アクティブトルクスプリットAWDの動作形態は、スバルサイドからも詳しい説明や技術解説などがあまりなく、そのために様々なことが(誤解や曲解)もふくめて言われているようだ。メカニズムについては先日概ね書いた通りの湿式多板クラッチ機構で間違いないのだが、それが実際の運行上どういったプログラムで働いているのか、イマイチ掴めないことがそういった曖昧な理解や誤解の要因となっている気がする。
たまたま、昨年冬に行われたスバル主催の雪上試乗会(報道向け)の
ビデオをみつけたので観てみた。この中で、アクティブトルクスプリットAWDが採用されているフォレスターが通常のAWDに比べ予想以上に操舵性がよいのは何故か?ということでスバルに聞いたところ、タイトコーナーでは97:3くらいまでフロントへトルクを移している、という説明があったことが述べられていた。予想通り、ほぼFF状態になっているということである。
しかしビデオをよく観察していると、4輪ドリフト状態でコーナリングしている時には、しっかりと4輪ともが回転していることも見てとれた。それは、センターデフでトルク配分が固定されているハイパワーMT車にも引けを取らない走りっぷりであった。ただ、後輪を積極的にパワーで滑らせながらヘアピンをクリアしていく、といった走り方は、ドライバーの意思だけでは簡単にはできなさそうであり、むしろそういうドライビングをさせないで、なるべくグリップで行けるようなセッティングになっているという感じは受けた。そういった意味ではやはり「おもしろみは無い」機構なのだろう。
総じて、アクティブトルクスプリットAWDに関する私の理解と実体験からのまとめをするならば、
1)トルク配分は車軸荷重に合わせてF:R=60:40を基本とし、これを通常状態としている。
2)走行(車輪の回転)状態に合わせ、トルク配分は97:3~ほぼ50:50まで湿式多板クラッチの電子制御によって連続的に可変させることができる。コーナーでは前寄りに、全開発進時などリアトラクションが掛かるようなシーンでは後に目一杯振った配分となる。
3)強制FF状態にすると、伝達ロスが低減され僅かながら燃費が向上する。しかしスバルの選択は、後輪へのトルクカットによる燃費の微々たる向上より、安定性・安全性を重視したフルタイムAWDセッティングである。
といったところであろう。
余談だが、我がレガシィの前後輪の空気圧が2.3kgf/2.1kgfと違う値が指定されているのは、車軸荷重の基本的違いによるタイヤ円の潰れに起因した回転数の差をなるべく少なくするためだ、ということを知った。なるほど、そういう理由だったのか。勉強になった。
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2008/02/14 00:13:44