
今年の7月13日は金曜日です。そう、13日の金曜日。不吉なことが起きるとされている日ですね。
今日はそんな13日の金曜日に起きた不気味なストーリーを紹介します。先月の3333㎞到達の時に紹介しようかと思っていたウルトラセブンの第33話「侵略する死者たち」です。宇宙人や怪獣が一切登場しない回ですが、それでも十分面白みのあるストーリーに仕上がっています。現代のウルトラマンではまず描かれないであろう、何者かが死者を操り地球を侵略しようとする内容です。ウルトラセブンも小さくされてグラスに閉じ込められたり、謎の円盤に捕らえられ拘束されたりと意外と苦戦します。影だけの存在であるシャドウマンもホラー感満載でした。実際書籍等ではこの回に登場する敵はシャドウマンのみとされていますが、脚本の段階では宇宙人が登場する予定になっていました。それについては最後に書くとして、とりあえず1968年5月19日放送の「侵略する死者たち」のストーリー紹介に移ります。
キリヤマ隊長とマナベ参謀らが乗る大型潜水艦S号は地球防衛軍パリ本部から秘密書類を運んでいた。そしてその脇には警備のためソガ隊員の乗るハイドランジャー1号とダンの乗るハイドランジャー2号が航行していた。その時パリ本部からキリヤマ隊長にセイロン島北方で謎の爆発事件が4件発生したと報告が入る。基地に近づいたS号は一度伊豆半島沖に浮上して、そこからヘリコプターで基地に入ることになった。基地周辺では奇怪な事件が頻発していた。フルハシ隊員とアマギ隊員がポインターで走行していると、突然黒ずくめの男が道路に飛び出してきてポインターと衝突してしまう。急いで男のもとへ駆け寄る二人だが、男からは変な臭いがしていて、その体は何故か濡れていた。男はフルハシ隊員とアマギ隊員によって基地内のメディカルセンターに運ばれた。
その直前にも黒ずくめの男がメディカルセンターに運ばれていて既に死亡が確認されていた。先に運ばれてきた男も同じく車の前に飛び込んできた事故死だった。フルハシ隊員がメディカルセンターでその話を聞いて不思議そうにしていると、運びこんだ黒ずくめの男がいきなりフルハシ隊員を背後から襲うが、間一髪アマギ隊員がショックガンを発射、事なきをえる。
アンヌ隊員が男を確認すると、男は死んでいた。しかしショックガンで死ぬのはおかしいとアマギ隊員は不審に思う。謎の死者は9人に上り、そのどれもが身元を確認するものが残されていなかったが、死体に触れたアマギ隊員はホルマリンの臭いがすることに気付く。フルハシ隊員は周辺の病院へと調査に出動した。同じ頃、秘密書類を運んでいたキリヤマ隊長らが基地に到着、書類庫へとその書類を保管した。書類庫は重厚な鉄の扉が何重にもつけられていて、3万ボルトの電流で防御されていた。キリヤマ隊長が見守る中、マナベ参謀により書類庫はロックが掛けられた。
そんな厳戒態勢の基地内に黒ずくめの男が突然侵入、警報センサーの前を通過し非常警報が鳴り響く。警備をしていた防衛隊員が呼び止めると男は走り出したため、防衛軍の隊員が銃撃すると、男は倒れた。一方調査に向かったフルハシ隊員は第三病院へと向かった。するとそこで教材用の死体が昨晩10体も盗まれていたことを知る。死体は身元不明の人だったもので、病院でも調査していた。フルハシ隊員はそのことを作戦室のキリヤマ隊長に報告した。キリヤマ隊長は隊員たちに基地に収容した死体を再度調べるよう指示し、自らも隊員たちとともに死体の安置されている部屋へと向かった。しかし死体を再度確認しても何も怪しいところは見つからず、誰が何のために死体を蘇らせているのかも一向に不明だった。
キリヤマ隊長は、何者かの陰謀であればまたそのうち行動に出るだろうと考え、ダンに死体を見張らせることにした。そしてダンが死体を見張る中、何も事件は起こらず深夜の午前1時を向かえる。その日は13日の金曜日だった。
ダンは死体が安置されている部屋の外側から窓越しに中を確認していた。すると死体のある部屋の中で大きな人影が暗躍をはじめた。ダンには人影が動く場所が死角になっていたが、ダンはただならぬ気配を感じ取る。
その頃作戦室のオートドアが突然開いた。作戦室にいたキリヤマ隊長とアマギ隊員は誰もいないのに突然開いたドアを不思議そうに見つめる。一方メディカルセンターのオートドアも勝手に開き、中にいたアンヌ隊員がそれに気付く。不安になったアンヌ隊員がドアに近づくと、突然自分以外誰もいないはずのメディカルセンター内に大きな人影が現れる。驚いて悲鳴を上げ、部屋から逃げるアンヌ隊員。その声に気付いたキリヤマ隊長とアマギ隊員がアンヌ隊員の元へと駆けつけ、アンヌ隊員から人影の話しを聞くとアンヌ隊員と一緒にメディカルセンターへと急行する。しかしメディカルセンターには何も異常はなかった。キリヤマ隊長はダンに死体の状況を確認する。ダンはキリヤマ隊長に異常はないが何か様子がおかしいと話す。キリヤマ隊長も異様な空気を感じていた。そしてキリヤマ隊長は書類庫の前で警備に当たっていたフルハシ隊員とソガ隊員に警戒するよう連絡を入れた。