2009年06月28日
長い期間、クルマを運転していると、次第に「慣れ」が生じてくる。「慣れ」は、運転を安定させ、いろいろなことに気を配る余裕を生む反面、大事なことを“省略”してしまったり、うっかり“忘れ”たりする原因にもなる。ベテランのドライバーが事故を起こすのは、かなりの部分がこの「慣れ」によるものではないか、と私は勝手に推測している。電車の運転士が指さし確認をしているのは、そういう「慣れ」による省略や見落としを、身体の動作を入れることで極力防止しているのだと思う。
先日、何もない駐車スペースへクルマをバックで入れている時に、ブレーキを踏むべきところでアクセルを踏んでしまうというミスを犯してしまった。教習所時代でさえ、やったことのないミスである。踏んだ瞬間、あっ、違う!と思い慌てて踏み換えたが、もし背面に何かがあったらほぼ確実にぶつけてしまっていただろう。あるいは、よくニュースでみるような突入事故か。考えれば考えるほど恐ろしいミスであった。
ニュースなどでは大概、ここまでしか情報がない。つまり、踏み間違えて突っ込んでしまった人の「操作ミス」が全面的に悪い訳で、「ミス」さえしなければいいのだ、ということである。それはまったくその通りなのだが、それで済ませてしまっては、お役所の“○○をしないようにきをつけましょう”という、何の役にも立たない標語の類と同じである。よって、私の体験を他山の石として誰かに役に立ててもらえれば少しはいいかと思い、恥を忍んで記事にしてみた訳である。
その“瞬間”には、どうして踏み間違えたのか正直よくわからなかったのだが、あとからいろいろと考えてみたら、こんな感じだった。
・バックで動き始め、いつもならブレーキへ踏み換えるタイミングで、何故か足が動かなかった。
・足を動かさなかったにもかかわらず、頭はブレーキのつもりに切り替わった。
・ブレーキのつもりで、足を動かしたら、そこにはアクセルがあった。
足を動かさなかったのが最大のポイントだが、それにはいくつかの理由があると思う。一つは、その日は丸一日立ち仕事をしていて、いつも以上に足が疲労していたこと。二つ目は、足のポジションがいつもよりアクセルよりになっていて、足が憶えているブレーキの位置に、アクセルがくる感じになっていたこと。つまりは、ある種の条件反射、すなわち「慣れ」により、操作してしまったということだろう。そこへ足の疲労という要素が加わって、脳が判断するより前に身体が勝手に判断する状況が生まれていた、と考えられる。
自転車に乗るときに、身体のバランスを保つ方法を一々意識しなくても乗れるのと同様、クルマの運転も、長い間に「意識しないで」できる状況になっている。しかし、翌日に改めて“意識して”足のポジションをいろいろ動かしてみたら、自分が思っているよりかなりずれた感じで運転していたことに気付かされた。身体が覚え込んだポジションが、経年変化でずれていったものと思う。ヘンな話だが、“あれ、自分はどうやってアクセル踏んでたんだっけ?”と思うくらい、「惰性」で操作していたようである。
その日以来、自分の運転を見直そうと思い、教習所に通っているような気分で運転している。意識して運転していると、なんだか風景まで違って見える。アクセルやブレーキも、足の感覚に頼るのは御法度にしてしっかり頭で意識して操作するようにしたら、なんだかぎこちない運転になってしまった。(笑)まぁ、大きな事故を起こす前に、こういうことがあって良かったんだと思って、しばらくは初心に返っていようと思っている。
Posted at 2009/06/28 00:51:11 | |
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雑談 | クルマ