ルパン三世にワルサーP38を持たせた偉人。

「アニメなんか絵に描いた子供向きの作品なんでしょ？」とか「アニメは実写に勝てない！」という意見は一見的を得ているような気がしますが、それはただの差別です。







今ではアニメだから実写より格が下なんて事言う人は少なくなりましたが、50年前ではアニメは年頃になると卒業するものでした。

当時アニメは子供のモノでした。

そこに「ルパン三世」が現れます。







かの名高き大泥棒の孫のルパン三世と0.3秒の早撃ちガンマンの次元大輔と十三代目石川五右衛門と謎の女峰不二子とそれらを追う銭形警部というユニークなキャラクター達が活躍するちょっぴりアダルトな漫画を原作にした「ルパン三世」のファーストシーズン。







それはまだ国民的なアニメになる前のルパンでしたから作りが洋画のような渋い物語です。







最初のアニメ版のルパンはリアリティを出す為に当時の文化や風俗など積極的に取り入れて漠然としたクルマではなくベンツSSKに乗り、記号としての銃ではなくワルサーP38を持つ主人公になりました。







ワルサーP38やベンツSSKをルパンに取り入れたのはキャラクターデザインと作画監督をした大塚康生様です。







あの宮崎駿監督や高畑勲監督の先輩で作画の神様でエモーショナルのキャラクターの演技や美しいデッサン力でメカニックの動きは特筆すべきモノでした。







ルパン史上、いや映画史上において大傑作とも言える国民的アニメ「ルパン三世　カリオストロの城」の作画監督も大塚康生様です。







この方がいなければルパン三世と言えばワルサーP 38でありワルサーP38と言えばルパン三世という構図にはなっていなかったし、銃好きではない人でも知っている銃にもなっていなかった筈です。







きっとベンツSSKもフィアット500(大塚康生さんの愛車)も次元のS&W M19も峰不二子のパンストに収納されたプローニングM1910(大塚康生さんが麻薬取締官の時に使っていたらしい銃)を知らなかったかもしれません。






ちなみに押井守監督の初実写作品「紅い眼鏡」では一瞬タクシー運転手役として出ていたりします。







NHKの広瀬すずさん主演の朝ドラの「なつぞら」で先輩アニメーター役だった麒麟の川島さんのモデルも大塚康生さんです。







その大塚康生さんが2021年3月15日に亡くなりました。

素晴らしいキャラクターと躍動感のある作画を見せてくれてアニメーションの根源的な魅力を教えて下さいました。

本当にありがとうございます。

僕にとっては大塚康生さんは永遠の神様の一人です。