
上原氏追悼企画第17弾は、平成シリーズであるウルトラマンティガで24年ぶりにウルトラシリーズに復帰を果たした上原氏の作品を紹介します。1997年8月9日放送のウルトラマンティガ第49話「ウルトラの星」で上原氏は久々にウルトラシリーズの脚本を担当しました。また、この回は昭和のウルトラQ時代から円谷プロダクションを支えてきた満田かずほが監督をつとめています。ストーリーの内容は通常とは違い、主役のダイゴが、昭和の円谷プロダクションにタイムスリップ、特撮番組「ウルトラマン」誕生のドラマと融合させた懐古ツアーのようなストーリーとなっています。昭和シリーズのファンにとっては嬉しい作品で、満田かずほらとともに初期のウルトラシリーズを知る上原氏だからこそ作ることのできた作品です。しかも今では当たり前のように昭和のウルトラマンと平成のウルトラマンが競演していますが、当時、世界観の違うウルトラマンティガに昭和のウルトラマンが登場するなど想像もできない時代でした。それがサワイ総監の台詞にゴジラやモスラといった言葉が出てきたり、助っ人として初代ウルトラマンが登場してウルトラマンティガとの共闘を果たしたり、エンディングはまさかの初代ウルトラマンの映像が流れるというサプライズまでありました。とにかく、リアルタイムでこれを見た時のインパクトは計り知れないものがありました。
「怪獣使いと少年」とは全く別物ですが、これもまた、上原氏の残した傑作の一つだと自分は思います。それではストーリーの紹介に移ります。
チャップリンのような姿に変装した宇宙魔人チャリジャは宇宙恐竜ヤナカーギーを探し街を歩いていた。すると近くに怪獣のぬいぐるみで遊ぶ子どもたちの姿を見かける。チャリジャは子どもたちに近寄り、手品でハンカチの中から花を出現させ、その花と怪獣を交換してほしいとお願いする。しかし子どもたちは応じてくれなかった。代わりに子どもたちは怪獣が欲しいなら近くの円谷プロに行けばいいと教えてくれた。
たまたまシャーロックで通りかかったダイゴは怪しげな風貌のチャリジャのことを遠目から眺めていた。そしてチャリジャが円谷プロへ行こうとシャーロックの横を通り過ぎる。それをサイドミラー越しに見張るダイゴ。するとサイドミラーに写ったチャリジャの姿が一瞬本来の宇宙人の姿へと変わった。それを見たダイゴはシャーロックから降り、チャリジャの後を追う。
チャリジャは円谷プロの建物の中へと入っていく。そして受付に行くと円谷英二監督に会いたいと伝える。しかし円谷英二は既に故人であり、困った受付の職員は専務に相談に行く。するとチャリジャの元に専務が来る。チャリジャは専務に名刺を渡す。名刺には怪獣バイヤーと書かれていた。
チャリジャは円谷英二監督に会って怪獣を買いたいと専務に頼み込む。すると専務は1965年の円谷プロに行けば元気だった頃の円谷英二に会えるとチャリジャに伝える。外で待機していたダイゴの前にチャリジャが円谷プロの建物から出てくる。そしてチャリジャはタイムマシン装置を1965年にセットすると、発生させた時空に吸い込まれて消えて行った。
ダイゴはGUTS本部に戻りそれを報告する。しかしあまりに不可解な出来事に隊員たちは釈然としない様子だった。若いヤズミ隊員は円谷英二のことを知らず、どんな人なのか他の隊員たちに聞いていると、そこにサワイ総監が現れ、昔ゴジラやモスラの迫力にスクリーンから飛び出てくるかと思ったと興奮しながら話し、「特撮の神様で、世界の円谷と言われた映画監督だ」とヤズミ隊員に教える。
その頃1965年にタイムスリップしたチャリジャは円谷プロを訪れていた。そこで入口にいた熊ちゃんというスタッフに円谷英二監督に会いたいと伝えるが、円谷英二監督は忙しい人でスタッフでもなかなか会える人ではないと断られる。すると今度は怪獣を買いたいとお願いするが、怪獣は空想の産物でフィクションだと言われ呆れられてしまう。困った熊ちゃんは脚本家金城哲夫のところに助けを求めに行く。しかしその時金城は脚本が書けず相当悩んでいるところだった。金城は「ウルトラQ」に続く新たな特撮を依頼されていたが、思うように脚本が書けずにいた。
