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2023年08月22日 イイね!

とある戯学の静電気考 〜タイプ別放電索の特性と除電効率向上の考察〜

とある戯学の静電気考 〜タイプ別放電索の特性と除電効率向上の考察〜
静電気除去の主力であるコロナ放電。そのキモは電気を空中に飛ばす発射台となる放電索といっても過言ではないでしょう。トヨタ考案アルミテープから始まり、除電フリーク先達諸兄の奇想天外創意工夫により様々なタイプのものが次々と生み出されており、その発想や知見につくづく敬意を覚えてなりません。

それぞれの放電特性や効能を理解し適切な施工をする事が効率の良い除電に必要に思い、タイプ別特性と施工方法を整理し、ここに記します。

 【放電索の形状】
コロナ放電のキモとなる放電索。その形状は様々で、元祖放電索である飛行機の翼に付いてるのはギャンのようなタイプ。





アルミテープや外歯ワッシャーの場合は断面の角が放電索に相当します。




エンジェルリングの場合は金属ワイヤーの先端が放電索になります。(厳密には先端以外からも少し放電します)

放電索の形状と放電効率の関係性は至ってシンプル。鋭角なほど、先が尖っているほど電界が強まり、荷電粒子の放出・吸引する威力が大きくなります。波紋法の水鉄砲理論と似たような感じです。




すなわち同じ電圧でも尖っている方が放電しやすくなり、イオン生成量が増すという事です。
ただし針のような放電索は整備上危険ですし、先端が細いほど放電に伴う電気腐食や不純物付着などの劣化の影響を受けやすいため、闇雲に尖らせればいいという訳ではなくバランスが大事ですね。



 【放電索の間隔】

放電索が多いほど放電しやすくなりますが、欲張って密集させ過ぎると却って効率が落ちます。
なぜか。それは電界的に突出しなくなるからです。
コロナ放電のキモは電界的に突出している箇所(放電索)からの電子の吸引・放出ですが、放電索が密集していると隣の放電索の電界が干渉し、電界強度が弱まってしまいます。

電極の間隔とコロナ放電量の関係を調べた中村大輔らの実験(2008年)によると、並行に並べた電極同士の間隔が4mm以下だと一部の電極がコロナ放電しなくなり、放電している電極も勢いが弱まりイオン量が減るとのこと。


放電索が2mm間隔の場合、真ん中の放電索は放電しない、かつ、両端の放電量も低下する。

放電索同士の間隔は5mm以上は開けた方が効率が良いと言えます。その点ガトリングディスチャージャーは理にかなった形態ですね。これを発明した御方は放電索間隔を保つ方が良い事を経験則として知っていたのでしょう。恐れ入ります。


画像は例によってちゃいみみさんより拝借。

ただし密集していても効率が落ちるだけで放電しないわけではないのでご安心を。
除電用に開発された導電性ポリマーテープなどは、放電索(起毛)の間隔は5mmどころか0.5mmもありません。

アースケーブルや炭素繊維をほぐして作るタイプの放電索などは5mm間隔を空けるのは困難でしょうが、それでもなるべく良くほぐして隙間を空けるのが吉。










 【並行放電索の留意点】

放電索を設置する際は、帯電物から5mm以上離して設置しましょう。上述の通り放電索は電界が突出してナンボの代物であるからして、帯電物に近すぎると電界的に突出しなくなり除電効率が低下します
ガトリングディスチャージャーのように対象物と放電索が並行するタイプの除電器は注意が必要です。


ちゃいみみさんより拝借アゲイン

これも「その方が効率が良い」だけであってそこまで拘る必要はありません。なにせアルミテープの放電索(断面の角)は対象物から1mmも離れていないのですから。


 【放電索の素材】

車の除電用放電索に良く使われている素材はアルミ、銅、ステンレス、カーボンといった所のようです。放電索の素材の違いは放電電圧と耐久性に影響します。

導電性が高いほど放電に必要な電圧(放電電圧)が下がり、放電しやすくなります。
銅はアルミの2倍近い導電率を持っており、安価に入手できる素材の中では最も放電性に優れています。反面、放電による電気腐食耐性が低く、交換等のメンテが必要なデメリットがあります。



