5月5日(水)
本日もいつもと変わらず日の出前に起きます。
タオルを持って、民宿から徒歩3分の「マショの湯」に向かいます。
ちょうど小島の向こうから太陽が昇って来ました。
今回の旅で一番綺麗な朝日だと思います。(たぶんこの日は黄砂が収まったのだと思います)
そして、その朝日を浴びながらマショの湯に体を浮かべます。(はじめてK7のHDR撮影機能を使いました)
※HDR---ハイダイナミックレンジ、露出を変えた写真を3枚(複数枚)撮って合成し、暗いところから明るいところまで写しこむ機能。この場合は太陽光を入れつつ、温泉を黒つぶれさせないようにしています。どうでも良い話ですね(笑)
湯上がりサイクリングを少し楽しんだ後、、、
Nさんグループと一緒に朝食タイム。
こんな豪勢な朝食も今日が最後です。
さて、いよいよフェリーがやってくる時間が近づいてきました。(南から2番目にある島なので、かなり朝早く、8時前には到着します)
港まで車で送ってもらうのも味気ないので、荷物だけ車で運んでもらい、Nさんグループと「まったり」歩いて港に向かいます。
港に到着すると、島のおじさんが風速を計っていました。
これ、欲しいなぁ~、きっと2回ぐらいしか人生で使わないけど。
(ちなみに、私が人生で2回ぐらいしか使わなかったシリーズとして、鳥撮影用のスコープとか巨大なビデオカメラと水中ハウジングなどが未だに家に転がってます)
汽笛を2回鳴らしつつ「フェリーとしま」がやって来ました。
ところでこの写真、見覚え無いですか?
そうなのです、この景色をイメージして掲載していたのです!!
完全に後付ですが。
(でも、合成した船はちゃんと「フェリーとしま」を使ってたんですよ。 ヌーディスト写真も温泉シーンでちゃんと掲載しましたし)
それはともかく、さすがに条件付きだけあって、接岸した船がロープで縛られた後も豪快に動きます。(港が外海に面しているからでしょう)
写真は「船が沈みこむので、乗り込むとき頭注意」の図です。
かなり荒れているときは沖方向にアンカー打って、それを引っ張りながら一気に離岸するとか。
見送りに来ていた民宿のおじさんにお礼を言って船に乗り込みます。
仲良くなったNさんグループも一緒に乗船したので、これまでに感じたような寂しさは今回はそこまで感じていないです。(宿のおじさん、女将さんともほとんどお話してませんし)
とは言え、鹿児島島巡りの旅が終わってしまった寂しさは大いに有ります。
そんな気持ちを知ってか知らずか、「ボー」っという汽笛を一回鳴らした「フェリーとしま」は、島民の方々の手慣れた作業のおかげで定刻より幾分早く出港します。
いつもの曲にのせて、今回の旅を振り返ってみます。
さようなら~、小宝島!
今日は天気も良く温かいので、上部甲板でまったりと時間を過ごします。(Nさんグループは皆さん船に弱いとのことで、乗船前に薬を飲んで、早々に横になられていました)
なんとなく食堂へ行き(まだ昼飯時ではありませんが)、今日の昼は何を食べようか考えつつ、、、
船内で売っていたお土産を会社用に購入します。
そもそもトカラの土産があるとは思いませんでした。
小宝名産の塩飴と塩黒糖なのですが、なかなか渋い一品です。
私の寝る場所は軽自動車の助手席に座った男性が半分占拠していたので使えません。(もちろん、本気で必要だったら声をかけましたが、甲板の方が気持ちよかったので、そのまま使っていただきました)
程なく悪石島に到着です。
Nさんが乗り込んできたので、悪石島での話を聞かせてもらい、小宝島がどんな島だったか報告しました。(Nさんは船に弱いらしく、次の諏訪之瀬島に到着するなり雑魚寝スペースに移動しました)
諏訪之瀬島ではYさんとT君、そして釣りの方やYさんの親戚の方々が乗り込んできました。
まっすぐ走って来たT君に手を握られたまま、一緒に船内巡りをします。(T君はしょっちゅう乗っているのでクルーとも仲が良く、私も気がつかなかったようなショートカットルートを知っていたりします)
