
前回上原正三氏追悼企画第4弾として幻の23話
「300年間の復讐」を紹介しましたが、第5弾の今回は実際に制作され放送された方を紹介します。「300年間の復讐」が没企画となり、上原氏が新たに書き上げたのが「明日を捜せ」です。「300年間の復讐」とは切り離された全く別物として書き上げあれた脚本のため、「300年間の復讐」と比べてしまうとストーリーのインパクトには欠けますが、夜間に占い師の安井を誘拐するシャドー星人のシーンはなかなかのインパクトで、ホラーもののワンシーンのようです。おそらくウルトラセブンでトラウマ回に挙げられるのはこの「明日を捜せ」と19話
「プロジェクト・ブルー」と33話
「侵略する死者たち」あたりではないでしょうか。しかしこの回に登場したシャドー星人はそれほど知名度は高くなく、むしろ殆ど目立たない宇宙人でした。それが突如平成の終盤に作られたウルトラマンジードで味方の宇宙人としてレギュラー出演を果たし、最近はそちらのイメージが強くなってしまいました。もっとも往年のファンなら間違いなくシャドー星人といったら昔のウルトラセブンのシャドー星人を挙げるのは間違いないでしょうけどね。それでは1967年3月10日放送のウルトラセブン第23話「明日を捜せ」のストーリーを紹介します。
ある日、安井という男がダンプカーに追い回されていた。
ダンプカーから逃げるために道路に飛び出す安井はパトロール中のキリヤマ隊長とフルハシ隊員に発見される。安井は2人にマルサン倉庫が爆発すると告げるが、そこに再びダンプカーが現れ、安井を轢き殺そうとする。キリヤマ隊長とフルハシ隊員は咄嗟に安井をかばうが、ダンプカーの運転手は安井にナイフを投げつけ走り去っていった。投げつけられたナイフは安井の太ももに刺さってしまう。
キリヤマ隊長とフルハシ隊員は安井をポインターに乗せ、ダンプカーを追跡する。その後、乗り捨てたれたダンプカーを発見したキリヤマ隊長とフルハシ隊員は車内を確認するが、中には誰も乗っていなかった。負傷した安井はメディカルセンターへと運び込まれることとなった。手当をしてもらった安井は水晶玉を取り出し、未来を占い始めた。するとマルサン倉庫が爆発しキリヤマ隊長が負傷する未来が水晶玉に映し出された。安井はキリヤマ隊長に忠告するが、横にいたフルハシ隊員はデタラメを言うなと安井を怒鳴る。安井は占い師だった。
そこにマルサン倉庫一帯に異常はないとの報告が入る。報告を聞いたフルハシ隊員とアマギ隊員とソガ隊員は安井を馬鹿にするが、キリヤマ隊長は安井の警告を信じることにした。マルサン倉庫の地下では地球防衛軍のミサイルなどが密かに開発されている重要拠点だった。マルサン倉庫が狙われるのは地球防衛軍にとって痛手となるためキリヤマ隊長は隊員たちに徹底的に調査するよう指示をした。しかしいくら調査をしても爆発物は発見されなかった。
基地へと帰ってきたアマギ隊員とソガ隊員は何も異常もなければ隊長も元気だと安井に文句を言う。しかしその直後、今度は安井は水晶玉の中で円盤を目撃する。安井は富士見が原に円盤が着陸したと警告するが、それを信用しないアマギ隊員は安井に激怒する。それでもキリヤマ隊長はまだ安井の占いが気になっていた。そして再び安井の占いを信じたキリヤマ隊長は隊員たちとともに富士見が原一帯をくまなく調査するが、円盤は発見されなかった。基地へと戻ったキリヤマ隊長は科学的裏付けがなく君らしくないとマナベ参謀に一喝されてしまう。
キリヤマ隊長はメディカルセンターにいる安井のところへと行くと、安井に感謝を伝え、ひとまず今日は帰ってほしいと告げた。安井は自分は宇宙人に狙われているのに帰れというのかと肩を落としながらも、「今日がダメなら明日・・・、そうだ、明日を捜せばいいんですよ。」と自分の占いの正当性を訴えた。それでもキリヤマ隊長は責任を持って守るから帰ってくれと安井をなだめ、フルハシ隊員とソガ隊員に安井をアパートまで送らせた。しかしその様子を不審な黒ずくめの男が監視していた。
一方のキリヤマ隊長はマナベ参謀に1日だけ休暇がほしいと休暇届けを提出した。マナベ参謀が理由を問うと、キリヤマ隊長は安井が言っていた明日を捜してみたいと答えた。頑固なキリヤマ隊長にマナベ参謀は苦笑いを浮かべながらも、引き出しから拳銃を取り出すとキリヤマ隊長に持って行くよう手渡した。
その後、ダンが1週間の宇宙パトロールを終え、基地へと帰還した。キリヤマ隊長がいないことを不思議に思ったダンは隊員たちにキリヤマ隊長のことを聞くと、それまでの経緯を聞かされる。それを聞いたダンはキリヤマ隊長を捜しに行ってくると言い残して作戦室を出て行った。その頃、キリヤマ隊長は安井の言う明日を捜し回っていた。しかしその明日も見つからなければ安井の姿も見つからず日が暮れていった。安井は夜の町を徘徊していた。すると安井の前にうずくまって泣いている女がいた。安井はその女に声をかけるが、ふりむいた女は宇宙ゲリラシャドー星人だった。
