
上原正三氏追悼企画の第3弾として今日紹介するのは1967年11月26日放送のウルトラセブン第9話「アンドロイド0指令」です。個人的にウルトラセブンの中でも好きな回です。ウルトラセブンで初めて上原氏が脚本を手掛けた回ですが、この脚本はこの回の監督である満田かずほ監督が上原氏にアンドロイドを主人公にしたものを書いてくれとお願いして作られたというエピソードがあります。そしてアンドロイドを操る頭脳チブル星人の人間体を演じたのは植村謙二郎です。植村謙二郎は同じ上原作品であるあの「怪獣使いと少年」で登場したメイツ星人の人間体を演じた方でもあります。あのストーリーの衝撃さゆえにメイツ星人の方が目立ってしまいがちですが、個人的には、役者としてはおもちゃじいさんことチブル星人の植村謙二郎の方が印象に残っています。これを書きながら今更気付いたのですが、おもちゃじいさんも金山ことメイツ星人もどちらも劇中では1年前から廃墟に住み着いたという共通点があるんですね。これは偶然なのでしょうか。それから、チブル星人のチブルとは沖縄の言葉で頭という意味だそうです。その名の通り頭でっかちで非常に高い知能を持った宇宙人という設定でした。このチブル星人は平成のウルトラマンギンガでも準レギュラーとして何度も登場した宇宙人でした。それではストーリー紹介に移ります。
ある風の強い夜の日、フルハシ隊員とソガ隊員はポインターで夜間パトロールに出ていた。するとパトロール走行中に突然金色のワンピースを着た金髪の女が目の前に飛び出した。女はポインターを停止させると、運転席のフルハシ隊員の方へと歩み寄る。そしてフルハシ隊員にモロボシ隊員かと尋ねる。
綺麗な女に気をよくしたフルハシ隊員はダンのフリをした。すると女はお会いしたかったと話し握手を求めてきた。フルハシ隊員が握手に応じ、手を握り返すと女は手から高圧電流を流しフルハシ隊員を悶絶させ、慌てたソガ隊員が捕まえようとするも夜の街へと逃げていってしまった。
握手をしたフルハシ隊員の右手には謎の文字とマークが記されたペンダントが残されていた。
そのペンダントは基地へと運ばれアマギ隊員によって解析が進められた。アマギ隊員によってペンダントの文字が解析され、それが「アンドロイド0指令」と書かれていることがわかったが、それが何を意味するのかまではわからなかった。ダンはキリヤマ隊長に自分のことを狙っていた女を追わせてほしいとお願いする。フルハシ隊員も同行を申し出るが、手負いのためキリヤマ隊長に止められ、代わりに女の顔を覚えているソガ隊員が同行することとなった。調査のため団地を訪れたダンとソガ隊員は武器のオモチャで遊ぶ子どもたちを目撃する。ダンがそのオモチャを手に取ると、それは非常によくできていて、まるで本物の武器と間違えるほどの作りだった。そしてそのオモチャや子どもたちの服にはペンダントにあったマークと同じマークがつけられていた。オモチャが気になったダンは子どもにオモチャをどこで買ったのかと尋ねる。すると子どもはオモチャじいさんから買ったと答え、オモチャじいさんがいるリヤカーの方を指差した。ダンが子どもの指差した方を見ると、そこにはリヤカーでオモチャを売る老人がいた。オモチャじいさんはジェット機のオモチャの念力のような力で飛行させるデモンストレーションを子どもたちに披露していた。しかしダンとソガ隊員が近づいてくると売り場をたたみ帰って行った。
不審に思ったダンとソガ隊員はオモチャおじさんを尾行した。するとオモチャおじさんは廃墟の前でリヤカーと止めると、その中へと入っていった。
ダンとソガ隊員はその廃墟の近くにいた人に聞き込み捜査をした。話しを聞くとオモチャじいさんは1年くらい前から廃墟に住み着くようになり、子ども好きの良いお爺さんだと評判は悪くはなかった。そして聞き込みが終わったダンにアマギ隊員からビデオシーバーで連絡が入った。それは解析していたペンダントが宇宙金属でできていたという連絡だった。ダンがビデオシーバーで通信を終えると、近くで遊んでいた子どもたちが目の前を走り去って行きながら謎のマークのワッペンを落としていった。ダンはそのワッペンを拾い上げると基地へと持ち帰った。オモチャじいさんはその様子を廃墟の隙間から見つめていた。
