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2023年07月28日 イイね!

とある戯学の静電気考 〜絶縁体表面の電荷伝播現象について〜

とある戯学の静電気考 〜絶縁体表面の電荷伝播現象について〜【要約】
・静電気には未解明の部分がある
・絶縁体表面の電荷移動について3つの仮説を立て、そのうち空気が電荷を媒介している説が有力
・コンバトラーV


【はじめに】

車から静電気を除去し、走り心地の変化を楽しむ遊びを覚えて幾歳月。より効果の出るメソッドをみんカラで検索しては試していましたが、いやそもそも私が除去しようとしている静電気とは何なのか、敵を知らねば百戦危うしと、隙を見つけては静電気について調べるようになりました。

最初は除電遊びに勤しむ同士諸兄の記事から学び、そのうち静電気を蛇蝎の如く忌み嫌う製造業界の対策品サイトを閲覧するようになり、果ては静電気学会誌の論文を読み漁る始末。




お陰様で静電気の基礎知識を学ぶことができましたが、一方で私が想像していたより人類は静電気というものを完璧に理解し活用できているわけでは無いということも分かってきました。

「ただしバネの重さは考えないものとする」などの問答が肌に合わず、高校大学は物理化学を捨て生物専攻な私ですが、静電気の発生原理は物質接触時の電子移動であり、接触帯電・摩擦帯電・剥離帯電に大別される事くらいは学んでおりました。





しかるに教科書に掲載されていたこれらの基礎知識ですら確定された真実ではなく、私が学び真実だと思っていた良い国作ろう鎌倉幕府が後年訂正されたように、


例えば接触帯電についてはその概念すらあやふやで、接触するだけで静電気は起こるのか、いや摩擦を伴わないと起こらない、といった議論が現在も専門家の間で交わされており、日々実験検証を繰り返されておられる状況です。




そんな、分かってるようで分かってない静電気を相手に車の除電をしようとすると色んな謎にブチ当たります。

人生最初の謎はコンボイについて


静電気に関して最初にブチ当たった謎はブログサブタイトルの件、絶縁体表面の静電気は移動するのか?です。






アルミテープ除電提唱者トヨタ様によると、車のタイヤやらブレーキやらで発生した静電気はステアリングシャフトを伝って車内へ至るとしています。そこでハンドルコラム下にアルミテープを貼る事で除電し、車本来の性能を取り戻すというのが事の始まり。

【ここで疑問】

ステアリングシャフトは導電性がありそうなので良いとして、いや間にブッシュ等の絶縁体があるかもしれませんが一旦良いとして、ステアリングの革や合皮や樹脂は絶縁体であり、それがどうして人体に伝わるのか。コラムカバーも樹脂製で、そこにどうして足回りからの静電気が蓄積されるのか。ステアリングシャフトと接している箇所は帯電するとしても、それがどうして接していない場所まで帯電するのか。

静電気が絶縁体を伝わる。一般教養としてはあり得ない事象ですし、chat GPTに聞いても「そんなわけないでしょ」とたしなめられましたが、

最知能が下がったと評判の人工知能さん


一方で幾千人ものユーザーがハンドルコラムカバー除電の効果を実感していることから、天下のトヨタ様の主張は事実であり一般知識では説明つかない原理で静電気が伝播していると考えざるを得ません。

ではその原理とは何かを調べてみましたが、ピンポイントで解を提示している文献は見つかりませんでした。

そこでこれまで調べてきたニワカ知識を元に幾つかの仮説を立ててみました。



【仮説1:沿面放電による伝播】

沿面放電とは、絶縁体上に2つの電極がある場合に絶縁体表面に沿って発生する放電現象です。




車の樹脂や皮革でこれが発生するとしたらどのような状況かといいますと、ステアリングシャフト(もしくはそれに連なる導電体)が高いプラス電荷を帯びている(=電子が著しく不足している)場合、それに接している樹脂部分は電子を奪われ樹脂表面がプラス帯電します。

一方で金属に接していない部分は電荷がほぼゼロ(電子と陽子のバランスが取れている)の状態ですが、両箇所間で電荷差があるため離れた側は相対的にマイナス電荷とみなせます。つまり樹脂表面上にプラスマイナス両電極が存在する状態になります。






静電気が蓄積され一定の電圧に達すると沿面放電が発生しプラス箇所(金属と接している箇所)へと電子が移動します。
そうすると、もともと金属から離れている樹脂表面の電子が不足しプラス帯電します。

なお金属に移った電子は文字通り光の速さで足回りへと移動。



放電で移動した電子は金属に吸い取られ、


そうするとさらに離れた樹脂表面と相対的電荷の差が起こり沿面放電 →以下これの繰り返しにより徐々に離れた場所がプラス電荷を帯びていく、という仮説です。



この仮説の要検討事項は、沿面放電による表面劣化と電極間の距離です。

沿面放電が発生すると材質表面に何らかの痕跡が残るという資料が多くみられますが、自動車愛好家から「ハンドルコラム下に謎の痕跡が?!」など報告は見た事がありません。電圧が低いため痕跡はごく僅かで経年劣化の範疇に止まるという可能性もありますが。


沿面放電の痕跡


電極間の距離については、上記仮説の場合、両極間の距離がほぼゼロで、ミクロな世界の距離になります。そうすると沿面放電以前に他の作用により電荷が移動すると考えるのが妥当という点です。



