スペインでこんな物件を見つけました~。
一見普通のW126の500SELです。
外見上で気になるのは後部座席にカーテンの装備があるのと、
トランクリッド中央に大きなアンテナがある事位ですね。
この画像だと一寸判らないかも知れませんが、
走行距離は何と389000キロ(爆)。
いや、それはヨーロッパではそれほど珍しい物でもないのかもしれませんが、
それだけ走っている割に内装がメッチャ綺麗なのですよね。
それだけ走っているのにどんな手入れをしていれば
これだけ綺麗な状態の革内装を保てるのかって感じですよね。
しかし、内装を見ても、コンソール上にあまり見かけない
メーターだのスイッチだのが付いている以外はごく普通な感じ。
エアコンなんかもマニュアルエアコンですしねぇ。
で、気になる点があるのはここから。
私は正体が判っているので気になったのですけれども、
なにやらステップの所に見慣れない金属部品が2つ付いているのが見えます。
反対側も同様。
で、こちらの画像だとドアのアームレストの所にも金属部品が見えるし、
ドア窓の周囲がどうなっているのかは画像からはわからないものの、
黒い部分が妙に目立つし、
第一、ドア窓フレームの内張りパネルって、こんなに分厚かったですかねぇ?
リアドアも同様。
ここだけはドア内張りの革に弛みが出てしまっています。
リアドアは両方ともなんですが、
窓がすりガラスみたいに白くなっているのはこういう仕様なんですかねぇ?
エンジンは流石にこれだけ走っているとピカピカという訳には行きませんが、
エアクリーナーを除けばそこそこ綺麗な状態にあると思います。
で、この車はなんなんだ、という話になるわけで、
ドアについての言及である程度予想は付くかと思うのですが、
実はMB自社製の防弾仕様の車両なのだそうです。
これが証拠と言えるでしょうかね?
車両総重量が2790kgとあります。
他の書類にはこの他に空車重量が2420kgと書かれているのですが、
それからいくと素の500SELが大体1.7トンなので、
その場合の総重量が2.1トンまで行くかな?と思われる所を
メーカーのプレートに2790kgと表示されているという事は
メーカーから防弾仕様として出荷されているという事になりますからね。
何故か1972年式と書かれていたのですが、そんな筈があるわけもなく(笑)、
車体番号が出ていたのでEPCで調べてみると出荷は1984年8月でした。
また、EPC上のこの車のヴィークルデータのオプションコードに
防弾に関する物があるかと調べてみたのですが、
172U ANTHRACITE GREY MET.
223 REAR SEAT BENCH ELECTRIC ADJUSTMENT
240 OUTSIDE TEMPERATURE INDICATOR
251 BECKER RADIO MEXICO CASSETTE, FULL STEREO, ELECTRONIC
254A LEATHER LIGHT BROWN
260 ELIMINATION OF MODEL DESIGNATION ON REAR LID
363 ?
430 HEADRESTS IN THE REAR
470 ANTI-LOCK BRAKING SYSTEM (ABS)
480 SELF-LEVELLING SUSPENSION
490 ELIMINATION OF WINDSHIELD HEATER
531 AUTOMATIC ANTENNA
580 AIR CONDITIONER/TEMPMATIC
616 FRONT AND REAR DOOR COURTESY LAMPS AND LAMP UNITS HEADLAMPS WITH WHITE LENSES, FOG LAMPS WITH AMBER LENSES
673 HIGH-CAPACITY BATTERY
682 FIRE EXTINGUISHER
979 SAFETY VERSION
という感じで363が一寸判らないんですけど、979のSAFETY VERSIONというのが、
防弾仕様を示すコードなのかしら?と思ったりしております。
こういうのを見ていると、
あれっ?元々レスオプションでトランクリッドに付けていなかったモデル名を
後付けしたのかな?とか、
アンバー(というよりイエローっぽいけど)レンズのランプユニット内フォグランプは新車当時からだったのか、、、とかって感じで
今の状態と元の状態の違いが判ったりして面白いですよね。
一寸脱線しましたが、この車、スペインのバンコ・サンタンデールという、
現在は日本の新生銀行の株主のひとつにもなっている銀行の
オーナー兼頭取だったボティンさんという方の車だったらしいです。
それがいつのなのかは判りませんが、そのボティンさんという方が亡くなられるまで
その方の下で使用されていた車なのだそうです。
しかし、この当時の防弾仕様は今ほどのレベルには無かったようで、
1989年の11月30日にドイツ銀行頭取で
ダイムラーベンツ社の監査役会会長だったアルフレート・ヘルハウゼン氏が
恐らく同レベルと思われる防弾仕様のW126に乗車中に
テロリストに仕掛けられた爆弾で暗殺されてしまっているのですよね。
私の当時の記憶に間違いがなければ、
確か、燃料タンクの下に爆弾を仕掛けられたという事だったと思います。
テロリストはこの車の弱い部分をきっと分かっていたのでしょうね。
装甲されている筈のリアドアは外向きに曲がってしまっているように見えるし、
トランクリッドも構造材と外板が前側で分離してしまったのか、前開きみたいになっているし、
それらの事がいかに爆発が凄まじかったかということを物語っていますよね。
因みにW221の防弾車両辺りから、こうした爆破対策にも十分対応した物になったと、
どこかで読んだような気がします。
話戻って、上の車両のお値段、19000ユーロだそうです。
距離が距離なので、、、というところではありますけれども、
希少な防弾車両という事を考えると高くはないかも?と思ったりするところであります(笑)。