もう見付けてから1~2ヶ月は経っているかと思いますが、
ドイツの車屋さんで表題の車を見付けました。
1954年といえばフロントガラスがカーブドグラスに変わる年なのですが、
その年の最初からそうなっているのかは一寸判らないのですけど、
この車は正にカーブドグラスを採用している車のようです。
因みに1954年以降のW187の2枚扉の生産台数は411台なので
カーブドグラスの車輛はそれと≒だろうと思われます。
この車、メッチャ好い感じなのですよねぇ。
ワタクシが緑好きである事は以前から公言して居る所ですが、
そんな中でも明るく、そしていかにも当時っぽい雰囲気がする緑が
イイナァと思ったのですけれども、
それ以上にこの全然無理をした所が無い自然さはなんなんだろう?と思わされたのですよね。
唯一残念に思ったのは先だって170DSの改造車の時にも触れた事ですが、
ホイールキャップの塗り分けでして。
こないだのは塗りすぎ、今回のは一寸だけ足りないという…(笑)。
これ、お星さまを囲う枠内のお星さま以外の部分はボディ同色で塗るのが正解なんですよね。
ひょっとしてこういう塗り分けパターンもあるのかと、
MBの公式ページに飛んで、170と220の新車当時の公式フォトを
ざっと覗いてきましたけれども、その限りではやっぱりこれは正解ではないと思われました。
幌姿。
緑色のボディにクリームっぽい幌が映えますねぇ。
ランドウジョイントにリアの小窓がまた好い雰囲気ですが、
Wさん曰く真後ろも見えなければ斜め後方も見えないので怖いとの事でした。
この画像を見てもなんとなくそうであろう事は想像出来ますよね(汗)。
せめてアウトサイドミラー位はまともに見えて欲しい所ですが、
画像で見る限り純正ミラーの上縁位置がほぼドアの上縁の高さと同じくらいなので、
運転席側でも果たしてどこまで見えるんだろう?と思われる中、
助手席側にはミラーすらないので、
これをこのまま日本国内で乗ろうと思うと結構キツイ物がありそうですよね。
この手に右ハンドルがあるかどうかは知りませんが、
仮に右ハンドル用のミラーがあったとして、それを右に付けた場合には
運転席からでは全く見えなさそうですしねぇ…。
カロッセリープレート。
170、220を通じて、時々これを左右に付けちゃっている例とか
水平に付けちゃっている例とかがありますが、
個数は左側に1個が正解で
またその2系統に関してはこのようにフェンダーの角度に合わせて
取り付けられるのが正解なのですよね。
これに関して疑問に思うのが、W187のデビューはW186と同じ1951年なんですけれども、
何故かW186やW188にはこのプレートが付かない事なんですよね。
これ、戦前からの物なのでカッコイイなって思うんですけどねぇ。
んで、このプレートの表記には
SINDELFINGER KAROSSERIEとMANNHEIMER KAROSSERIEの2種類があるのですが、
高級モデルのコーチワークはほぼジンデルフィンゲン工場製だろうと思われる所で、
これもそうだろうなぁと思って画像を拡大してみると、、、
やはりジンデルフィンゲンの方でした。
トランクリッドのお星さまとタイプ名プレート。
220の書体の方はうちのと大して変わらないように見えます
(ただ、一寸あひるの頭がデカい気が…笑)が、
お星さまの方は、大きさはそれ以降の時代と比べて、
ひょっとすると小さい位かも?と思われる所ですけれども、
お星さま自体も丸枠の方も肉厚に出来ていて、昔っぽい味があって好いですよね。
マフラーカッター
これ、多分これと同じ物だと思うのですが、
これってオリジナルなのかしらん?と以前から思っていたので調べてみたのですが、
EPCを見てみると300SLロードスター風のカッターの絵が描かれていたので
これは怪しい、、、と思い、そこにあった1874920015という品番から追っかけてみたところ、
ドイツの某店ではこれと同じ物が表示されたものの、
いーべーで出てきた物はクローム処理前の物でしたが、
このように正にEPCの絵と同じ物だったんですよね。
少なくとも新車当時はこの形が正解だったのでしょうね。
因みに裏側はこんな感じ。
上のタイプがやはり下側がないのは知っていたので予想はしていましたが、