カーボン界のサンバルカンことカーボングラファイト、カーボンファイバー、カーボンブラックは耐腐食性に優れ、一度設置すればメンテフリーのメリットがあります。
なお炭素素材は放電の影響で先端が鉛筆のように徐々に丸く短くなっていきますが、除電目的なら数年は大丈夫でしょう。





カーボンのデメリットは2つ。
銅やアルミとくらべ放電が安定しない点(放電したりしなかったりのムラが大きい)という点と、放電電圧(コロナ臨界電圧)が高い(静電気がたっぷり溜まらないと放電しない)点です。

カーボンは非金属の中では導電性に優れた素材ですが、それでも銅やアルミと比べると導電率は1/5程度。その分、放電するために高い電圧を必要とします。臨界まで電圧が溜まらないと除電作用が働かないコロナ放電の特性上、カーボンでの除電箇所はアルミや銅と比べて静電気が多く残ります。


【高放電電圧】

放電に必要な電圧が低いほど除電効率が高いと散々述べてきましたが、放電電圧が高いことのメリットもあります。それは一度の放電で生成されるイオン量が多くなると言う点です。

放電電圧が高い、つまり高電圧をかけないと放電しないということは、いざ放電した時のエネルギーがそれだけ強くなるということです。
エネルギーが強いと、電極に吸い寄せられるあるいは電極から飛び出す荷電粒子の勢いが強くなります。
荷電粒子が空中の酸素や水ぶつかるエネルギーが大きいほどそれら分子が分解されイオン化する数が増えるという事になります。



なので大量の静電気が溜まりやすい場所には、カーボンなどの導電率の低い放電索の方が強力に除電できるでしょう。

また、静電気対策を目的とした放電索にはアルミ等よりも一定の電気抵抗値を持った素材の方が適しているという学説もあります。
クラレリビング(株)研究開発部の秋庭英治氏によると除電に適した電気抵抗値は10の5〜10乗Ω/cm。導電性をうたうカーボン素材は概ねこの範囲に収まります。


 【プラス放電とマイナス放電】

車の除電は基本的にプラス放電です。例外的にマイナス放電となるのが、シリコーンのマイナス帯電性質を利用したエンジェルリングスパークです。
プラス放電とマイナス放電、両者の違いは前回ブログに書いた通り拡散するイオンがプラスかマイナスかの違いがありますが、その他にも放電電圧の違いがあります。
放電電圧が低いほどコロナ放電が起こりやすい≒除電効率が良くなります。

放電電圧はプラスとマイナスで異なり、プラス放電の場合は3700Vから。対してマイナス放電は1900Vと、プラス放電の半分くらいのエネルギーで放電が始まる高効率な除電と言えます。



 【まとめ】

放電索のタイプ別特性をまとめますと、

・鋭い方が放電しやすい
・放電索の間隔は5mm以上推奨
・導電性が高い方がこまめに放電する
・除電目的ならある程度の電気抵抗値があった方が良い説もある
・マイナスの方が放電しやすい

となります。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。


【雑記】

サンバルカンという名称、太陽のSUNという意味のほかに、英単語を知らない幼児にも分かる数字の3も意味するダブルミーニングと勝手ながら推察し、改めて良く考えられていると思います。


タテ!ヨコ!高さ!

3という数字は非常に安定した数字と思い、御三家、三種の神器、三位一体など枚挙に暇がありません。対して「ククク、やつは四天王の中でも最弱」といった定番の台詞からも分かる通り4は不安定な数字と言えます。戦隊モノで4が使われている事例を私は知りません。

サンバルカンでは陸海空を表すイーグル・シャーク・パンサーを戦力として描かれていますが、バビル2世のポセイドンしかり、この手の戦力に海の要素が入ると、どうしてもそれを有効活用しようとする重力に縛られておかしなシナリオになりがちですが、逆にそれゆえにメリハリあるストーリーになっていくのかもしれません。


海の真ん中でロボの手に乗る状況とは?
Posted at 2023/08/22 14:58:22 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記
2023年08月15日 イイね!

とある戯学の静電気考 〜コロナ放電基礎概論〜

とある戯学の静電気考 〜コロナ放電基礎概論〜
現流除電ブームの火付け役、開祖にして今なお主力のコロナ放電について学んだ事をここに記します。基本であるが故に奥深いコロナ放電を正しく理解する事でニコニコ除電ライフ!


