~スバル渾身のNewツーリングワゴン~
今回はスバルの新たな代名詞になりうる可能性のあるレヴォーグの1.6モデルに試乗しました。発売前から大きな注目を集めていた新型レヴォーグのポテンシャルはいかなるものか、コーナーのきつい道、アップダウン、市街地、幹線道路と色々な角度からその走りをチェックしました。
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◆試乗車情報◆
車種:レヴォーグ
グレード:1.6 GT-S Eye Sight
排気量:1600cc
ミッション:CVT
車両重量:1550㎏
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◆エクステリアデザイン◆
今回試乗したモデルはディーラーで一番売れ筋のグレードであるという1600ccエンジンにアイサイトが搭載されたモデル。カラーは特別塗装色のクリスタルホワイト・パール。まずはじめに確認したのが、レヴォーグに新たに採用されたレヴォーグクリアという塗装。こちらはマツダのプレミアムソウルレッドメタリックのようなパッと見でわかるような深みを出したりするものではなく、塗装の強度を上げるのが主な効果だそうです。こちらに関しては営業の方も肉眼ではほとんど変わらないが、キズなどがつきにくいという言い方をされていました。全体的な外観は、フロントを見るとまず目に付くのがボンネットの大きなエアインテーク。このエアインテークとフロントグリルはなかなか迫力があり、オプションのLEDアクセサリーライナーもフロントにシャープな印象を与えていました。リアは2本出しのマフラーがやや目立つ程度でフロントほどの新鮮味は感じません。ただ、特筆すべきはサイドのアンダースポイラーで、こちらは純正とは思えない社外エアロのような厚みと“ひねり”のデザインが与えられており、上から下までしっかりと練られたデザインであることが伺えます。総括すると、スバルらしい武骨なラインを残しながらも、現代風にアレンジされた新しいスバルの1台といえます。
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◆インテリアデザイン◆
内装は良い意味でスバルの内装イメージを払拭した雰囲気になっています。安っぽさ、垢抜けしない感じ、地味といったマイナスなイメージは一切ありません。特に常に目線に入るスピードメーターとタコメーターはいつまでも見ていたいとも思える非常に洗練されたデザインと質感に仕上がっています。数字のフォントこそ真新しさはないものの、ブラックベースの文字盤、視認性の高いバックライト、非常に美しいシルバーのメーターリングとクリスタルブルーの間接照明は、従来のスバル車を超えるだけでなく、他の国産車と比べてもトップクラスの視認性と美しさを持ち合わせています。水温計や燃料計もアナログ表示というのもスバルらしく、非常に凝っていて好感が持てます。コンソール周りは従来のスバルのデザインを踏襲するデザインになっています。ナビ周りのデザイン性こそレガシィほどの新鮮味や高級感はありませんが、このクラスとしては十分合格点のつくりです。ドアトリムはスバルらしい直線ラインの多い武骨さがあり、この辺りのデザイン性が上がるとなお内装の質感が上がるのではないかと思います。それでも内装のは外装以上に全体的にレベルアップした感がありました。
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◆動力性能◆
今回のレヴォーグ試乗で最も衝撃だったのが“走り”。エンジンの諸元表を見るとそれなりに面白いエンジンだろうなと思いはしましたが、1550kgの車重ではどうなのかと半信半疑な部分もありました。ただ、その不安はアクセルを踏んだ瞬間に全くなくなりました。とにかく今まで様々な車を試乗しましたが、レヴォーグは今までに感じたことのない強烈な何かを感じました。車重を全く感じさせないどころか、軽々と走り出し、どこまでも湧き上がるようなエンジンの出力とターボのトルク、そしてリニアな反応、ダメな部分を探そうとしてもそれが出てきません。トヨタやホンダのDセグ高級ハイブリッド車や、スバルのエンジンを積んだ86でもこの感覚は味わったことがありませんでした。アテンザのディーゼルエンジンの力強さも感心はしましたが、レヴォーグは感心とか感動とかいうレベルではなく、衝撃のレベルです。1600ccという排気量を忘れさせる物凄いポテンシャルを秘めたエンジンです。とにかく非の打ち所がないデキ、と感じながら試乗していて一つだけスバルにクレームを言うことを思いつきました。なぜこんな素晴らしいエンジンになぜMTを設定しないのか。本日2ヶ所で試乗しましたが、どちらの営業の方にも是非と要望しておきました。確かに商売としてイマドキMTを設定するのは現実的ではありませんが、それをやってくれるのはマツダやスバルであって、そんなマニアックなところが好きなコアなファン層だっているわけですから。でもMTを妥協してCVTでも欲しくなるほどのエンジンであることは確かです。ちなみにこれは全てインテリジェントモード、いわゆるノーマルモードでの走りの感想です。スポーツモードでも走行しましたが、インテリジェントモードでも十分過ぎるくらいの走りだったので、スポーツモードは少し試しただけでインテリジェントモードに戻しました。走りが良過ぎてスポーツモードで市街地走行は逆に扱いづらいくらいでした。
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◆ステアリング・足回り◆
ステアリングはこれまたスバルのコダワリが見た目からも感じ取れるDシェイプのステアリング。そしてそのフィーリングもまた期待を裏切らないしっかりとしたものでした。操作に対し即座に反応し、手を離しても無駄に戻ろうとしない部分はさすがといったところ。足回りはGT-Sグレード専用に仕上げられており、営業の方は標準グレードよりは固めとの説明をしていましたが、これまたスバルらしいしっかりとした足回りで、ふらつきや変な挙動は一切なく、固い中にも路面にしっとりと吸い付くような独特の良さがあります。路面の凸凹は感じられるが、それを心地よい凸凹に変換してくれる高性能な足を持っているのがレヴォーグです。
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◆居住性・静粛性◆
居住性は頭上こそそれほど余裕はありませんが、このクラスとしては標準的な広さという印象で、不便さはなく、荷室もステーションワゴンタイプなので十分に荷物は積むことができます。静粛性は1600ccクラスとしては標準レベルで、エンジン音は比較的抑えられていますが、ロードノイズがやや入ってくる印象。ただし、そのロードノイズもうるさいというものではなく、許容範囲であり、このクラスとしては十分合格点です。とにかく色々とデキが良い車なだけに、少しでも普通な部分があると目だってしまいがちですが、静粛性が悪いわけではなく、他が良いので、静粛性ももう少し良ければと思ってしまうだけ。必要十分な静粛性はきちんと備えています。
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◆総評◆
とにかく一言で“買い”な車です。1600ccで17.4㎞/lというカタログ燃費はイマドキどうなのか気になる点でもありますが、この走りなら納得で相殺できるレベルです。ノーマルな状態でもあまりに走りが良すぎるので、いわゆるエコモード的なモードがあってもいいのかなと思うくらいで、そうすればカタログ燃費も18㎞/lは超えるのかもしれませんが、そういうことをやらないのがスバルであり、コダワリであり、そのコダワリがあるからこそスバルブランドが存在できるのだと思います。レガシィ・レヴォリューション・ツーリングの略でレヴォーグ、まさにこれからレガシィを超える車になっていける渾身の完成度になっています。同じ価格帯の車で迷っているなら絶対に試乗した方が良い1台です。エンジンからミッション、塗装に至るまで煮詰められたレヴォーグ、アクセルを踏んだ瞬間にその良さに気付くでしょう。
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◆5段階評価◆
エクステリア:★★★★
インテリア:★★★★
動力性能:★★★★★+α
足回り:★★★★★+α
静粛性:★★★
コストパフォーマンス:★★★★★
Posted at 2014/07/05 18:25:51 | |
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試乗レポート | クルマ