上からの見栄えを考えただけの物だったのですね。
因みに上のタイプにも1814920015という品番があるようなので、
これもMBの部品ではあるようですね。
EPCで逆引きしても出てこないので、既に抹殺されている品番のようですが…(汗)。
( ゚д゚)ハッ!、、、念のため、と思って、こちらの品番をドイツの某店で調べてみたら、
見かけはそっくりだけど、異なる某店品番の物が出てきました(汗)。
どうやらこちらは170系用っぽい感じですね。
って事は恐らくマフラー径の違いでそうなっているということなのでしょうが、
形状自体も途中からこの形状に統一された可能性もあるかもですね。
幌を開けた状態でのダッシュボード及びフロントウインドウ廻り。
この辺りの見てくれは恐らく170Sのカブリオレと同じだろうと思うのですが、
メーターパネル廻りとグローブボックスの表面は革張りになっていますけれども、
随分と贅沢なウッドの使い方をしていますよね。
傍から見ると雨漏れでやられてしまう心配をしてしまう所なのですけれども、
窓枠全体がギッチリとウッドで囲まれているのが凄いなぁって思わされます。
220SEbカブリオレでもフロントウインドウはウッドで囲われてはいますが、
確か、幌側の縁はウッドパネルの手前側(幌側)が革張りだったと思うのですよね。
ベッカーブレシア
170/220系のラジオとしては
ベッカーやテレフンケンなどのもっと盤面の大きい物(四角形や円形の物)のイメージがあったので
一番最初にこれを見た時にはこの車のオリジナルではないのでは?と思ったのですが、
説明文を読むとハッキリとは書いていないものの、どうもオリジナルっぽく書いてあり、
考えてみるとW186もW188もbの時代にはニュルブルクからこの形態のベッカーになっているので、
1954年式だというこの車なら、元々コレが付いていてもおかしくないだろうと思いました。
私的にこのタイプはメキシコしか知りませんでしたが、ブレシアってタイプもあるのですね~。
一寸調べてみたのですが、このタイプのベッカー自体は小ポントンのデビューした
1953年頃から世に出た物らしく、
また上に書いた盤面の大きいタイプの方は1954年頃までの物らしいので、
オリジナルである可能性はあるのかもしれません。
但し、私がラジオの年代のネタ元にしているページによると、
このタイプのブレシアは1955年からとなっているので、
そこの所は一寸引っ掛かる所ではあるのですけどね。
因みに説明文によると、このラジオはちゃんと実働しているらしいです。
外見上では全く判りませんでしたが、この車、元々はアメリカに輸出された車だったそうで、
スピードメーターは160キロスケールになっているものの、
確かに油圧計、水温計はアメリカ仕様のそれになっていました。
この車は外装も好いですが、内装革の雰囲気もとても好いのですよね。
この車を見付けてから、繰り返し画像だけは何度か見ていたのですけれども、
実は説明文の方を読んだのはほんの数日前で、
そこに書いてあったことによると、
この車、1954年にアメリカに輸出されて1988年にドイツに戻って来たものだそうなのですけれども、
何と、走行距離がたったの37000マイル(59200キロ)で、未レストア車両なのだそう。
従ってこの内装もオリジナルのままなのだそうです。
そりゃ~好いなぁと思う訳ですな(笑)。
先程のウッドパネルの話の時に書きませんでしたが、
ウッドパネルの方も好いヤレの出方をしている様子に見受けられ、
不自然な所は無いし、好感が持てる物ではあったものの、
ウォールナットのウッドパネルってMBでこの当時から使われていたのかしら?
と、漠然と思っていたのですけど、
この話の流れからするとこれもオリジナルって事なんでしょうね。
エンジンルーム。
うちの220君のM127の大元であるM180ですね。
画像からは低走行な車両というのは特に感じる物はありませんけれども、
かといって、荒れた様子もない好ましい状態にあると思います。
220のエンジンは180920で、220aのそれは180921なのですが、
前者は圧縮比6.5で80馬力、後者は7.6で85馬力なんですよね。
この車は時期的には220aの時代なので果たしてどちらを積んでいるのだろうか?