 【コロナ放電とは】

空気は絶縁体であり、基本的に電気を通しません。しかし物体の電圧が一定以上になると絶縁破壊が起こり、空気に電気が流れる現象「放電」が発生します。
電圧が弱いうちは暗電流と言う目に見えない微細な放電が起こりますが、電圧が上がると僅かな光と音を伴う放電になります。これがコロナ放電です。


落雷直後の木で発生するコロナ放電


さらに電圧を上げると火花を伴う放電になります。雷は大規模な火花放電といえます。



 【コロナ放電の発生条件】

先程から電圧電圧と連呼していますが、コロナ放電にはもう一つ重要な発生条件があります。それは電界(電場)の強さです。
電界は電子を引きつけたり反発したりする力が働く領域です。磁石のN極S極の力が働く磁界(磁場)をイメージしていただければ概ね間違っていません。




同じ電圧でも電界が強いほど放電しやすくなります。どのような場合に電界が強くなるかというと、帯電物質に尖っている部分があるとその部分が突出して電界が強くなります。尖ってる箇所から火花を伴わず放電する、これがコロナ放電の特色です。






【放電索】

放電を目的とした、電界を強める突出構造を放電索と呼びます。アルミテープの場合どこが突出部分か。テープは一見平坦に見えますがテープの端っこ、つまり断面箇所は突出部分と言えます。さらに断面の角はより突出しており、強い電界が発生します。
アルミテープの場合、テープ周囲全てが放電索となります。ワイヤーなどを放電索とする場合は主に先端部断面の角から放電されます。


開けた野原に立っている人間は電界的突出物、雷にとって放電索となってしまいます。



以上を踏まえて、コロナ放電での除電の仕組みを解説していきます。
プラス電荷とマイナス電荷ではコロナ放電の挙動が異なります。車体の静電気はほとんどの場合プラス帯電しますので、ここではプラス電荷のコロナ放電の場合で説明します。


【コロナ放電による除電の仕組み1 電子を吸引】

車体にプラスの静電気が溜まりアルミテープにプラス電荷が帯電すると、テープ端っこの放電索に強いプラス電界が発生します。プラス電界は電子が不足したハングリーな状態です。飢えた放電索はなんとか電子を手に入れようとします。どこから手に入れるかというと、

通常、電子は何らかの原子にくっついていますが、空中にはどの原子にも属さないハグレ電子がごく微量ながら漂っています。(荷電粒子と言うそうです)

電子に飢えた放電索は自分のテリトリー(電界)に侵入した空中の電子を念力(クーロン力)で引き寄せます。
プラス放電の場合、放電ではなく吸電と言った方が実態に近いですね。







【コロナ放電による除電の仕組み2 空気のイオン化】

ここまで読んで「なるほど空中の電子を吸い寄せて静電気を中和するんだな」と思った貴方、それだけじゃありません。むしろ序章に過ぎません。

吸い寄せられた電子は凄まじい速度で放電索に向かいます。移動する間にある酸素や水など空中の分子を弾き飛ばしながら。
超特急電子に轢き逃げされた分子はプラスイオンとマイナスイオンに分離されます。



分離されたマイナスイオンはプラス帯電の放電索に引き寄せられ、これにより放電索がさらに中和されるってスンポーです。

空中の電子のみならず途中で犠牲になった者達までも吸い尽くす。コロナ放電は良く言えば効率的、悪く言えば強欲残虐な除電方法と言えます。

ちなみに分離されたプラスイオンは放電索のプラス電界と反発して遠くに行ってしまいます。


 【コロナ放電の除電範囲】

電子の衝突によるイオン化は放電索から3mm以内の距離で起こる現象です。そこから離れると電界の力は急速に弱まり、0.01mmにつき1/10になってしまいます。想像よりずっと狭い範囲ですね。




コロナ放電で生成されたマイナスイオンの大部分はすぐにクーロン力により放電索に吸引され、周囲に散布される事はありません。
ただしタイヤハウスや車体下など風が強い場所、具体的には秒速2m以上の風が当たれば、それなりのマイナスイオンが周囲に散らばります。




対して車内やエンジンルーム内部程度の風速であればほとんどのマイナスイオンが放電索に吸引されますので、コロナ放電により中和されるのは基本的に放電索を備える導体(アルミテープ)のみとなります。

