例の手に入れたCS90ですが、事前に聞いてはいたのですがキャブのフロートに穴が開きまくりで、既に中に1/3くらい水が入っていて全く使い物になりませんでした・・・
前のオーナーが修理に修理を重ねて、それでも穴が埋められなかった様で最後は接着剤か何かでフロート全体が固められていましたが、それでもダメだったようです。
と言う事で、私の手元に来た以上根本的に直してやろうかと!
でももちろん純正新品のフロートなんてあるわけもありません!
しかもこのCS90はケーヒンキャブではなく、ミクニキャブの分なのです・・・
何故かキャブが2種類あって、初期の分がミクニだとか、年式でどちらも混在しているとかいろいろあるらしいです。
なんでも当時は製造にあたって部品供給量の問題から2社を採用していたとか?
何にせよホンダなのにミクニキャブとは面白い。
これが元々ケーヒンだったら現行でも存在しているPCキャブの元になった形状なので、おそらくPC18/20のフロートがそのまま使えるんじゃないかと。
ミクニだしどうしような~?っと思いつつも、キャブの形状はPCキャブにそっくりな感じなので、もしかしてPCのフロートを小加工すれば流用できるんじゃないか?っと思いつきPCのフロートを購入してみました。
左が純正のミクニキャブのフロート
動かすと水が出てきます。
右がケーヒン「PC20」キャブのフロート(キタコのパッケージ)
ちなみにミクニVM18のフロートも真鍮なので、当初はそちらを注文していましたが、そちらは入荷に時間が掛かるようだったのでやめてPCのフロートにしました。
では検証していきましょう!
ケーヒンの方がフロート部の直径が少し小さいです。
まあ問題無いでしょう。
ピンが入る軸受け部分の幅がケーヒンは2mmほど狭い
フロートから軸受け部分の突出角度はこの通り
ミクニはフロート中心から垂直にリップが出ていますが、ケーヒンPCは”9”のように偏芯しています。
まあこれは曲げれば何とでもなります。
フロートから軸受けまでの距離は、直線距離ではほぼ一緒のようです。
そしてピンの太さが違う!
正確には測定していませんが、ミクニは2.5mmくらいで、ケーヒンが2mmくらいと差があります。
これが一番の問題ですな!
フロートの全幅はほぼ一緒です。
これは流用できそうですね!
最悪、PCのフロート部分だけを切り離して、ミクニのフロートに移植しようかと考えていましたが、これなら加工してそのまま流用可能っぽいです。
ということでまずはピンが入るようにしてみた。
似たサイズのピックを穴に叩き入れて穴のサイズを大きくした。
プライヤーで成形しつつ、最後に2.5mmのドリルの刃をグリグリ突っ込んだりしてスムーズに動くようにした。
とりあえずこれで仮組してみる・・・
悪くないですね!
これなら大丈夫っぽい!
ちょっと見にくいですが、フロートバルブの先端とフロートのリップが結構ギリだったりする。
もうちょっとリップ部分が長ければ嬉しいのだが、とりあえず問題はなさそうです。
リップにフロートの動きを抑制する爪のような物がありますが、現状のままだとガソリンが少なくなってもフロートの下がり方が少ないので、曲げて調整しておきます。
ただあまり動きを大きくするようにするとフロートバルブが外れてしまうようなので調整には注意。
あとはこの軸受け部分の幅の問題です。
このままだとちょっと左右に動き過ぎかな~
使う分には多分使えるとは思いますが、フロートがスロージェットの通路とフロートチャンバーに接触するといずれフロートに穴が開くのでさすがにそのままにはしておけませんね。
どうするかな~?っと考えた結果・・・
ハンダを盛って幅を増やす事にしました!
ピンを入れた状態で半田ゴテでちょちょいと盛ってやりました。
ピンはステンレスなので、ハンダが定着しないのでガイドとして使います。
盛ったところをリューターで削って成型と幅の調整をしたところ
穴の方ももう一度ドリルの刃を通したりしてスムーズに動くように調整。
そして完成~~
これでフロートが新品になりました!!
フロートチャンバーのガスケットは純正新品はもうありませんでしたが、作っているところがあったのでそこから注文して購入しました。
そもそもフロートバルブが大丈夫なんかい??っと思いつつ、点滴でガソリンを入れてしばらく放置してみましたが、オーバーフローはしませんでした。
修理成功~~
ちなみに油面はフロートを横から見て感覚で調整しています・・・・
まあ大雑把な調整でも大丈夫やろ!
フロートチャンバーのドレン部分にホースが繋げられれば油面測定できるけど、このままだとホース繋げられない構造だし、測定したとしてもサービスデータが無いからなんにせよ正確には調整が出来ないって言うね。
あとは走らせてみた感じとかで調整すれば大丈夫でしょう。
まあ原チャリなのでおそらくそこまでする事も無いでしょうが。
その後エンジンに取り付け始動確認してみましたが無事エンジン始動!!
エアースクリューは初期値を1-1/2回転緩めにしていましたが、1回転緩めでいい感じになりました。
もしかしたら若干油面が低いかもですね。
キャブ調整後はアイドリングも安定し排ガスの匂いも悪くない!
50とは違って力強そうで意外と吹け上りも早くて乗ったら速そう!
メーターが120km/hまで書いてあったけど、実際どれくらい出るんだろう?
まさかカスタムしてるドリームが勝てなかったりして・・・
さすがにそれは無いか・・・
あと吹け上りが良いので今のところポイントとコンデンサは大丈夫そうですね。
一応社外品のコンデンサがあるようなので今のうちに買っておかないと。
エンジンが始動出来たので、少しエンジンを温めてからオイルを排出・・・・
結構汚いオイルが出てきた・・・・
そこで一度安いオイルを投入しもう一度エンジンを温めてオイルを排出してエンジンを軽くフラッシングしてやりました。
最後にワコーズのプロステージを投入してオイル交換終了。
その他にも右側グリップを外して清掃・グリスアップして新品のスロットルワイヤーに交換。
ブレーキワイヤーも交換しようとしたけど、年式違いの物を買ってしまっていたようなのでサイズが合わず買い直す事に・・・
最後にクラッチワイヤーも新品に交換。
ブレーキワイヤー以外は幸いにも当時の純正新品がヤフオクでゲットできたのでそれを取り付けて置いた。
これから長期保管されることを想定してワイヤーインジェクターを使ってワイヤー内にグリススプレーを通しておいた。
いずれ復活する時にインナーが錆びていたら意味が無いので・・・・
グリスは固まったとしてもパーツクリーナーなどでなんとかなるでしょう。
メーターとライトケースとの間にあるゴムのクッションは当たり前のように溶けてボロボロになっていたので、CT110(ハンターカブ)用のミニモト製のメータークッションを買って取り付けました。(台形メーターのCS90用は何故かリプロ品が無い・・・)
メーター形状は一緒なので直径的なサイズはピッタリなのですが、クッションの厚みが厚いようでメーターが最後まで差し込めない様で、メーター裏にあるストッパー(?)がカチンと効きません。
まあメーターが飛び出てくるわけでも無いし別にそれでもいっか~っと。
クッションの厚みを調整すればちゃんと取り付けられると思うけど。
タンクと燃料コックはこれから内部洗浄するところですが、タンク前方と後部のゴムクッションは純正がまだあったので新品を購入しておいた。
タンク最後部にあるタンクを固定するゴムクッションは純正が廃番になっていましたが、リプロ品があったのでそちらを購入。
着々とレストアが進んでいく・・・・
もう少しで乗れるようにはなるから、一度走らせてみて快調に走れるかチェックしてからガソリンを抜いて倉庫行きかな。