と思ったので、この機会に調べてみる事にしました。
例によってテクニカルデータブックを調べてみましたが、
とりあえずW187は例外なく180920エンジンという事になっていました。
テクニカルデータブックは紙面が足りないと情報を端折ることがあるので、
これでも尚、信用出来んな、、、と思ったのでさらに調べてみました。
これはネット上から拾って来た、1955年式の220カブリオレAの
恐らくヴィークルデータカードかそれに類する書類と思われる物なのですが、、、
これによると出荷日は1955年5月25日との事でバリバリ220a時代の車輛なんですけれども、
赤でアンダーラインを引いた所にエンジンナンバーの上六桁があって、
180920とありますよね。
というわけで、220aの時期のW187の2枚扉であろうと、
エンジンは変わらず80馬力だったという事が判明しました(笑)。
そうそう、話はエンジンルーム画像に戻るのですが、
エンジンルームのサイドパネルにあるクロームで縁取られた
二条の盛り上がった部分(笑)なんですけれども、
300Scにもあるこれを二玄社の本が『スリット』と表現していたので
私もこれの下側には穴があるんだろう、、、と思い込んで居ったのですが、
以前、170S系のそれを見た所、穴が無い事に気付いてしまったのですよね。
恐らくとしか言いようがないのですが、戦後、このような仕上げになっている物は
全てお飾りとしてのスリットもどきなのでしょうね。
気付いてから、いつかその内、、、と思いつつ出来ずに居りましたが、
この機会に訂正させて頂きますです(汗)。
そうそう、このエンジンルーム画像と言えば、
この部分には一寸ビビらされてしまいました(汗)。
こないだの170DSの改造車でウエスタンのプレートが付いていたであろう穴があった位置に
この車では車体番号プレートとカラーコードプレートが付いているんですよね。
あちゃー、これはしくじったか?と思いましたが、
調べてみると、この車種がこの位置だっただけなようで
あの170DSではファイヤーウォールの前面に車体番号プレートが付いていますし、
他の170DSでもそれは同様なので、どうやらセーフだったようです(笑)。
トランクルーム。
こちらはエンジンルームとは打って変わって、
距離の少なさを感じさせる綺麗な状態にありますよね。
この車に装備されているかどうかは判らないオプションのスーツケースは
ただ2段に積み重ねて載せているだけの物なのかと思っていましたが、
この画像を見て、ちゃんと上段用の縁が用意されているのに気付きました。
直に重ねたら、バンドで固定したとしても擦れちゃいそうですものね。
さてさて、気になるお値段の方ですが、89900ユーロ、
今のレートで1550万円弱という感じのようです。
私には買えんけど(涙)、安いっ!
相場は程度にも依るのですけど、大体2千万円前後だと思います。
尤も同じお店でフラットなフロントガラスの同じ車を売っていて
そちらも85900ユーロとこの車より更にお安いんですけどね。
説明文によると、塗装は経年劣化の兆候を示しているとあるので、
その点が加味されていると思うのですが、
ボディワークは良好でウッドとクロームの類いは非常に状態が良く、
全てのスイッチや機器は完璧に動作するとあり、
その問題とされている塗装に関してはそのヤレがイイ感じを出しているように見受けられるので
私的には全然マイナスに感じません。
これ、イイナァ。
私的にこれは真面目に欲しいなぁと思わせるものがありますね。
W187の弱点は170系のガソリンモデル同様に電装が6Vなことで、
それに関して何も書かれていないから多分12V化はされていないと思うんですけど、
実際に6Vってそんなにキツイものなんでしょうかね?
ビートルの6Vなどではワイパーとウインカー(だったかな?)を
同時に動かすのもキツイような話だったと思うのですが、
体験した事が無いのでどうなんだろうなぁと思っています。
どちらかというと後継のポントン220S/SEのカブリオレの方が
いくらか高価だったりするのですが、
そうした点が評価に繋がっているのかなぁ?と思ったりしています。
80馬力しかなくても、一応メーカー公表値で145km/h出る事にはなっているので、
とりあえず高速道路でも問題なく走らせられそうですし、
後の維持の費用まで含めて私にこの車を持つ余裕があったならば、
本当に欲しいなぁと思わせられる一台でありました。