実は諸事情があって今年の登山は打ち止めにしようかと思っていたのですが、せっかくの3連休ということもあり、急に気が変わって登りに行くことに決定。
天気予報を確認すると、3連休は全般的に西日本の天気が安定して良さそうな感じ。
3日間をフルに使えば山陽・山陰・四国が射程圏内なので、西日本の山巡りをしてみることにしました。
西本に行く場合、普段だとどうしてもドライブがメインになってしまい、麓や山岳道路から山頂を眺めるだけで終わってしまうことが多かったのですが、今回は思い切ってドライブで楽しむことを大胆に諦めて、高速で移動→登山→高速で移動→登山・・・という、かなり割り切った行程にしてみることにしました。
そうすれば、鳥取の大山(だいせん)、愛媛の石鎚山(いしづちさん)、奈良の大台ヶ原の三カ所を一気に巡れるんじゃないかと脳内で計画したわけです。
(ミーハーなことに全部百名山)
例によって決定したのが天気予報を最終確認した金曜の昼ぐらいなので、それぞれの山の登山口がどこにあって、登り下りにどのぐらい時間がかかるかなんてまったくわかりません。
まぁ、わからないと言っても、大山は以前麓から見上げてこんなもんかな、という勘があったのと、石鎚山は
とら。さんの日帰り往復ブログを読んだ記憶がありますし、大台ヶ原もたしかファミリー向けのトレッキングコースだったと記憶しています。
まぁ、とりあえず、なんとかなるでしょう!
帰宅するとすぐに大山の登山口と登山道の様子を調べてから山道具をトランクに放り込み、バタバタと家を出発したのでした。
大山は一番早いコースで登りに標準コースタイムで3時間。日本海に面した山なので10時にはきっちりガスが掛かりはじめると仮定すると、7時には登山口にたどり着いていたい計算です。
カーナビで検索すると登山口までの距離は770km。青森よりも少し遠いぐらいの計算です。
「青森ぐらい」ということで少し気分が楽になりました。
ただ、計算外だったのが東名高速のペースの遅さ。
普段東北道とか中央高速ばっかり使っているのでそれほど気にならなかったのですが、東名はトラックに追い越し車線もガッチリふさがれ続けることをすっかり忘れておりました。
(第二名神使えなくなりますが中央高速使った方が速いかもしれません)
愛知県の豊田市から伊勢湾岸自動車道に入ってからは、第二名神含めてかなりスムーズに流れてくれて助かりました。
深夜の内に神戸市外(特に宝塚)だけでも超えておこうと粘り、兵庫県の赤松PAに到着したのが午前2時半。
ひとまず眠りに就きます。
9月18日(土)
3時間眠って5時半起床。
走り始めてからしばらくして、後方から太陽が昇ってきました。
米子自動車道で日本海側に向かいます。
諏訪とかヤマセが吹く東北ではよく見られる朝霧ですね。
大山が目に飛び込んでくると、さすがにテンションが上がります。
登山口到着前に赤松PAのコンビニで購入しておいた朝食を食べて燃料補給。
そして、結局登山口に到着したのが朝8時。(目標より1時間遅れ)
急がないと山頂にガスがかかってしまうので、すぐに準備を済ませ、早速登山開始です。(8時20分)
(格好からして)たぶん登山に慣れていないであろう家族連れや年配のご夫婦が勢いよく抜かしていきますが、自分のペースを守ってゆっくり登ります。
こんな階段は最初のうちだけかと思っていたのですが、けっこう延々と続きます。
全速力で私を抜かして、100m先ほどで休んでいるところを今度は私が抜き返し、しばらくすると再び全速力で追い抜いていく中高年のご夫婦が居たのですが、三合目辺りで撃沈しておりました。
(特に奥さんが負けん気が強いっぽく先頭を切って登っていて、後ろからついて行く旦那さんが最初から息が上がっていてかわいそうでした)
しかし、登山道がほとんど階段として整備されているのがすごいです。
(階段って歩幅を調整しにくいので苦手です)
だんだん斜度が上がってきました。
(登り慣れてない方々は、だいたいこの辺で息が上げちゃってました)
ん? まだ1100m?