しかしそれをあざ笑うかのように謎の人影は書類庫に侵入、警報センサーが人影に反応し非常警報が鳴り響いた。キリヤマ隊長と隊員たちは急いでフルハシ隊員とソガ隊員の元へと向かったが、フルハシ隊員が目撃したのは影だけだった。マナベ参謀とともにキリヤマ隊長と隊員たちが書類庫の中の書類を確認すると、中身が無くなっていた。そこには世界の地球防衛軍秘密基地の所在地が明記された極秘データだった。キリヤマ隊長は急いで隊員たちに捜索するよう命令した。マナベ参謀もなんとしても取り戻さなければと焦っていた。ダンは再び死体が安置された部屋へと向かった。ダンは不気味な空気を感じ、誰かが念力で死体を操っていると気付く。その時ダンに人影の気配が迫り来る。とっさにダンはウルトラセブンへと変身するが、それと同時に白い煙が部屋に充満、煙に包まれたウルトラセブンは小さくなってしまった。するとそこに黒ずくめの男が現れ、ウルトラセブンをグラスの中へと閉じ込めてしまう。そして男は影になりその場から姿を消した。
閉じ込められたウルトラセブンはグラスの中からエメリウム光線を発射し、火災を発生させる。それにより火災報知器が鳴り、キリヤマ隊長と隊員たちが現場へ急行する。そのタイミングを狙ったかのように、作戦室に人影が侵入、残っていた防衛軍の隊員2人を白い煙で気絶させ機密データが書き込まれているテープをスキミングされてしまう。一方火災現場に向かった隊員たちは慌てて消化器で消化する。その時ウルトラセブンの閉じ込められたグラスを誰かが蹴飛ばし、ウルトラセブンは解放され、消化器の煙に紛れてダンの姿へと戻った。ダンは死体に襲われたとキリヤマ隊長に説明し、何者かが念力を使い遠隔操作で死者を操っていると告げた。そしてダンは作戦室のテープが狙われたと瞬時に気付き、キリヤマ隊長たちと急いで作戦室へと戻るが、そこには防衛軍の隊員たちが倒れていて、テープもどこかへ伝送されてしまっていた。ダンはテープを回せば伝送された周波数がわかるとアマギ隊員に告げ、解析を頼んだ。それによってテープのデータを宇宙に向け発信している場所を特定した。その場所は東京K地区だった。
ダンとアンヌ隊員に基地の警備を指示し、キリヤマ隊長は他の隊員たちとともにK地区へと急いだ。現場へと急行するとポインターが着いたのは廃墟となった建物だった。するとその建物の上に受信アンテナを発見、敵はそのアンテナで上空にスキミングした情報を送信し、宇宙でそれをキャッチしていた。敵は地球防衛軍の秘密基地の所在地を宇宙から情報収集し、攻撃しようとしていた。
見えない敵の居場所と目的がわかったキリヤマ隊長はダンに宇宙へと飛ぶよう指示、ダンはアンヌ隊員に基地を任せウルトラホーク2号で宇宙へと向かう。ダンは宇宙で謎の宇宙ステーションを発見、迎撃態勢に入るが、逆に謎の宇宙ステーションから光線を受け、遠隔操作で遠くへと飛ばされ爆破されてしまう。
ダンの後を追って急いで謎の宇宙ステーションへと向かうキリヤマ隊長のウルトラホーク1号ではその爆発音をキャッチしていた。そして宇宙ステーションは巨大なミサイルを地球に向けて発射した。しかしウルトラホーク2号を爆破された瞬間にダンはウルトラセブンに変身、巨大なミサイルを発見したウルトラセブンはワイドショットでミサイルを破壊する。すると謎の宇宙ステーションはウルトラセブンに光線を浴びせ動きを止めると、円盤を使いウルトラセブンを拉致、ウルトラセブンを拘束した上で再度地球へと巨大ミサイルを発射する。
そこに駆けつけたウルトラホーク1号は巨大ミサイルを撃墜、さらに拘束されたウルトラセブンを発見し敵の宇宙ステーションに攻撃しウルトラセブンを救出する。
解放されたウルトラセブンは敵の宇宙ステーションを追う。ウルトラホーク1号も円盤を追いかける。ウルトラセブンは敵の宇宙ステーションを追い詰めると、最後はワイドショットで完全に破壊、円盤もウルトラホーク1号によって殲滅された。
難解な事件も解決し安堵しながら基地へと帰った隊員たちは笑いながら作戦室へと入ったが、ソガ隊員が自分の影に驚きウルトラガンを抜くが、キリヤマ隊長に自分の影だと指摘され笑いにつつまれていた。ダンも一足先に作戦室へと戻っていて、謎多き事件は一件落着した。
最初に書いた宇宙人ですが、実は脚本段階ではユーリー星人という宇宙人が登場する予定で、デザインの原画もきちんと書かれていました。
なぜお蔵入りになってしまったのかはわかりませんが、宇宙人が登場しないことで、この回の脚本の良さが引き立った気がします。ウルトラセブンでそれらしい宇宙人や怪獣が登場しなかった回はこの「侵略する死者たち」と「第四惑星の悪夢」と「盗まれたウルトラアイ」の三つがありますが、子どもには不人気かもしれませんが、どれも秀逸なストーリーの回としてコアなファンからは評価されています。
Posted at 2018/07/13 20:57:29 | |
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