【仮説2:分子間の摩擦による電荷移動】

異なる物質を擦り合わせると電子が移動し静電気が発生するのは周知の事実ですが、実は同じ物質同士でも静電気が発生します。

樹脂パーツ表面を分子のレベルまで拡大すると、表面上の分子は隣の分子と接しており、かつ、絶対零度でない限り分子は細かく振動しております。つまり隣り合う分子による摩擦帯電が発生しているという仮説です。




プラス帯電(電子が欠けている状態)の分子は隣の分子から電子を奪います。奪われた側の分子はやさぐれて、さらにその隣の分子から電子を奪う。そうしてプラス電荷が広がっていく。

弱い者たちが夕暮れ、さらに弱いものを叩き、その音が響き渡ってブルースが加速していくトレイントレインな仮説。



通常時もこの事象は発生していると思われますが、同じ物質同士なので電子を奪う奪われる確率はランダムであり、物質表面をマクロで見ると電荷は全体で均一という状態です。

しかし特定の箇所(ステアリングシャフトと接してる部分)に電荷が加わり続けると電子移動確率に偏りが生じ、電荷が加わっていない場所も徐々に帯電していくのではないかと推測します。

電子は絶縁体内部を自由に動けないからこその絶縁体ですが、絶縁性と言えども分子単位で見ると電子の奪い合いは発生します。それが表面で行われるのが静電気という事象です。

ならば隣り合う分子間同士でも奪い合いが発生するのではというのがこの仮説のスタートです。


ほぼ光の速さで移動する導電体の電荷移動と異なり、絶縁体の電荷移動は上述の通りランダム要素が加わるため極めて遅く、走行中の車に静電気の影響が出始める経験則からして分速5センチ程度ではないかと見ており、あまりに伝播が遅いので一般教義においては「絶縁体は電荷が伝播しない」としているのではないでしょうか。「ただしバネの重さは」的に。


桜の花びらが落ちる速度が5cm/秒だとすると、10mの高さから落ちるのに3分以上かかる計算。ホンマかいな。



この仮説の穴は、上記推察が正しいとするならば分子間の電子交換による電荷伝播は表面に限らず内部にも浸透していくはず、という点です。
もしそのような状況になるのならば、つまり絶縁体内部や果ては絶縁体裏側まで帯電するというならば、この事象に触れる文献がもう少しあっても良いハズですが今のところ見当たらず、この仮説の可能性の低さが伺えます。




【仮説3:周辺空気が電子のキャリアとなる説】

プラス電荷を空気が媒介し周辺に電荷を運んでいくという仮説です。

走行中のステアリングシャフト周辺は電子が不足している状態、すなわちプラス帯電状態です。そこに空気がぶつかると空気から電子が奪われます。







電子を失った空気は空中を彷徨い、

クーロン力に惹かれて電子を持つ樹脂パーツに向かい、



樹脂から電子を奪い返します。


通常時も空気は樹脂から電子を奪いやすいのですが、ステアリングシャフトに電子を奪われた空気はよりハングリーになり、樹脂から電子を強奪する力が増しますので、ステアリングシャフト近辺の樹脂は電子不足つまりプラス帯電します。

これを繰り返す事で徐々にプラス帯電領域が広がって行くってスンポーです。

あたかも静電気が絶縁体表面を伝播しているように見えますが、空気が媒体となって電荷領域が広がっているに過ぎない、という仮説です。

この仮説は穴というほどの穴が無いように思い、私的本命です。


【結び】

以上、樹脂パーツなどの絶縁体を静電気が伝わっていく過程を考察した結果、仮説3空気媒介説をメインとしながらも仮説2分子レベル摩擦説も若干影響しているのではないかという素人考察です。

皆様のご参考になれば幸いです。

素人考察駄文をここまでお読みいいただけるのは日本広しと言えど10人に満たないでしょうが、その中にもし専門分野の方がいらっしゃいましたら是非ご意見ご指導賜りたいと、「お客様の中に宇宙飛行士の方はいらっしゃいませんか!?」くらいの絶望的確率にすがる乗務員の気持ちでお待ち申し上げます。






【雑記】
弊ブログのタイトルは、とある人気ラノベから拝借したものです。




私も作品自体をそれほど深く知らないものの語感の良さだけが記憶こびりつき、こうして文章を書く際にふと頭に浮かんでくるあたり、人格の大部分は結局記憶によるものとする見方に一定の賛同を禁じ得ないわけで、スワンプマン思考実験への解は「本人である」が私の見解です。





あるいは我々が当たり前にあると信じている時間という概念も実は存在せず、記憶の堆積により「ある」と錯覚しているに過ぎず、現在過去未来は同事象平面に共存しているという説。

これについては眉唾が過ぎるものの、記憶堆積層の変動がもたらすデジャブなる生理現象を鑑みると、一刀に切り捨てるのも早計であるというスタンスです、とミサカはミサカは保険をかけておいたり。


なお同ラノベタイトルは超電磁砲と書いて「レールガン」と読みますが、スパロボ世代な私は「ちょうでんじほう」と読むのがしっくり来ます。


どちらの読み方でも語感が良いタイトルであるところが同ラノベの優れた点に思います。


Posted at 2023/07/28 23:43:56 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記

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何シテル?   06/22 11:15
車は移動手段に過ぎぬと40年生きてきましたが、内外装だけで選んだCX-3に乗って運転の楽しさをようやく知る事ができました。 2022年 もっと他の車にも乗...
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