今回の標高差が何メートルあるのかこの時点では知らなかったのですが、家に帰ってから調べてみたら930mぐらいだそうです。
それなりに登るのですね。
植生が変わってきました。
五合目を超えたところで、神社の方から上がってくる道と合流するのですが、その道をすごいスピードで登ってきた年配の男性が目の前に割り込んできます。(ほぼ同時だったのですが、勢いを感じて道を譲りました)
帽子を目深にかぶっていたので断定は出来ないのですが、顔の感じからしてたぶん60歳は軽く超えていそうな方です。
それで居てあの身のこなし具合、そして五合目でこのペースをキープできていることと言い、尋常じゃない雰囲気を感じて声をかけようと思ったときにはすでに5m先を勢いよく登って行かれました。
同じペースで着いていくと私が撃沈しそうだったので、頂上付近での再会を期待することにします。
低木帯に突入してから少し登ったところが六合目の休憩スペースで、多くの人が休んでいました。
足を止めた瞬間に、「写真、お願いしてもよろしいでしょうか?」と声をかけられたので、その団体さんの写真を撮って差し上げてからすぐに登山を再開します。
しばらく登っていると、後ろから明らかにペースの違う人が登ってきたので道を譲ると、先ほどのおじいさんでした。
追い越しざまに、「速いですね!」と声をかけます。おじいさんが軽く笑いながら返事をしてくれたので、
「いきなり不躾なことを伺いますが、おいくつでらっしゃるんですか?」
と、直球の質問をぶつけてみます。
「先月ついに70になりました」
と明るく笑いながら返事が返ってきました。
内心で「やはり」と思いつつ、「普段から山に登られてるんですか?」と次の質問を投げたころには私との距離がかなり離れていて、笑ったような返事は聞こえてきたのですが、はっきりとは聞き取れませんでした。
いやはや、70歳ですか。あっぱれでございます。
私もあんな年の重ね方をしたいものです。
整備された登山道はまだまだ続きます。
六合目から先は見晴らしが良く、大変気分良く登っていくことが出来ます。(さすが百名山)
この分だとガスが掛かる前に山頂に立つことも出来そうだと思っていたら、高層に広大な鱗雲が流れ込んできました。
風上を確認すると、幸いあと1時間ぐらいで通過してくれそうなので、この辺りの景色は下山時に楽しむことにします。
そろそろガス欠になってきたのですが、弁当は山頂で食べたかったので、ここは行動食で我慢。
このクランキー、いつ買ったものか覚えていないのですが、今年の猛暑を超えてとんでもないことになってました。(気にせず食べましたけど)
八合目から先は木道の整備されたゆるやかな上り坂で、ほとんどハイキング気分で歩くことが出来ます。
振り返れば周囲の平野や(写ってませんが日本海)がどこまでも見渡せて、気分爽快そのものです。
この、濃いグリーンの低木はキャラボクというイチイの仲間の植物です。
大山8合目付近のキャラボク大群落が日本最大級だそうで、国の天然記念物に指定されているそうです。(という案内看板が出ておりました)
しばらく歩いていくと、避難小屋が見えてきて、その後ろのスペースにたくさんの人が見えてきて、そこが山頂だと言うことがわかりました。
10時10分、大山の弥山(みせん)山頂です。 標高は1709m。
ガスる前に山頂に到着できてよかったです。
ちなみに、山頂は大混雑です。
空いてる場所を見つけて腰を下ろし、さっそくお弁当をパクつきます。
(途中のSAで購入、蒜山は大山のすぐ横にある高原地帯です)
地名を付けているだけあって、けっこう美味しいお弁当でした。(蒜山SAで売ってます)
そして、待つこと30分。
ようやく頭上の鱗雲が去って行きました。
大山は細長い山なので、山頂を伝って最高峰の剣ヶ峰まで行く道がかつてはあったそうなのですが、今は崩落が進んでいて危険なため、ここから先に進むことは禁止されています。(行ってる人は数名いましたが)
この広い山頂、たくさんの人が日本海側を眺められるようになっていて、合理的な作りだなぁと感心しました。
かれこれ1時間ほどのんびりしたでしょうか、だいぶんガスが上がってきたので、そろそろ下ることにします。
弓ヶ浜の向こうに広島20周年の帰りに立ち寄った美保関方面が綺麗に見えています。
山頂方面はガスがすごい勢いで上がっています。
頂上付近は周回できるので、登ってくるときとは違うルートで下ることにしました。
(私だけ左に逸れて行ってます)
逸れたルートから見上げたところです。
しばらく下ったところで先ほどの70歳の元気なおじいさんが下から登って来ます。
私が質問するよりも先に、
「避難小屋で休憩した後、ここ(周回路)をちょっと回ってましてね」
と、なぜここで出会うことになったかを教えてくれます。さらに、先ほどの最後の質問を覚えていてくれたのか、
「毎年10回は登っておるんですが、今年はまだ5回目ぐらいかなぁ」
と、大山通いをしていることを教えてくれました。
なるほど、それなら納得です。
納得ついでに質問をひとつ。
「ちなみに、大神山神社から今日はどのぐらいで頂上まで上がったんですか?」
