPの濃度が低下、炎症反応が亢進している。PDE4を阻害し、細胞内のcAMPの濃度を増加させて炎症反応を抑制する。ジファミラスト(モイゼルト軟膏)のみが販売されている。
※ 外用薬は長期継続が必要。皮膚の表面上は炎症が収まっていても、皮膚の下層では炎症が残っていることが多いので、中止すると再燃しやすい。
<経口薬>
● 経口JAK阻害薬 : 外用薬などの治療を行っても難治な場合に使用可能。
① バリシチニブ(オルミエント)JAK1/JAK2を阻害する。腎代謝。
② ウパダシチニブ(リンヴォック)JAK1を阻害する。肝代謝。
③ アブロシチニブ(サイバインコ)JAK1を阻害する。肝代謝。
<注射薬>
● 皮下注JAK阻害薬 : 外用薬などの治療を行っても難治な場合に使用可能。
① デュピルマブ(デュピクセント)IL-4とIL-13を阻害する。2週毎に皮下注。
② ネモリズマブ(ミチーガ)」IL-31を阻害する。4週毎に皮下注。かゆみに特化している。
③ トラロキヌマブ(アドトラーザ)」IL-13を阻害する。2週毎に皮下注。目への副作用が少ない。
④ レブリキズマブ(イブグリース)」IL-13を阻害する。2週毎に皮下注だが、症状が安定すれば4週毎に減量も可能。
RA治療薬の有効性・安全性
● 関節にある滑膜で炎症を起こし、その炎症が骨を溶かし、骨の再形成が不完全な形で行われる疾患。発症早期の2年間に最も関節破壊が進むので、早期治療が重要。心血管イベントの相対リスクが高くなり、予後が不良となる。肺にも炎症を起こしやすく、間質性肺疾患を起こしやすい。気管支拡張症も合併しやすい。
● 治療あるある
① 10代 : 痛みが治まると勝手に治療をやめる。悪化して帰ってくる。
② 20代 : 予想外の妊娠が多い。ただし、不妊率は健常人より少し高い。催奇形性があるメトトレキサートは妊婦には使えないので、生物学的製剤を使う。
③ 50代 : 内科的疾患を合併することが多い。
● 抗リウマチ薬
免疫異常を抑えて関節の炎症や活動性を抑制する。効果が出るまでに平均2~3か月程度かかかる。効果には個人差があり無効例もある。有効であっても長期間の使用で効果が減弱する場合がある(エスケープ現象)。
≪免疫抑制薬≫
① メトトレキサート(リウマトレックス) 最も基本となる薬。骨破壊進行抑制効果、ほかの抗リウマチ薬や生物学的製剤との併用で高い有効性を示す。妊婦・授乳婦、骨髄抑制、慢性肝疾患、腎障害、活動性結核、胸水・腹水を有する患者に禁忌。週1~2回内服。効果発現は早ければ2週間、遅くとも4~8週間。副作用は用量依存性の口内炎、嘔気、肝障害、脱毛、骨髄抑制、感染症と、用量に関係なく発生する間質性肺疾患がある。8mg/週以上では、用量依存性の副作用を予防するため葉酸(フォリアミン)をメトトレキサート最終内服の翌々日に週1回内服。葉酸を含むサプリメントや青汁は併用しない事。効果と副作用のバランスから12mg/週までにとどめると良い。
② タクロリムス(プロググラフ) 血中の濃度測定が必須で、午前の診療でトラフ値(1日の変動の中で一番低い値)を測定するため、夕食後に服用すると都合が良い。5~10 ng/mlが有効域。シクロスポリン、ボセンタン、スピロノラクトン、トリアムテレンの併用やグレープフルーツ果汁は避ける。
③ レフルノミド(アラバ)メトトレキサートとほぼ同等の抗リウマチ作用があるが、間質性肺疾患による死亡例が報告されている。
≪免疫調整剤≫
① イグラチモド(ケアラム) 単独でサラゾスルファピリジンと同等の有効性がある。メトトレキサートの効果が不十分な場合に追加併用効果がある。肝障害やリンパ球減少に注意。ワーファリンと併用禁忌。
② サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN) 発症早期で軽症~中等症に有効。メトトレキサートが使用できない場合の第一選択薬。効果発現は1~2か月と比較的早い。サリチル酸が含まれるため、気管支喘息の患者には注意。肝代謝なので腎障害でも使用可能。
③ ブシラミン(リマチル) 発症早期で軽症~中等症に有効。効果発現は1~3か月。腎障害に注意。定期的な尿検査を推奨。
● 生物学的製剤
① インフリキシマブ(レミケード) TNFαを阻害する。TNFに結合する部分が一部マウス由来の成分の為、その部分への抗体(中和抗体)が出現しやすく、効果減弱を防止するためメトトレキサートを併用する必要がある。点滴静注製剤のため効果発現が数日以内と早い。8週毎に点滴静注。
② エタネルセプト(エンブレル) TNFαを阻害する。TNFに結合する部分と免疫グロブリンの一部とを融合した製剤なので中和抗体が産生されにくく、長期にわたって有効性が持続する。一旦中止してからの再投与でも安全性が高い。週1回または週2回の皮下注で、半減期が短い。中止後、比較的短い期間で血中から無くなるので、安全性を重視しなければならない高齢者に使いやすい。
③ アダリムマブ(ヒュミラ) TNFαを阻害する。2週毎に皮下注。生物学的製剤のなかで唯一、抗リウマチ薬との同時開始が保険で認められている。疾患活動性が高い患者に早い段階から使える。
④ ゴリムマブ(シンポニー) TNFαを阻害する。4週毎に皮下注。完全ヒト型抗体であり、TNFに対する結合親和性が高い。
⑤ セルトリズマブ・ペゴル(シムジア) TNFαを阻害する。抗原に結合する一部分のみに遺伝的工夫を行いTNFに対する結合親和性を高め、ポリエチレングリコール分子を付加して血中半減期が長く、目標の関節に移行しやすい。胎盤通過が極めて少ないため、妊婦にも安全に使用できる。
⑥ トシリズマブ(アクテムラ) IL-6を阻害する。ヒト化製剤で中和抗体の産生が極めて少ない(2~3%)。レミケード、エンブレル、ヒュミラはメトトレキサートとの併用によって驚異的な効果を示すが、アクテムラは単独でも高い有効性がある。メトトレミサートが併用できない症例での投与を推奨。
⑦ アバタセプト(オレンシア) T細胞の活性化を阻害しサイトカインの分泌を抑制する。TNF阻害薬やIL-6阻害薬で効果不十分な場合に選択される。
● JAC阻害剤
① トファシチニブ(ゼルヤンツ)JAK1/JAK3を阻害する。肝代謝。
② バリシチニブ(オルミエント)JAK1/JAK2を阻害する。腎代謝。
③ ペフィシチニブ(スマイラフ)JAK1/JAK2/JAK3/Tyk2を阻害する。肝代謝。
④ ウパダシチニブ(リンヴォック)JAK1を阻害する。肝代謝。
⑤ フィルゴチニブ(ジセレカ)JAK1を阻害する。腎代謝。
Posted at 2024/07/31 16:40:39 | |
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医療系 | 日記
2024年07月21日

朝3時に起きて海に来ました。
Posted at 2024/07/21 07:09:48 | |
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家庭
2024年07月19日
Q1.あなたのメイン車には自動ハイビーム切替機能がありますか?
回答:ありません
Q2.夜に運転する時のお悩みを教えてください。(自車・他車問わず)
回答:対向車や後続車のライトが眩しい。
この記事は
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Posted at 2024/07/19 20:14:32 | |
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