
先週、栃木市のみかも山公園に行ってきました。カタクリの花で有名なこの山ですが、夏はキツネノカミソリが群生することでも知られています。熊谷や館林にも近いこの場所で、夏に階段を上るのはかなりの労力ですが、駐車場から20分ほどで一面橙色の斜面が現れました。ヒガンバナの仲間で少し個性的な花ですが、群生して咲いている斜面を見ると汗だくになって上った甲斐が感じられる景色でした。
今日はキツネノカミソリということで、タイトルにキツネが入る回を紹介します。キツネがタイトルに入る回はウルトラマンタロウとウルトラマンレオに1作ずつありますが、今回は1974年10月25日放送のウルトラマンレオ第29話「日本名作民話シリーズ!運命の再会!ダンとアンヌ 狐がくれた子より」を紹介します。
このクールは日本名作民話シリーズと題して、「桃太郎」や「一寸法師」、「浦島太郎」など民話を題材にして脚本が作られた回が続きます。そのなかでも「狐がくれた子」はほとんど聞いたことがない民話ですが、それはこのブログの最後で解説します。この回はそんなことより、
ウルトラセブンでアンヌ隊員を演じたひし美ゆり子と、ダン隊長が6年ぶりにウルトラシリーズで共演を果たした貴重な回です。あのウルトラセブン最終回のダンとアンヌが見つめ合うシーンも登場しています。かつてのウルトラセブンファンにも嬉しいストーリーでした。最後までダン隊長とアンヌにそっくりな女性が結ばれることがなかったのがストーリーとしては悲しい結末でしたが、個人的にはこの脚本は好きでした。それではストーリー紹介に移ります。
神社の境内で押しくらまんじゅうをして遊ぶトオルとその友達たち。そこで一緒にトオルたちと遊んでいた百子は少し離れた所に赤い服を着た少年がいることに気付く。百子は一緒に遊ばないかと声をかけ、押しくらまんじゅうの中に少年を連れて行った。すると少年は超能力を使い子どもたちを壁際まで一気に押し込んでしまう。百子が少年に名前を聞くと、少年はウリーと答えた。ウリーを宇宙人だと疑ったトオルはウリーを捕まえようとするが、ウリーは超能力で鳥居や灯籠を吹き飛ばし、子どもたちも吹き飛ばしてしまう。
ウリーは走ってその場から逃げるが、トオルもそれを追いかけ神社から出て行ってしまった。MACも異変を察知しており、ゲンはダン隊長とロディーで現場近くを捜査していた。するとゲンとダン隊長の前にウリーが現れ、二人を目にしたウリーは住宅街へと走り去ってしまう。そこに追いかけてきたトオルが来て、ゲンとダン隊長にウリーは宇宙人かもしれないと告げる。その時ダン隊長のエネルギー検知器が激しく反応、ゲンに神社の子どもたちを助けに行くよう言って、ダン隊長はウリーを追いかける。
ダン隊長に追い詰められたウリーは超能力を見せつけるが、ダン隊長もウルトラ念力でウリーに対抗、ウルトラ念力で苦しむウリーは助けを求め住宅街の奥へと逃げていく。その後をダン隊長が追っていくと、一人の女性がウリーを待っていた。
その女性を見た瞬間、ダンは衝撃を受ける。女性はかつてダン隊長がウルトラセブンとしてウルトラ警備隊で戦っていた時の同僚アンヌ隊員にそっくりだった。
そしてダン隊長はその女性がウリーの母親子だと知ってしまう。呆然と立ちつくすダン隊長のところにゲンが戻ってきた。ゲンはウリーはどうなったのかと聞くと、ダン隊長は咄嗟に見失ってしまったと嘘をついた。ダン隊長はゲンとともに一度基地へと帰るが、アンヌにそっくりなウリーの母が気になっていたダンは再び住宅街に足を運ぶ。するとそこでダン隊長はまたしてもウリーの母に遭遇する。思わずダン隊長はアンヌと叫ぶ。その後、ダン隊長は再び地球を訪れることになり、その時アンヌを探したが見つけることができなかったとウリーの母に話す。しかしウリーの母は自分はアンヌではないとダン隊長に告げた。
その時基地のゲンからダン隊長にウリーが遊園地を念力で破壊していると通信が入った。それを聞いたウリーの母は不安げな表情を見せるが、ダン隊長は任せておきなさいとウリーの母に言って遊園地へと向かった。ゲンや他の隊員たちも現場へ急行し、超能力で好き放題暴れるウリーをマックガンで撃とうとすると、そこにダン隊長が駆けつけ、撃つなと隊員たちを止めた。ゲンはウリーは宇宙人だとダン隊長に言い返すが、ダン隊長は自分の知り合いの子どもだと告げた。しかしウリーはその後も超能力でジェットコースターを爆破してしまう。見ていられなくなった隊員たちはウリーを撃とうとするが、またしてもダン隊長はそれを制止し、自分がやるといって、一人ウリーの方へ向かっていく。