「う~ん、今日は1時間35分だったかな」
「さすがでございます(笑)」
(ちなみに私は神社よりやや近い登山口を使って休憩一切取らずに1時間50分でした)
「百名山を目標にしておりましてね、いや、あとは立山と剣だけなんですが、体力を保つためにここにしょっちゅう通ってるんです」
「なるほど。ちなみに、登山は何年前に始められたんですか?」
「60歳からだから、10年前かなぁ」
「そうなんですか!」
そんな会話を楽しみつつ、お互いの安全を祈ってから再び下山開始。
メインのルートに戻ってきました。
日本海を眺めながら気分良く下っていきます。
大山の山々に別れを告げます。
しかし、山頂付近はこれからガス真っ盛りだというのに、登ってくる人は増えるばかり。
それこそ次々に登山者(ヤマガール比率異常に高し)が登ってくるので、まったくもってスムーズに下れません。
そうこうしているうちに、背後から「やぁ」と声をかけられ、振り向くとおじいさんが山頂回って追いついてたところでした。
(以下、Kさんとお呼びすることにします)
いったん先に行ってもらい、Kさんの後ろを着いて行ってみることにします。
予想通りバカっ速なわけですが、すれ違い待ちをしている時間の方が長いので、今のところまったく問題なしです。
そして、神社の方へ下る分岐のところで「私もそちらに降ります」と宣言して、Kさんの後ろを着いていきます。
神社に向かう道はかなり空いているので、一気にペースが上がります。
Kさんは全速力で下りながら、これまでの登山での体験(ご自身の遭難体験含め)や大山のことをいろいろ話してくれます。(しゃべりながら歩くのってけっこう辛いんですよ、私は相づち打つだけですが)
なるほど、と思ったのは、大山は午後に登って避難小屋で一泊して朝下ると良いという話。そうすれば空いている上に夕日と星空、日の出が楽しめますもんね。
仲良くなったついでに「元気に長生き」のコツを尋ねてみると、「好きなことを適度にやることかなぁ、それともう一つ、食事だね」という回答。
前者は私にもできると思うのですが、後者は厳しいです。
特にKさんの食事は畑を自分で耕して無農薬野菜を育てるところから話が始まるので、私にはまったくもって無理です。
だいたい、平日を自由に使えるはずのKさんがヤマガールで混雑する3連休の初日に大山に来たのも、畑仕事の合間が今日だったという理由みたいですし。
う~ん、食事かぁ。
こんな写真を撮っていると、あっと言う間に20m近く引き離されます。
他にも趣味のこととか現在の生活ぶりの話もいろいろ聞かせていただきましたが、いやぁ、すんごいアクティブスーパーおじいちゃんでした。
たぶん写真に写っている歩きっぷりからも、体の芯がしっかりしている様が伝わるかと思います。
それでも、とりあえずついていけているので、下りで引き離され足手まといになるという最悪の事態は避けられそうです。
大神山神社に到着です。
美味しい水が沸いていると言うことで、そこで喉を潤し体を洗います。
(Kさん、すんごい筋肉でした。天気が悪い日は自宅で筋トレしてるのだとか)
ちなみに、Kさん普段はここから別の登山口に移動し、反対側にある山頂(ユートピア小屋)までもう一往復しているのだそうです。(つまり合計2往復)
それで、ちょうど北アルプスにチャレンジするだけの行程に匹敵するトレーニングになる、と。
「私は今日は畑仕事があるから、私はこれから家に戻るけど、あなたはこれからもう一往復登るのか?」
と、真顔で尋ねられましたが、下山気分満点の私は即答で「いえ」と答えてしまいました(笑)
Kさんは必ず最初と最後に神様に挨拶しているとのことだったので、私もそれにならってお礼を言います。
最後はKさんの連絡先なんぞも教えてもらい、握手をして別れました。
山を歩いたりロードスターに乗っていると、たまに出会うスーパー元気な人生の大先輩。
話を聞くたびに、「70代で元気に山を歩き回る」という人生の目標の現実味が増すようで嬉しくなります。
Kさんはちょうど今年の10月中旬ぐらいに立山と剣に登って100名山コンプリートされるとおっしゃっていたので、そろそろ山に向かう準備を始めたころでしょうか。
そうそう、私は違う登山口(下山駐車場)から登ったので、そこまで移動して車を回収せねばならないのでした。(Kさんは神社付近の駐車場)
「男の方向感覚」を頼りに適当に歩いて行くと、15分ぐらいで迷うことなく下山駐車場に到着しました。
せっかくなので大山近辺のドライブを楽しむことにします。
ほんと、この辺は「犬も歩けば良い道に当たる」状態で大好きです。
そうそう、美味しいアイスが食べられたんだと思い出し、そちら(みるくの里)に移動しさっそく注文します。
う~ん、美味しい。
ちょうどコスモスが綺麗に咲いてました。
大山は見る角度によって全然違う山に見えるから不思議です。
いろいろ寄り道中。
引き続き、気分の良い県道めぐり。
上の細い人が渡れなさそうな橋、なんだろうと思って確認してみたら、左上と右上の田んぼ間の水を回す空中の側溝でした。
蒜山に移動し、もう少しドライブを楽しむことにします。
もう少しで新そばの季節!
