
先日とあるカフェに行ってきました。そこは栃木県と茨城県の県境で、住宅街の奥にひっそりと佇むカフェです。地図を読むのが苦手な人には辿り着けないような場所にあるのですが、それでも県外から客が来るほどの知る人ぞ知る超人気カフェです。約2年ぶりに訪問しました。相変わらず明るく雰囲気の良い店員さんが接客してくれました。このカフェを知っているというだけで優越感を味わえるカフェです。
今日は知る人ぞ知るカフェというこで、紹介するウルトラシリーズもなかなかたどり着けないカフェが舞台の回を紹介します。2016年12月3日放送の「地図にないカフェ」です。カフェを舞台にするなんて過去のウルトラシリーズには無かった構想で、脚本を調べてみると、勝冶京子氏という女性脚本家でした。この回は個人的にはウルトラマンオーブの中で一番秀逸なストーリーだと思っています。そして平成ウルトラシリーズでは欠かせない個性派俳優赤星昇一郎演じるブラック店長が良い味を出しています。赤星昇一郎は今までにも個性派悪役を演じてきましたが、この回のブラック店長役は特に印象的です。カウンター越しにブラック店長とピット星人が会話するシーン、
「狙われた街」のダンとメトロン星人を彷彿とさせるものがあります。そしてウルトラマンオーブ恒例のサブタイトルを探せというコーナー。劇中の台詞や画面の中にかつてのウルトラシリーズのタイトルが隠されているという企画ですが、この回はカフェの店内に貼られた馬場先輩の写真のところに
「星空に愛をこめて」とメッセージが書かれていました。相当マニアックな企画なので、余程のファンじゃない限りなかなか気付かないですが・・・。それではストーリー紹介です。
人工衛星の破片が地上に落下する事故が相次いでいた。ビートル隊では最近レーダーによく映る謎の飛行物体と人工衛星が衝突しているのではないかと考えていた。
そして人工衛星の破片とともにコーヒー豆のようなものが発見されていた。その豆は地球上の植物のものではないことがわかった。SSPのナオミたちはSNS上で話題になっていた「カフェ★ブラックスター」についての記事を見ていた。
「カフェ★ブラックスター」は新宿区黒星町一丁目零番地という所にあるということだったが、シンはそのような住所は地図上には存在しないと話す。地図に存在しない「カフェ★ブラックスター」のコーヒーは一度飲むと病みつきになる美味しさだと評判だったが、一度来店した客は店を出た途端、なぜかその店の場所を忘れてしまうという奇妙なカフェだった。ナオミとジェッタとシンはその噂の「カフェ★ブラックスター」を探すため新宿区へと繰り出した。しかしひたすら探しても「カフェ★ブラックスター」は見つからなかった。その時シンが見えるものを探しているから見つからないということに気付き、人間の目に見えない波長を見ることができる自身の発明品スペクトルバイザーを装着、するとシンは「カフェ★ブラックスター」を発見するが、その店は入口の扉にガムテープで目張りがされていて、一見潰れた店のような外観だった。
ナオミとジェッタには一見潰れた店にしか見えていなかったが、スペクトルバイザーを介して見ると、扉には「カフェ★ブラックスター」の看板が掲げられていて、黒星町一丁目零番地という表示も貼られていた。扉を開け、地下の店内へと恐る恐る入って行くナオミたち。
すると店内には女性客が1人のみで、カウンターの奥にマスターのブラック店長がいた。
ナオミたちはひとまずカウンターへと座り、メニューを開く。するとメニューはブラック珈琲1種類だけで、その値段は1杯1230円と超高額のコーヒーだった。値段に驚くジェッタだったが、これは調査だとナオミに言ってブラック珈琲3杯を経費で注文した。ブラック店長がコーヒーを入れている間、ナオミは黒星町という町が地図に存在しないというのはどういうことなのかとブラック店長に尋ねる。するとブラック店長はナオミに「ここは黒星町じゃないんですか」と逆に聞き返す。そこでシンが一度来店した客が二度とたどり着けないという噂について質問すると、ブラック店長は、リピーターの客を作るのは苦労するものだと答えた。釈然としないままブラック店長に出されたコーヒーを飲むナオミたちはその美味しさに驚愕した。
そしてナオミが店内に貼られていた写真に気付く。それは常連客の写真で、ジェッタはそこに以前知り合ったババルウ星人である馬場先輩がいることに気付いた。そこには
「星空に愛をこめて」というメッセージも添えられていた。
ジェッタがブラック店長に馬場先輩のことを聞くと、ブラック店長は彼は戦友だと答えた。ブラック店長によると、馬場先輩は昔は相当なワルでやんちゃだったと話す。そして自分も昔は何度夢に敗れてもその夢を忘れられなかったと語る。ナオミがブラック店長の夢について聞くと、ブラック店長は「地球侵略・・・ブラックジョークです」と答えた。ナオミたちは一瞬そのブラックジョークに凍り付くが、冗談だと聞いて少し安堵した。そしてナオミは後ろを振り向くと、背後に置いてあった赤いテルテル坊主のような人形に目を留める。
ジェッタがブラック店長にその赤い人形のことを尋ねると、ブラック店長はお守りみたいなものだと答えた。その時シンが赤い人形が動いた気がしたと興奮気味にバッグの中から生体反応を確認する機材を取り出そうとしていた。それに気付いたブラック店長は態度が急変、ナオミたちにもう今日は閉店だと一方的に退店を促した。