例の軽自動車助手席の男性は甲板に移動されたようだったのですが、今度はT君が私のスペースで船内貸出の「くれ○んしんちゃん」を読み始めたので、再び私は甲板に移動します。
続いて平島が見えてきました。
島で発生し横に長く続く雲をTX7のパノラマ写真で撮れないかとチャレンジしてみたのですが、さすがに足下が動くのでこんな感じになっちゃいましたが、それでもなかなか頑張っていると思います。
平島は小宝島と同じ「条件付き」の島なわけですが、
そりゃぁ、「条件付き」になるわけです。
平島では小中学生ぐらいの子が横断幕を持って横一列に並び
「平島に来てくれて、どうもありがとうございました! 一同礼!」
なんてことを、やってくれます。(実際はもうちょっと長い演説です)
T君の様子を見に行くと、ちょうどYさんも様子を見に来ていて
「一緒に昼飯食べますか?」
と、お誘いを受けたので、Yさんグループと一緒にお昼を頂くことに。
思いがけずカップラーメンと奄美大島風おにぎり、さらにジンガサガイをごちそうになってしまいます。(カップラーメンはT君が「どん兵衛は嫌だ。」と言ったため、船内の自販機で新たに買うことになり、T君用のどん兵衛が私のところに回ってきました)
奄美大島スタイルのおにぎり(スパム巻おにぎりで、海苔の外側が薄い卵焼きです)、かなりイケてました。アウトドア食としていいなぁ、これ。(Yさんもお気に入りなんだとか)
そしてYさん一家にとって、カップラーメンはフェリーに乗る時ぐらいしか食べないので、ある意味貴重な食べ物なんだそうです。
(ちなみに、我々が余した残りは、甲板をうろついていたNさんに渡されたそうです)
続いて中之島に到着です。
ここで横浜から来たライダーの方が乗り込んできました。
顔をあわせるなり
「焼けましたね~!」
と、言われたので、多少自覚はあるのですが諏訪之瀬島と宝島で一気に焼けたみたいです。
そして、これまでと同じように、お互いの旅情報を交換します。(中之島も見所がいろいろあって、かなり面白そうです)
うわぁ、すごい雲。かっちょいい~!
この山は御岳と書いて「おんたけ」と読みます。標高は1000m弱あり、トカラで一番高い山です。
これまで何回も登場した「御岳」について整理すると
桜島、御岳(おんたけ)
中之島、御岳(おんたけ)
諏訪之瀬島、御岳(おたけ)
悪石島、御岳(みたけ)
です。
ぜひ、飲み屋で隣の女性に語ってみてください。
感心されること間違い無しです。
行きは墓参り用の花で埋め尽くされていたトイレのスペース、帰りは島で頂いたであろうテッポウユリで埋め尽くされていました。
トイレの手洗い所で「人の縁」に思いを馳せます。
デッキではNさんを横浜のライダーの男性に紹介したり、Nさんグループの女性とNさんと3人でお話したりと、これまでの旅で出会った人との繋がりがさらに広がって行きます。
南から北上すると、トカラ最後の島となる口之島に到着。船はいよいよ定員オーバー状態になり、食堂スペースが雑魚寝スペースに切り替えられます。(食堂の営業も終わってしまいました)
口之島を出港すると、あとは鹿児島まで6時間の船旅となります。予定より30分以上早く、20時頃到着するペースです。(小宝島から約12時間の船旅です)
T君は完全に寝てしまいました。(私の場所で)
今回の旅では「まったり」する用に雑誌3冊、本を12冊(堅いの柔らかいの含めて)持って来ていたのですが、まだ本1冊目の数ページしか読んでいなかったりします。
T君の横が空いていたので、そこに座って持ってきた雑誌の消化を開始します。
ふと、思い出して甲板に出てみると、
左手に口之永良部島、
右手には巨大な屋久島がちょうど見えていました。
(いつか行きたいですね~)
双眼鏡やら望遠レンズ付きのカメラを持った方々がデッキにたくさん居らっしゃたので、何を見ているのか尋ねてみたら、「バードウォッチング」とのこと。
その後も雑誌を読んだり、起きてきたT君とお話ししたり、外の景色を眺めたりしながら「まったり」と時間を過ごします。
お~、あれは竹島に薩摩硫黄島です!
