
今日まで多くの日本国民が慣れ親しんできたであろう50㏄のバイクが、2025年11月からの排ガス規制をもって生産を取りやめる様です。
嘗て日本市場の50㏄バイク市場に於いては、ネイキッド、レプリカ、オフロード、アメリカン、ジャイロシリーズなどの3輪、2st・4stENGユニットなどが様々なメーカーからラインナップされてきました。
50㏄との思い出は物心つく前後まで遡り、車種は不鮮明だけれど、夏ごろに野道を父親の足元に同乗していたのを朧気ながら記憶しています。足元に乗れるのだから、たぶんスクーターだろうというぐらいで、1970年後半から80年頃の夏の時期は夕刻になれば涼しくて、その心地良さが今も尚、心地よい感覚として能裏に焼き付いています。安全上の善悪の是非はさておき、当時は父親はノーヘル、勿論、当方もノーヘルのため尚更に爽快だったのではと述懐しています。
原付免許を取得して自分ではじめて購入した(というか買ってもらった)50㏄はレプリカ系のホンダ・NS-1で、はじめて運転したスクーターは、約10歳上の次姉がのっていた、お下がりのスズキ・蘭です。
蘭は、高校へ行く途中というか、詳細にいわば高校は自家から離れた京都だった為に駅までの交通手段として用いていた中、通学途中にドライブベルト切れで、そのまま廃車となりました。この時代のスクーターは、ほとんどが使い捨てみたいな感覚だったように記憶します。ベルト交換がメジャーになったのは、感覚的ではありますがミレニアム付近かな。因みに、初めてドライブベルト交換をしたのは、嘗て20年以上に渡り所有したアドレスV100になります。
人生の中で、唯一、新車購入した50㏄はNS-1でしたが、約1年後に中型に乗り換えていたので、50㏄の2輪はそれ以来所有しておらず(一時期、ジャイロキャノピーミニカーを所有していました)乗車する機会も途絶えていましたが、一か月ほど前にひょんなことから叔母が高齢で電動自転車にシフトするという理由で、頂戴することになりました。
車種は2013年式のスズキ・レッツ4で、フューエルインジェクション(=FI)が搭載され、ヘッドライトがマルチリフレクター仕様になっている個体です。以前愛用していた50㏄は、2st・キャブ仕様だったので、4st ・FIの50㏄は、今回が初めての経験となりました。
自家にレッツ4を引き取ってきた時の状態は、フロントフォークのグリス漏れ、リヤタイヤすり減り、フロントタイヤはひび割れていました。聞けば、メンテナンスは年に2回ほどのENGオイル交換とバッテリー交換位で、タイヤは一度も交換はしたことがないらしく、約10年間、新車装着タイヤで乗り続けていたことになります。
2stに比べて動力性能が劣る4st50㏄だし、オドメーターは6,000㎞を超えているしというので、あまり期待していなかったというが実のところで、最高速は下手すれば30-40㎞ぐらい出てくれれば御の字かなと想像していました。ということで、イニシャルコンディションに近づけるべく、プラグ、フォークアッセンと社外ブーツ、前後タイヤ、駆動系セットに加えて、前かご、LEDヘッドライトバルブ、メッシュシートやサイドスタンドなどの便利グッズも事前発注していました。
あまりにエンジン音が煩く感じたし前回のENGオイル交換から半年くらいは経過していたので、とりあえず手持ちのディーゼル用15W-40オイルとプラグを交換して様子を見てみることにしました。
そうすると、何という事でしょう!エンジン音は見事に「ビィーン、ビィーン」と静かな音色を奏でるようになり、最高速もメーターを振り切るではありませんか!!あまりに調子がよいので、暫くその仕様で走り回ったあげく何時ものハイオクガソリンを投入して、あらかじめ購入しておいた、車外フォークブーツや前後タイヤを交換したら、乗り心地もかなり改善しました。最高速が想像以上にでたという事で、用意していた駆動系セット(ベルト、ウエイトローラー、スライドピース)は暫くお蔵入りになりました。
結果的に期待していなかった人生初の4st・50㏄ユニットに関しては想像以上の速さで、街乗りなら十分と言える性能でした。嬉しかったのは、50㏄ならではの使いきれる性能で、10代から継続的に乗り継いできた原2種と比べても軽快感が強く取り回しが非常に楽であり、おまけにステップスルーの足元は広く、灯油缶、10Ⅼの携行缶、ビールの箱買いまたはスーパーの買い物袋などの運搬などは問題なくこなせるレベルでありました。
加えてメットイン、前かご、後ろかごまで装着できるので、通常の原2以上のクラスの積載能力を遥かに凌駕しています。燃費も一昔前の2stとは比較にならないくらいに向上しており、今更ながらに、こんなに良くできていたのかと感心させられました。そりゃあ、長らくおばちゃんの生活の足として活躍してきただけあって、運動性能と積載性能がよくバランスされており、現在でも十二分な実用性を有したコミューターだと断言できます。
何より、今の時代、ノーヘルとはいかないが、メッシュシートを装着すれば、暑い夏でも体を風がすり抜け、懐かしい子供時代や青春時代に体感した50㏄ならではのお手軽感と言うか、下駄足感を思い起こさせてくれました。
ファミリーバイク特約を使えば、約5,000円くらいで、所有している原2とともに任意保険が契約できるので家計にも優しく個人的には有り難い限りです。またしかし、周囲を見渡せば、安全を考えた場合に仕方がないのかもしれませんが、少しの用事でも、車ででかけてしまう人が一昔前に比べて多くなっている昨今、今一度、上述した経済性と利便性から、消えゆく50㏄という選択もありかもしれないと思わせてくれるほど嬉しい誤算となりました。
日本が紡いできた50㏄という自動車文化が、長い年月を経て如何に成熟した製品に成長したのかを再認識させられたといっては大袈裟かもしれませんが、後に登場する代替品がイニシャルコストを含めた経済性や車体重量の面で日常生活で使用できるくらいのお手軽さを持っているのかが、今後普及のポイントとなるような気がしています。
Posted at 2024/07/11 12:09:24 | |
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