とは言え中和されたアルミテープと接している樹脂などの絶縁パーツも徐々にではありますが中和されますし、金属などの導電パーツに放電策を付けていれば金属全体が中和されます。



 【マイナス放電の場合】

シリコーンなどを利用してマイナス電荷のコロナ放電を行う場合はプラスコロナ放電と逆の事が起こります。

導体内部を移動する電子は、放電索の強いマイナス電界に晒されると空中に飛び出します。これは放電という字面に相応しい挙動ですね。
飛び出した電子は空気中の分子とぶつかりイオン化させます。プラスイオンは放電索に吸収され、マイナスイオンは放電索と反発して周囲に飛び散ります。





プラスコロナ放電は自分自身にマイナス電荷を取り込むのを主とするのに対し、マイナスコロナ放電は周囲にマイナス電荷をばら撒くのが主という違いがあります。



 【まとめ】

ツラツラと書きましたがコロナ放電による除電を1文でまとめると、
尖った場所で発生する放電で空気をイオン化し、そのイオンで静電気を中和する
という、たったそれだけの仕組みになります。

しかしながらコロナ放電の詳しい原理を知る事は、より効果的な施工箇所はどこか、放電索の形状や材質は何が最適か、応用工夫、それらを探求する上で役立つ基礎知識となるでしょう。

今回の基礎知識を踏まえ、次回は放電索の形状や材質を考察したいと思います。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。


 【雑記】

コロナ放電で吸収・放出する一匹狼な電子は荷電粒子に定義されます。
荷電粒子といえば荷電粒子砲。かつて米軍も研究し、実現は出来たが実用的ではない浪漫武器。




かのミノフスキー粒子も荷電粒子に分類されます。ミノフスキー粒子をメガ粒子に縮退させたエネルギーで打ち出すメガ粒子砲も荷電粒子砲の一種と言えますが、メガ粒子砲は荷電粒子砲ではないとする説が主流という謎定義。


百式が好きです。バウンドドッグはもっと好きです。


エヴァのヤシマ作戦で登場したポジトロンライフルや、その標的ラミエルが放つ加粒子砲も荷電粒子砲の一種と言えます。





除電マニア諸兄が日々貼り貼りするアルミテープやガトリングディスチャージャーもまた、高エネルギー電子により空中分子を攻撃するミクロな荷電粒子砲と言えるなぁ、なんてことをwikiで調べながら妄想する今日この頃。

Posted at 2023/08/15 09:19:55 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2023年08月08日 イイね!

とある戯学の静電気考 〜コロナ放電によるオゾン生成と人体への影響〜

とある戯学の静電気考 〜コロナ放電によるオゾン生成と人体への影響〜
アルミテープを使った除電で人体に有毒なオゾンが発生するのは一部マニアに有名な話ですが、ではどの程度有毒なのか、小さなお子様が乗る車では車内のアルミテープ除電はやめておいた方が良いのか、調べてみました。


 【オゾンとは】

オゾン層、オゾンホールで一般に広く知れ渡り、その名を知らない人はいないオゾン。化学式は通常の酸素O2より一つ多いO3で、酸素に対し放電などの高エネルギーを付与するとオゾンが生成されます。もちろんアルミテープのコロナ放電でもオゾンが生成されます。





 【オゾンの毒性】

オゾンは強い酸化作用があり、その特性を活かして消毒等に利用されます。かつて水道水やプールの殺菌と言えば塩素が主流でしたが、最近はオゾンを使う自治体も増えてきているようです。

殺菌作用があるので当然人体にも有害です。光化学スモッグの成分の一つでもあるオゾンに曝されると目や喉などの粘膜が刺激され、高濃度になると麻痺・昏睡しやがて死に至る恐ろしい毒ガスです。






 【オゾンの健康基準値】

とは言えオゾンはごく微量ではあるものの大気中に普通に存在します。また、ブラウン管やコピー機など高電圧の電化製品で発生してしまう身近な物質で、それらは健康面に影響を与えない程度の濃度にしかなりません。
また病院や食品加工場などではオゾンによる空間除菌が行われております。