そして、いよいよ鹿児島湾に入ってきました。
すっかり日が沈んだ後、暗闇の中に桜島が浮かび上がり、、、
いよいよ鹿児島の夜景が目の前に迫ってきました。
はやたかさんと鹿児島で会う約束をしていたので、到着の連絡を入れます。
T君と一緒にデッキに出て、船員さんが船のサイド(真下は後方に走り去る海)で作業をする様子を見物します。
そして、船はいよいよ鹿児島港に入港しました。
今まで知り合った方々とお別れの挨拶をします。(入港前は船内がごった返すので、顔を合わせた方のみですが)
YさんとT君に続いて船を降ります。
T君と再会を約束したのですが、そのときT君は何歳になっているのでしょう。
ぜひ、大きく成長したT君と島の生活について話してみたいものです。
そして、二人に挨拶してから鹿児島に予約したホテルを目指します。
するとNさんが鹿児島中央駅までの行き方がわからないらしく、港付近でうろうろしていたので途中まで一緒に歩き、天文館通のところでお別れしました。
エピローグ
まずはホテルまで行き、荷物を下ろしてから一旦外に出ます。
というのも、諏訪之瀬島の瀬渡しの出費もあって、思いの外お金が心細くなってきていたのでコンビニのATMで下ろさなければならなかったのです。
しかし、そもそもATMを置いているコンビニが見あたりません。鹿児島港のコンビニにはATMがあったのですが、はやたかさんとの約束の時間もあるので、そう遠くまでは行けません。
コンビニで教えてもらったアーケードのATMコーナーはシャッターが降りているし、とあるコンビニでは(ATMは付いていなかったのですが)「たしか今日の営業時間は19時までだったような・・・」と不吉なことを言われます。
いろいろ探してようやく発見したのですが、なんとATMは絶讃営業終了中。。。
恐る恐る財布の中を確認し、本日のホテル代を差し引くと残り1430円。鹿児島空港までのバスは1000円強ぐらいだったような気がするので、ギリギリ足りるとは思うのですが、それだとほとんど文無しではやたかさんと会うことになってしまいます。
とは言え、もう待ち会わせの時間になってしまったので、一旦ホテルのロビーに戻ります。
ちょうど(たぶん私宛に)電話をかけている「はやたかさん」を発見しはにかんだ笑顔で会釈したのですが、髭面で真っ黒に日焼けした私を一瞥するなり、電話を耳にあてたままホテルを出て行ってしまいました。
ん? はやたかさんのそっくりさんだったのでしょうか?
いや、あの男前な顔は、はやたかさんにしか見えなかったし・・・。
と、思っていると、すぐにはやたかさんがホテルに戻ってきて、
「もしかして、ぎんがめさん?」
と、恐る恐る聞いてきたので、やっぱり色黒髭面が原因かと思いつつ
「そうです、今日は(お金持ってないですけど)ありがとうございます」
と、挨拶します。
ホテルを出てからすぐに一番気になっていたバスの料金を確認すると空港まで1200円とのこと。
やった~ギリギリセーフ!
