
リープステスターについては以前にもブログで少し紹介した事がありますが今まで一度も使った事がなかったので、どんなものかと使ってみました。
その前にリープスについて・・リープスとは排気ガス規制が始まった頃のロータリーエンジンの排気ガス浄化システムの事で、マツダのレシプロエンジンの排気ガス浄化システムはシープスと呼ばれており、こうした排気ガス対策車に当時のマツダは低公害を意味するAP(アンチポリューション)という呼称を付けていました。
リープスは非常に複雑でして、40年近く前のシステムながらコンピューターで制御されており、不調を起こすと原因の究明に一苦労します、リープステスターは不調原因の究明作業の省力化を図るための整備機器です、今で言えばデンソーのDST-2といった自己診断機のようなものでしょうか。
今の車は世界共通規格の自己診断機用のカプラーが付いていて、ここに自己診断機を接続して故障診断をするんですが、数十年前に既にリープステスターという似たような物があったわけですね^_^;
その内容は・・

付属品も全て揃っている完品です。

手書きというのが何とも時代を感じますね。

説明書を見てみましょう。

ふむふむ・・なるほど。

このリープステスターはリープス4,4E、5と、3タイプのリープスに使用出来るのですが各リープスのタイプに合わせてチャート紙が用意されています。

今回は白コスモで使ってみようと思うので、このチャート紙を使います、白コスモはリープス5の13Bロータリーのマニュアル車ですが当時のリープス整備書ではマニュアルミッション車をメカと表現しています。

このチャート紙を本体に差し込むとこんな感じになります。
それでは使ってみましょう♪

まずコントロールユニットのカプラーを抜きまして・・。

リープステスターの専用配線を接続します。

本体の挿し込み部分には4Eと5の切り替えスイッチが付いています。

カプラーを挿して準備完了です。

おぉ~何か本格的ですねぇ~☆
ところでなぜ白コスモで使ってみようと思ったのか・・白コスモはキャブレターの高負荷時空燃比補償機構のパワーバルブ制御用ソレノイドがショートしたので配線を抜いてあるんですが、果たしてこれがリープステスターで検知出来るのか試してみようと思ったのです。
私がこのパワーバルブ制御ノレノイドのショートを発見したのはアイドリング不調を探っていく中で、T側の失火を発見→ディスリレーからの出力なし→冷間時チョークが保持出来ない→コントロールユニットの保護回路作動と判断→コントロールユニットの指令で作動するデバイスの配線やソレノイドのショートを疑う→順番に調べていった結果、パワーバルブ制御ソレノイドのショートと判明・・こんな流れでしたが、もしこれがリープステスターで一発で判明したらかなりの作業省力化です。

それではエンジンを始動してみます、するとテスターの数個のランプが点灯しました、この状態はコントロールユニットからの信号の状況を表示する設定にしてあるんですが、ランプが点灯している個所がコントロールユニットから信号が出ている事を意味しています、画像はアイドリングの状態なんですが7,8,9,10以外は全て点灯しています。
あれ?おかしいぞ?No2コースチングバルブF端子(5番)とコースチングリッチャH端子(6番)はアイドリング時にはコントロールユニットからの出力がないはず・・更に回転を上げてアクセルを放して減速状態にしてもコースチングバルブG端子の出力が出たままに・・念のためにエンジンルーム内のNo2コースチングバルブやコースチングリッチャの配線端子にテスターを当てると確かに電気の出力があります。
コントロールユニットがおかしいのか??というかコースチングリッチャに出力があって安定してアイドリングしているのもおかしいな?
コースチングリッチャは減速時に混合気が排気ガスで希釈されて燃焼が不安定になるのを防ぐために燃料を供給するもので、やはり減速時にエアを供給するコースチングバルブと相まって有害成分の発生やアフターバーンを抑えるものですが、作動するのは減速時だけです、アイドリング時にコースチングリッチャーが作動すると空燃比がリッチ(濃い)になり過ぎてアイドリング回転が下がって不安定になったりします。
なのにコースチングリッチャに出力ありでアイドリングが安定しているとなればコースチングリッチャのソレノイドが作動していない事になります、う~ん・・。

まぁ、それは置いといて・・次は各デバイスの接続状態を点検してみます、キャブレターのパワーバルブ制御ノレノイドの端子を抜いてオープン(断線)状態にしておきます、そして点検モードにしてみると・・おお、これは正常に表示してますね、ロータリー式のダイヤルを回していくと各デバイスの接続に異常があった場合、それを表示するようになっています、この場合はダイヤルが9の位置(9はパワーバルブ制御ノレノイド)でオープンのランプが点灯しています。

次はコースチングリッチャーの端子を抜いて実験・・ダイヤルが6(6はコースチングリッチャ)でオープンのランプが点灯しています、この機能は正常に作動しているようです、これでショートの状態にしてやればショートのランプが点灯するはずですが、わざとショートさせるのもちょっと・・保護回路やヒューズがあるとはいえ本当に壊れたら困るのでショートの再現実験はしませんでした^_^;
それにしてもアイドリングでコースチングリッチャーとNo2コースチングバルブの出力があるのはおかしい・・それと4000回転以上で出力が出るはずのパワーバルブ制御用L端子とエアコントロールバルブI端子に出力が出ない・・。
そこでリープステスターを外して改めて調べてみると・・アイドリング時にコースチングリッチャやNo2コースチングバルブの電気出力がなくなり正常になりました、出っ放しだったG端子の出力も正常になりました、なぜだろう?
L端子とI端子はメーター読み5500回転で出力が出ました、整備書では4000回転からとなってますが随分誤差があるな・・まぁ出力が出ているのは間違いないんだしいいか・・^_^;

コースチングリッチャを点検してみます、バッテリー電源を直接いれてカチカチ音がすれば大丈夫ですが、音がしない・・^_^;そこで外して単体で点検すると正常に動きました、元通りに装着してみると今度は正常に作動するようになりましたがまた動かなくなるかも・・まぁ時々点検してダメなら何か考えよう。

ところでこのリープステスター・・実は2つあったりします(笑)もうひとつはジャンク品との事ですが・・

カプラーの挿し込み部分の基盤が折れています、ここを直せれば使えるかも知れませんね。
リープステスターを使ってみた感想・・正常に作動すればの話ですが確かに作業の省力化にはなりますね、それに各デバイスを任意にオン、オフさせてエンジンの調子の変化で原因究明をするといった使い方も出来ます、便利ではありますが・・でも、これを接続するだけで故障個所が一発で分かる・・というものではないですね、やはり使う人次第でしょうか。
コントロールユニットからの信号を調べるのはリープステスターでなくても普通のデスターで事足ります、ただ端子を探したりするのがちょっと面倒・・そういう点ではリープステスターならカプラーを繋ぐだけで準備完了ですし全ての出力信号をいっぺんにチェック出来るという利点があります、やはり作業の省力化ですね。
Posted at 2013/10/15 01:19:04 | |
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