持ち帰ったワッペンもアマギ隊員によって解析され、ペンダントと同じ宇宙金属でできていることがわかった。また、そのワッペンには受信機の機能があることも判明した。
オモチャじいさんを要注意人物とみたキリヤマ隊長はダンとソガ隊員に再び追跡調査をさせることにした。その頃、夜の廃墟でオモチャじいさんが出掛ける準備をはじめた。オモチャじいさんは戸棚を開くと、そこにいたマネキン人形に手をかざした。するとマネキン人形はフルハシ隊員を襲った女へと姿を変えた。老人のオモチャじいさんに扮していたのは頭脳星人チブル星人で、女はチブル星人が操るアンドロイドゼロワンだった。
チブル星人はゼロワンにアンドロイド0指令を発令、ゼロワンにダンを封じるように命令する。そしてゼロワンは指令通り、パトロール中のダンとソガ隊員のポインターの前へと飛び出すと、ダンとソガ隊員を誘うように逃走を図る。
そしてゼロワンは閉店した夜のデパート内へと逃げ込んだ。ダンとソガ隊員もそのあとを追ってデパートの中へと入っていく。すると「午前零時の時報とともにアンドロイド0指令が発令されます。」との館内放送が入り、停まっていたエスカレーターが動き出した。
ダンとソガ隊員はそれに乗って上の階へと進んでいく。すると暗闇の中からチブル星人のオモチャじいさんとそのアンドロイドの女ゼロワンが現れた。
オモチャじいさんはダンとソガ隊員にアンドロイド0指令の内容を説明しはじめる。それによると、アンドロイド0指令は子どもにオモチャに見せかけた本物の武器と受信機であるワッペンを持たせ、その子どもたちを催眠状態にかけて先兵にし地球を侵略しようという計画だった。しかしオモチャが本物になるはずがないとソガ隊員が馬鹿にすると、オモチャじいさんは周囲のオモチャ戦闘機でダンとソガ隊員に一斉攻撃を仕掛けてみせた。そしてその攻撃を受けソガ隊員は脚を負傷してしまう。
ダンはソガ隊員を連れ奥の部屋へと逃げ込み本部に状況とアンドロイド0指令の内容を伝えた。しかしそこにダンとソガ隊員の逃げこんだ部屋にオモチャじいさんと女がドアを突き破り侵入してきた。通信が途切れ異変を感じた本部のキリヤマ隊長はフルハシ隊員とアマギ隊員を連れ出動した。ダンとソガ隊員は部屋の隅に追い込まれ絶体絶命のピンチになっていた。ダンは隣にソガ隊員がいたためウルトラセブンに変身できずにいたが、追い込まれると隣にいたソガ隊員の腹を殴り気絶させ、間一髪ウルトラセブンへと変身した。ウルトラセブンを見たオモチャじいさんと女は慌ててデパートから外へと逃走を図る。しかしウルトラセブンに追いつかれ逃げ場を失ってしまう。
女は手から光線を発射しようとするが、ウルトラセブンのエメリウム光線を額に受けるとマネキンの姿へと戻り倒れると粉々に割れてしまった。
追い詰められたオモチャじいさんもチブル星人の正体を現すとウルトラセブンに飛びかかって応戦しようとするが、攻撃能力の殆どないチブル星人は突き飛ばされ、最後はエメリウム光線を受け溶けてしまった。
ダンは変身を解き元の姿へと戻るとそこにキリヤマ隊長たちが駆け寄り、事件を未然に防げて良かったと安堵した。そして街は何事もなかったかのように午前零時を迎えることができた。
ちなみにこの回で撮影に使われたデパートは銀座の松屋でした。昭和のデパートの感じが時代を感じさせますね。次回はウルトラセブンの第23話として制作されるはずでしたが撮影されずにお蔵入りとなった上原氏の幻の脚本「300年間の復讐」を紹介します。
Posted at 2020/01/21 20:07:49 | |
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