(これが1500円とかだったら、この時点で有無を言わさずはやたかさんから70円借りることになるところでした)
隠してもしょうがないので、はやたかさんに事情を話すと
「いいですよ、今日は私の奢りで!」
という、期待通りの男前な返事を頂き、ほっと一安心。(すみません、いつか東京で。。。)
そう言えば、直前の連絡で、はやたかさんから「友達を連れて行ってもいいですか?」と質問を受けていたので、今日は鹿児島男児に囲まれて芋焼酎大会になるんだろうなぁと思いつつ、はやたかさんの後ろをついて歩きます。
こちらは有名なシロクマさん。(一応知ってますが、カキ氷は未体験です)
GW期間中は知人の店を手伝うと聞いていたのですが、なぜか脳内で「知人のそば屋を手伝う」と記憶がすり替わっていて、「今日は黒豚トンカツの店ですが良いですか?」と尋ねられたとき、
(そっか、知人さんは蕎麦屋と一緒にトンカツ屋も経営してるんだ)
と、思いながらのれんをくぐります。
しかし、店内では店員さんとはやたかさんはそんなに親しい感じでもなく、GW期間中系列店を手伝ったのによそよそしいもんだなぁと思いつつ席に座ります。
しばらくして、若い女性3名と男性1名が「こんにちわぁ」と元気に座敷に入ってきて、いよいよ頭が混乱します。
ここでようやく、私が一人で勘違いしていたことが判明しました。
こちらのお店の立ち上げで、はやたかさんは手伝われていたとのこと。
スタッフの皆さん、飲み会の席でもマジメに接客の話をしており、良い店であろう事が容易に想像できます。そして、皆さんがしている腕時計が皆お洒落。
(時計に興味のある方は是非お店を覗いてみてください)
「mutaSUD」ムータスッド
男臭い飲み会ではなく、すこぶる健全で若々しい黒豚料理のお食事会に混ぜていただき、恐縮至極な夜でございました。
はやたかさんは、スタッフ皆さんの頼れるしんがり役という感じで、光り輝いて見えました。
(奢ってもらったからお世辞を書いているわけでは無いですよ)
はやたかさん、そして参加された皆さん、本当にありがとうございました。
最後のお勘定の時に、スタッフの皆さんが「私、払います!」と言ってる声に混ざって、小さい声で「20円払います!」(200円じゃないところがセコイ)と申し出たのですが、さわやかな笑顔で流されました。
解散した後ホテルに戻り、最終パッキングを済ませてからベッドに潜り込みました。
今日も本当に楽しい一日でした。
お休みなさい。
5月6日(木)
さて、本日は鹿児島から直接東京の職場に出社する日です。
昨日まで天気が持ってくれたことに感謝感謝です。
朝6時半のバスに間に合うように、6時過ぎにホテルをチェックアウトします。
財布の中身は残り1430円。
バス停付近に小宝島で助手席に座った男性が歩いていたので、声をかけてバスの料金を確認してみたところ、1200円で間違いないようです。(これはかなり重要な話なので、念には念を押して)
この男性とまともに会話したのはこれが最初で最後でした。
バス停の近くにあるコンビニに立ち寄り、真剣な面持ちで朝食を吟味します。(230円ってかなり中途半端な金額)
朝食を購入して残り10円を切る予定だったのですが、レジでSUICAが使えることに気がつき、なんとか230円は温存できました。さらにSUICAが使えるのをいいことにグレードアップしてファミチキを足しました。
(というか、今思ったんですが、このときすでにATM使えたかもしれませんね)
バス停に向かい、すでに到着していた空港行きのバスに乗り込みます。
過ぎ去る街並みを眺めながら、朝食用に買ったおにぎりとファミチキをパクつきます。
出発40分前ぐらいに空港に到着したのですが、私はチケット購入からスタートせねばならず、えらい行列に並ばされます。(自動チェックインとか出来ないチケットだったので)
その後のチェックインも手荷物検査もかなり待たされ、結局トイレに立ち寄る暇さえ無くそのまま飛行機に乗り込みました。
西日本を時速800kmで東へ横断しながら最後に手元に残っていた雑誌を読み切ります。
旅に出る前は「本を全て読み切っちゃうかも」なんて思っていましたが、すばらしい自然と、何より島の住民の方々や同じ旅行者の方との暖かい交流のおかげで本を読む暇なんかまったく無いぐらい充実した旅になりました。(リピーター化する気持ちはよくわかりました)
ダイビングをする関係で国内外の島にはいろいろ行っている方だとは思いますが、今回みたいにダイビング抜きで行ったのは初めてですし、ロードスターもレンタカーも無かったので、いつもとは全然違うスタイルの旅になり、自分でも非常に貴重な体験が出来たと思っております。
旅のスタイルの幅が広がりました。
温泉は期待通り、いや、期待を遙かに上回るすばらしい温泉がゴロゴロありました。
日本って、まだまだ奥が深い!
そんな事を考えている内に飛行機は徐々に高度を下げて行き、東京湾の向こうに京浜工業地帯が見えています。
羽田空港に到着するとすぐにATMに立ち寄り、何食わぬ顔(と言っても色黒の髭面)で出社したのでした。
(すさまじい長文にお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました)
おしまい。