先日利用したタクシーにもこのような張り紙が。

ではどの程度の濃度なら影響があるかと言いますと、オゾン濃度は0.1ppm以下なら許容範囲とされています。(1日8時間、週5日)

ppmは以下のサイトで重量に換算できます。

https://sp.gastec.co.jp/technology/knowledge/concentration/

気温25度の場合オゾンの0.1ppmは約0.2mg/立法メートルです。

ナンバーワンニッポン乗り物N-BOXの場合、車内空間は約4立方メートルなので、
0.8mgのオゾンまではオッケーということになります。


 【アルミテープ除電によるオゾン生成量】

一方アルミテープではどの程度のオゾンが生成されるのでしょうか。

アルミテープ除電は3〜4kボルトでコロナ放電が行われるとされています。
「コロナ放電による負イオンとオゾン生成と応用」(2002年 谷村泰宏) によると、4kvのコロナ放電で生成されるオゾンは0.2mg/毎時です。






 【アルミテープ除電の危険性】

ということはアルミテープを車内に貼って4時間以上走行すると安全基準値0.8mgを超えて危険が危ない!(錯乱
・・・というわけではなく、0.2mg/毎時というのは常に電圧をかけ続けた場合です。
アルミテープ除電の場合、一度放電すると次に放電されるまで静電気のチャージ時間が必要となります。具体的な研究結果がないので確かな事は言えませんが、静電気が車内に溜まる速度を鑑みると、常時電圧をかけた場合の100分の1にも満たないでしょう。

仮に車内に10枚アルミテープを貼っていたとしても、40時間走行でようやく基準値に達する計算です。



またオゾンは不安定な物質なので、生成されたそばから空気中の水分や細菌、ほこりなどに干渉されどんどん酸素に戻ります。

加えて、一切車内を換気せず何時間も走行するような方もいないでしょう。

以上のことから、アルミテープ除電で生成されるオゾンが人体に影響を及ぼす可能性は極めて低いと思われます。



 【アルミテープ除電で車内殺菌?】

人体に影響がない低濃度であっても細菌には有効とされているオゾン。アルミテープ除電で車内の消臭殺菌は可能でしょうか。


コロナ放電でコロナを消毒できる?

前述の谷村氏の研究によると、オゾン濃度0.03ppmの環境下で2時間後の細菌の生存率は約60%とのこと。

前述の通りアルミテープ除電で発生するオゾンは極めて低濃度ですが、アルミテープから数センチ以内であればオゾン濃度は0.03ppmくらいになるかもしれません。それでも2時間でようやく4割殺菌できる程度。ファブリーズひと吹きした方がよっぽど効果的と言えるでしょう。


 【まとめ】


OOZONEのイメージ図

アルミテープのコロナ放電頻度が不明瞭な点が気がかりではあるものの、健康面には差し支えないと考えて良いと思われます。

とは言え健康被害は個人差がありますので、もし気になる方は臭いで判断して下さい。オゾンの語源はギリシャ語の「臭い」の通り、独特の刺激臭があります。


有名な「う◯この香りだ」はコラ画像です。正しくはコレ。

レーザープリンタの作動中の臭い、あるいは電車のモーターのきな臭さ。そのような臭いを感じるような事があれば車内換気し、アルミテープの削減をご検討下さい。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。


 【雑記】

弊ブログタイトルの拝借元ラノベには全ての攻撃を無効化する難敵が登場します。この難敵への対策として、放電により敵周囲の酸素をオゾン化して酸欠にさせるという変わった手法が登場します。




ラスボスをこの手の方法で攻撃する話で言えば、逆に敵周囲の酸素濃度を上げたエンポリオ君が思い浮かびます。


見た目小学生なのに博識過ぎる彼の精神年齢は何歳なんだろうか、とか、


異能力者が気軽に電撃を纏う図を良くみかけますが、彼らは自らをオゾン中毒と酸欠の危険に晒している事に気づいているだろうか、
なんてことを考えながら今日も今日とて車内にアルミテープを貼っています。
Posted at 2023/08/08 22:47:19 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2023年08月02日 イイね!

