
←これはスターターモーターのブラシです。
またもや仕事中に家内から電話が入り
子供を学校に送った帰りエンジンが掛からない!
第4のアクシデント発生です。
今回は前回とはまた違う理由だと脳裏をかすめ
状況を聞くとスターターが回らずウンともスンとも
言わないとの事でした。
スターターモーターのブラシが摩耗したかな?
と薄々思いました。
その日はもう12月間近の朝の出来事で600が止まった前のお宅の方が
見かねて休んで行きなさいと家に入れてもらって暖を取ったそうです。
それから電話で押掛けを試みる様にやりとりして無事始動!
スターターが回らなくても押し掛け出来る所がマニュアル車の良い所?
エンジンが掛かって無事帰宅してくれました。
次の休みに、症状を確認するとやはりスターターが回らない状態。
現代の車と違いキーを捻るのでは無く運転席と助手席間のハンドブレーキの
前にレバーが有りそれを引っ張るとスターターが回ります。
ソレノイドが無いのでワイヤーでピニオンギアを飛び込ませる仕組みです。
まずは電気系統のチェックから始めました。
配線図は入手していたのでそれを見るとモーターへの電源はバッテリーから
直に繋がっておりキーを捻ら無いのでスイッチはスターター側に有ると予測。
ならばスターターは何処に有るのか?
部品写真を見ておよその位置は判りましたがエンジルームからは見えません。
エンジンの脇にも下にも無い・・・。
エンジンは室内後部座席の方にもぐり込んでいます。このボディパネルの奥!?
ここしか有り得ないと思いジャッキアップしてミッションの上の方を探りました。
それは室内後部座席の後ろの荷物スペースの下に位置していました。
(透視イラストの位置)
リアシート背もたれを倒してカバーをめくると半円状の黒いカバーが見えました。
それにしてもこのカバーはずいぶん複雑な曲面をしています。
車体との隙間もかなり有りコーキングの様な物で隙間を埋めて有りました。
元に戻す時にはこの隙間処理をしっかりやらないと路面からの水が浸入して来ます。
下の写真は室内側カバーを外してスターターは既に取外し周りも清掃済みです。
赤矢印の2本のボルトで固定し中央のフライホイール・リングギヤに
スターターギヤが飛び込みエンジンを回します。
(黒いカバーはモーターと共締めするギアカバーです)

後部座席の上部から見ている状態で写真上部が後部です。
フロントエンジン車とは反対に見えます。お尻のすぐ後ろがミッションです。
今まで見た事が無いレイアウトで見る物全てが新鮮です。
昔の人は良く考えたものだと感心しました。
(1959年・昭和34年製です)
下がスターターモーター、左上のレバーにワイヤーが掛かり赤矢印の方向に
引っ張られて黄矢印のスイッチを押して電気が流れ簡単だけど確実な造り。
下の写真は外装掃除して分解して整備が終わった状態です。
かなりの汚れと泥が付いておりひと苦労しました。
上の写真とは左右反対ですが赤矢印の部分に電極ブラシが入り黄矢印の
スターターギヤが右へスライドしてリングギヤに飛び込む仕組み。
軸受けメタルの摩耗度合をチェックするとガタや異音はありません。
(何十年経ってますが低回転なので長持ちしたと思います)
回転子のコミューターの溝掃除をしっかり行い表面を磨きました。
そして電極ブラシですがこれが完全に摩耗していました!
これ以上削れなくなった鉛筆の様でした。
この頃は写真をまめに撮っておらず摩耗した部品までは・・・・

最初の写真の新品ブラシを組付け各部にグリス・オイルを塗布して
組み立てたのが一つ前の写真になります。
そして電源線を仮につないでレバーを恐る恐る倒してスイッチON!
実に快調にビュンビュン回るので楽しくて何回もON・OFFしちゃいました~
回って当たり前ですがトルクが有りそうな重厚な回り方と音でした。
小排気量4気筒エンジンにしては大きく感じます。
まずは無事に直ってほっとしました。
先程のカバーの隙間は黒いシーラント材を充填して戻しました。
(故障から復旧までに3週間掛かりました)
次回に続く・・・
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