恐怖でパニックに陥った安井は近くの店に飛び込み助けを求めるが、そこにいた店員もシャドー星人だった。再び逃げ出した安井は通りかかったタクシーを止めると急いで飛び乗り人の多いところに連れて行ってくれと頼み込む。運転手は慌てる安井の様子に気付きどうしたのかと聞くと安井は宇宙人に追われていると話した。しかし安井がバックミラーに目をやると、そこに映っていたのはシャドー星人だった。安井は恐怖のあまり気絶してしまう。するとタクシーはダンプカーへと姿を変え、安井を拉致して姿を消した。その頃キリヤマ隊長は安井を捜し夜のマルサン倉庫を歩き回っていた。すると背後に人の気配を感じたキリヤマ隊長は振り向きざまに拳銃を構える。しかしそこにいたのはダンだった。ダンは隊長と一緒に明日を捜したくなったと告げると、キリヤマ隊長は嬉しそうな顔を見せる。しかしその直後、安井の予言通りのことが起きてしまう。夜空から火の玉が降り注ぎ、マルサン倉庫が爆発する。安井の予言は現実となり、キリヤマ隊長は明日を発見するが、その代償で負傷してしまう。全てが安井の予言通りとなった。
キリヤマ隊長は基地のメディカルセンターへと戻り手当を受けることとなった。そこにキリヤマ隊長を信用しなかったフルハシ隊員とソガ隊員が謝罪にやってきた。しかしキリヤマ隊長は安井を帰らせてしまった自分の判断ミスだと悔やんだ。そこにアマギ隊員が自分が開発した放射線照射装置を持って駆けつけた。その放射線照射装置は見えない敵を可視化できる新兵器だった。
キリヤマ隊長はフルハシ隊員を基地に残し、他の隊員たちを連れ新兵器を持って安井を探しに出動した。しかしその時既に安井はシャドー星人の基地で拘束されていた。シャドー星人は安井の予知能力のせいで自分たちの計画が邪魔されたと安井を拷問する。安井が必死に助けを求めると、シャドー星人はそれならばデタラメな予言をしろと安井に条件をつけた。シャドー星人は安井にデタラメな予言をさせ、そこに注意を引きつけた隙に地球防衛軍を爆破しようと考えた。
一方ウルトラ警備隊は富士見が原で放射線照射装置を使い捜査を開始していた。すると肉眼では見えていなかったシャドー星人をついに発見する。ダンは見えないシャドー星人を格闘の末投げ飛ばすと、アマギ隊員とともにシャドー星人の秘密基地内に潜入した。ダンとアマギ隊員は基地内に潜伏するシャドー星人を倒しながら奥へと進んでいくが、それに気付いたシャドー星人は基地内に隠していた円盤を発進させる。するとその影響で秘密基地が土砂に飲まれ、ダンとアマギ隊員は崩れた壁の下敷きになってしまう。
外で調査をしていたキリヤマ隊長とソガ隊員とアンヌ隊員の前にシャドー星人の円盤が現れる。気を失ったアマギ隊員の横でダンはウルトラセブンに変身、シャドー星人の円盤を叩き落とす。シャドー星人はウルトラセブンに降伏を宣言するが、その直後、円盤が爆発しそれと同時に猛毒怪獣ガブラが出現する。ガブラはウルトラセブンと互角の戦いをみせるが、ウルトラセブンのアイスラッガーで首を落とされてしまう。
用心棒であるガブラを失ったシャドー星人は今度こそ本当に降伏すると言って安井を解放する。解放された安井はウルトラセブンにシャドー星人はまだ降伏はしていないと警告をする。するとその予言通り切り落とされたガブラの頭部が動き出し、ウルトラセブンの左肩に噛みついた。ガブラの毒でピンチに追い込まれるウルトラセブンだったが、安井の助言でシャドー星人の円盤をハンドビームで爆破するとガブラは完全に倒された。
その後、秘密基地内でガブラの毒で左肩を負傷したダンとアマギ隊員はキリヤマ隊長らに助け出された。救出された安井も基地に運ばれ、またしても水晶玉を覗く。今度こそ信じるからとフルハシ隊員は安井に運勢を占ってもらおうとするが、水晶玉には何も映らなかった。安井の超能力はいつの間にか無くなってしまっていた。
安井はもう逃げなくて済むと大喜びした。「予感、テレパシー、人間だれしも多少の予知能力はあるものです。もし、あなたに、超能力があっても、宇宙人来襲の予言だけはしないでください。命を狙われては、元も子もありませんからね。」
シャドー星人が操るガブラは頭部だけになってもウルトラセブンに襲いかかるという凄まじい怪獣でした。もぎ取られた腕を操りウルトラマンレオを気絶まで追い込んだアクマニア星人というのもいましたが、本体が機能しない状態で頭部のみでウルトラマンを襲ったのはこの回のガブラとウルトラマンティガの宿那鬼くらいではなかったでしょうか。そしてその宿那鬼以降は規制の影響もあり、怪獣や宇宙人があからさまに切断されるシーンは描かれなくなったため、頭部だけでも動くという怪獣や宇宙人はもう今後登場することは無いでしょうね。次回は上原氏の作品から以前にも紹介したウルトラセブンの第33話「侵略する死者たち」を再度取り上げたいと思います。
Posted at 2020/01/25 19:47:43 | |
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