とある戯学の静電気考 〜シリコン除電基礎概論〜

とある戯学の静電気考 〜シリコン除電基礎概論〜

巷で人気のシリコン除電。私も手を出し始めましたが、結果は成功したり失敗したりと今ひとつで、シリコンという素材を使いこなせておりません。
シリコンに限らず道具は使い方次第で毒にも薬にもなるもの。シリコンの長所短所を整理し、より効果的な使い方をして行くための基礎知識をここに記します。



【シリコンの特性】

柔らかいとか肌に優しいとかの特性はさておき、除電において抑えておくポイントは以下2点です。


①マイナス帯電しやすい

シリコンは下記帯電列の通りマイナス電荷に帯電しやすい(相手から電子を奪いやすい)性質があります。



この性質がシリコン除電のキモとなります。そして場合によっては毒にもなります。


②基本的に絶縁体

シリコンはゴムや樹脂と同じく電気を通さない絶縁体です。シリコンは半導体の原料として知られているため電気を通すと誤解されがちですが、それは特殊な素材や特殊な加工を施したエリートシリコンであって、私たちの身の回りにあるシリコンは寧ろ高い絶縁性を持ちます。
身の回りの柔らかいヤツは正確にはシリコーンと発音し、半導体のシリコンとはスペルが1文字異なります。弊ブログでは面倒なのでシリコンと表記しますが。

ただ一口にシリコンと言っても素材に混ざってる成分により電気抵抗値は異なりますので、絶縁性が低い製品もあります。



【シリコン除電の原理】

特性①の通りシリコン君は電子を余分に保持しやすい小金持ちです。この特性を利用し、プラスに帯電している箇所(電子的貧困層)にシリコン部材を設置することで、不足している電子を補いプラス電荷を中和しようというのがシリコン除電の基本原理です。







【シリコン除電の留意事項】

上記の電子注入図には誤解を招く表現があります。それは特性②の通りシリコンは絶縁体であるという点です。
特性②を考慮すると、シリコンによるマイナス電荷移動は下記の図のようになります。



上図の通りシリコンに接している箇所は電子が移動して中和されますが、直接触れていない部分は電子が移動できず持ち腐れとなります。

とはいえ前回のブログの通り絶縁体表面を電荷が移動することはありますので、やがてはシリコンのマイナス電荷が伝わるでしょう、ご安心を。
ただしその伝播スピードは遅く非効率的である点を念頭に置いておく必要があります。

また、面で密着している箇所については、一度接触してプラス帯電箇所に電子を受け渡したらそれっきりです。それ以上は電子が外部から(空気から)供給されないので、2度と電子がシリコンの面接触箇所に付着することはなく、当然シリコンからプラス帯電パーツへ電子を供給することもありません。







【シリコン除電の長所】

一言で言うと、アルミテープ除電より強力な点です。

シリコン除電はアルミテープ除電と根本的に原理が異なります。
アルミテープの場合、一定以上の静電気が溜まらないとコロナ放電しないという性質上、車体の静電気を完全に無くすというのは難しく、どうしても若干の静電気が残ってしまいます。

対してシリコン除電は車体側の静電気事情に関係なく、シリコン自体が帯電していればどんどんマイナス電荷を車体に注入でき、理論上帯電ゼロにすることも可能です。



【シリコン除電の短所】

一言で言うと強力な点が短所です。長所短所は表裏一体の典型。

車体側の静電気事情に関係なくどんどんマイナス電荷を注入しますので、場合によっては車体側がマイナスに帯電する可能性があります。静電気はプラスもマイナスも車体性能に影響を及ぼします。過ぎたるは及ばざるが何たら。

もう一つの短所は、シリコン自体が強力にマイナス帯電する性質、電子を奪いやすい性質である点です。
空気がふんだんにある場所なら空気から電子を奪いますが、空気の流れがない密閉空間に施工すると、やがて車体から電子を奪うようになり、むしろ車体のプラス帯電を促す恐れがあります。
対してアルミテープであれば空気の供給がない場合は除電作用が働かなくなるだけで、車体をプラス帯電させてしまう心配はありません。



【シリコン除電効率化の提言】

先述の通りシリコンは絶縁体であるためマイナス電荷注入効率がそれほど高くありません。
そこでシリコンを使ってプラス帯電箇所に効率よく電子を注入する工夫をご紹介。


① シリコンを緩めに巻く

無から電子が発生することはありません(電荷量保存の法則)ので、シリコンから車体に継続的にマイナス電荷注入するためには電子を供給してくれる空気の存在が不可欠です。
しかし先述の通り密着している箇所は空気の供給源が絶たれ、接触面に限って言えばシリコンからの電子供給は施工直後の一回のみとなってしまいます。
かといって除電対象とシリコンの隙間を空けると電子を受け渡す事ができず本末転倒です。