ナオミたちはしぶしぶ退店するが、なぜか最初から店にいた女性客はそのまま席に座ったままだった。そこに入れ替わるようにガイが入店、カウンターへと座る。ブラック店長はガイの正体を知っていた。
ガイはブラック店長にコーヒーを淹れてもらうと、ジャグラスジャグラーが店に来たかどうかを尋ねる。ブラック店長はガイに対し、ガイとジャグラスジャグラーは光と闇の相対する関係で、分かり合うことは無いと告げる。ガイはコーヒーを飲み終えると、席を立ち帰ろうとするが、その時残っていた一人の女性客がガイを呼び止める。そしていきなり立ち上がるとガイに電流攻撃を仕掛けようとするが、ブラック店長に店内で正義だ悪だとのと野暮なことは止めるようにと諭されると、女性客はおとなしくなり、ガイは一人店を出て行った。
ガイが店を出ると女性客はピット星人の姿へと変わった。女性客の正体はピット星人で、地球を後にする前に最後にブラック店長のコーヒーが飲みたくなり店を訪れていた。ブラック店長は最近店に人間が紛れ込んで困っているとピット星人に愚痴をこぼした。ピット星人も昔はもっと店が賑やかだったのにと壁に貼られた写真に目をやった。そこにはナオミたちがいる時は人間の常連客の写真が貼ってあったが、いつしか、宇宙人の写真に変わっていた。馬場先輩の写真はババルウ星人に、他の写真もザラブ星人やペガッサ星人、ダダやマノン星人の写真に変化していた。
ブラック店長は常連だった宇宙人たちは沈みかけた地球からみんな逃げ出してしまったとピット星人にぼやいていた。
ピット星人は客足の減ったこの店はどうなるのかとブラック店長に尋ねると、ブラック店長は今日でこの店を閉じると答えた。それを聞いたピット星人は自分と一緒に地球を出ようとと提案するが、ブラック店長は相棒がいると言ってそれを断った。相棒とは赤いテルテル坊主のことだった。
最後の客となったピット星人が帰ると、ブラック店長は入口の「カフェ★ブラックスター」の看板を外し、赤いテルテル坊主とともに地球を去ろうとする。
しかし突然赤いテルテル坊主が巨大化してしまう。ブラック店長の相棒は円盤生物ノーバだった。
ノーバは地球侵略の夢を諦めていなかった。ブラック店長はノーバに元に戻るよう叫ぶが、ノーバは言うことを聞かなかった。ノーバを見たナオミたちは、店内にいた赤いテルテル坊主にそっくりだと気付き、ブラック店長のもとへ急行、ナオミはブラック店長にノーバのことについて尋ねると、ブラック店長はノーバはまだ夢を諦めていなかったと告げ、これが夢を叶える最後のチャンスだと言い残しノーバの体内へと入っていってしまう。
そしてノーバの中でブラック店長はブラック指令へと姿を変えた。
ノーバを見たガイはウルトラマンオーブバーンマイトへとフュージョンアップする。ノーバは怪光線や赤い煙幕、そして右手のムチや瞬間移動といった多彩な攻撃でウルトラマンオーブを翻弄する。
不利な戦況に陥ったウルトラマンオーブはバーンマイトからオーブオリジンへとフュージョンアップする。そしてオーブスプリームカリバーを放ち、ノーバを倒すことに成功した。
その後、戦いに敗れたブラック店長は古びた公園にいた。そこにガイがやって来て「お疲れさんです」と声をかけた。ブラック店長は「良い夢を見させてもらいました」と言い、大切な相棒を失った自分にはもう何も残っていないと寂しそうにつぶやくが、ガイは「あんたのコーヒーが美味しいって言ったやつらがいるじゃないか」と励ました。するとブラック店長の表情が少し和らぎ、ガイが一瞬目を離した隙にブラック店長は「カフェ★ブラックスター」の看板をその場に残し姿を消した。
一方SSPのアパートへと戻ったナオミたちは自分たちで淹れたコーヒーを口にしていたが、ブラック店長のコーヒーにはほど遠い味で、物足りなさを感じていた。そこにビートル隊隊長の渋川一徹が入ってきて、調べてほしいことがあるとナオミたちに話しかけるが、コーヒーの味に落ち込んでいたナオミたちは渋川一徹を煙たがる。
すると渋川一徹は住所を調べてほしいだけだと頼み込み、「ラーメン★ブラックスター」の住所だとナオミに告げる。
渋川一徹はそこのラーメンの味の虜になってしまったが、店の場所を思い出せずにいた。ブラックスターの名前を聞いたナオミたちは急に真剣になる。それを見たガイは苦笑いしていた。ブラック店長は地球に残り、カフェのマスターからラーメン屋の店主へと転職したようだった。
今回に限ったことではありませんが、赤星昇一郎の演じる悪役はどこか憎めないキャラクターですね。そして
赤星昇一郎演じるブラック店長は、ババルウ星人である馬場先輩をかつての戦友だと説明していましたが、それにはちゃんとした根拠があります。かつてウルトラマンレオに登場した凶悪なババルウ星人は劇中ではレオキックを浴び倒されていますが、その翌週に登場するブラック指令はババルウ星人に地球侵略を依頼され地球に訪れたという裏設定があったそうです。超マニアックな話しですが、40年以上経った平成シリーズでもそんな裏設定が引き継がれているんですね。そしてノーバの体内でブラック指令が
「最近の怪獣はごちゃごちゃしてていかん」と嘆く場面がありますが、まさにその通り。ウルトラマンと怪獣はやはりシンプルイズザベストです。