ウリーの母も遊園地に駆けつけ、ウリーにいたずらをやめるよう叫ぶが、ウリーはその場から逃走、そして追いかけてきたダン隊長と鉢合わせになると、ダン隊長はウルトラ念力でウリーを止めようとするが、ウリーも超能力で応戦、ダン隊長はウルトラ念力で体力を消耗し、意識が朦朧としてしまう。
そこへゲンが駆けつけ、ウリーを撃つが、咄嗟にダン隊長はウリーを庇い、銃弾はダン隊長に当たってしまう。
倒れ込むダン隊長にゲンとウリーの母が駆け寄る。ダン隊長はウリーの母にアンヌと呼びかける。するとついにウリーの母が重い口を開く。「あたしの子じゃないんです。宇宙人の捨て子なんです。みんながあの子を育てることに反対しました。でも、とってもいたずらな子だけど、あたし放っておけなかったんです。アンヌじゃありません。隊長さん、あたしはあの子をあなたのような立派な人に育てたいと思っていたんです。」と。
しかしその時ウリーの超能力で飛ばした石がウリーの母に直撃、ウリーの母が倒れてしまう。ダン隊長もなんとかしようとするが、撃たれた傷で気を失ってしまう。ゲンはウリーをマックガンで攻撃しながらウリーを追いかける。するとウリーはついに巨大化、ウリンガとなってゲンを攻撃し追い詰める。
追い詰められたゲンはウルトラマンレオに変身し、ウリンガに立ち向かう。しかしウルトラマンレオはウリンガの念力攻撃に苦戦、手も足も出ない状況に陥ってしまう。
ウルトラマンレオはウリンガが超能力を使う直前、一瞬精神を整える隙があることに気付き、超能力のタイミングを見計らう。そしてウリンガが頭部から発射した光線を予測し避けると、その光線はパラボラアンテナに当たり反射、ウリンガは自分の超能力光線を受け吹き飛んでしまう。
それにより形勢が逆転し、ウルトラマンレオはウルトラマントでウリンガを元の姿に戻すことに成功した。
目を覚ましたウリーの母はダン隊長の傷にハンカチを当てると、ウリーの方へと向かっていった。
ダン隊長も目を覚まし、大声でアンヌと叫ぶが、ウリーの母はウリーとともに立ち去っていった。そしてウルトラマンレオはウリーと母を手に乗せ、宇宙へと飛び去っていった。
この回のタイトルにある「狐がくれた子」は、「桃太郎」や「一寸法師」など他の民話と違い、聞き慣れない話です。調べてみると、ここで言う
「狐がくれた子」は「信田妻」という話が元になっているようです。「信田妻」のストーリーは、『安倍保名という男が狩人に追われた狐をかばい逃がすが、それに激怒した狩人が安倍保名に暴行を加えてしまう。動けなくなった安倍保名の前に葛の葉という美しい女性が現れ、安倍保名の傷の手当てをしてあげたことがきっかけで結婚、二人の間に童子丸という子どもが生まれる。しかし童子丸が5歳の時、葛の葉の正体が狐であることがバレてしまう。葛の葉は「恋しくば 訪ね来てみよ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉」という句を残して、安倍保名と童子丸の前から姿を消してしまう。その後安倍保名は息子童子丸とともに句にある信田の森で葛の葉を探し、狐に戻った葛の葉にもう一度一緒に暮らそうと呼びかけるが、葛の葉はそれを断り、形見の数珠を童子丸に授け、童子丸は成人となり、陰陽師・安倍晴明になった』という話しです。
つまり、安倍保名がダン隊長、狩人がゲン、童子丸がウリー、葛の葉がアンヌに置き換えられているといった具合でしょうか。タイトルは運命の再会とありますが、結局最後までウリーの母はアンヌだと認めず、ダン隊長とはわかり合えないまま宇宙へと帰ってしまう悲しい結末でした。7話連続で続いた日本名作民話シリーズですが、ウルトラセブンとの繋がりが垣間見れるこの回が個人的には一番名作だと思います。結局ウリーの母はアンヌだったのか、そうではなかったのか、それは未だに謎のままです。
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花木 | 日記
Posted at
2018/08/14 17:48:09