その解決策として、シリコンバンドなどを巻く場合は緩めにシリコンを巻き付けるという手法が考えられます。緩めに巻く事で除電対象とシリコンの間に隙間ができ、空気が共有され、かつ、車の振動により断続的にシリコンと対象物が接触し電子を渡すという手法です。


これの難点はどれだけ隙間を空けるのが最も効果的か、経験則に基づく職人技が求められる点です。


②シリコン表面に導電性を付与する

シリコン自体が絶縁体なら、その表面を導電体で覆ってしまえばよい、という発想。
ただし空気の供給は必須なのでアルミテープなどで覆うのはNG。網目の細かい金網などが良いかと。


これの難点はシリコン表面と金網を上手に密着させる職人技が求められる点です。

この発想を実験するため、こんなアイテムを入手しました。導電性と通気性を兼ね備えた布です。



これでシリコンを覆う事で、シリコンの電子注入能力を爆上げできるのではと期待してます。ただこれ、プラス帯電しやすいナイロン製なんですよね。シリコンの長所を打ち消さないか心配です。施工結果は追ってご報告します


③エンジェルリング

偉大な先達により考案された通称エンジェルリングは、シリコンチューブの内部に導線を通したもの。エンジェルリングは上記①②の効果を得つつ、さらにアルミテープ除電同様にコロナ放電を行い、周辺の電荷を中和するという1石3鳥な、巷で大人気なのも納得の欲張りメニューです。


画像はちゃいみみさんより拝借

私も近いうちに試してその効果の程を体験してみたい所存です。


④薄いシリコンを使う

絶縁体といえども高い電圧がかかると絶縁破壊により電子が絶縁体内部を移動します。


また絶縁体の厚さが薄ければ薄いほど絶縁破壊が起こりやすくなります。

私が除電に使用しているシリコンテープの厚さは0.5mm、施工の際に引き伸ばすと0.2mm程度の厚みです。この薄さなら絶縁破壊で導通するのではと期待して調べてみました。

アルミテープでお馴染みNitto社製シリコンテープの絶縁破壊電圧は44kv/mmとのこと。
厚さ0.2mmなら8800vで絶縁破壊を起こし電気が通る計算です。

対して静電気の電圧は状況にもよりますが数千ボルト程度でしょう。・・・微妙なラインですが、シリコンテープの絶縁破壊は期待しない方が良さそうです。


⑤導電性シリコンを使う

今までの講釈は何だったのかというくらいド正解の手法ですが、もちろんデメリットもあります。単純に高い!A5サイズほどのシートでも1万円オーバー。
千円台の製品を何とか見つけて購入しましたが、いかんせん安物。あまり期待しない方が良いでしょう。効果の程は近日公開。


【むすび】



総じてシリコン除電はアルミテープ除電に比べて長所短所の振り幅が大きい中級者向けの除電方式と言えます。マリカーで例えるとクッパとまで言わないもののノコノコくらいですかね。
シリコンの特性を理解し適切な場所・方法で施工する事が肝要です。
まだまだ改善の余地があるため、今後さらなるアイデア創出が期待できます。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。



【雑記】

高い電圧をかけると絶縁体でも電気が通るのは先述の通りですが、某ゴム人間が2億ボルトの雷を喰らってピンピンしていたのを思い出し、この電圧なら余裕で絶縁破壊するなぁと空想科学読本的に思ったり、



2億ボルトの放電にさらされた周囲の空気は高濃度オゾンとプラズマが発生し、とても生物が生存できる空間ではなく、下手したら核融合すら誘発するのではと思ったり。
Posted at 2023/08/02 21:25:11 | コメント(4) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「友人の古いメルセデスでドライブ中。1980年代、ちょうど友人と出会った頃に作られた車。なのにABSやエコモード、オートクルーズ機能までついているオーパーツ的当時最先端な車両に、技術者方々の執念とも言えそうな情熱が伝わります。山道で5リッターV8の厳かな唸りをたっぷり堪能。」
何シテル?   06/22 11:15
車は移動手段に過ぎぬと40年生きてきましたが、内外装だけで選んだCX-3に乗って運転の楽しさをようやく知る事ができました。 2022年 もっと他の車にも乗...
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MX-30に乗っていました。 前車CX-3で車の楽しさに芽生え、他の車を経験したくなり乗 ...

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