その間にチャリジャは円谷プロの中を物色していた。リアルの世界ではダイゴがチャリジャを追って円谷プロへ再度訪れる。そしてチャリジャが消えた付近で手をかざすとチャリジャのセットした1965年の時空へと飲み込まれ、1965年の円谷プロへとタイムスリップしてしまう。
円谷プロではちょうど撮影が始まろうとしていた。しかし助監督の長野がどこかへ行ってしまい、カチンコ役が不在で撮影できずにいた。ダイゴが偶然撮影現場を覗きに行くと長野と瓜二つだったダイゴは間違われ、カチンコをやらされることになってしまう。そして撮影が始まり、OKのカットがかかるが、ちょうどその時、後ろから突然円谷英二監督が現れ、臨場感が足りないとダメ出しをする。
そしてテイク2を撮ることとなる。チャリジャはその様子を隠れて見ていた。円谷英二監督からOKが出て無事撮影は終了する。カチンコ役が終わり、ホッと一息ついていたダイゴだったが、チャリジャが隠れていたことに気付くと、急いで後を追う。そして別のスタジオへと入るとそこでチャリジャと遭遇する。ダイゴはチャリジャに何故円谷英二監督を付け回すのかと聞くと、それは内緒と答え、持っていた傘を開き乗り込むと、宙に浮き、手から光線を出しダイゴを攻撃する。ダイゴもガッツブラスターで応戦すると、チャリジャは煙とともにどこかへ消えてしまった。
その頃金城は完成した脚本を円谷一に持っていくが、この脚本では意欲が湧かないと突き返されてしまう。そのことで自暴自棄になっていた金城を見た円谷英二は金城を自宅に招く。
そして才能がないとうなだれる金城に円谷英二は謎の赤い石を見せる。その赤い石は、昔円谷英二が竜ヶ森湖近くを散歩していた時、宇宙恐竜ヤナカーギーを竜ヶ森湖へと沈めた異星人ウルトラマンと遭遇、その時に友情の印だと渡された石だと円谷英二は金城に説明する。
それを盗み聞きしていたチャリジャは竜ヶ森湖へと向かい、ヤナカーギーを復活させる。そしてチャリジャもチャップリンのような風貌から本来の宇宙人の姿へと変わる。チャリジャの命令でヤナカーギーは街を壊し暴れはじめる。それを見たダイゴはウルトラマンティガへと変身。しかしヤナカーギーのパワーに圧倒されるウルトラマンティガ。円谷英二はそれを心配そうに見ていた。しかしヤナカーギーの前にウルトラマンティガは追い込まれ、ヤナカーギーに動きを封じられるとエネルギーを吸い取られはじめる。
エネルギーをどんどん吸い取られたウルトラマンティガはカラータイマーが鳴り始め、絶体絶命のピンチに陥る。その時円谷英二の想いがオーラーとなって奇跡を起こす。円谷英二の想いが届き、赤い光の玉が出現。赤い光の玉はヤナカーギーを弾き飛ばし、ウルトラマンティガを救う。そして突如赤い光の玉から初代ウルトラマンが出現した。ウルトラマンはエネルギーを吸い取られてしまったウルトラマンティガにエネルギーを分け与える。それによりカラータイマーが青に戻ったウルトラマンティガはヤナカーギーにゼペリオン光線を発射、ウルトラマンも同時にスペシウム光線を発射する。二人のウルトラマンから光線を受けたヤナカーギーは大爆発を起こし倒された。
ヤナカーギーが倒され落胆するチャリジャは「ウルトラマン、また会おう」と告げ、どこかへ消えてしまった。
ウルトラマンはウルトラマンティガと握手を交わし、空の彼方へと飛び去って行った。
円谷英二はこの日見た出来事を金城へ伝え、「ヒーローが必要なんだよ、金城君。ヒーローが必要なんだ、ヒーローが・・・。」と告げる。それをヒントに金城は脚本を仕上げる。こうして監修円谷英二、脚本金城哲夫、監督円谷一らによって国民的ヒーロー番組ウルトラマンははじまった。
平成シリーズでは上原氏はメインの脚本家をつとめることはなかったため、ウルトラマンティガでは上原氏の作品はこの1作品のみとなりました。次回はウルトラマンダイナの「チュラサの涙」を紹介します。
Posted at 2020/02/19 19:24:46 | |
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