蒜山にむけて移動中。
お~、馬横断中です。
まぁ、普通は甘噛みしませんよね。(おとなしい目をした馬でした)
この牛乳はいかにも絞りたてって感じで、濃くて美味しかったです!
あまりにお腹が空いたので、目に飛び込んできた手打ちうどんののぼりにひかれて立ち寄りますが、、、う~む、これは大失敗。(店構えにだまされました)
蒜山高原を走ります。
塩釜冷泉の文字につられてやってきましたが、こんな看板が・・・
と、思ったら近くの売店で汲めました。
(ポリタンクで延々と汲んでいる人に頼んで横入りさせてもらいました)
さらに下道を進み、湯原温泉の砂湯にやって来ました。
なんでも河原に沸くワイルドな湯らしいのですが、駐車場に車を停めた時点で嫌な予感がします。
お~、見えてきました!
湯原ダムの前に露天風呂があって、たくさんの「男性」がひしめいていますよ。
(okazakiさん、最愛の息子にダムを見せてあげられますよ! お勧め!)
そして、予想通りホテルから丸見えのところに露天風呂があるパターン。
(西日本に多い気がします。こういうのをワイルドって言うのですかね?)
お湯はちょっと熱めで長湯は出来ないのですが、開放感は(いろんな意味で)満点です。
目の前は冷たい水の流れる川なので、そちらで体を冷やすことも出来ますよ、
TABさん。
さて、さっぱりしたところでそろそろ石鎚山の登山口に向かうことにします。
石鎚山の登山口は2つあって、ロープウェイで上がる登山口とスカイラインで車で向かう登山口があります。
とら。さんが以前登ったのはロープウェイ側だったはずですが、今回はせっかく車で来ているので、スカイラインで上がる方を選択します。
カーナビで道を調べてみると石鎚山の南に一旦回り込むようです。
そう言えばと思い出し、四国カルストの位置を確認してみると、それほど離れていないことが判明。(この判断は間違いであったことに後で気がつきます)
ならば、本日は四国カルストで車中泊して日の出を楽しんでから、石鎚山の登山口に向かえばいいやと計画を立てて、早速カーナビにルートを作らせます。
すると高知市を経由するルートになってしまったのですが、実際それが最早なのでしょう。
では、早速向かうことにしましょう。
少し走り始めたところで、瀬戸大橋を渡っている最中に日没になるようにタイミング合わせればよかったと気がついたのですが、時すでに遅しでした。(あと30分早く出ていれば・・・)
まぁ、これはこれで綺麗ですね。
香川県のSAでうどんに再チャレンジ。
決して目が飛び出るほど美味しくはありませんが、蒜山で食べたものよりはずいぶんまともでした。(これで少し気分リセット)
激空きの高知自動車道を南下して高知インターで一旦高速を降ります。
コンビニで食料を買い込み、ガソリンを満タンにしてから再び高速に乗り直します。
なんで途中で高速を降りたかと言うと、高速終点の須崎市のガソリンスタンドが全てカーナビ上では閉店時間を過ぎていたからなのですが(営業時間も登録されています)、実際には夜10時過ぎても営業しているガススタンドもちゃんとありました。
須崎からしばらくは快調に国道を走っていたのですが、カーナビの指示に従い県道に入ると、途中から一気に道が怪しくなります。
特に四万十の源流を目指す県道378号線はすれ違え無いほどの道幅。
こりゃぁ、大変だと思っていたら、すれ違う車が一台もおりませんでした。
しかし、ぼーっと走っているとカーブで脱輪しそうなので、気が抜けません。
国道(439号線)に入って一安心と思ったら、ナンバーが400番台というのもありますが、県道と大差ありませんでした。
県道48号線で四国カルスト方面へ。
とにかく、愛媛と高知の県境付近はどこもかしこも狭い道。
こりゃぁ、明日の朝、早めに四国カルストを出発しないと石鎚山の山頂にガスがかかる前に立つことが難しくなってしまいそうです。
そして、なんだかんだで23時半に四国カルストの手前に到着。
上り坂の道路脇に車を停めて(車ごとリクライニング)、安眠キットを装着して眠りに就きます。
おやすみなさい。。。